中村勝に続け!とファームの試合を観に行ったが
普段は一軍の本拠地、西武ドームの隣にある西武第二球場でホームゲームを行うライオンズのファームが10日から三日間、対ファイターズ三連戦を西武ドームで開催した。10日は12時試合開始のデーゲームだったが11、12と17時開始のナイトゲーム。今季は春先の教育リーグを天候不良と、話題の雄星登板もあって西武ドームで開催したことがあったが、イースタンの公式戦に西武ドームを使用するのはこの三連戦以外では3月に二試合、4月に一試合あっただけだ。
「ファームの試合といえども、有料で開催すべき」という持論の敗戦処理。にとって第二球場なら無料で観戦出来るのに西武ドームで行うばかりに有料になってしまうのはいっこうに構わないのだが、残念ながら有料で行うに値する受け入れ体制を西武ドームがとっていたとは個人的には思えなかった。
当日券売り場で席割を聞き、せっかくだからフィールドビューシートで観ようと思ったらライオンズ側しか発売していないというので断念。それ以外はすべて自由席という扱い。
ファイターズは一塁側だから、一塁、ライト側入り口から入ろうとしたら入り口は三塁、レフト側入り口しか開けていない。ファイターズファンはレフト、三塁側をひたすら歩き、ネット裏を越えて一塁側(それも通常のベンチサイドシートとサテライトテラスのみ開放)に行かなければならない。しかもその間、売店は全て閉まっている。特に飲食物を持ち込まなかった敗戦処理。は三時間飲まず食わずかと焦ったが、辛うじて三塁側L’sダイニングの売店のみ営業していたので買い出しを試みた。しかし、な、何と、開場して20分も過ぎているのにフライ類の揚げ物がまだ用意されていないのだ。「あと10分から20分したら始めますので、その頃もう一度お越し下さい」と言われて呆れた。自分たちの商売の機会を損失するだけでなく、快適にお客さんに観戦していただこうという発想が無いのだろうか?
開放するスタンドのブロックを制限するのは清掃などの負荷を軽減するので理解出来るが、売店の営業を最小限にされてしまった結果、ビジターゾーンで観戦するファンは一々三塁側まで回らなければならない。借り物の球場ならともかく、自前の球場で1,000円もの入場料(フィールドビューシートは2,000円)を取る神経が理解出来ない。球場清掃代?ライオンズ側はどうか知らないが、ファイターズ側は応援団長が試合後にスタンドのゴミをまとめて回収しているぞ。これなら第二球場で無料で試合をしてもらった方がいい。
それでもライオンズファンの皆さんにとって、フィールドビューシートでの格好の観戦機会なのだろう。多くのファンがプラス1,000円払って観戦されていた。
一方販売されなかった一塁側のフィールドビューシートはというと、
などと試合前からイライラしてしまっていたが、ほぼ同時間帯で行われる地元の千葉マリンではなく、埼玉県所沢まで足を運ぶ鎌ヶ谷でよく見かける人たちが大勢いたので何となくほっとしての観戦となった。
ファイターズの先発は増井浩俊。中村勝と同じルーキーだが、こちらは静岡高、駒澤大、東芝を経て入団した26歳。もちろん既に一軍で勝利投手にもなっているが故障で登録抹消。再度の一軍入りを目指し、ようやくイースタンで投げ始めたところだ。二度のリリーフ登板を経て復帰後初先発。「中村勝に続け」というカテゴリーとは異なるかもしれないが、一軍で先発投手の頭数が不足していることを考えると、早く復調して欲しいものだ。
しかし増井は一回裏に先頭の大崎雄太朗に右中間三塁打を浴びると、続く斉藤彰吾にセンター前に運ばれてあっさりと先制点献上。前日の中村の再現とはならなかった。
