ジャイアンツの栂野雅史がゴールデンイーグルスへ移籍
ファイターズとジャイアンツを中心にイースタン・リーグ観戦を趣味にしている敗戦処理。だが栂野の画像が見つからなかった。一軍でも二度も生で観ているのに…。で取りあえず見つかったので2008年9月14日のジャイアンツ球場でのジャイアンツ対ファイターズ戦で登板中の栂野が打席で須永英輝からライトオーバーの本塁打を放った時の画像を使用した。もちろんまさか打つとは思っていなかったのでスイングを撮影していない。
こんな敗戦処理。だから他人様の事をどうこう言えないが、栂野に関してかなりへこんだことがあった。
敗戦処理。は昨年のセ・リーグ開幕戦、ジャイアンツ対カープ戦を東京ドームで生観戦した。いわゆるオレンジシートにほぼ近い一塁側B席で周りは全身ジャイアンツファンという人たちばかり。シーズンの開幕戦と言うことで主な選手のヒッティングマーチの歌詞が記された応援パンフが配布されたが、そんなものを見なくても一番から九番まで誰の歌詞でも暗記しているような人たちが気合いを入れてジャイアンツナインを後押ししていた。選手達もそれに応えてくれ、難敵、コルビー・ルイスから小笠原道大、アレックス・ラミレスの連続本塁打が飛び出るなど盛り上がりは最高だった。
ところが開幕投手の大役を任されたセス・グライシンガーがカープ打線の集中打を浴び、四回表途中にKOされるという事態になってしまった。当時の尾花高夫投手総合コーチがマウンドに上がり、原辰徳監督が球審に投手状態を告げた。
「ジャイアンツのピッチャーの交代をお知らせいたします。グライシンガーに代わりまして、トガノ…」
それまで声をからして応援していた気合いの入った連中にどよめきが起きた。
「東野…って言った?」
「トガノ?」
「トガノ…誰?」
応援歌の歌詞は完璧に頭に入っていても、開幕一軍入りした選手に知らない選手がいる。日々一、二軍の入れ替えがなされるシーズン中ならいざ知らず、開幕だ。スポーツ新聞に開幕一軍入りを果たした選手の一覧は掲載される。栂野は二年連続の開幕一軍入りで、その前の年には開幕三戦目の先発を任された投手だ。それなのに…。
確かにこの年は、オープン戦の時期にWBCが行われていて、NPBのオープン戦はジャイアンツに限らず例年に比べて存在感に欠け、オープン戦で一軍を目指す勢いのある選手がクローズアップされる機会も少なかったかもしれないが、栂野の名前すら知らないファンが敗戦処理。の周囲を占めていたというのは結構へこんだ。
その前の年の開幕三戦目に栂野が先発した試合も敗戦処理。は生観戦した。
神宮球場での開幕カードだったが、ジャイアンツは高橋尚成、グライシンガーで連敗して迎えた三戦目だった。原監督の方針で次の本拠地開幕戦に当たるドラゴンズ戦を重視し、上原浩治、内海哲也を温存した結果、グライシンガーとラミレスの移籍で対抗意識の高揚しているスワローズに足下をすくわれた感じの三戦目だった。
今挙げたように栂野にとってはプレッシャーを感じる条件がすべて揃った様なマウンドだったが悪いことは重なるもので体調が万全でない正捕手の阿部慎之助に代わって村田義則がこの日の女房役だった。栂野は案の定、小雨の中、初回から二本の二塁打と自らの暴投で2失点という最悪の立ち上がりだった。もはやベテランと言ってもよい村田も慣れぬ一軍スタメンマスクで間を取る余裕もなかったか、舞い上がる栂野に声をかけるのは自らも膝の故障で無理矢理開幕に間に合わせた感じの三塁手小笠原くらいだった。栂野は二回から立ち直り、結局5イニングで初回の2失点のみとまずまずの結果に落ち着いたがローテーション入りへの足がかりとは行かなかった。
開幕投手グライシンガーをリリーフした昨年の開幕戦では栂野登板時点でジャイアンツは3対6と苦しい展開で、結局3対6のまま試合を終えた。ジャイアンツは栂野の後、越智大祐、豊田清、山口鉄也、藤田宗一と投手をつぎ込んだ。開幕戦ならではの惜しみない継投といえば聞こえがよいが、要はビハインドの状況での投入要員が栂野と藤田しかいないという一軍メンバーだったのだ。(この試合でベンチ入りしながら登板しなかったのは守護神マーク・クルーンと、その前の1イニングを任される予定だったM.中村のみ)栂野はこの開幕戦のように先発投手が思わぬ早い段階で崩れた試合を何とか壊さずに中盤、終盤に持ち込む役割を期待されていた。そしてその役割は三年ぶりに二軍スタートとなった今年のファームで変わらずに任されている。いや、いた。ゴールデンイーグルスは栂野にどんな役割を期待しているのだろうか?
