もう永久欠番になる選手は出ないのか?
13日、ドラゴンズの新人選手の入団発表が行われ、ドラフト2位指名の吉川大幾の「背番号3」のユニフォーム姿も披露された。ドラゴンズの背番号3といえば1988年から昨年まで22年間ドラゴンズ一筋でプレーした立浪和義がルーキーイヤーからずっと背負い続けた番号。その功績を考えれば永久欠番になってもおかしくないくらいだ。
立浪の「背番号3」は昨年の現役引退時に永久欠番にならなかった。森野将彦が引き継ぐという話も出たが本人が固持。今年一年間は空き番になった。
PL学園の後輩でもある吉川にはプレッシャーをはねのけて頑張ってもらいたいが、立浪でも永久欠番にならないようでは今後日本のプロ野球界で永久欠番は出ないのだろうか?
(写真:「背番号3」をつけてドラゴンズ一筋で22年間プレーした立浪和義。2009年4月撮影)
日本のプロ野球で永久欠番として讃えられている選手は下記の通り。
王貞治=ジャイアンツ・背番号1
長嶋茂雄=ジャイアンツ・背番号3
黒沢俊夫=ジャイアンツ・背番号4
沢村栄治=ジャイアンツ・背番号14
川上哲治=ジャイアンツ・背番号16
金田正一=ジャイアンツ・背番号34
藤村富美男=タイガース・背番号10
村山実=タイガース・背番号11
吉田義男=タイガース・背番号23
服部受弘=ドラゴンズ・背番号10
西沢道夫=ドラゴンズ・背番号15
衣笠祥雄=カープ・背番号3
山本浩二=カープ・背番号8
鈴木啓示=旧バファローズ・背番号1
マリーンズの26、ゴールデンイーグルスの10は特定の選手の背番号として欠番になった訳ではないので除く。また鈴木啓示の背番号1は旧近鉄バファローズにおいて永久欠番と制定されたがその後のオリックス・ブルーウェーブとの合併で出来たオリックス・バファローズが誕生した際に鈴木本人の了承を得て後藤光尊が背番号1をつけたので除外されるケースもあるが、近鉄バファローズの背番号1が永久欠番であることに変わりはないという解釈の元、敗戦処理。は列記する立場を取っている。
王貞治がジャイアンツで現役時代のみならずその後の助監督、監督時代にも背番号1をつけ続けていたので、王の背番号1が永久欠番になったのは監督を退任してから。そしてその王を最後に永久欠番は出ていないことになる。
立浪の前に永久欠番になるか期待されたスワローズの古田敦也の「背番号27」は球団預かりのような形で、今のところ古田以後、誰も「背番号27」を付けていないが、永久に欠番にするとされてはいない。
上記の永久欠番一覧がセ・リーグのチームに偏っているのはパ・リーグで身売りが繰り返された悲劇と無関係ではないだろう。セに偏っていると言っても身売りを経ていない四球団に集中していることからもうかがわれる。チームが長く安定し、過去や歴史をリスペクト出来る環境が整っていて初めて、選手の功績に永久欠番という形で讃えて報いようという発想になるのだろう。
その意味ではセ・リーグの老舗三球団の一つであるドラゴンズで偉大な業績を残した立浪の永久欠番が実現しなかったのは残念でならない。そうなると、タイガースの金本知憲がいずれ現役を引退した時に「背番号6」が永久欠番にならなかったら、しばらく永久欠番は出ないだろう。有力選手の海外流出の傾向もそれに拍車をかけることになる。
逆にアメリカ流出後、欠番のままであるイチローが付けていたバファローズの「背番号51」がイチローの現役引退後に永久欠番になる可能性が最も現実味のある永久欠番かもしれない。
但しこの球団は本人の了承を取ったとは言え、「バファローズ」と名乗る以上は本来なら永久である欠番を続けるべきである「背番号1」を平気で後藤に付けさせるような球団だから、イチロー引退後も単に空き番であり続ける状態にし続けるかもしれない。そもそも阪急から買った際にもごく短期間で「ブレーブス」の名前を捨ててしまい、今もまさにその流れを汲んだユニフォームを一新し、愛され親しまれたマスコットまでリストラしてしまう風土の持ち主だ。野球ファンの琴線に触れるようなことを期待しない方が(失望しないだけ)無難かもしれない。
最後に大穴として、今年10月に亡くなられた大沢啓二さんがファイターズの監督時代に背負っていた「背番号86」を永久欠番にという声が再燃する可能性に期待しておきたい。
来年1月に発表になる野球殿堂入りを大沢啓二さんが果たした時に、一度は見送られた永久欠番という話が再燃するのではないか。どのみちファイターズにおいて、後にも先にも「背番号86」は大沢さんしかいないのだ。
東京ドームに野球観戦に行くと、外野席の柱にジャイアンツで永久欠番になった選手のユニフォームと背番が掲示されていて、身が引き締まる思いがする。永久欠番が永久に出ないようではシャレにならない。安売りはごめんだが、平成になってから誰も出ていないというのは異常だと言わざるを得まい。
P.S.
