日本球界マスコットの第一人者、島野修さん死去。
日本プロ野球界におけるマスコットの草分け的存在だった旧ブレーブスのブレービー、島野修さんが亡くなられた。59歳だった。
ジャイアンツのドラフト1位入団投手から、移籍先の旧ブレーブスでマスコット、ブレービーに転身。球団が身売りしてからもネッピーとして1998年まで活躍。その後球団職員としても活動され、2004年に退任された。
昨今の日本プロ野球でのマスコット人気の下地を作ったのは間違いなく島野さん=ブレービー。当時既にアメリカ大リーグでは球団ごとのマスコットキャラクターがファンに浸透していたが、日本プロ野球では初めて。好奇の目で見られたり、ファンの側にも戸惑いがあっただろうが相当な努力で昨今の人気の下地を築いたことと思う。1981年から1998年までのブレービー、ネッピーあらずしてドアラや、つば九郎らに代表される昨今のマスコット人気はなかっただろう。あったとしても形が違っただろう。
明日はマスコット交流が盛んに行われがちな交流戦の初日。球場に登場するマスコット全員が喪章をつけて哀悼の意を表して欲しいくらいだ。
謹んでご冥福をお祈りします。
(写真:かつては島野修さんが演じていたネッピー。写真は島野さん退任後の2008年4月撮影)
あらゆる事柄に共通すると思うが、新しいブーム、潮流などが定着するにはその礎になる人がいるものだ。そして往々にして、その人自体はあまりスポットライトを浴びず、後になって、振り返って功績を讃えられ、ようやく真っ当な評価を受ける。現在のマスコット達も、そのスタッフを含め並々ならぬ努力をしていると思うが、道を拓いてくれた島野さんのことを忘れてはいけないと思う。そして広い意味では我々ファンも。
島野さんがジャイアンツからドラフト1位で指名された時のエピソードなどは明日のスポーツ紙に載るだろうからここでは割愛させていただく。選手としての島野さんの印象というと、長嶋茂雄監督初年度の1975年の春季ベロビーチキャンプで、たしかドジャース相手だったと思うが大リーグのチームとのオープン戦で好投。完投勝利で一躍脚光を浴びた。残念ながらシーズンで活躍できず、そのシーズン後に当時のブレーブスにトレードされた。現役を辞めて、打撃投手になってその後でブレービーとして活躍したと記憶している。マスコット勇退後、体調を崩しているらしいことも何かの記事で読んだ。
島野さんが下地を作り、そして後に続いたもの達がファンと野球の距離を近くしてくれた。いまやチームによってはファームに独自のマスコットがいる時代。以前にB☆Bが球団HP内の自分のコラムで「マスコットが明日からいなくなっても野球そのものは変わらずに続けられる」という主旨のことを自嘲気味に書いていた。確かにそうだが、ファン心理としてはもはや無くてはならないもの、球場に行けば必ず会える存在という域に達していると思う。
日本プロ野球界として、日本のプロ野球のマスコットの草分けに当たる方にどう報いるのか。これは日本のプロ野球界がファンサービスというものをどのくらい重要に考えているかの試金石かもしれない。単にひとりのOBの訃報というだけでは済まされまい。
P.S.
今日のオマケ
ブレービーの本拠地、阪急西宮スタジアムも今はない…。
(写真:野球場としては使われなくなってからの阪急西宮スタジアム。2002年8月撮影)
筆者注.
島野修さんの活動期間に一部誤りがありましたので訂正しました。
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コメント
長緯様、コメントをありがとうございました。
> マスコットのいないプロ野球の試合など、なんと味気ないことでしょう。緊張感の中に安らぎを提供してくれ、かつてはともすれば殺伐としていた球場を誰もが楽しめる場所に変えてくれた。
さすがにこの一、二年のマスコットのもてはやされぶりはバブルっぽいですが、ブレービーや、同時代のマスコットの功績は長緯さんが挙げた上の点に尽きるでしょうね。マスコットの存在意義だと思います。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年5月14日 (金) 23時13分
遅いコメントですみません。
マスコットのいないプロ野球の試合など、なんと味気ないことでしょう。緊張感の中に安らぎを提供してくれ、かつてはともすれば殺伐としていた球場を誰もが楽しめる場所に変えてくれた。
そういった面から、今のプロ野球があるのもパイオニアとしての島野さんの功績があるといっても過言ではないと思います。ご冥福をお祈りいたします。
投稿: 長緯 | 2010年5月14日 (金) 22時14分
giants-55様、コメントをありがとうございました。
私の方こそ、いささか出過ぎた真似かなとも感じましたが、固有名詞、事実関係に関する点なので指摘させていただきました。
速やかなる対応、恐れ入ります。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年5月14日 (金) 00時21分
初めまして。書き込み及びトラックバック有り難う御座いました。
頭の中では間違えない様にと気を付けていたのですが、完全な誤記をしてしまいました。申し訳在りません。そして教えて戴きました事、心より御礼申し上げます。早速、当該個所を訂正させて貰いました。
今後とも何卒宜しく御願い致します。
投稿: giants-55 | 2010年5月13日 (木) 01時13分
宇宙狼様、コメントをありがとうございました。
> パイオニアといえば聞こえはいいけど、当時は悩みや葛藤や苦労があったでしょうね。
そのあたりも既に御本人の口から語られていましたから、これからどんどん報じられていくのでしょうね。
パイオニアにはパイオニア(だけ)の葛藤があったことでしょう。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年5月12日 (水) 00時08分
トーマス125様、コメントをありがとうございました。
> プロ野球は選手がグラウンドで活躍することが大事だが、マスコットが球団のイメージキャラクターとして定着できたのは島野さんの活躍のおかげだと思います。
ひとつの「分野」が確立される基礎を築いた方ですよね。
誰かが最初にやらないと、その後の人は存在しないかもしれないのです。
本当に功績は語り尽くせませんね。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年5月12日 (水) 00時01分
パイオニアといえば聞こえはいいけど、当時は悩みや葛藤や苦労があったでしょうね。
今はただ、お疲れ様でした、有難うございましたといいたいです。
そして、しばらくしたら天国の野球ファンにブレービーの姿を見せてあげてください>島野さん
投稿: 宇宙狼 | 2010年5月11日 (火) 22時58分
島野さんがいなかったら今のプロ野球にマスコットがいたかどうか、本当に偉大な人でした。プロ野球は選手がグラウンドで活躍することが大事だが、マスコットが球団のイメージキャラクターとして定着できたのは島野さんの活躍のおかげだと思います。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。合掌。
投稿: トーマス125 | 2010年5月11日 (火) 22時32分