増井はその後、立ち直りを見せたが四回に2点を追加された。1イニングに安打を4本浴びて2失点するのだが阿部真宏、G.G.佐藤、黒瀬春樹、野田浩輔に浴びた安打全てがゴロで内野手の間を抜いていくものだった。これが相撲で言う「相撲に勝って勝負に負けた」という部類のもの(内容的には増井が打ち取っているが結果的に安打にされている)のかどうかは素人の敗戦処理。には判断できない。ただ初回の短長打を除けばフライになった打球はすべて野手の守備範囲に飛んでいたので力負けはしてはいないように思えた。
増井は5イニング投げてすべて自責点の3失点。
ライオンズの先発は二年目のサウスポー、中崎雄太。背番号21をもらっていることからも期待の大きさが分かるが、雄星の一年前のドラフト1位で同じく高校卒入団。ライオンズファンの知人によると「雄星の入団で一番刺激を受けている」そうだ。初めて観たがホークスの和田毅と若干似たようなフォームから丁寧に投げ分けるイメージだった。こちらも増井と同じ5イニングを投げたが四回表の関口雄大の安打1本に抑えた。もっとも最後の五回表には二死から死球に四球とバテバテだった感じだ。
五回が終了し、マスコットのレオがパフォーマンスをした後、六回表のファイターズの攻撃開始と共にライオンズは二番手にアレックス・グラマンを投入。
左肩関節胞断裂で昨年一年間を棒に振っただけでなく、今季も登板できるようにはなったもののファームでの調整登板では一進一退という感じらしい。「らしい」と書くのは実際に敗戦処理。が観ていないから伝聞調にしているのだが、この試合を観て実感した。
先頭の村田和哉がワンバウンドでショートの定位置まで跳ね上がる内野安打で出ると、続く関口はセンター前のポテンヒット。杉谷拳士がバントで送った後、尾崎匡哉が歩いて一死満塁。鵜久森淳志の遊ゴロ併殺崩れで1点を返した後、佐藤賢治が一、二塁間を破り1点差。続く岩舘学も二遊間を破り同点とした。
しかし二死一、二塁という状況での岩舘の安打で、二塁から生還した鵜久森ではなくライオンズは逆転の走者となる佐藤を三塁で刺そうとした。佐藤は間一髪アウトになった。鵜久森のホームインよりやや後だったので事なきを得たが、もしも佐藤が先と判断されたら鵜久森のホームインが無効になる。佐藤は確実にセーフになる自信があれば全力疾走すべきだが、危ないと判断したらスピードを緩め、アウトになるにしても時間を稼ぐべきだ。三塁コーチの三木肇がどのような指示だったか確認できなかったが、つなぐ野球をするファイターズでは看過されない走塁だったと思う。
そしてライオンズ側から観ると、バックの好返球でファイターズの攻撃を終えたとはいえ、グラマンが痛打を浴びるのは頭が痛いところだろう。シーズン前にいわば保険の意味も兼ねて獲得をしたブライアン・シコースキーが絶対的守護神として君臨しているからいいものの…。
3対3の同点に追いついたファイターズだが、その裏、試合を決められてしまった。
六回裏、二番手には宮本賢。G.G.佐藤が放った二遊間後方の小飛球は杉谷も岩舘も捕れずに内野安打。続く坂田遼の高く上がったレフトフェンス際のフライをレフトの大平成一が落球。無死二、三塁とあっという間にピンチ。宮本は動揺したのか、続く黒瀬に死球で無死満塁。野田には四球で押し出し、ライオンズに勝ち越し点が入った。さらに無死満塁から代打の松坂健太がセンターオーバーの本塁打を放つ。グランドスラムで一気に3対8。冒頭の画像はグランドスラム被弾後のマウンド上の宮本だ。
ファイターズも直後の七回表にライオンズの三番手・松永浩典を攻めて二安打と四球で無死満塁と攻め立てるが一死後に杉谷の右前打で1点を返したのみで、四番手の上原厚治郎の前に三、四番の尾崎、鵜久森が倒れて1点止まり。