朝井秀樹というと、ゴールデンイーグルスでは岩隈久志、田中将大の二枚看板に続く永井怜のその次くらいに来る投手という印象を持っていた。
PL学園から旧バファローズ(Bu)にドラフト1位で入団した投手で球界再編を機にゴールデンイーグルスの一員に。2007年の8勝、2008年の9勝はともにチーム内で二番目に多い勝ち星だった。二桁勝利を期待された昨年、何故か絶不調によりファーム生活が長くなり、今季も…という感じだ。
育成選手出身の選手が頭角を現す一方で自由獲得枠、希望枠入団の福田聡志、野間口貴彦、金刃憲人が伸び悩み、現状の一軍先発ローテーション投手を脅かす存在がいない投手陣。一軍実績があり、他球団で伸び悩んでいる投手ということで朝井に白羽の矢が立ったのではないか。実は今日の大学日本代表対NPBフレッシュ選抜戦に先発した二年目の笠原将生は現在イースタンで絶好調なのだが、首脳陣の目には時期尚早と映っているのか…。
朝井が一軍で先発ローテーションに割ってはいるようならジャイアンツの首位は揺るぎなくなる期待が持てる。栂野もまた然り。田中が欠ける投手編成。ジャイアンツのファームで鍛えた成果を活かし、タフな中継ぎとして貢献できるチャンスかもしれない。
栂野25歳、朝井26歳。どちらも伸びしろが見込める投手だ。このトレードが両チーム、両投手にプラスになることを期待したい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
にしたく様、コメントをありがとうございました。
> 朝井というと、イーグルス初年度は少なくとも活躍していた記憶があります。
なにかのきっかけで本来の実力を発揮できた事例もありますから、朝井も栂野も新天地での活躍を願っています。
今年と昨年以外は立派なローテーション投手でしたよ。
> さて、ヤフードームでのオールスター第一戦を観に行きました。
テレビ観戦した友人からは、つまらない試合と評されましたが、現地は大盛り上がりでした。
うまく書けませんが、何と言うか球場全体を覆う良い意味でのお祭りムードがあるのですよね。それはもう独特の。
> 交流戦でその存在がおびやかされるオールスターですが、ならではの楽しみは交流戦では感じられませんよ。
何かを替えなくてならない。「もう役目は終わった」と安直に考える意見には同調出来ませんね。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年7月28日 (水) 01時20分
長緯様、コメントをありがとうございました。
> 時々イースタンでは見違えるような投球をするのですが、なぜ一軍でだめだったのか、よくわかりません。
確かに不思議ですね。
さらに今年は悪いことに右の中継ぎが豊田だのMICHEALだの小林だの…
それでも隙あらばと本人は狙っていたのでしょうが…。
> 笠原はあまり見ていないので何とも言えませんが、奪三振が少ない印象があるので、まだ一軍のレベルではないのかなと思います。
逆に若いのに、打たせて取る投球が成り立っているという見方も出来ると思うので器の大きさを感じています。
今週末のイースタン、ジャイアンツ対ファイターズ戦で朝井が投げるのを見たいなぁ。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年7月28日 (水) 01時02分
朝井というと、イーグルス初年度は少なくとも活躍していた記憶があります。
なにかのきっかけで本来の実力を発揮できた事例もありますから、朝井も栂野も新天地での活躍を願っています。
さて、ヤフードームでのオールスター第一戦を観に行きました。
テレビ観戦した友人からは、つまらない試合と評されましたが、現地は大盛り上がりでした。
レフトスタンドでセントラルを応援していましたが、いろんなチームのファンがいろんなチームの応援をする様子にまず感動。
スクワット応援やら六甲おろしやら、試合終了後、全チームの応援歌とチャンステーマをみんなで合唱。
交流戦でその存在がおびやかされるオールスターですが、ならではの楽しみは交流戦では感じられませんよ。
投稿: にしたく | 2010年7月27日 (火) 14時12分
栂野はモで頑張ってほしいです。時々イースタンでは見違えるような投球をするのですが、なぜ一軍でだめだったのか、よくわかりません。イーグルスのコーチが素質を上手く引き出してくれるのを期待したいです。それにしても、ご指摘の福田、野間口、金刃が順当に伸びていれば今頃ジャイアンツは投手王国なのに、と思います。
笠原はあまり見ていないので何とも言えませんが、奪三振が少ない印象があるので、まだ一軍のレベルではないのかなと思います。
投稿: 長緯 | 2010年7月27日 (火) 01時37分