「埼玉のダル」中村勝、見事プロ初登板初勝利を果たす!!
正直に言うと、中村勝が投げるのを生で観るのは一、二軍通じて今日が初めてなのだ。鎌ヶ谷では何故かすれ違いだった。ただ1月17日に行われた新人選手交流会で観た中村勝に敗戦処理。は「埼玉のダル」という異名が付くのも納得できた。 「○○のイチロー」が韓国のやら台湾のやら、我がチームにも「浜松のイチロー」なんてのもいたが、「薩摩のイチロー」以外スカばかりだったように思う。なかには「検察審議会の…」以下自粛 何はともあれ中村勝はマウンドに上がった。背中から風速8mの風を受け、公式戦初めての一球を投じた。 中村は三回裏に西岡と井口の二塁打で1点を与えてしまい、さらに連続四球で二死満塁とピンチを拡げるがサブローを二飛に打ち取り最少失点にとどめる。 すると直後の四回表、守備では風で目測を誤る失策をした紺田が打撃では風に味方されるポテン二塁打で一死からチャンスを作る。中田翔が良く選んで四球。一死一、二塁のチャンス。 そろそろ花火が気になる五回表。先頭の稲葉篤紀がライト前に運んで出塁し、続く小谷野栄一が左中間を破って稲葉が一気に生還し、3対1。ただバックホームの間に三塁を狙った小谷野が挟殺されてしまう。それでも二死から紺田がセンター前に運ぶと、中田翔の第三打席。 初本塁打から11試合で8本塁打と驚異的なハイペースで本塁打を量産する中田だが、8本中、7本までを第三打席に放っている「ミスター第三打席」。残る1本も第三打席の後の二打席連続本塁打という徹底ぶりだ。 そして援護点をもらった中村は逆転後の四回裏と五回裏はともに三人で片付ける安定ぶり。4対1で五回を終え、勝利投手の権利を得た。 しかしこの継投が結果的に薄氷を踏むことになる。林は1イニングを無失点で役目を終えたが七回裏に登板した加藤武治が今江、井口に連続タイムリーを浴びて4対3と一点差に迫られる。 育成が巧いと言われるファイターズだがダルビッシュの印象が凄すぎるせいか、実はその後が続いていない。ダルビッシュの一年後輩の木下達生、二年後輩の吉川光夫も早い時期に一軍でプロ入り初勝利を挙げることに成功したがその後伸び悩んでいる。吉川の一つ下の代は中田翔と同期ということになるが三人いた高校卒の投手の内、二人は既にファイターズのユニフォームを着ていない。 早い話、ダルビッシュより年下の選手で一軍の戦力になっている選手がいなかったのだが中田翔のブレークに続き、今日は中村がスタート台に立った感じだ。もちろん次回登板では相手もいろいろと調べてくるだろう。今回はビギナーズラックもあるだろう。躓く時もあるだろう。しかしルーキーイヤーに初登板を初白星で飾るなんて事は容易にできる芸当ではない。特に味方のミスで勃発した初回の無死三塁を三つの三振で無失点に切り抜けるなんて並大抵のことではない。まだまだ先でいいからダルビッシュとの二本柱になって欲しいと思う。そしていずれ「○○の中村」と呼ばれる後輩が出てくるような存在になって欲しいと思うし、焦らなくていいからいつか「俺はあの中村のデビュー初白星の試合を生で観たんだ。」と敗戦処理。が自慢する存在になって欲しい。今日は本当にありがとう。 この通りのルックスである。「埼玉のダル」はダテじゃないことは一目瞭然だ。
(写真:これが本当にプレイボール後の第一球。)マリーンズの一番打者・西岡剛はこの投球を狙い撃つと、右中間に上がった打球を紺田敏正がまさかの大落球。プレイボール一球にして無死三塁のピンチとなった。
これが並のルーキーなら、いや、普通の投手でも神経をすり減らす立ち上がりにバックに足を引っ張られて大量失点になりかねないシーンだが「埼玉のダル」は違った。続く今江敏晃から三振を奪うと、井口資仁にこそ四球を与えたが、キム・テギュン、福浦和也を連続三振に仕留め、このピンチを無失点に切り抜けてしまう。
ここで女房役の鶴岡慎也が初球を一、二塁間を破る同点打。さらに金子誠もレフト前に運んで満塁とし、田中賢介が右犠飛でファイターズが勝ち越し。
マリーンズ先発の渡辺俊介はご存じの通りアンダースロー。素人考えだが中田から観て最も攻略が困難なタイプの投手と思われる。だが渡辺俊、的場直樹のバッテリーも初球はボールから入る警戒ぶり。前の打席では投球を見極められて四球となっているので期待したが、その通りセンターのフェンス直撃のタイムリー三塁打。
8mの逆風がなければ間違いなくフェンスオーバーの打球だったろう。
恒例の花火の後、六回裏からファイターズは林昌範を投入。継投での逃げ切りをはかる。中村が昇り調子だったのでもう1イニングくらい投げるかなと思ったが首脳陣としては初登板と言うことで目に見えない蓄積疲労などもあるだろうと傷が付く前に降板させたのかもしれない。
慌てて建山義紀を送り、キム・テギュンから三振を奪って反撃を断つが、八回の宮西尚生を経て最終回に1点差のままマウンドに上がった武田久が二本の安打で二死一、三塁のピンチを招き、既に二本のタイムリーを放っている井口を迎える大ピンチとなるが、井口の痛烈なラインドライブの打球がレフトの森本稀哲の守備範囲に飛び、辛くも逃げ切った。
そしてその瞬間、中村勝がファイターズでは2005年のダルビッシュ有以来の初登板初先発初勝利を成し遂げた。「埼玉のダル」の異名が単なるキャッチフレーズではないことを実践した第一歩でもある。
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コメント
多摩虫様、コメントをありがとうございました。
> そして、中村には「埼玉のダル」ではなく、「中村勝」として認知されるほどの活躍を、同い年の野球ファンとして期待します。
お腹いっぱいの試合を観ることが出来て、まだ余韻に浸っています。
ただエントリーの最後の方に敢えて固有名詞を挙げましたが、そうした先輩を遠慮無く抜いて欲しいものです。
競争の原理で相乗効果が生まれ、投手陣全体がレベルアップする牽引の一勝になる、といったら期待過剰ですかね。
本当にナイスピッチングでしたね。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年8月12日 (木) 02時51分
確かに「○○のイチロー」は「薩摩のイチロー」(略して「サツロー」だとか)こと川﨑宗則ぐらいしか成功例はいませんね。
さて、中村が高卒1年目にして一軍初勝利を挙げたわけですが、今は二軍にいる「岡山のダル」(手術したそうですが)や「沖縄のダル」にもプロの先輩としての意地を見せてほしいですね。
そして、中村には「埼玉のダル」ではなく、「中村勝」として認知されるほどの活躍を、同い年の野球ファンとして期待します。
投稿: 多摩虫 | 2010年8月12日 (木) 01時01分