今回漏れがあってはならないと、ネットでいろいろと検索を試みた。中には特定選手の引退後数年空き番になったものを「一時的に永久欠番としていた」などと記録しているものもあるが、それらは「永久」欠番ではない。また、初期のパ・リーグにおいて球団身売りによって欠番が解除された事例を挙げているものも見られたが、それらの番号が永久欠番と認定されたのか確認取れなかったので除外した。
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コメント
ばくにうくれ男様、コメントをありがとうございます。
ご指摘ありがとうございます。
> 「琴線に触れる」の使い方が間違っています
琴線に触れる=「感銘や深い共感を感じること。」という意味で用いました。
‘野球ファンの感銘や深い教官を感じることを期待しない方が(失望しないだけ)無難かもしれない。’
と読み替えても意味を損ねないと思って書きました。
おかしくはないように思えますが…
投稿: 敗戦処理。 | 2015年8月 7日 (金) 01時30分
「琴線に触れる」の使い方が間違っています
投稿: ばくにうくれ男 | 2015年8月 6日 (木) 06時01分
にしたく様、お久しぶりです。
コメントをありがとうございました。
> 千葉ロッテの26と東北楽天の10は、ファンの為の背番号として準永久欠番だそうですが、粋でいいですね。
よく言われることですが、パ・リーグはDHを含めると10人なので、どうせなら11を欠番にして欲しかったです。
また、千葉ロッテの26番は別の意味でも欠番にせざるを得なかったようで…(以下自粛)
> ホークスでは、あぶさんこと景浦安武の「90」は選手監督コーチ含め誰も着けたことがなく、準永久欠番となっています。
大沢啓二さんが野球殿堂入りしたらファイターズで既にずっと欠番になっている「背番号86」を永久欠番に…と書きましたが、水島新司氏が野球殿堂入りを果たしたら、ホークスの「背番号90」を永久欠番にして欲しいです。
> 背番号が紡ぎ出すストーリーはファン心理をくすぶります。
よほどのことがない限り、永久欠番制定には慎重であるべきです。
と、「ベースボールマガジン5月号~心をつなぐ背番号」を読みながら考えました。
確かに制定は慎重にすべきだとは思いますが、昨今は慎重過ぎではないかと。
偉大な足跡を遺した選手に報いる意味で「永久欠番」という栄誉を与えることは意義のあることだと思いますし、一方で にしたく さんが挙げられたスワローズの「背番号1」とか、ドラゴンズの「背番号20」のようにチームごとに、選ばれし者しか付けることが出来ない特別な背番号があるのも素晴らしいことと思います。
* 歌舞伎で言えば「海老蔵」とか「団十郎」のような…
投稿: 敗戦処理。 | 2010年12月15日 (水) 23時45分
多摩虫様、コメントをありがとうございました。
> 個人的にはホークスの「背番号15」がそろそろ認定されることを願っていますが。
藤井投手ですね。
藤井投手のような形での「永久欠番」があっても、もちろんそれはそれで尊いと思います。
制定するならもっと早く制定して欲しいですが。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年12月15日 (水) 23時25分
千葉ロッテの26と東北楽天の10は、ファンの為の背番号として準永久欠番だそうですが、粋でいいですね。
多摩虫さんが書かれていますが、ホークスの15を永久欠番にして、ソフトバンクからの新規ファンに歴史を知ってもらうことも必要だと思います。
ホークスでは、あぶさんこと景浦安武の「90」は選手監督コーチ含め誰も着けたことがなく、準永久欠番となっています。
杉内が工藤のようなエースに、青木が若松さんのようなアベレージヒッターに、前田健太は佐々岡のようなカープのエースにそれぞれ育ちました。
背番号が紡ぎ出すストーリーはファン心理をくすぶります。
よほどのことがない限り、永久欠番制定には慎重であるべきです。
と、「ベースボールマガジン5月号~心をつなぐ背番号」を読みながら考えました。
投稿: にしたく | 2010年12月15日 (水) 23時21分
「永久」という言葉によって重みを無駄に増してしまっているような気もしますね。個人的にはホークスの「背番号15」がそろそろ認定されることを願っていますが。
投稿: 多摩虫 | 2010年12月15日 (水) 21時53分