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2010年7月31日 (土)

林羿豪、登録締め切り日に支配下登録される。

Dsc_0009 NPBでは今日731日が今季のトレード、新外国人選手獲得、育成選手の支配下登録の締め切りとなるのだが話題の藪恵壹の他にジャイアンツでは

林羿豪(リン・イーハウ=漢字が表示されなかったらゴメンナサイ。)が本日支配下選手登録された。

林羿豪は今日行われたジャイアンツ球場でのイースタン・リーグ公式戦に先発し、3イニングを無失点に抑えた。昨日のテスト予定だったが試合が雨天中止となったためスライド登板で今日、最終テストを受けた形になった。

(写真:支配下選手登録を賭けて先発した林羿豪)

前述した通り、NPBのシーズン途中の新外国人選手獲得、トレード、育成選手の支配下登録といった戦力補強は7月末まで。つまり今日が締め日なのだ。以前は6月末までだったが、2008年にアテネ五輪日本代表選出選手に対応しての補強を考慮し、7月末までに延び、そのまま定着した。

blog7月12日付、十二球団開幕後補強動向中間報告でその時点までのシーズンイン後の人の異動をまとめたが、その後もいくつかの球団で新外国人獲得があったり、ジャイアンツでは栂野雅史とゴールデンイーグルスの朝井秀樹のトレードがあった。もう一度当blogでもまとめようかと思ったが来週発売の週刊ベースボールで特集するだろうから、興味のある方はそちらを参照されたい。

さて、試合はその林羿豪が先発。これまた前述のように締切1日前の昨日が最終テスト予定だったがあいにく雨天中止。いわゆるスライド登板で試されることになった。サイド気味の投球フォームから伸びのあるストレートを投げるのに特徴がある。現在の一軍投手陣、特に先発陣の崩壊ぶりを考えると、可能性のある選手は上限まで登録しておけというのが本音なのだろう。支配下選手登録の上限は70人だが林羿豪はジャイアンツでは70人目の支配下登録選手だ。

今日の内容自体、特段目を見張るという感じでは無かったように敗戦処理。には写った。

一回表に坪井智哉に打たれたセンター前は「役者が違う」としても二回には今浪隆博佐藤賢治に続けて安打を打たれたし、三者凡退で終えるかと思った三回表の二死からの加藤政義への四球と、今ひとつぴりっとしなかったからだ。

Dsc_0038 そしてこの間、ファイターズ先発の吉川光夫は三回まで四球の走者を一人出しただけのノーヒット投球を続けていた。

ジャイアンツ球場にゲリラ豪雨が襲ってくる条件は整っていた<苦笑>

それでも林羿豪は「合格」となったのか三回でお役ご免。四回表のマウンドには林羿豪より一足早く6月4日に支配下登録され、既に一軍で二度の先発を経験している黄志龍。

林羿豪にも完璧に抑えられていた訳ではないファイターズ打線は先頭の坪井がセンター前にクリーンヒット。

Dsc_0046 二打席連続の安打に一塁側のジャイアンツファンからも「さすがだ」との声が。坪井は三打席目にも左の古川祐樹から安打を放ち猛打賞。明日8月1日が再登録の解禁日だが。実は坪井はこの時、右足にはめた自打球よけのレガースを装着したまま塁上にいた。次の鵜久森淳志の何球目かに気付き、慌ててタイムをかけて外していた。まさか黄志龍がそれでペースを狂わせたのではないだろうが、鵜久森には四球。無死一、二塁となった。

続く今浪の打球はゴロで一、二塁間を破って無死満塁。一、二塁間と書いたが、一塁寄りの打球に思えた。一塁を守る大田泰示は何を思ったかこの打球を自分で捕ろうとせず自分は一塁ベースについた。大田は4-6-3の併殺をイメージしたのかもしれないが、二塁の円谷英俊には到底捕れない打球だった。

ファイターズは満塁から佐藤の押し出し、昨年までジャイアンツにいた岩舘学の一塁ゴロでこの回2点を先制。岩舘の一塁ゴロも大田のダッシュが早ければひょっと…いや、言うまい。

一方の吉川は直後の四回表に藤村大介と大田に安打を打たれ一死一、二塁と初めてピンチを招くが四番の田中大二郎を三振、五番の矢野謙次をセンターフライに打ち取って無失点に切り抜けた。

Dsc_0085 吉川は続く五回にイ・スンヨプにライト線の二塁打を浴び、二死から星孝典にライト前タイムリーで失点するがこの回までこの1失点と力投した。

ファイターズは六回裏には増井浩俊、七回には糸数敬作と一軍クラスを投入し、ジャイアンツ打線を抑える。この両投手、ともに今季の一軍の交流戦でジャイアンツ相手に先発しているが一塁側のジャイアンツファンから特にそう言う話し声が聞こえてこないのが不思議だった。増井には勝利投手になられたし、糸数とは昨年の日本シリーズでも対戦しているのに。そういえば岩舘が打席に入っても「元気か?」なんて声は聞こえてこない。シーレックス戦とは好対照だ。

