手のひらを返す。
「○○なう」、「ブブゼラ」と並ぶ今年の新語・流行語大賞の有力候補として一躍脚光を浴び始めた「手のひらを返す」。本当に大賞に選ばれたら表彰式にT-岡田こと岡田武史サッカー日本代表監督が苦笑しながらスピーチしそうだが、サッカーに興味がない敗戦処理。の周りにも手のひらを返す輩が目立ってきた。
敗戦処理。の周りの手のひらを返す輩とは、交流戦後の怒濤の8勝1敗でようやく最下位を脱出し、あれだけあった借金も3にまで減ったファイターズのファンの一部の人たちだ。余談だが手のひらだけでなく手首を返すとハーフスイングをとられるので要注意。某ネットの住民にはあれほど「梨田は何をやってるんだ、早く責任を取れ!」だの「どうしてスレッジの代わりの外国人打者を取らないんだ?」と怒りまくっていたのに(そもそもその二つは別次元の問題<苦笑>)ここに来て言動が豹変で、まさに手のひら返しだ。 まだまだ最下位を脱出しただけだし、四位のバファローズも目前に迫ってはいるがクライマックスシリーズ出場圏内にもまだまだ5.5ゲーム差(27日現在)であるのにこの豹変ぶりだ。こういうのは低迷し始めて早々に責任問題云々を問うた発想と実は表裏一体で、個人的にはこういう方々の意見をあまり素直には受け入れられない。 ファイターズが交流戦で勝ち越したと言っても、セ・リーグ全体が不振でパの全球団がセのチームからむさぼっていたので交流戦では結局ファイターズはパの球団の中では一番下だった。それは即ち交流戦が始まる前より交流戦が終わった時点ではファイターズにとってはマイナスなのだが、この例が示すようにチームの強さなんて相対的なものだと敗戦処理。は思っている。 梨田昌孝監督に対しても厳しい声が飛んでいる。結果責任という点では仕方がないことだと思うが、何故ファンがあそこまで言うのか首を捻らざるを得ない声も少なくない。基本的に敗戦処理。は複数の球団で優勝する監督というのは能力があると思っている。一つの球団だけなら戦力に恵まれていたから、とかいくらでもネガティブな理由で監督の功績を否定できようが、複数の球団で二度ともお膳立てが整っていたなんて考えにくいだろう。ところが梨田監督をどうしても否定したい人たちはファイターズの試合での疑問点、不満点を挙げるだけでは満足しないらしく、旧バファローズ(Bu)時代の優勝という事実まで否定する。「あれだけ破壊力のある打線なら梨田でなくても優勝できる」などと。 しかしそういう意見の持ち主に限って、それと同時代の、各球団の四番打者がずらっと顔を揃えたような長嶋茂雄監督時代のジャイアンツに対して「大砲ばかり集めれば良いというものではない」と四番打者ばかり集めたがる編成方針を馬鹿にしていたりするから、もはや何をか言わんやだ。 ダルビッシュ有が相変わらずtwitterにうつつを抜かしながらも登板した試合では勝ち星を積み重ね、「いい加減、二軍に落とせ」といわれた武田久がどうやら格好がついてきて、堰を切ったように突然つながり出す打線も昨年に近づいてきた気がしないでもないファイターズはたしかに今後上昇気流に乗るだろう。乗ってもらわなくても困る。その大事な時期を迎え、本質的には同じ志を持つはずである、(ほんの一部とはいえ、目に余る)ファイターズファンの陰口のようなことを書くのはいささかの抵抗感を持つ。しかし言いたいことを抱えながらも、この四年間で三度もオイシイ酒を飲ませてくれたナインと、トレイ・ヒルマン前監督とは似て非なるスタイルで昨年チームを栄光に導いてくれた梨田監督を信じて敢えて見て見ぬふりをしてきた。まだ喜ぶのは早いとは思うが、今こそファンが余計な雑音を発することなく、チームを後押しする時期ではないか。 ところで今まで書いてきた論調に水を差すようなことになるが、最下位脱出はともかく、借金3という現実をどう受け止めて良いか迷っている。クライマックスシリーズという制度があってもなくても、Aクラス入りと、勝率5割というのはチーム成績の基準というか、目標の一つになると思うが、今年の場合「借金3」という今の状態が「あと3つ続けて勝てばプラスマイナス0」と思って良いものか疑わしく思えるのだ。 何故かというと、今年は交流戦でパ・リーグがセ・リーグに対し、81勝59敗4引き分けで、貯金22と大きく勝ち越した。これは平均すれば、一球団あたり3.7の貯金だ。同一リーグ同士のみの戦いであれば、どんな成績であろうと各球団の合計成績は勝ちの合計と負けの合計が同じ数になり、リーグ合計で貯金や借金ができることはない。ところが交流戦が始まってからは交流戦の貯金または借金がそのリーグのトータルの貯金または借金になる。今年のように一球団あたり3.7の貯金が出来る年は今のファイターズで言えばあと7連勝するなりして通しで貯金4となった時に実質的な貯金が出来たということになるのではないかと言うことだ。借金3を減らすのは今の勢いが続けばそんなに時間がかからないかもしれないが、実質借金7だと思うと、まだまだ先が長いという気になる。もちろん実質的な借金がいくつであろうとパ・リーグの中で上位三球団に入れば、クライマックスシリーズに進めることに変わりはないが…。借金7と考えると、再び頭が重くなってくる。ここはライバルチームではあるが、石井一久の奥さんにでも借金の減らし方を相談してみるか<笑>。 まだまだ山あり谷ありのペナントレースは続くだろう。一喜一憂しながら、それでもチームは前に進んでいくと信じ、期待する。そして今なおファイターズにネガティブな言葉を浴びせる同志よ、手のひらを返すなら今が格好のタイミングだ。皆が待っている。今年もファイターズが最後に笑うことを信じて、前向きにチームを応援していこうではないか。
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