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2011年1月30日 (日)

ライオンズが涌井秀章の年俸調停に敗訴…

Cdsc_ 28日、ライオンズの涌井秀章の契約更改交渉で折り合いが付かずに調停制度を取り入れていた件で調停委員会から調停金額が発表された。しかしそれより衝撃だったのは調停の経緯が書面で公表されたことだ。

(写真:年俸調停に「勝訴」したライオンズの涌井秀章。手前は涌井が参考資料として題材にしたファイターズのダルビッシュ有 200511月撮影)

まずはまだ目を通されていない方は、日本野球機構の公式サイト内にある 株式会社西武ライオンズと涌井秀章選手との間の参稼報酬調停の要旨 を参照されたい。

調停委員会はライオンズ側に誤りを指摘した。27試合で148敗、防御率3.67という成績を挙げ、五年連続で二桁勝利を挙げている涌井に、主としてシーズン終盤の優勝争いの真っ只中に期待通りの投球が出来なかったことを理由に現状維持の提示をし、数回にわたる交渉でもその姿勢を変えなかったライオンズ球団側に落ち度があることを言及している。

敗戦処理。は当blog1月4日付 ダルビッシュ有は負けても凄いんです! の文末でダルビッシュ有の契約更改を予想し、推定年俸3億3000万円から微増と予想して大外れしたが、その根拠は既に3億3000万円ももらっている投手にはベースになる実績があり、26試合で128敗、防御率1.78という好成績を挙げてももはやそのくらいの成績は期待値ではなく計算に入っている成績なのでアップするにしても大幅アップではなく微増だろうと考えたからだ。ダルビッシュは今年に入ってからの1回目の契約更改で一発サインした(事前に水面下での事前交渉はあったようだが)が、涌井に関してはそれ以前からライオンズが現状維持という提示をしたことが報じられていた。敗戦処理。的年俸感からは涌井に対する現状維持という提示もさほど驚くべきものではなかった。おそらくは数回の交渉をもって球団が歩み寄って微増で折り合いが付くだろうと思っていた。

しかし、徐々に報道でその内容が明らかになるにつれ、年俸が上がらない理由が敗戦処理。が考えていたものでなく、シーズン終盤の優勝争いの真っ只中に期待通りの投球が出来なかったことを主たる理由にしていると知って「それは違うだろう」と感じだした。

公式戦144試合、その価値がどの1試合をとっても均等だと杓子定規なことを言うつもりはないが、仮に大事な試合に涌井が不甲斐ない投球をして勝利を失っていたとしても、その大事な試合に至るまでの長い公式戦の積み重ねにおいて涌井は多くの試合で貢献していることは誰の目にも明らかだろう。このことを根拠にした年俸提示である限り、調停制度などのより客観的に近い立場でメスを入れられたら、ライオンズ球団の主張が退けられるのは明白だろう。

今回は大岡裁きが出て涌井の主張が相当程度認められ、ライオンズ球団側の主張が退けられた形になり、なおかつその要旨がわかりやすく公表された。これらがファンにとってもわかりやすかったのは今回の問題が、年俸が現状維持になるか、アップを認めるかという争点だったこともあるだろう。これがライオンズ球団の提示もアップであるにもかかわらず、涌井の主張するアップ幅と著しい開きがあってこじれてのものだったならどうだろうか?

アップ幅に対する双方の認識違いなら調停に辿り着く前に折り合いが付くという見方もあろうがそれはさておき、もしそうだとしたら、調停する側も難しかっただろうし、ファンの意見ももっといろいろなものに別れていただろう。今回のライオンズと涌井の間のように、一方は現状維持、一方はアップ主張という対立の構図はわかりやすいし、白と黒がはっきりしているがアップはアップでもその幅に著しく違いがあって調停に持ち込まれたら…。あるいはダウン提示に対してそのダウン幅に著しく差があったら…?

実は今回涌井同様に調停必至と見られていたホークスと柴原洋の契約更改の方は、柴原サイドが調停を申し入れたものの差し戻しにあって再交渉の場が持たれたが、調停に持ち込まれていればダウン幅の著しい違いというケースになる。

柴原の調停申請が差し戻されたのは、ホークスと柴原の間で年俸減額制限に当たる40%ダウン以上を柴原が受け入れた上で、その上でのダウン幅に折り合いが付かない状態なのか、そもそも柴原が受け入れていない減額制限を超える減額提示を球団が撤回しないのかが判然としないため、もう一度球団と柴原で話し合えと言うものだった。幸いにして再度の交渉で折り合いは付いたが、もし調停に持ち込まれていたらどうなっていただろうか?

