「生」観戦した野球場(55)-HARD・OFF ECOスタジアム新潟
いろいろな野球場で日本のプロ野球を観てきました。だからどうしたと言われればそれまでですが。
毎月2日、この「生」観戦した野球場と「敗戦処理。生観戦録- my only one game of each year」のいずれか一方を掲載していますが、今月は今日観戦したばかりのHARD・OFF ECOスタジアム新潟を題材にこちらのコーナーでいきます。試合の観戦記は次のエントリーをお待ちいただくとしてまずは素晴らしいスタジアムの感想を。「敗戦処理。生観戦録- my only one game of each year」は来月に回します。
1974年3月に初めて後楽園球場でプロ野球を生観戦して以来、いろいろな野球場でプロ野球を観てきました。チケット代よりもはるかにかかる交通費をかけて北へ南へ…。社会人になって多少経済的に余裕が出てからは「十二球団の本拠地をすべて回ろう」と考え、それを2000年に達成してからは地方球場、ファームの試合を行う球場を積極的に回りました。そうしてついに50を超えました。
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第55回 HARD・OFF ECOスタジアム新潟 観戦球場ファイル-55-
冒頭の写真は球場を外から見た写真で、右手前がHARD・OFF ECOスタジアム新潟。左奥に写っているのはJリーグのアルビレックス新潟の本拠地、東北電力ビッグスワンスタジアムだ。文字通り目と鼻の先である。今日ももしもアルビレックスの試合が同時開催されていたらもっと大勢の人の賑わいだったろうが、アルビレックスはアウェイだったようだ(余談だがJR新潟駅南口の広場でパブリックビューイング的に試合の中継がなされて人垣が出来ていた)。 JR新潟駅南口のバスターミナルからバスで10分程度。通常の路線バスも走っているようで、当初敗戦処理。もスタジアム近くの「スポーツ公園前」に停まる曽野木ニュータウン行きを待って1番乗り場で待っていたが臨時の直通バスがあると案内され、直通バスに乗り込んだ。ファーム日本選手権は地方球場で開催されることが多く、敗戦処理。は五回目の観戦だが過去にこの大会で長野オリンピックスタジアム、サンマリンスタジアム宮崎、富山アルペンスタジアムを堪能した。 入り口で手荷物検査が行われたのは大きな試合だからなのかもしれないが、ペットボトルを持ち込みは出来てもキャップを外して欲しいという様に係員が客に願い出ていた。球場内でのゴミの分別の徹底などは今ではいくつかの球場で本格的に取り入れているが名前にECOと謳っている割には「これは!」と唸らされる程のものはなかった。もちろん今日一回来ただけの感想で、実際には目に見えぬところや気付きにくいところに随所にエコの発想が活かされているのであろうが。 正式名称は「新潟県立野球場」。ブックオフなどを展開するリユース業のハードオフ社がネーミングライツを獲得してこの呼称が定着している。もっとも今年のオールスターゲームで使用されたスタジアムなので多くの野球ファンは仮に行ったことが無くてもこのくらいの情報は仕入れ済であろうが。 しかしネーミングライツという点では「ブックオフエコスタジアム新潟」でないのは何故か?という疑問が残る。これに関しては諸説あるが、新潟県に県立でプロ野球球団を招致するほどの規模の新球場を設立するに当たり、新潟市出身の漫画家、水島新司が水面下でいろいろとアドバイザー的に協力したそうで、球場の名称にも自作の「ドカベン」を名称の一部に加えさせたい旨で地元の有力政治家を巻き込んでロビー活動をしていたそうだが、財政面を考慮し、ネーミングライツ購入者を募集することになった。ネーミングライツを取得したハードオフ社が展開するブックオフは一度市場に出た書物を購入者などから買い取って再販売するため、書物の著作権者らに報酬が一切支払われず、出版社や作家から目の敵にされている業界であり、水島氏の尽力に報いるために、ネーミングライツは与えるにしてもブックオフの使用を避けてもらいたい球場側の意向と、ブックオフに比べてまだ知名度が今ひとつのハードオフを冠に付けることでイメージアップを目論む権利者の意向がマッチしたとの説を敗戦処理。は有力視している。 ただ残念なのはエコと謳っているのに、ラッキーセブンにジェット風船飛ばしを認めていたことだ。 これだけ素晴らしい器が出来ると、お隣のビッグスワンのように地域に密着した常打ちの使い手を求めたくなるのは自明の理だろう。ここ数日の間に急浮上した横浜ベイスターズの身売り報道で名前の挙がっている企業グループの一つは本拠地の新潟移転を視野に入れているという説がまことしやかに報じられている。 