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2011年1月 3日 (月)

斎藤佑樹は本当に「持ってる」のか?

Dsc_0006 昨年の東京六大学秋季リーグ、優勝決定戦以来「持ってる」男というイメージが定着したファイターズの斎藤佑樹。敗戦処理。も過大なほどの期待をかけているが、実際のところはどうなのだろうか?

(写真:浜崎あゆみを押しのけて元日の日刊スポーツとスポーツニッポンの1面を飾ったファイターズの斎藤佑樹。)

個人的には斎藤佑樹のあの慶應義塾大学との優勝決定戦での「持っている」発言にそんなに共鳴していない。どちらかというと、もう年も改まったし、マスコミにはいい加減あの発言のイメージで斎藤を追うのはやめて欲しいと思っているほどだ。

リーグ優勝の行方が正規のリーグ戦だけでは決着が付かず、一戦必勝の優勝決定戦になってそれを自らの好投で制しての優勝だ。マイクを向けられて饒舌になる気持ちを否定するのは無粋だというのはわかる。しかし敢えて言う。あんな学生のコンパの最後に幹事が締めの一言で受けを狙うような発言を、いくら時のヒーローが発したとはいえマスコミが取り上げすぎだろう。

あまり大学野球を観ない敗戦処理。ではあるが、大学野球では高校野球のような不自然なまでのアマチュアリズムやスポーツマンシップが強要されているのではなく、例えば審判の判定に疑問に思えば選手自身が抗議の意思表示をしたり、グラウンドで感情を露骨に表すこともありだという事は知っている。まあ高校生と大学生の社会通念上の差違だといってしまえばそれまでだが、斎藤ならずともああいうパフォーマンスがまかり通るのか?

知っている人は知っているが東京六大学野球のリーグ戦は日本の硬式野球で唯一、天皇賜杯が贈られる競技である。当たり前のことだが東京六大学野球のリーグ戦は六つの大学の中での一位を争うリーグ戦に過ぎず、日本一を争うものではない。もちろん日本のプロ野球よりも歴史が長い学生野球の発展の過程において、早稲田大学を始めとする各大学の野球部の功績を考えれば、東京六大学野球に天皇賜杯が贈られることに異議を唱えるつもりはない。ただ、日本にあまたある各地の大学リーグの中で特別な位置づけにあるリーグだと言うことは自覚すべきである。そして斎藤自身が所属しているのはその中の優勝チーム(大学)というより、日本の大学野球を実質的にリードしてきた大学であるということだ。

東京六大学野球自体が、他の後発リーグのような一部、二部などの入れ替え制もなく、常に固定した相手で行われ、なおかつ斎藤が所属する早稲田大学は慶應義塾大学と共に成績とは無関係に必ずいわゆる早慶戦を最後に組まれる特別な大学だ。そのなかで単に主戦投手として投げるのみならず主将の重責まで担った斎藤が今書いたような特別な境遇の中で己を見失う事はないと思うが、規律が厳しいと推測される伝統校、名門校特有のがんじがらめぶりと同時に、最初に書いた発言が許されたりする厚遇ぶりな面があることも否定出来ない。

その斎藤佑樹が北海道日本ハムファイターズからドラフトで指名を受け、入団することになった。早稲田大学が秋のリーグ戦に優勝して、明治神宮野球大会でも大学の部で優勝したために、他の指名選手より入団交渉に取りかかる時期が遅れた。球団はそれを逆手に取り、斎藤ひとりのための入団発表を行った。イベント好き、ネタ好き、Fan Service 1stの球団の面目躍如といった感じだ。近年鎌ヶ谷で1月中旬に行われるファイターズの新入団選手歓迎式典も昨年までの室内練習場での定員500人のイベントから、スタジアムを使っての2,400人規模のイベントに様変わりする。ここでも斎藤と他のドラフト指名選手は異なる扱いをされるかもしれない。

しかし、斎藤が入団したのはあくまで北海道日本ハムファイターズであって、読売ジャイアンツでも阪神タイガースでもない。特別扱いされるのはこれからはあくまでも球団の中でだけであろう。

早いものでファイターズは今年で北海道に移転して8年目のシーズンとなる。球団の不断の努力と道民の熱意で地域密着化が定着したのは間違いないが、日本のプロ野球全体から見れば十二分の一に過ぎない。もちろんどの球団も本質的には十二分の一に過ぎない、ジャイアンツとタイガースを除けば…。ジャイアンツやタイガースは大学野球に例えれば早稲田大学や慶應義塾大学のような「特別な存在」だがファイターズは違う。

