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2011年1月22日 (土)

今年のオールスターゲームは十年ぶりに三試合実施の方針だそうで。

Photo 20日のプロ野球実行委員会で、今年はオールスターゲームを一試合増やして三試合にする方針が発表された。三試合行われたのは2001年が最後なので、実現すれば10年ぶり。オールスターゲームは日本シリーズと並ぶ日本野球機構(NPB)の貴重な収入源。四期連続赤字決算からの脱却の切り札となるか…

(写真:三試合行われた2001年のオールスターゲーム、第二戦の試合前セレモニー。中継したTBSの小倉弘子アナを始めとした女子アナの浴衣姿が物議を醸した。)

敗戦処理。が日本のプロ野球に興味を持ち始めた1970年代はオールスターゲームが三試合行われるのが当たり前だった。土日に一、二戦を行って一日休んで火曜日に三戦目という感じ。それがいつしか「三試合では多すぎる…」とかいう論調になった。アメリカ大リーグのオールスターは一年に一試合。当日以外にホームラン競争を行う日があったり、大々的にお祭りムードを盛り上げる。日本でも選手会の意向もあったが、せめて二試合にし、希少性を高め、より濃密な夢の舞台にしようという風潮が強くなり、夏季五輪の開催される年のみ三試合、他は二試合となったが、何やかんやの理由で三試合開催される年があった。しかし2001年に福岡ドーム、横浜スタジアム、そして出来たばかりの札幌ドームと三試合行われたのを最後に、以後は年間二試合というペースが定着した。

今般、前述したようにNPBが四期連続で赤字決算という事態に陥ったため、機構が主催するオールスターゲームを一試合増やして収入を増やそうという試み。

だが、そんな単純な発想で収入増に繋がるのか、敗戦処理。には疑問である。

まず、今年のオールスターゲームは第一戦がナゴヤドームで第二戦が千葉マリンスタジアム改めQVCマリンフィールドで行われる予定だった。ここに東京ドームを組み込み、三試合にする。二試合開催の時に、なるべく日本の東西で一試合ずつ行われるように組むが、東海地区で一試合、関東地区で一試合と組んでいたのが関東で二試合になった。東京ドームでの試合と、QVCマリンフィールドでの試合はファンを奪い合う形になることも考えられ、二試合とも満員になるのかという疑問がある。

また球場の観客席はそこそこ埋まっても、テレビ視聴率が三試合とも高いかというと、ここでも第二戦と第三戦で割れるおそれがあると思う。ファンが本当に三試合もオールスターゲームを観たいと思うか疑問だからだ。

そしてそもそも、昨年は日本シリーズですら地上波で全国中継されない試合があったのだ。残念ながら真剣勝負とは言い難いオールスターゲームを三日連続で行って、三日ともテレビで視ようというファンがそんなに多いとは考えにくい。「コアなファンは二試合だろうと三試合だろうと観る」という反論が出るだろうが、コアなファンだけが観るのではゴールデンタイムで全国中継されないと言うことは昨年の日本シリーズで証明済み。そうなると放映権料が目論見通りに入ってこない可能性もあり、一試合増えて経費ばかりが増加し、収入は思った程増えないという事態にもなりかねない。7月24日に行われる予定のQVCマリンフィールドでの第三戦はゴールデンタイムでの放映権の買い手が付かずにデーゲーム開催なんてオチがつくのではないか…。

そして当然、冠スポンサーが三試合分の協賛価値を見出すかどうかという疑問も生じる。

さらにいえば、元々三試合行っていたものを減らしたのは選手会の意向もある訳だが、今回の試合増に対して選手会への根回しは出来ているのか?これは推測だが、選手会は試合増に対応して出場メンバーの増加を要求してくるだろう。出場出来る選手が増えるのはファンにとっても良いことかもしれないが、例年なら出られないレベルの選手が混ざるというデメリットもある。「夢の対決」は交流戦で実現するかもしれない時代に、「何で?」と思われる選手が出場したら、テレビで観ている視聴者は興ざめしてしまうかもしれない。

敗戦処理。はそもそもオールスターゲームの試合数を減らすことに賛成ではなかった。年間三試合のままでいいから、二試合をNPB十二球団の本拠地で行い、もう一試合を地方球場で行えばいいと思っていた。試合数を減らせば希少性は高まるが、試合数を減らさずに開催地を分散すれば、生で観ることが出来るファンの物理的な数が飛躍的に増える。その意味では今年のように関東地方で二試合行うのはあまり意味がない。

今年の場合は、とっくに公式戦の日程が決まってから、二試合行う期間に無理矢理三試合をはめこもうとしているので、雨天中止のリスクを回避するためにドーム球場を選ぶしかなかった。そこで第一戦ナゴヤドーム、第二戦QVCマリンの間に東京ドームをはめこんだ(余談だが後から決まった東京ドームの試合を第三戦にせずに第二戦にするのは先にドーム球場での試合を組むことによって雨天などでの日程のずれを最小限に済ますためで、近年のオールスターゲームは必ずそういう試合の組み方をしている。)。三試合行うことを考えていないから、例年と同じ直前の水曜日まで公式戦を行って一日空いて金曜と土曜で二試合を行い、火曜から公式戦再開というスケジュールになっている。

個人的にはこの組み方にも不満がある。7月のこの時期には第三月曜日がC☆Bの誕生日で祝日になるので(筆者注.世間一般には海の日と呼ばれています)、その前の週の火曜から、火~木、金~日、月~水と九連戦を組んでその勢いでオールスターに突入というパターンなのだが、本当に年に一度のお祭り気分を盛り上げるなら、C☆Bの誕生日を含む三連休を(年に二試合であっても)オールスターゲーム期間にして欲しいと思っているのだ。

前評判が芳しくなく、テレビ局に評価してもらえなかった昨年の日本シリーズは結果的には特に第六戦、第七戦の連続延長戦でヒートアップしたが、オールスターゲームはどうだろうか?

お祭りムードはいいのだが、どこか気の抜けたようなプレーが顔を出したり、冒頭の写真の様な浴衣姿の女子アナがベンチリポートをしたTBSや、野球に直接関係ないインタビューばかりだったテレビ朝日、27時間テレビの一コーナーとして中継した結果、ハチャメチャにしたフジテレビなど選手とマスコミが一体になって価値を貶めてきた感のあるオールスターゲーム。単なる試合増だけでは財源確保の起死回生の一打になるとは限らないだろう。

敗戦処理。自身、2002年に東京ドームで観戦したのを最後に生でオールスターゲームを観ていないので、今年は是非生で観たいと思っている。今書いたようにメディアの暴走も足を引っ張っている形だが、当時(2000年~2002年、三年連続でオールスターゲームを生観戦)球場で観るオールスターゲームは本当に心地よいものだった。球界を代表する選手達が集まってのプレーなのだから、本質的にはファンを魅了して止まないはずなのである。試合中、テレビカメラが常に斎藤佑樹の姿ばかりを追いかけているなんてことにならないよう、球場で観ても、テレビで観ても、楽しめるオールスターゲームになってくれればいいのだが。

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