確かに、駅からバスに乗らなければならないというのはあるが、新幹線の駅が最寄り駅というホームスタジアムは他にカープのマツダスタジアムくらいだ。これは遠方からの来客には好都合だ。もちろん地元の人達にも。東京ドームは東京駅のそばにあるのではないし、大阪ドームも新大阪駅が最寄り駅ではない。もちろん福岡ドームも札幌ドームも…。 今年はオールスターゲームとファーム日本選手権に使用されたが、地方のキャパシティのあるスタジアムで行うフレッシュオールスターゲームを含め、サンマリンスタジアムや坊っちゃんスタジアム、さらには沖縄にも大規模なスタジアムが出来ていることを考えても継続受注は困難でそれなら球団を招致という発想になるのは自明の理だ。余談だが独立リーグのBCリーグに所属して新潟県に本拠地を置く新潟アルビレックス・ベースボールクラブがこのスタジアムを本拠地としているように思われがちだが、同クラブは三条市の三条市民球場(三條機械スタジアム)と長岡市悠久山野球場をメインにしている。 この問題はあまりにセンセーショナルなので当連載の趣旨からは離れているのでこれ以上は拡げないが、日本にまた一つ、それほどの規模のスタジアムが出来たと言うことは確かなようだ。 それでは本日の、大熱戦だったファーム日本選手権の観戦記をあまり期待せず首を長くしてお待ち下さい。 日付が変わるかもしれないが…。 球場は内外野人工芝でナイトゲーム設備あり。両翼が100mで中堅が122m。ブルペンが一、三塁のファウルゾーンのスタンドをえぐるような位置にあって投球練習が見えるのが楽しい。観客収容数は30,000人だそうだ。
もはや完全に定着した定番アトラクションであるとはいえ、多数のゴミを飛び散らかす非エコの行為であることに変わりはない。また昨年のようにインフルエンザ渦の際には非衛生的であるとして多くのスタジアムで使用自粛を求められた行為なのである。新しいスタジアムであるからこそ、既存の習慣であっても非エコなるものにはメスを入れて欲しいと思うのだが。2005年に新規参入球団であるゴールデンイーグルスの本拠地となったフルキャストスタジアム宮城(現.クリネックススタジアム宮城)はプロ野球チームの本拠地でありながら鳴り物応援を禁止している。応援団らの根強い反対を受けながらも、頑なにそのスタンスを貫いているのである。つまりは最初の立ち位置が肝心なのである。
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コメント
長緯様、コメントをありがとうございました。
> 今日(2012.4.15)ベイスターズ×ジャイアンツ戦で、初めてこの球場を訪れました。
さっそくの生観戦、お疲れ様でした。
> 地方はいわゆる「車社会」で公共交通を使い慣れていない観戦者も多く来場すると思いますが、バスを利用する人のための十分なバスプール、それに新潟駅にもシャトルバスのための十分なスペースが確保され、バス利用でしたが往復とも時間待ちのストレスがほとんどありませんでした。新潟駅からはやや距離があり歩くのは無理ですが、これならアクセスは十分と思います。
贅沢すぎるくらい広大なスペースが確保されていますね。
> プロ球団をいつでも誘致できる施設と思いますが、実際的には年に何試合か1軍の公式戦を呼ぶといった状態が続くのでしょう。私事ですが新潟に2、3年住むことになりそうなのでBCリーグの試合もあわせ、なんどか足を運びたいと思います。
ご一緒させていただく機会が激減してしまうかと思いますが、また機会がありましたらよろしくお願いいたします。
投稿: 敗戦処理。 | 2012年4月16日 (月) 00時35分
今日(2012.4.15)ベイスターズ×ジャイアンツ戦で、初めてこの球場を訪れました。地方はいわゆる「車社会」で公共交通を使い慣れていない観戦者も多く来場すると思いますが、バスを利用する人のための十分なバスプール、それに新潟駅にもシャトルバスのための十分なスペースが確保され、バス利用でしたが往復とも時間待ちのストレスがほとんどありませんでした。新潟駅からはやや距離があり歩くのは無理ですが、これならアクセスは十分と思います。
車利用でも広大な駐車場があるので、この日のように有料制ならば公共交通利用者とのすみ分けもできて問題ないと思います。
プロ球団をいつでも誘致できる施設と思いますが、実際的には年に何試合か1軍の公式戦を呼ぶといった状態が続くのでしょう。私事ですが新潟に2、3年住むことになりそうなのでBCリーグの試合もあわせ、なんどか足を運びたいと思います。
投稿: 長緯 | 2012年4月15日 (日) 23時26分