アダム・ブライト26歳、早くも今季はTHE END…
■期限だった30日、清武英利球団代表が横浜スタジアムで「今シーズンは支配下に昇格することには、まだ実力的にも難しいんじゃないかと」と話した。また、キャンプで左肩を痛めたことも明かし「回復が望めるものであれば、来シーズンに向けやってくれるのではないかと思います」と、潜在能力を評価し、来年度に再挑戦させたい意向を示した。 (2011年5月1日 日刊スポーツ)
日本プロ野球育成選手に関する規約
第9条(支配下選手契約への移行等)
③ 本年度26歳以上となる新入団選手を育成選手から支配下選手へ移行する場合の期限は、3月末日までとする。
何故年齢で区切っているのか定かではないが、規約がある以上それに従わざるを得ない。清武英利球団代表によると春季キャンプで左肩を痛めていたという。本人には不本意だったことだろう。
現在でもジャイアンツは23人もの育成選手を抱えている。ブライト以外に規約で引っかかる育成選手はおらず、残る22人の育成選手は7月末までの残り三ヶ月での支配下選手登録を目指す。
前述したように、また冒頭の写真からもおわかりいただけるかもしれないが、ブライトの売りはサウスポーの利点を活かした変則投法。清武代表は来季の再挑戦を示唆していたが、来季以降も厳しい競争となろう。
通常、シーズン途中で育成選手が支配下選手登録されるケースは一軍入りが近いことを意味する。何故なら育成選手のままでもファームの公式戦では出場可能だから、例えばイースタン・リーグで実戦経験を積ませる分には支配下選手登録をする必要は無い。但し一軍公式戦に出場する(出場選手登録をする)ためには支配下選手登録が必要になるから、一軍入りが現実味を帯びた時点で、育成選手から支配下選手登録に移行するのが一般的だ。ただしブライトは外国人選手。一軍入りするには外国人枠という壁がある。支配下選手70人中に外国人選手の制限はないが、一軍には外国人枠がある。4人までで、投手が3人以内か、野手が3人以内。5月1日時点ではレビ・ロメロ、ジョナサン・アルバラデホ、カルロス・トーレスの3投手と、野手のラスティ・ライアルが一軍登録されており、この中に割って入るくらいの勢いがないと、支配下選手登録は難しい。もっともこの4月末という期限を逃すと今季中は支配下選手登録する事が出来なくなるから、とりあえず支配下選手登録だけしておくという選択も考えられるが、同じ7月末日までにトレードや、新外国人選手の獲得が70人という上限の中で可能だという事を考えれば、貴重な70人枠の一つを「とりあえず」では使いにくい。
日本でのプレーを拒否し、任意引退選手公示を受け入れたブライアン・バニスターが退団したので支配下選手登録されている選手は66人であと4人分の枠が空いているが、育成選手の中ではイースタン・リーグで登板機会の多い二年目の左投手、大立恭平やルーキーの左投手、岸敬祐の方が支配下登録に近い位置にいるだろう。また、故障を元に支配下選手から育成選手契約という措置をとられた木村正太も再登録を目指していることだろう。
ブライトに関してだが、冒頭の写真は敗戦処理。が今春の宮崎キャンプを見物した時のものなのだが、ひむかスタジアムで行われた二軍の紅白戦に登板。二軍選手は打ちづらそうにしていたが、四番の大田泰示には詰まらせながらもセンター前に運ばれた。左投手であるブライトは一塁走者となった大田に執拗に牽制を繰り返して一塁に釘付けにしておこうと試み、やがて左投手特有の打者に投げるのか走者を牽制するのか分かりづらいフォームで幻惑して大田を誘い出して一塁に牽制したものの、委細構わず二塁に全力で走った大田をアウトにすることが出来なかった。早くもフォームの欠陥を露呈してしまった。後続を断って1イニングを無失点という結果で降板したが、正直、並みの選手という印象しか持てなかった。清武代表の言う肩を痛めたというのがこの前なのか後なのか気になるところだが…。
(時間のある方は拙blog2月12日付 ジャイアンツの宮崎キャンプを見物 を参照されたい)
なおブライトのイースタン・リーグ公式戦での成績は2試合のみの登板で勝敗なし。計2イニング、自責点1で防御率4.50に過ぎない。なお前出の大立は6試合で勝敗なし。5回2/3イニングで自責点2の防御率3.18。岸は8試合で1勝0敗0S、6回2/3で自責点0。防御率は0.00。なお期限直前の29日にブライトは社会人の東芝相手の練習試合で2イニングを投げ、無失点と好投して最後のアピールをした。
ファームに求められるものが一軍で戦力となる選手の育成、鍛錬と言う視点で考えれば、規約上今季に一軍に挙げることの出来ない選手より、可能性のある選手をイースタンの公式戦で起用するだろう。当然ブライトのチャンスは限られる。清武代表が来季に期待するという以上、それこそ第二の二軍で来季へのモチベーションを保つ程度の登板機会に限られるだろうし、まずは肩の回復に専念というところだろう。
山口鉄也や松本哲也のサクセスストーリーばかりが誇張されがちなジャイアンツの育成選手だが、厳しい現実に向き合っている育成選手の方がはるかに多いのが現実だろう。
なお23人いる育成選手の内、杉山晃紀、尾藤竜一、李昱鴻(リ・イーフォン)、谷内田敦士、籾山幸徳、福元淳史、山本和作は今季で育成選手から支配下選手登録されず、なおかつ翌年度の契約が支配下選手契約に改まらない場合には自由契約選手扱いになる。特に李、谷内田、籾山の3選手は二度目のカド番だ…。
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