もちろん調停委員会はそれなりの回答を出して双方を納得させただろう。しかしその要旨が公表されるとしたら、涌井の件のように白黒がはっきりした回答をファンに提示出来ただろうか?どうやら柴原は減額制限を超える減額を受け入れていた様であるから、それを踏まえて双方の主張を吟味し、調停委員会としての回答を出すとして涌井のような白黒はっきりした回答にはなり得まい。

それを考えると、ライオンズと涌井の件でも、ライオンズの現状維持という評価と、そのベースになっている考え方に誤りがあると見なすところまでは調停委員会の見解に異議を唱えるつもりはないにしても「当調停委員会としては、涌井選手の2011年度の参稼報酬の額は前年度の概ね15%アップが相当である」との具体的な結論には、「何で15%アップが相当なの?」と個人的には思う。現状維持が相当でないというところまではわかるが、個別の金額に関しては何も具体的に触れていない。今回はこの点に突っ込む人は少ないかもしれないが、今後異なるケースでは突っ込まれることだろう。

 

過去の年俸調停に比べれば開かれた調停になったという点では大きな前進と思えるが、調停委員会のメンバーを見ても、公平な第三者とは言い難い面がある。年俸調停を労使問題に喩えれば、調停委員会は使用者寄りの組織だとも思えてしまうからだ。

そして、今回調停委員会がライオンズ球団に向けた、シーズン終盤の大事な時期に結果を遺せなかったことをことさらに強調する査定は誤りだという見解は我々ファンにも向けられたものと思いたい。

ライオンズファンはどうか知らないが、敗戦処理。の周囲のジャイアンツファンには残念ながら今回のライオンズ球団の査定と同じような感覚で選手を否定する輩が少なからず存在する。シーズン開幕から平均的に安定した成績を残しているにもかかわらず、終盤の大事な試合に結果を残せないと全否定するようにその選手を罵倒する。例えば2008年の日本シリーズ最終戦で普段あまり投げない2イニング目に逆転された越智大祐をA級戦犯呼ばわりした一部掲示板のファン。2位になるか3位で終わるかがかかっていた昨年の公式戦最終戦で、実際に最終回にリードをフイにしたマーク・クルーンだけでなく、久保裕也、越智大祐、山口鉄也がちょっとボールカウントを悪くしただけで「だめだ、こんな奴変えろ!」と言いまくっていた東京ドーム三塁側S指定席のジャイアンツファン多数。正直うんざりした…<苦笑>

ライオンズはこの日、同じく未更改だった中島裕之も契約を更改し、ひとまず全選手との契約交渉を終えた。しかし今回調停委員会からこのようなダメ出しを食らったと言うことは今シーズン終了後の契約更改はよほどの理論武装を固めないと乗り切れないだろう。今心配しても仕方のないことだが<苦笑>

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コメント

にしたく様、コメントをありがとうございました。

こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

> 正直な話、私もその“輩”の一部になりうる思考回路になりがちで、タイトルを獲った選手であっても、優勝・順位がかかった試合やCS・日本シリーズで活躍できなかった選手には、それまでの活躍が薄らいでしまう。

まあ、薄らいでしまう程度ならいいと思いますが、酷い人になると全否定しますからね<苦笑>。

クライマックスシリーズの1stステージでウチに敗れたタイガースのファンで「球児で負けた!」、「球児で終わった!」なんて言い方をしている人もいました。

> プロである以上、「活躍を」して「試合に勝」たなければいけない。
だとすれば、涌井のゴネ得という悪しき前例を作ってしまったような感が残ってしまったような気がします。

「ゴネ得」とは決めつけられないでしょう。

少なくとも調停委員会は球団側の落ち度を指摘をしています。

それと、にしたく さんの書き方だと、選手は球団の査定に従わなければならないという前提があるように思えます。

もちろん、球団と選手の間で話し合い、折り合いが付くのが理想でしょうが、涌井と涌井の代理人は定められた調停制度にのっとって調停にかけ、それによって出た結果に従うことになっただけで、ゴネ得ではないと思います。

> ところで、来月13日に巨人の宮崎キャンプに行く予定です。噴火だけが懸念ですが、目をしばしばさせながら行ってきます。

私は11日から二泊三日で行きます。が、13日は球場に行ける時間があるかな…?

投稿: 敗戦処理。 | 2011年2月 1日 (火) 00時44分

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
正直な話、私もその“輩”の一部になりうる思考回路になりがちで、タイトルを獲った選手であっても、優勝・順位がかかった試合やCS・日本シリーズで活躍できなかった選手には、それまでの活躍が薄らいでしまう。
サッカーアジアカップのように優勝しちゃえば、「あそこの競り合いが」とか「あの采配はなんだよ」とか、大会中に浮かんだ様々なフラストレーションというものは、チャンピオンカップを頭上に掲げる長谷部誠の姿が全て吹っ飛ばしてしまった。
プロである以上、「活躍を」して「試合に勝」たなければいけない。
だとすれば、涌井のゴネ得という悪しき前例を作ってしまったような感が残ってしまったような気がします。
 
ところで、来月13日に巨人の宮崎キャンプに行く予定です。噴火だけが懸念ですが、目をしばしばさせながら行ってきます。

投稿: にしたく | 2011年1月31日 (月) 08時58分

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調停で球団側がここまで酷い負け方をするとは意外。別の件でも心配になってきます。 [続きを読む]

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