斎藤佑樹が「持ってる男」でいられる賞味期限はあとわずかなのかもしれない。

もちろん当エントリーの趣旨は当blog昨年1031日付 斎藤佑樹への過大な期待。 を否定するものではない。現時点でも敗戦処理。は斎藤佑樹に日本プロ野球の救世主的な役割を期待していることに変わりはない。ただ、斎藤に対する不安が、ルーキー達誰にでも当てはまる「プロ野球」というこれまでと異なるレベルの世界への対応というものの他に、自分の置かれる境遇の変化という存在がある(むしろその方が大きい)のではないかと敗戦処理。は感じ始めたのだ。もちろん常に必要以上の注目を集める中で山あり谷ありだったとはいえ一定の成果を出し続けてきた向上心は「プロ野球」というレベルにおいても適応してくれると信じている。ただ…

斎藤佑樹は大学時代には「仲間」を持っていた。大石達也や福井優也が他球団に入団することになった今、斎藤は何も持たずにプロ野球に入る。離れたのは「仲間」だけではない。「WASEDA」も手放したのだ。自主トレ、春季キャンプ期間はまだしも、それより先はその現実にいやでも向き合うことになるだろう。悪戦苦闘しながらもその現実を迎え入れ、プロ野球の世界でもこれまでのような力を発揮してくれた時、あらためて斎藤は「力と運を持っている」とヒーローの階段を上ることになる。少なくとも敗戦処理。はそう期待する。

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コメント

さるさる日記ボトムライン様、コメントをありがとうございました。

斎藤のこれまでに関しては、やはり多くの試合を実際に観られた方のご意見は貴重です。

> 今の投げ方はかなりの変形なので、僕としては今一歩の投げ方変化を望んでいます。
ピッチングコーチもナリモノルーキーには言いにくいでしょうが、指摘出来る箇所はちゃんと言ってもらいたいと思いますね。
高校、大学と専任ピッチングコーチの存在がなかった訳ですから。

斎藤ではないですが、中央大学からジャイアンツ入りの澤村はマイナーチェンジするのですかね、「プロ仕様」とか書いてありました。

技術的なことはあまりわかりませんが、斎藤にも「プロ仕様」のものがあるのなら、コーチ陣がどこのタイミングで変えていくか、でしょうか?

> 斎藤君は人気ものという点では荒木大輔と同じように「勝たせてあげたい」と観衆に思わせるピッチャーでしょうね。観衆も彼の実力を絶対的に信頼している訳ではないので、抑えてくれれば「ほっとする」そんな感情が渦巻く一年でしょうか。

私は二桁勝利を計算しています。勝ってもらわないと困ります<笑>。

投稿: 敗戦処理。 | 2011年1月10日 (月) 23時05分

プロは成績が全てですから、今シーズンが悪ければ、斎藤は客寄せパンダだったと言われるだけでしょう。斎藤君の成績は、ある程度の予想は出来ますが、予想したことをかいても自己満足の域を出ないので、斎藤君の成績について書くのは控えます。
今の投げ方はかなりの変形なので、僕としては今一歩の投げ方変化を望んでいます。
ピッチングコーチもナリモノルーキーには言いにくいでしょうが、指摘出来る箇所はちゃんと言ってもらいたいと思いますね。
高校、大学と専任ピッチングコーチの存在がなかった訳ですから。
早稲田時代は、不幸?にも大石というとてつもない球を投げるピッチャーが後ろにいたので、見劣りされてしまった観が否めませんね。
斎藤君は普通に観察すれば、数々の変化球の切れがかなりあり、148kの直球もコンスタントに投げてくるいいピッチャーです。
ただ後の大石君の球は、おそらくプロでも全く打てないんじゃないか、と思えるくらいの豪速球でしたからね。
あの球が後に出てくれば、斎藤君の評価が落ちてしまうのは当たり前ですね。大石君は、沢村君とは比較する必要も勿論ありません、ピカ一でした。
先発ではなく抑えにすれば西武ライオンズは、より優勝に近づけると思いますよ。
なんか先発なんて言ってますが、。
斎藤君は人気ものという点では荒木大輔と同じように「勝たせてあげたい」と観衆に思わせるピッチャーでしょうね。観衆も彼の実力を絶対的に信頼している訳ではないので、抑えてくれれば「ほっとする」そんな感情が渦巻く一年でしょうか。

投稿: さるさる日記ボトムライン | 2011年1月10日 (月) 20時30分

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