杉谷拳士に続く男…
2日のライオンズ対ファイターズ戦でファイターズの杉谷拳士が初安打を皮切りに二本の安打を放ち、盗塁も二度成功していずれも得点となり、ヒーローインタビューまで受け、今日(3日)は初のタイムリーも放った。好調ファイターズを支える選手供給源としての鎌ヶ谷がまた注目を浴びているが、杉谷の活躍に刺激を受け、杉谷に続くような活躍でアピールをし続けている選手がいる。ファイターズの選手ではないのだが、ベイスターズの北篤だ。投手として入団したものの野手に転向。昨年は杉谷とともに従来のイースタン・リーグにおける年間の安打記録、125を更新する勢いで打ちまくったがあと一本届かなかった。ただ打率では杉谷を上回るリーグ2位の.320を記録した左の好打者だ。今日(3日)も「三番・DH」で登場。
(写真:先制の左中間二塁打を放った北篤)
ベイスターズでは期待の和製大砲候補、筒香嘉智が手首の手術を受けることになって離脱したのでファーム観戦の楽しみが減ったが、北が昨年に続いて安定した打撃を見せているのも見どころ。今年も7月2日現在で打率三割を超えてリーグ5位。本来なら安打製造器タイプの北を三番、大砲の筒香を四番に置いて育てたいところだろうが、筒香不在のため、現状は一軍から落ちてきた吉村裕基が四番に座っている。 北は七回の打席でも左対左となる根本朋久との対戦で、しぶとく二塁への内野安打を放ち、四番の吉村につないだ。ファイターズとしては左の根本で1イニングを投げきりたいところだったが二死一、二塁で右の吉村を迎えることになって右の榎下陽大をつぎ込まざるを得ない展開となった。 ファイターズは中村が6回を1失点に抑えた後、根本、榎下で七回を凌ぎ、八回には菊地和正をつぎ込んだが、同点の九回表、ベテランの木田優夫を投入した。 木田は先頭の山崎憲晴に右翼線の二塁打を打たれ、いきなりピンチ。1点も与えられないピンチで、ベイスターズは打順が一番に回り梶谷隆幸。バントの構えからファイターズのバントシフトに対応してバスターで打球を引っ張ると前進守備の一塁岩舘の前に打球が飛んだが、三塁送球を焦った岩舘がボールを取り損ない、オールセーフで無死一、三塁となった。スコアボードを見ると失策が記録された。バントシフトに対してバスターで引っ張られた打球なので責められない感もあったが、ファイターズはピンチを拡げた。 無死一、三塁となって荒波。ここでもファイターズは当然内野は前進守備。荒波の打球は前進守備の二塁手、加藤政義の正面のゴロでさすがに三塁走者の山崎も本塁突入を自重したが、打球を処理した加藤政が目の前にいた一塁走者にタッチをしようとし、走者に一塁方向に戻られると送球せずに追いかけ、三塁走者の離塁が大きくなったと見るや三塁に送球するが素早く帰塁され、結局無死満塁となった。スコアボードを見ると、フィルダースチョイスが記録された。確かに三塁走者がホームに走らなかったのだから、一塁走者か打者走者をフォースアウトに出来たはずだ。ただこの場面、シフトとしてあくまでも三塁走者のホームインをさせないことを最優先に考えているのだから、加藤政の判断は必ずしも間違いではなかったと思う。一塁走者や打者走者をアウトにしても勝ち越しの走者にホームインされては意味が無いのだから…。 無死満塁とファイターズからすれば絶体絶命のピンチで打席には北。外野フライでも勝ち越せる場面で北が思い切りよく振り切った大飛球はライトのポール際に飛び、外野フライどころか…という打球だったが切れたようでファウルだった。 これで命拾いした木田は伝家の宝刀フォークボールで北を三振に仕留め、ようやくワンアウト。 公認野球規則七.〇五 次の場合、各走者(打者走者を含む)は、アウトにされるおそれなく進塁することができる。 <<中略>> (f)二個の塁が与えられる場合-フェアの打球が、 (1)バウンドしてスタンドに入るか、または野手に触れて進路が変わって、一塁または三塁のファウル線外にあるスタンドに入った場合。 (2)競技場のフェンス、スコアボード、灌木、またはフェンスのつる草を抜けるか、その下をくぐるか、挟まって止まった場合。 ベイスターズはなおも一死三塁と追加点の好機であったが、続く井手正太郎の真正面の投ゴロに何故か三塁走者の吉村が飛び出してしまいタッチアウト。それでも勝ち越し3点タイムリーの吉村はベンチに戻る際にベイスターズファンから大きな拍手を受けていた。 結局1対4となり、前の回の途中からマウンドに上がったハミルトンが九回裏の淡泊なファイターズ打線の攻撃を簡単に三人で退け、接戦を制した。 