ファイターズは八回表にもライオンズ五番手の星野智樹から先頭の佐藤が死球で出ると、岩舘がライト線二塁打を放ち、中継プレーでライトの斉藤の返球をセカンドの大崎がお手玉する間に佐藤が生還して5対8としたが、なおも続く無死二塁で大平、渡部龍一、村田が星野に翻弄されてさらなる反撃がならなかった。
タイムリーエラーのシーンはライトの斉藤からカットマンの大崎への返球が既にワンバウンドしていて、大崎がもたついたので記録上は斉藤に失策が付いたようだが、中継プレーで無理をせずにワンバウンドの送球をするのは普通にあることなので、大崎も内野挑戦中で不慣れというのはあろうが、ショートバウンドでもない普通の送球でまごついたのは残念。
試合はそのままライオンズに5対8で敗れた。
【12日・西武ドーム】
F 000 003 110 =5
L 100 205 00× =8
F)増井、●宮本、植村、須永-渡部
L)中崎、○グラマン、松永、上原、星野、S谷中-岳野、吉見
本塁打)松坂2号満塁(宮本・6回)=代打
この日の観戦で、たまたま敗戦処理。の隣で観戦されていた方はファイターズの市川卓の高校時代の先輩に当たる方だった。後輩の姿が気になり、この日の朝、三重から来られたという。市川はいわゆる自打球で負傷しており、イニング間のキャッチボールで姿を現した程度だったが、上記のようにライオンズが次から次へと左投手ばかり出すので「どっちみち出られないね」と苦笑されていた。戸田にも行こうかと言われていたが…。
市川が三重県の菰野高校の出身だということは敗戦処理。の頭にも入っていたが、とっさに「菰野」の読み方が思い出せず、「こもの」だろうとは思ったがもし間違えていたら失礼だと思うと別れるまで言い出せなかった<苦笑>。高校二年時にはあまりにも相手から勝負を避けられるので打順を四番でなく一番にしたエピソードなどを優しく教えて下さった方なので読み間違えても怒り出しはしないと思えたが。
市川はチームではダルビッシュ有と鵜久森淳志と同期で同学年。ファームではルーキーイヤーから積極的に起用され、四年目の2008年にはイースタンの首位打者にも輝いたが…。市川の先輩は後輩の今後を非常に心配されていたが、バックに足を引っ張られる不運もあったが1イニングでアウト一つ取る前に5失点(自責点4)してしまう希望枠入団四年目の宮本も危機感を持って欲しいし、「ダルビッシュ以後の若手が出てこない」と囁かれる中でダルビッシュの一年前のドラフト1位の須永英輝も、フォームを変えての今の取り組みがラストチャンスだと思って欲しい。
一方でライオンズもグラマンはいつまで調整登板なんだ!というツッコミが飛んだが、一時はイースタンでは反則だろう!というくらい打ちまくっていたG.G.佐藤も中村剛也不在の折にファームに定住しているのも不思議だし、銀仁朗の長期離脱で慌ててスワローズから米野智人をトレードで獲得するほどなのに野田がファームで一塁を守っていたり、ハタから見て不自然に思える点が少なくなかった。贔屓チームでなく頻繁にウオッチしている訳でもないのでファンの方からすれば見当違いかもしれないが、少なくとも敗戦処理。にはそう思えた。
中村に続け!-同じ高校卒ルーキーの運天ジョン・クレイトンあたりには相当な発憤材料になっているだろうが、この観戦では負け試合ということもあり、むしろ「頑張らないと後が…」という人の方が目立った感じだった。
8月のお盆休みのこの時期から学校が夏休みの今月末くらいまで多くの球団のファームで選手の置かれる立場が二極化されるという。観戦する側としてはあまりそういうスタンスでは観たくないものだが、どうしてもネガティブに観てしまうのも避けられないのが本音だ。
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