西岡剛の正直しんどい
敗戦処理。が西岡に危惧する点があるというのは、今季の成績である。
公式戦成績は144試合、打率.346、11本塁打、59打点。本当に申し分ない。
逆に申し分なさ過ぎるのだ。
西岡は今季、全試合に出場しただけでなく、全イニングに出場した。つまりマリーンズの試合中、スコアボードから西岡の名前が消えたことは1イニングたりとも無い。これは本当に素晴らしい。特にマリーンズの本拠地、千葉マリンスタジアムを始め、人工芝のスタジアムが圧倒的に多い時代に、内野手で最も肉体的負荷が多いといわれる遊撃手での達成は賞賛に値する。今年の西岡はこのポジションを一人で守りきった。おまけに下克上と話題になったクライマックスシリーズ、ファーストステージ2試合、ファイナルステージ6試合、日本シリーズ7試合、このポストシーズンゲーム15試合もフルイニング出場だ。
だが、この反動が怖いのだ。
今世紀に入った2001年以降、公式戦で年間全試合フルイニング出場を記録した内野手はその翌年に好成績が維持出来なかったり、著しくダウンするケースが目立つ。
2001年以降、内野手で全試合フルイニング出場を果たした選手を列記し、該当年度と翌年の成績を比較する。
岩村明憲
2002年 140試合163安打、打率.320、23本塁打、71打点
2003年 60試合 61安打、打率.263、12本塁打、35打点
中島裕之
2004年 133試合 144安打、打率.287、27本塁打、90打点
2005年 118試合 111安打、打率.274、11本塁打、60打点
石井琢朗
2005年 146試合 156安打、打率.255、8本塁打、40打点
2006年 146試合 174安打、打率.288、6本塁打、32打点
2007年 108試合 99安打、打率.275、2本塁打、13打点
※ 石井琢朗は2005年、2006年と二年連続フルイニング出場
井端弘和
2006年 146試合 162安打、打率.283、8本塁打、48打点
2007年 144試合 174安打、打率.296、5本塁打、45打点
鳥谷敬
2006年 146試合 157安打、打率.289、15本塁打、58打点
2007年 144試合 112安打、打率。273、10本塁打、43打点
新井貴浩
2007年 144試合 161安打、打率.290、28本塁打、102打点
2008年 94試合 112安打、打率.306、8本塁打、59打点
田中賢介
2008年 144試合 159安打、打率.297、11本塁打、63打点
2009年 144試合 163安打、打率.283、3本塁打、49打点
鳥谷敬
2008年 144試合 147安打 打率.281、13本塁打、80打点
2009年 144試合 155安打 打率.288、20本塁打、75打点
中島裕之
2009年 144試合 173安打、打率.309、22本塁打、92打点
2010年 130試合 158安打、打率.314、20本塁打、93打点
参考 2010年に全試合フルイニング出場を果たした内野手
西岡剛 144試合 206安打、打率.346、11本塁打、59打点
新井貴浩 144試合 177安打、打率.311、19本塁打、112打点
坂本勇人 144試合 171安打、打率.281、31本塁打、85打点
鳥谷敬、中島裕之といった全試合フルイニング出場を二度達成している選手はさすがに同じ失敗を繰り返していないが、それ以外の選手はおしなべて好成績を維持出来ていないケースが目立つ。フル回転した肉体をオフシーズンに復旧させなければならないことはわかっていても、何らかの理由でそれが充分に出来ないのだろう。
西岡はフルイニング出場どころか全試合出場も初めての経験である。夢だったアメリカ、メジャーリーグでのプレーが出来ることになり、身が引き締まる思いだろう。まだまだマリーンズでの公式行事なども残っているのかもしれないが、初めての異国の地でのプレーで様々な試練が待ち受けていることは容易に想像出来るが、それ以前にまずコンディションを万全に維持することができないと、来季の西岡はしんどいだろう。
断っておくが、敗戦処理。は来季、西岡の成績が下がるだろうと言っているのではない。大リーグでは特定の選手に負荷がかかりすぎることの無いよう、特に体調(や成績)に問題が無くても不定期に試合から外すケースがあるという。そういう舞台に入っていく以前に2010年のマリーンズで酷使された肉体をリフレッシュしないと、しんどいことになるということを、近年の同様のケースを例示して警鐘を鳴らしたまでである。
これまではどちらかというとKYな言動が誇張されたり、時に異端視されることもあった西岡がこの一年は本当に優等生になり、マリーンズを史上最大の下克上で日本一に導いた。本当にノンストップのフル回転という一年だった。まさか今年の成績が球団にポスティング移籍を認めさせるための猛烈なフル回転だったとは思わないが、西岡はまだその夢のスタートラインに立っただけに過ぎない。今年が殻を破った西岡の元年で、充分なケアでメジャーでも大暴れして欲しい。
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