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2011年6月 7日 (火)

小笠原道大が帰ってくる

Dsc_0033 5月13日の対カープ戦でブライアン・バリントンから左足に死球を受けて左ふくらはぎ痛で戦列を離れていたジャイアンツの小笠原道大が明日(8)から一軍に復帰することが確実になった。小笠原は6日に行われた、いわゆる第二の二軍のアマチュアとの交流試合、対JR東日本戦に指定席の「三番・一塁」でスタメン出場。安打こそ出なかったが、いつものフルスイングが出来、守備での動きも問題が無かったため、一軍復帰が決まった模様。

先のファイターズ戦での二試合連続完封負けなど、依然として打撃が低迷するジャイアンツ。坂本勇人長野久義も三番に座った途端に調子を落とすジレンマ。その影響か、四番の主砲、アレックス・ラミレスもこのところさっぱりだ。そんな打線にようやくガッツが帰ってくる。

高橋由伸亀井義行の復帰も間近と思われる。はたしてガッツの復帰と活躍でジャイアンツは浮上となるのだろうか?

(写真:510日のベイスターズ戦でチャンスに三振して引き上げる小笠原道大。この試合の敗戦後、原辰徳監督から名指しで批判され、一番打者に降格した)

もちろんただ復帰してくれるだけでは不充分。ファンやチームが待っているのは小笠原の復帰ではなく、復活だろう。

とにかく今季の小笠原はひどい。いまだかつて見たことの無い様な打撃不振。2000本安打達成まで残り11安打でシーズンに突入し、あっという間に大台に乗るかと思ったが、月が変わった5月5日、チーム17試合目にしてようやく到達という有様だった。これが記録達成へのプレッシャーだったのならば達成を機に上昇気流に乗るかとも思えたが、その後も調子は上がらず13日にはチャンスに三振の繰り返しで、チームが敗れたこともあり試合後にはついに原辰徳監督から名指しで批判された。翌14日には気分転換を兼ねて十年ぶりとなる一番打者での出場で活路を見出そうとするが、そこから三試合目にバリントンの死球を受け負傷した。

負傷の方は治療やリハビリにて回復したのだろうが、打撃不振の方はどうなのか?休養期間に不振の原因を見極め、克服する目途が立っているのか、そちらの方が問題だ。もちろん小笠原ほどの選手になると、喩え打撃で多少チームの足を引っ張ることがあっても、一塁手として出場してタイミング良くマウンド上の投手に声をかけたりとか、別の形での貢献度も見逃せない。小笠原が負傷した翌日で、まだ阿部慎之助が復帰する前の5月14日、このイニングを抑えればプロ入り初勝利の権利を得るところでピンチを迎えた小山雄輝にナインの誰もがマウンドへ出向いて声を掛けることもなく、さらし者のようにされた挙げ句、権利を得る前に降板を強いられたのを観た時、特にその思いを強くした。

しかし、そうは言っても小笠原にはやはりバットでチームを引っ張っていってもらわなければならない。

低反発の統一球導入の影響なのか、節電要請で東京ドームの気圧を自在に変えられないからかは知らないが、ジャイアンツ打線はお膝元の東京ドームですら得意の一発攻勢が出来ない。もちろん離脱前の小笠原にしても例外ではなかったが、小笠原のいないジャイアンツ打線はさらに酷いことになっていた。

自主トレの頃から小笠原を師と仰いでいた五年目の田中大二郎は残念ながらまだ一軍の投手に対応しきれなかった。ファイターズから急遽獲得した高橋信二もおよそ本来の打撃とは思えない調子で二軍に落ちた。高橋信はファームの試合でも苦しんでいる。期待の大田泰示を起用してもまだ大器の片鱗を見せない。5日にはその大田と入れ替わりに中井大介を登録して一塁手で起用したが、その日に一軍に上がってきた選手に武田勝を打てというのはそもそも無理な注文で、昨日(6日)脇谷亮太を一塁で起用する始末。しかも試合途中から谷佳知を一塁に入れる始末。誰が出ても「やっぱり小笠原じゃなきゃ…」という思いを強くするだけ。

ただ、繰り返しになるが復帰と復活は別のもの。

クリーンアップの一角に打率一割台の真ん中当たりをうろつく選手がいてはジャイアンツの浮上はおぼつかない。フルスイングのバットは空を切り、打っても内野ゴロと凡フライの繰り返しという離脱前の小笠原のVTRを見るようであれば、たとえ守備面での大きな貢献度があったとしても、意味が無い。長野を動かさず、小笠原を六番当たりで復帰させるということも考えられないことはないが、それで打線の爆発や、チーム成績の上昇が実現するとは思えない。要は小笠原がバットで結果を残さない限り、復活したとは言えないし、ジャイアンツもいつまでも勝ったり負けたりのチーム状態が続くだけだと思うのだ。いや、そうなるとジャイアンツファンのストレスが溜まるだけでかえって厄介なことになりかねない。

6日のJR東日本との試合に出場した後の小笠原は「いろんな動きが確認できました。気になる感じはなかったので、今日に限っては良かった。僕自身ではもう“いける”と思っています」と言った。また、その翌日の7日、ファイターズに二試合連続完封負けを喫した原監督は「徐々にヒットも出ているし、後は、チームを救う、男になる選手が出てこいというところ。あさってからはバンバン出てくるでしょう」と言った。この二つのコメントを総合すると、小笠原復活待望論にどうしても結びつく。もちろん、同じく復帰間近といわれる亀井や高橋由を含めてのカンフル剤としての期待なのであろうが…。ただ、チーム状態が小笠原の復活を求めていればいるほど、復活できる状態で復帰しなければ逆効果になりかねないのである。