特に糸数が昨年の日本シリーズ第三戦で本塁打を浴びたイ・スンヨプから三振を奪ったシーンは圧巻だった。

一方のイ・スンヨプは前述の二塁打以外の三打席はすべて凡退と今ひとつ精彩を欠いた。ただ試合前のシートノックの時にファンから「スンちゃん、エドガーに負けるなよ」と言われ、軽く帽子を取って会釈していた。エドガーが昨日あのような劇的な一発を打ったその翌日にイ・スンヨプを励ますファンのためにももう一度輝いて欲しいものだが。

ジャイアンツは林羿豪と黄志龍の後、古川祐樹、小野淳平で五回、六回を凌ぎ、七回から西村健太朗を投入。

Dsc_0102 西村健は一死から中井大介の失策で出た杉谷拳士に加藤政義三振の間に盗塁され、二死二塁で既に三打数三安打の坪井を迎えた。一軍で先発ローテーションを担っていた投手としてはここで好調坪井を打ち取って実力をアピールしたいはずなのだが気持ちが逃げていたのか簡単に四球。次の鵜久森を打ち取って目論見通りだったのだろうがそれで良いのだろうか。

西村健は続投した八回に安打と四球の無死一、二塁から岩舘にバスターで三遊間を破られ追加点を奪われた。

Dsc_0113 たださらに続く無死一、二塁。バントで送られた一死二、三塁のピンチは切り抜けた。

岩舘は二回表には同じ無死一、二塁で送りバントが捕手へのファウルフライとなってしまっていたのでここはやるからにはきちんと決めなければいけないシチュエーション。

Dsc_0030 その心理を読んで、バントをさせて失敗させようとしたジャイアンツ守備陣の裏をかいてのタイムリーだと思うが、ファームが鍛錬の場であることを考えると、相手の裏をかく作戦も必要だろうが、相手の警戒網の中できちんと送りバントを決める練習をさせる事の方が重要なのではないかと敗戦処理。は考える。特に今一軍で、森本稀哲の不在時には二番を打つこともあった若手が鎌ヶ谷でもろくに決められなかった送りバントのサインを出され四苦八苦なんて場面を見ると、ファームで身につけておかねばならないことというものがあることに気付くと思うのだが。ファイターズはこの試合で他にも加藤政が無死二塁での送りバントを捕手への小飛球としてしまい併殺を食っている。大久保博元のようなコーチがいたらどんだけ金が集まっているか…。

一方のジャイアンツでも岩舘バスターの後の無死一、二塁で送りバントをした渡部龍一の打球をダッシュ良く捕った大田が三塁送球、と思ったらつかみ損ね、打者走者を一塁で刺すのが精一杯というプレーがあった。記録上は失策がつかない、大田のトホホな守備はこの試合三度目。敗戦処理。には見慣れた光景だが、G+の中継で大田の実態を知ってしまった全国のジャイアンツファンは大田に対する見方が変わってしまうのだろうか?

ファイターズは八回裏をこれまた一軍級の金森敬之が抑え、最終回は一軍では殆ど通用しない須永英輝がジャイアンツ打線を三者凡退に抑え、結局、試合は3対1でファイターズが逃げ切った。

Dsc_0133 須永もジャイアンツの古川ほどではないが、左腕を下げた。スーパーエースのダルビッシュ有より一歳年上の悩める大型左腕が今度こそ活路を見出せるか。

31日・ジャイアンツ球場】

F 000 200 010 =3

G 000 010 000 =1

F)○吉川、増井、糸数、金森、S須永-渡部

G)林羿豪、●黄志龍、古川、小野、西村健、野間口-星

本塁打)両軍とも無し

ところで前エントリーで栂野のことを取り上げたらトラックバックを下さったEagles fly free さんのブログのリンク先に栂野のジャイアンツ入団時の虚々実々の駆け引きが書かれていた。久しぶりに思い出した<苦笑>。個人的にはドラフト制度がある以上、別に非難される程のことでは無い様な気も。江川卓は別格にしても桑田真澄あたりと比較したらカワイイものだ。

そして今回取り上げた林羿豪も、もうすっかり忘れられているが田澤純一という新日本石油ENEOS所属の投手が日本のプロ野球を経ずにアメリカ大リーグに挑戦したいと言って日本のプロ野球界がそれを何とか食い止めようとしていた時期に、その反対運動の旗振り役かとも思えた清武英利球団代表のお膝元のジャイアンツが台湾プロ野球に入団前に獲得した台湾球界の有望な投手だったのだ。栂野が過去をえぐられるように、林羿豪も今後活躍すればするほど蒸し返される話題かもしれない、ってもう敗戦処理。が蒸し返しているが。

さて、今日は結局ゲリラ豪雨にも襲われず、途中から温度も下がったので快適な野球観戦(それでも3対1の試合なのに三時間を超えたが)だったが明日のこのカードも生観戦予定だ。ジャイアンツではそろそろ朝井秀樹が初登板するのではという気がする一方、大学野球日本代表相手にも好投した上昇株笠原将生も観たい。二軍落ちしたディッキー・ゴンザレスが投げるのではと言う声もあった。余談だが一時は明日の一軍での先発が予想され、次のタイガース戦での先発に変わったとの報道もあるセス・グライシンガーの姿をジャイアンツ球場で見かけたという目撃談があったので明日の先発はないだろう。

ファイターズはある有力な情報によると「埼玉のダル」ことドラフト1位ルーキー中村勝が先発しそうだ。

P.S.

