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2010年12月17日 (金)

多田野数人、結局ファイターズと再契約

Adsc_0228 ファイターズから戦力外通告を受け、トライアウトを受験するなど現役続行を目指していた多田野数人が結局ファイターズと再契約することになった。

現役続行を希望していた選手がそれが叶うようになり、しかも元の球団だからファンもそのまま応援出来る。丸く収まったような話だが…

(写真:今季のイースタン最後の鎌ヶ谷での試合後にファンとのキャッチボールに興じた多田野数人。2010年9月撮影)

ファイターズでは2006年のオフに、一度戦力外通告を受けた坪井智哉が再びファイターズと再契約した事例がある。坪井は今オフ、二度目の戦力外通告を受けてまだ進路が確定していないようだが、再契約後の四年間、貴重な戦力として二度のリーグ優勝にも貢献した。来季の多田野にもぜひ、冒頭の写真のようにファームのユニフォームを着るのではなく、一軍で戦力になって欲しい。

四年前の坪井といい、今回の多田野といい、いわばハッピーエンドで丸く収まったように思える話だが、これらのケースが前例となり、ボーダーライン上の選手がたやすく自由契約になるパターンが増えるようなことには繋がらないで欲しい。

現状、シーズン終盤に各球団は翌シーズンに契約する意思のない選手に対し、戦力外通告を行う。これらは通常マスコミを通して我々ファンにも周知される。ただファンの中にもたまに勘違いしている人がいるが、戦力外通告=自由契約ではないし、戦力外通告は公示ではない。

野球協約では、球団と選手の契約は原則11月末まで。球団は翌年も契約する意思のある選手(その時点で契約更改を済ませているか否かを問わない)11月末に保留選手として連盟に提出し、これに漏れた選手が自動的に自由契約選手として公示される。即ち戦力外通告を受けた時点では野球協約上の立場に何ら変化はなく、強いて例えるならおおっぴらな解雇の内示というところだろうか。ただ戦力外通告の時期(球団がクライマックスシリーズに出場するか否か、クライマックスシリーズに出場しても、日本シリーズに進出するか否かで時期が異なる)の目安を定めているため、仮に保留選手名簿の提出前の時期であっても、契約交渉の席を設けた選手に対してはその契約更改においてクビ=自由契約を通告することは出来ないようになっている。球団は一定の時期にのみ、球団の都合で選手を解雇出来ることになる。

 

今回多田野とファイターズの間ではチームがクライマックスシリーズ進出を逃した、公式戦終了の時期に話し合いが持たれ、ファイターズの多田野に対する評価が低いことと、本人は現役続行にこだわっていることから自由契約とし、他球団と多田野が(トライアウト実施日以降に)交渉しやすいように多田野を戦力外にしたと公表したそうだ。

多田野はトライアウトを受け、報道ではホークスが育成選手としての契約を検討しているとか、かつて立教大学四年時に自由獲得枠での獲得の意向を示したベイスターズが獲得を検討しているなどの話が出たが、結局進展しなかったようだ。

今日の報道によると、多田野の来季のファイターズとの契約は推定で年俸が800万円でこれに出来高払いが加わるようだ(以下年俸はすべて推定)。ということは戦力外通告の時点で、球団の多田野に対する査定は年俸800万円ということだったのかもしれない。だが、これは野球協約に定める減額制限(年俸3500万円であれば、1億円未満なので25)を超える減額に当たるので建前は強要出来ない。多田野に自由契約という選択肢を与えたと言うことなのだろう。

多田野にしても、年俸3500万円の選手が一軍で2試合しか登板出来なかったのである。入団三年目とはいえ、既に30歳。大リーグ経験を踏まえ、一年目から年俸3000万円をもらっていた選手だ。強気に出られないことはわかっていただろう。たださすがに大幅な減額と言うことであればトライアウトでアピールして他球団の評価を聞いてみたいと思っても不思議ではない。

ただ、このようなケースが広い範囲の選手に適用されたら誰でも多田野のように(元の球団でなくても)新たな契約を勝ち取れるかという問題はある。

減額制限を超える大幅ダウンを提示し、ダメなら契約しないよというのは、まず戦力外通告の時期にしか認められるべきではない。戦力外通告をしない選手に対してはトレードなどの場合を除き、球団はその選手と契約を結ぶ意思があるということだから、基本的には減額制限の範囲で契約更改交渉をするべきなのである。ただ野球協約でも選手が合意した場合ならば、減額制限を超えた減額が有効になるのもまた事実である。今日のスポーツ紙にもジャイアンツの谷佳知が一度保留した、年俸2億4000万円から約45%に当たる11000万円ダウンの13000万円でサインしたとの報道がある。谷は頑なに拒めば、ダウン幅を40%以内にすることも出来たはずだが、そこまではしなかった。

また、1996年オフの旧バファローズの石井浩郎のように、シーズンを故障で棒に振ったとはいえ、減額制限を超えるダウンを強要され、なかなか折り合いがつかず、結局石井がトレードを志願して球団がそれに応じるというケースもあった。そこまでこじれるのであれば、もっと早い時期(各球団の編成がまだ定まらない時期)に自由契約という選択肢を含めた話し合いをするべきとも思えるが、昨今のトライアウトで契約が成立する確率が1割台ということを考えると、ひとたび自由契約という形で無所属になるという選択は誰しもが得られる手ではない。

球団としては活躍した選手には給料アップで報いたいが、活躍しなかった選手の給料を下げたくても減額制限という壁がある。ただ合意すれば減額制限を超えても有効な訳だから、巧妙に解雇などをちらつかせ、減額制限を有名無実化することは可能なのである。暴論を承知で言うが、これを多くの球団が共通の認識で行えば、減額制限を超える大幅ダウンの選手が続出し、自由契約の形を取って他球団との条件比較を可能にしても、他球団も低評価で獲得するという形が可能になってしまうのである。

多田野とファイターズの間には、そのような陰湿な空気があったとは思いたくない。ただ性悪説で考えれば、決して起こりえないことではない。何しろ機構、球団側は長いこと選手本人以外の代理人交渉を頑なに拒み続けてきたのである。

選手も賢くなることが求められるし、単に本塁打を何本打ったから、打率が三割だったからではなく、また投手なら何勝挙げたからとか、セーブがいくつとか、防御率がいくらだからというだけでなく、そうしたプレーに対してファンがお金を直接または間接的に落としてくれて初めて球団に財源が出来るということも考えてプレーし、なおかつ理論武装してほしいのだ。

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