ジャイアンツファンは小笠原のこの四年間の活躍に皆酔いしれてきたはずだ。昨年は優勝を逃したが、小笠原が移籍してきてから三年間、チームは優勝を続けた。だからこそ小笠原の復活を熱望しているのだろうが、復帰しても離脱以前のように足を引っ張る状態が続けば、いずれ小笠原バッシングが始まる。それはジャイアンツにとってもジャイアンツファンにとっても絶対に避けなければならないことだ。であれば、動きに問題が無いから小笠原を一軍に復帰させるのではなく、打撃不振から脱却できる目途が付いた時点で復帰させるのが一番なのである。おそらくは原監督以下首脳陣もその事に気付いているのだろうけれど、いかんせんそんな悠長なことを言っていられないチーム事情がある。仮に亀井や高橋由が先に復帰したとしても、小笠原の代役を務められるわけではない。

それでも小笠原が明日一軍に登録されてスタメンに復帰するのならば、もう小笠原は打って打って打ちまくり、チームに白星をたぐり寄せるしかないのである。こと野球ファンという面では我慢強い敗戦処理。ではあるが、ファンの大半が気長に復活を待つというスタンスではないだろう。敢えてチーム名と選手名は出さないが、何年か前まではチームの牽引車のようにまつられていたチームの顔が(一部のファンからではあるにせよ)完全に足手まとい的にバッシングの標的と化している例があるが、小笠原をその二の舞いにしてはならない。小笠原を孤立させるな!もちろんそのためにはくどいようだが小笠原が結果を残すしかないのだが、他の選手のがんばりと、そしてファンも「覚悟」が必要なのだろう。

 

blog5月6日付 おめでとう!小笠原道大が2000本安打達成 で引用した清原和博の祝福コメントをもう一度引用する。

「2000本打った後は、最後まで巨人のユニホームを着るという、オレにも落合さんにも張本さんにもできなかったことを成し遂げ、FA選手の光になってほしい」

(56日付日刊スポーツより)

小笠原がFA選手の光になれるかの闘いがこれから始まるのである。

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コメント

長緯様、コメントをありがとうございます。

> 最近、チャンスに打てないとかで、ジャイアンツファンの中でラミレスに対する批判が増えています。ラミレスがここ数年、どれだけチームを救ってきたかを考えれば、またチームぐるみでの貧打から低迷するチーム事情を考えれば、批判の矛先が彼だけに向けられることが正論であるとはとても思えません。

かつての落合博満ではありませんが「負けたのだから四番打者が悪い」という考え方からすれば、ラミレスに批判の矛先が向くのはわからなくもないですが、ラミレス以前に試合にすら出られない小笠原の方が責任重大でしょう。

> 長期欠場してみて、あらためて感じたことは、いまや小笠原のいないジャイアンツなんて考えられない、ということですし、そういったラミレスに対するファンの偏った声が、チームの不振が続いて今後小笠原に波及することがあったら、同じジャイアンツファンとして恥ずかしいと思います。

プロ野球は一年一年が勝負ですから、昨年までどんなに貢献していたとしても、今年ダメだったら叩かれるのは仕方ないでしょう。信賞必罰という言葉もありますし…。そういう感覚の人の事を否定はしませんが、自分は功労者には一目置くというスタンスですね。

> ファンも試されている気がしてなりません。清原和博の言葉はずしりと響きますが、万一小笠原不要論みたいなものが今後起こるとすれば、いわばファンの民度の低さを露呈するようなものと思います。

そうなる前に小笠原がバットでそういう声を封じ込めてくれると期待します。

投稿: 敗戦処理。 | 2011年6月11日 (土) 00時41分

最近、チャンスに打てないとかで、ジャイアンツファンの中でラミレスに対する批判が増えています。ラミレスがここ数年、どれだけチームを救ってきたかを考えれば、またチームぐるみでの貧打から低迷するチーム事情を考えれば、批判の矛先が彼だけに向けられることが正論であるとはとても思えません。

長期欠場してみて、あらためて感じたことは、いまや小笠原のいないジャイアンツなんて考えられない、ということですし、そういったラミレスに対するファンの偏った声が、チームの不振が続いて今後小笠原に波及することがあったら、同じジャイアンツファンとして恥ずかしいと思います。

ファンも試されている気がしてなりません。清原和博の言葉はずしりと響きますが、万一小笠原不要論みたいなものが今後起こるとすれば、いわばファンの民度の低さを露呈するようなものと思います。

投稿: 長緯 | 2011年6月10日 (金) 14時06分

ラケル様、ご無沙汰しています。コメントをありがとうございます。

こちらでもよろしくお願いいたします。

> ところで、「1番打者に降格」という表現はどうかと思います。
どんな打者にも打順の適性はあるわけですから。

今回の小笠原に関しては「一番打者に降格した」のだと思いますよ。小笠原の適性は三番に最もあると思いますし。

今日、三番で復帰したのが何よりの証拠だと思いますが…。

投稿: 敗戦処理。 | 2011年6月 9日 (木) 00時31分

新しいパソコンを買って、スペックが良くなったのでまた拝見しました。

ところで、「1番打者に降格」という表現はどうかと思います。
どんな打者にも打順の適性はあるわけですから。

投稿: ラケル | 2011年6月 8日 (水) 08時09分

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