今日のオマケ

明日は日本テレビとのタイアップとかで「ズムサタデー」らしい。

Dsc_0032 こういう時だけ来る人でどれだけジャイアンツ球場が埋まるか楽しみ。ちなみに今日の観客動員は921人だったそうだ。

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コメント

Eagles fly free 様、コメントをありがとうございました。

> 横からで恐縮ですが、私の書いた記事でもしも長緯さんに誤解を与えるようなことがあったとすれば、言葉足らずで申し訳なく思うのですが、

長緯さんは聡明な方なので、真意を理解して下さっていると思いますよ。

敗戦処理。も長緯さんも共にジャイアンツファンで、心ない中傷を受けるのには慣れっこの面があるかもしれません。

かつてはある掲示板でそうした輩に論戦を交わし、仲良くなることもありましたが、それも遠い昔のような気がします。

投稿: 敗戦処理。 | 2010年8月 6日 (金) 01時53分

敗戦処理。さん、こんばんは。
先日は記事のご紹介及びトラックバック、ありがとうございました。

さて。
横からで恐縮ですが、私の書いた記事でもしも長緯さんに誤解を与えるようなことがあったとすれば、言葉足らずで申し訳なく思うのですが、まず申し上げたかったのは
「ベイスターズより先に指名権のあったジャイアンツが栂野投手を指名したのは、ウエイバー制度下において球団側としての当然の権利を行使しただけであり、全く問題ない」
こちらが私のスタンスである、ということです。
#だからこそ、(ウエイバー制度下での駆け引きとして、後の指名である)ベイスターズは越智投手を獲ることを表明すべきだった、とも書いています(余談ですが、当時の越智投手といえば「横浜から所沢は遠い=早稲田を卒業するための単位が不足していた=」などという報道のされかたこそすれ、その素材に注目する記事は皆無でした。この点でも、いかにアマチュア野球=特にドラフト関連=の記事がいい加減かわかろうものです)

上記を前提とした上で、
”いわくつきの獲り方”
という(ともすれば、ジャイアンツに問題があったかのような)表現をしたのは、当時のマスコミ報道とそれに影響された(私の見解とは異なる)ファンの世論を意識してのものです。

実例をあげますと、

・アマチュアの選手が事前にジャイアンツ以外の希望球団を表明していて、その選手をジャイアンツが指名した場合は「(ジャイアンツの)ほしいほしい病」、更に言うと「選手の希望を踏みにじる指名」

などと報道されることが多いのですが(前述の栂野投手など)、逆に

・アマチュアの選手が事前にジャイアンツを希望球団に表明していて、その選手をジャイアンツ以外の球団が指名した場合は「選手のわがまま」、そしてなぜか「(ジャイアンツの)ほしいほしい病」

などと報道されることが多いのです(現ジャイアンツの長野選手など)。

以前からこういう報道のされ方には個人的に大変違和感*を感じておりまして、リンク先をお示しいただいた記事をお読みになられた皆様には、この点をお酌みいただければ幸いです。


言い換えますと、
「(ジャイアンツ志望は)長野がわがまま」
だというのなら、同時に
「(ベイスターズ志望は)栂野のわがまま」
というべきですし、
「(ジャイアンツの指名は)栂野の希望を踏みにじる行為」
というのなら、同時に
「(ファイターズ/マリーンズの指名は)長野の希望を踏みにじる行為」
というべきだ、ということです。

しかし常々、実際にこのような一貫した視点で以ってプロ野球を観ている方は少数派だと感じております。
故に、敗戦処理。さんのような公正な史眼を持つ方に共感する次第です(清武代表の矛盾を突く発言など)。

投稿: Eagles fly free | 2010年8月 3日 (火) 21時39分

長緯様、コメントをありがとうございました。

> 最近のジャイアンツは選手の獲得方針が変わったといわれながらも、栂野はその「ほしいほしい病」の(最後の)犠牲者になった印象も感じています。

まあ栂野で最後ということはないでしょう<笑>。

ドラフト制度下のかけひきの一環でしょうから。

オビスポと福田の好投で安心しきっているファンが散見されるようですが一回だけじゃまだ信用出来ません。

朝井も一つ一つ階段を上がって欲しいです。

投稿: 敗戦処理。 | 2010年8月 2日 (月) 00時38分

多少気温が低かったようですが、それでも暑い中おつかれさまでした。

自分は入団のいきさつとかあまり知らなかったので、栂野の件、田澤の件、いろいろと勉強になります。

「この選手がほしい」と意地になるのは分からないこともないのですが、問題はプロに入ってからどのような活躍ができるかと思います。

最近のジャイアンツは選手の獲得方針が変わったといわれながらも、栂野はその「ほしいほしい病」の(最後の)犠牲者になった印象も感じています。

投稿: 長緯 | 2010年8月 1日 (日) 12時01分

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