今年のオールスターゲーム仙台開催正式決定
3月11日に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県の仙台市での球宴開催は同市にあるゴールデンイーグルスの本拠地、日本製紙クリネックススタジアム宮城(以下Kスタ宮城)が復旧するにつれて各方面からの要望が大きくなり、既に同球場で予定されていた夏の高校野球の宮城県予選の日程を融通するなどの協力により実現の運びとなった。
開始時刻は6月7日に発表されるとのことだが、一部報道によると第一戦のナゴヤドームのみナイトゲームでQVCとKスタ宮城はデーゲーム開催が有力とのことだ。
1995年の阪神淡路大震災の年には十二球団の日本人選抜対外国人選抜の試合がプラスされるという変更があったが、今回は開催地を変更するという異例の対応となった。
実は今年のオールスターゲームの開催球場変更はこれで二回目である。
近年、NPBと選手会の申し合わせにより、原則、オールスターゲームは二試合となっている。だが財政難に悩むNPBが、NPBの主催試合であるオールスターゲームを一試合増やすことで収入の増加を目論み、選手会の合意も得られた結果、今年は三試合を組むことになった。
今年のオールスターゲームは十年ぶりに三試合実施の方針だそうで。
(あい ウオッチ baseball!!-敗戦処理。ブログ2011年1月22日付)
当初の予定
7月22日(金) ナゴヤドーム
7月23日(土) QVCマリンフィールド
7月24日(日) 予備日
1回目の変更
7月22日(金) ナゴヤドーム
7月23日(土) 東京ドーム
7月24日(日) QVCマリンフィールド
再変更
7月22日(金) ナゴヤドーム
7月23日(土) QVCマリンフィールド
7月24日(日) Kスタ宮城
1回目の変更でQVCの開催日を変えたのはドーム球場での試合を先に持ってくることによって雨天順延のリスクを少なくしている。それこそ突発的な不測の事態でも起こらない限りドーム球場での試合は行われるから、第三戦は確実に24日に予定される。つまり試合を観戦する立場で考えれば、ナゴヤかQVCで観戦する人は順延の心配をしなくてすむ。ただし第二戦QVC、第三戦東京ドームとすると、QVC開催日に雨が降ると、翌日の東京ドームも延期される。QVCで観戦する人も東京ドームで観戦する人も順延の心配をしなければなくなるからだ。
そして今回の再変更で東京ドームでの開催が差し替えられたのは、元々の予定がナゴヤとQVCで、東京ドームは後から追加になったということで、東京ドームの開催が差し替えられたと推察する。前述のように雨天順延のリスクを考えると、ナゴヤドーム、東京ドームで一、二戦を行ったほうがベターなのだが、元々の予定のQVCが優先されたのだろう。
そこで、先ほどのNPBニュースをもう一度見て欲しい。「※ 雨天等で当該試合が開催されなかった場合は中止となります。」とある。これを文字通りに解釈すると、24日に雨が降って試合が開催出来なかった場合、翌25日に順延しないことを意味する。これは1回目の変更の時点で7月25日(月)はオールスターゲームの予備日ではなく、翌26日に再開される公式戦のための移動日であると通知されていたから、25日の扱いを変更していないのだろう。さらによく読むと、「※ 雨天等で当該試合が開催されなかった場合は中止」ということは23日のQVCが雨天中止になった場合にはQVCの試合が中止になり、24日にはあくまでKスタ宮城での試合を行うという意味にも取れる。このあたりも6月7日に正式に説明がなされるかもしれない。
個人的には仙台でオールスターゲームを開催することに意義があるのだから、QVCでの試合の開催有無の影響を受けないという措置は良しとしても、翌25日をせめてKスタが雨で中止になった場合だけでも予備日に出来ないか、今から変更できないものかと思っている。ちなみに7月26日(火)のカードは下記の通り。
F-Bs(帯広・13:00)
L-M (西武ドーム・18:00)
H-モ (ヤフードーム・18:00)
G-B (東京ドーム・18:00)
Ys-C(神宮・18:00)
T-D (甲子園・18:00)
一日順延して25日にKスタで試合を行う場合、子供たちは夏休みに入っているかもしれないが、基本的には平日なのでナイトゲーム開催になるだろう。交通事情を把握していないが、その場合にオールスターに出場した選手達の中で移動が困難なのは距離的に最も離れている福岡よりも、翌日に北海道の帯広でデーゲームを行うファイターズとバファローズだろう。帯広の森野球場にはナイトゲームの設備がないので試合時間の変更は出来ない。もちろん札幌ドームでのナイトゲーム開催に変更するなんてことは年に一度、この日と翌27日にしかプロ野球公式戦の開催を行わない球場の試合をいくらこうした事情とはいえ、いかないだろう。二試合から三試合に試合数が変更になった際に25日をあくまで移動日としたのはこうした事情からであろう。
かくなるうえは、一部のファンからは顰蹙を買うかもしれないが、今回の日程プラスKスタ宮城限定の予備日として25日にデーゲームで開催するというウルトラCも考えられるが、そうなると今度は高校野球の宮城県予選に支障を来すことになる。やはり何が何でも24日にKスタ宮城で強行するしかないのだろうか…。
Kスタ宮城でのオールスターゲームは2007年以来となるが、その試合も降雨コールドゲームとなり、ファンにとって不完全燃焼な結果になった。敗戦処理。が雨を心配するのはそうした経緯があったからでもある。
今回の開催は東京ドームでの開催予定を振り替えての開催となる。被災地仙台での開催ということになると、基本的にチャリティー色の強い試合というコンセプトになることは明らかだ。近年のオールスターゲームは年に二試合というのが定着しているが、一時期夏のオリンピックが開催される年のみ三試合にし、その増えた分は収益の一部をオリンピックの振興のために寄付していた時期もあった。NPBとしては財源確保のために東京ドームでの開催をプラスしたのに、その試合に替えて開催するKスタ宮城での試合を自らの財源確保には望めまい。ここは諦めて、元々今年のオールスターゲームは二試合しか無く、震災後の復興支援のために一試合増やしたと割り切るしかあるまい。財源の確保は来年以降再び考えなければなるまい。
敗戦処理。がプロ野球に興味を持ち始めた頃はオールスターゲームは毎年三試合行っていた。試合数を減らしたのは希少価値を高めることと、選手達の負荷を軽くするためといわれている。ということはよほどの「覚悟」をもって今年の三試合のオールスターゲームに臨まないと、復興支援どころかファンを白けさせてしまうおそれがあるのだ。NPBの今年のスローガンではないが、選手達には「覚悟」が求められ、ファンとしては「野球選手の底力」に期待したいところである。
P.S.
今日のオマケ
まだまだ3月11日の地震の凄まじさを思い起こさせるQVCマリンフィールドの外周の一部 2011年5月15日撮影
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