プロ野球十二球団チャリティーマッチ-東日本大震災復興支援試合
今回に関してはサッカー界と比べると旗色が悪いが、何にせよ二日間、計十二試合が雨天中止もなく行われて多くのファンが集まったのは何よりだと思う。
ただ、本当に多くのファンと言えるかというと、若干疑問が残る。
神宮:Ys-C
2日 9,434人
3日 9,543人
合計 18,977人
横浜:B-T
2日 10,282人
3日 11,153人
合計 21,435人
ナゴヤドーム:D-G
2日 13,255人
3日 15,619人
合計 28,874人
札幌ドーム:F-モ
2日 6,525人
3日 12,608人
合計 19,133人
皇子山:L-H
2日 5,748人
3日 6,280人
合計 12,028人
京セラドーム大阪:Bs-M
2日 3,918人
3日 5,669人
合計 9,587人
各球場とも土曜より日曜の方が多く観客が入っているのは、やはり土曜より日曜の方が観戦に支障がない人が多いということもあるだろう。六球場のうち、一ヶ所だけ土曜に比べて日曜の方が極端に観客動員が多いところがあるが、失礼ながらチャリティーに積極的な人が土曜より日曜に多く来たとは思えない。理由は別のところにあるのは明らかだろう<笑>。ただ最も多くのファンが集まったナゴヤドームですら、平日の公式戦より少ないレベル。それ以外の球場も然り。ちなみに皇子山球場は「野球場物語2011」(ベースボール・マガジン社刊)によると収容人員は15,000人。各球場少なめな中、神宮と横浜に多くの野球ファンが集まっているのは関東圏にあってファンも計画停電などで日常生活で不便な思いをしているからなのか、それとも単にパよりセの方が多くの観客動員のある公式戦と同じ結果なのだろうか…?
もちろんなかには募金活動をやっているからという理由で、試合は観ずとも現地まで行ったという敗戦処理。のような人もいるだろうから、多くの志がやがて復興の一助になるであろう。
当初、セ・リーグが予定通りの開幕にこだわったり、たった四日間だけの変更で済ませようとして顰蹙を買い、なおかつ両リーグが決して一枚岩にならなかったこともプロ野球界の問題点として叩かれたりしたが、世論や国家権力に睨まれたことによって取りあえず落としどころを見つけ、(サッカーのチャリティーマッチには規模的に及ばないかもしれないが)比較的多くのファンが球場に足を運びやすい土日に十二球団合同でこのようなチャリティーイベントが行われたのは素晴らしいことだと思う。
3月25日の開幕予定を4月12日にずらした両リーグだが、ファームに関しては予定通りウエスタン・リーグが3月15日に、イースタン・リーグが3月19日に公式戦を開幕させており、それぞれの球場で募金活動が行われたり、また節電に配慮した試合進行がなされていると聞いている。敗戦処理。はジャイアンツ球場とファイターズスタジアムに足を運んだ。
音楽などの芸術もそうだが、スポーツの持つ影響力も甚大だ。野球場においても、選手やマスコットが持つ募金箱に並ぶファンの列は途絶えず、東北地方にゆかりのある選手の登場には贔屓チームでなくても大きな声援が送られる。震災後初めて球場に足を踏み入れた3月19日から二週間が過ぎたが、先日の嶋基宏のスピーチじゃないが「野球の底力」、「野球選手の底力」、「野球ファンの底力」は本当に凄いものだと感じた。
ただ、極めて稀なケースであると信じているが、残念ながら信じがたい点もあった。
ある球団が地元で募金活動をした時に、募金箱を持って義援金寄付の対応をしているのが選手から球団職員に変わったら、急に列を離れ、寄付を止めてしまった人が少なからずいたと言う話を聞いた。これに近いのは2日の神宮でも、冒頭の写真の様に監督、コーチやマスコットが募金対応している時には列が途切れなかったのに、試合が近づいて球団職員が対応するようになったら急に人が減った<苦笑>。
サイン、撮影禁止と明示されていたのに、募金対応するのがつば九郎一人になった途端に記念撮影をせがむファンが急増したのはご愛敬だとしても<笑>、急変ぶりが残念だった。球場内にも募金箱は設置されていたそうだから、球場内で寄付をした人が多いのだろう、きっと…。
また、試合前や試合中のイベントを自粛し、スコアボードの表示も出場選手の表示をせずにボールカウントやイニングスコアなど最小限に抑えて節電対応したファイターズスタジアムのファイターズ戦では「盛り上がらない。つまらない」との不平不満を持ったファンの声があったと聞いた。
さらにいえば、2日、3日に行われたチャリティーマッチに関しても入場料が高すぎると不満を述べているファンがいた。この二日間の試合はどの球場でも経費を除いた収益はそっくりそのまま寄付されると報じられている。そもそもチャリティーと名前が付いているのだから、趣旨を考えればわかることだろう。
こうした言動を見聞きすると、寂しい思いを抱かざるを得ない。もちろんあらゆる寄付は強制されざるものだから、ところで話は変わるが、この二日間にナゴヤドームで行われたドラゴンズ対ジャイアンツ戦でも一部球場内で減灯などの節電対応をしていたそうだ。今回の震災で学んだが、中部地区で節電して余力のある電力を東京電力や東北電力の管内で使用することは出来ないらしいからナゴヤドームで節電をしたところで、(最近は行われていないが)計画停電を実施している東京電力管内や、東北電力管内への影響はないということで、意味のない自粛なのではないかとの感想も寄せられていた。スポーツニュースの映像で観る限りでは全然気がつかなかったが、浪費するよりは節約する方が良いのは確かだろうから、この際テスト的に省ける電力は省いてみるのも一考だと個人的には思う。いろいろな考え方を持つ人がいても不思議ではないのだが…。
ただ、これらは全体の中のほんの一部であろう。チャリティーマッチに携わった人の思いは皆同じ。一人でも多く、一日でも早く、被災者の方が日常の生活を取り戻せる時が来るように、野球という出来事を媒介に行動を起こしているのだ。この思いは必ず通じるであろう。
プロ野球は、ファームを除けば明日から再び「試合形式の合同練習」と称する無観客試合を行う。12日にはファンが待望している公式戦が開幕するのだから、最後の準備を滞りなく済ませ、この二日間でファンに与えた勇気や感動を半年間継続して供給出来るよう、最後の調整をして欲しい。
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