【3日・ファイターズスタジアム】 B 000 010 003 =4 F 000 000 010 =1 B)国吉、大沼、王、○ハミルトン-黒羽根 F)中村、根本、榎下、菊地、●木田-今成、荒張 本塁打)両軍ともなし 九回表の得点シーンは内野陣に足を引っ張られた感じもあってマウンドの木田には気の毒な点もあったが、そもそも1点を与えられない回の先頭打者にいきなり得点圏まで進められる二塁打を打たれた木田の責任が大だろう。岩舘のエラーも、加藤政の野選もいわゆる怠慢というか、後ろ向きのミスではない。勝ち越しの走者を意識しすぎたあまりのミスである。スタンドからは一塁が市川卓で二塁が杉谷拳士だったら違っただろうという声もあったがそういう問題でもない。先頭打者に簡単に打たれ、最後もせめて外野フライとか最少失点なら裏の反撃にも期待出来たところで外野手の頭を越される長打。木田は期待外れだった。 そしてもう一人気になったのが試合途中から今成亮太に代わってマスクをかぶった荒張裕司。 1点を何とか阻止したい九回表、先頭打者に二塁打を打たれた無死二塁から、刻々と代わる状況にその都度長時間三塁ベンチをのぞき込み、指示を理解してから内野陣にそれを伝える。慎重を期さなければならない場面で、他の捕手でもベンチの指示を仰ぐケースかもしれないが荒張は確認を取るのに時間を要しすぎ。 北は結局4打数2安打。最後の無死満塁で犠牲フライが打てていれば申し分ないところだったろうが…。 ただちょっと残念なのが、DHとしての出場だったこと。2010年を例に取ると、二塁手として89試合、一塁手として14試合に出場の他、三塁手として1試合、外野手として12試合出場。今季もポジション別で最も多いのが二塁手としてで32試合だが、一塁手としては既に昨年と同じ14試合、外野手としては昨年を上回る20試合に出場とポジションが一定しないのだ。球団方針でオールラウンドプレイヤーを目指しているというのならそれでもいいかもしれないが、どうなのだろうか…。ましてや今日はDH。 杉谷拳士に続く…は敗戦処理。の思い込みに過ぎないかもしれないが、ベイスターズのファームで一軍に近い位置にいることは間違いないだろう。 今日は日曜日にもかかわらず、観衆は千人を割る817人。昨日に続く猛暑に、一軍が同じ関東圏の西武ドームで試合を行っている影響もあったろう。敗戦処理。自身、予定より家を出るのが遅れ、11:30鎌ヶ谷駅発のシャトルバスに乗るのがやっとで球場着も開門の後だった。 しかし珍しく、土日恒例の選手サイン会の整理券をゲット出来た。到着時に既にサイン会を開始していたので「今日は誰かな…」とのぞいていたら、いつも観戦時にお世話になっているファイターズ鎌ヶ谷の会の広報のHさんから「今日はまだ券があるみたいですよ」とのことだったので即並んだ。 スタンドも席に余裕があり、三塁ベンチ上の前から二列目を確保して撮影に備えることができた。 昨日2日が土曜で746人だったからそれよりは多いが、日曜日にしては少なかった。斎藤佑樹がいないからというなかれ。暑さで断念した人が多かったのだろう。そんななか集まったファイターズファンを満足して帰らせる試合とは言えなかった。 今日はファイターズの先発が中村勝で、ベイスターズの先発が国吉佑樹。ファイターズの中村は制球が不安定ながらなんとかベイスターズ打線を抑えている感じで、育成選手の国吉も好投を続け、0対0という状態が続いていたが、五回表、二死から二番の荒波翔が四球を選んで出塁し、盗塁に成功した二死二塁で、北が振り抜いた打球は左中間を深く破り、先制の一打となった(冒頭の写真)。
この回は吉村が凡退して無得点だったが、相手の継投を狂わせるこういう一打は直ちに得点に結びつかなくても、後で響くことが多いのだ。
試合は北の一打をベイスターズ投手陣が守り抜く展開だったが、ファイターズが八回裏、先頭の中島卓也の安打を皮切りに二死三塁として右打者の岩舘学、尾崎匡哉と続く場面で、このイニングで2イニング目のサウスポー、王溢正(ワン・イイゼン)から右のクレイトン・ハミルトンにスイッチした。
この時、一塁側のベイスターズ側のスタンドからは「代えるな!」、「ここで代えるから育たないんだよ!」、「うるさい!」などとベイスターズファン同士と思われる怒号の飛び合いが起きていた。
ここで岩舘がしぶとく三遊間を破る安打を放って中島を迎え入れ、ファイターズは1対1の同点に追いついた。
ここはさすがにくぐり抜けてきた修羅場の多さがものを言った感じだったがなおも一死満塁で吉村。ピンチは続く。
吉村が振り切った打球はライトの頭上を超え、ライトのフェンスと金網の間に挟まった…ようにおそらく誰の目にも見えた。一瞬間を置いてライトの関口雄大が飛び上がってフェンスと金網の間に挟まった打球をもぎとって内野に返球するが満塁の走者は全員生還し、吉村も三塁に達するタイムリー三塁打となった。1対4。
五十嵐信一監督が出てきて原信一朗球審、ついで小林達郎一塁塁審に抗議するが特に判定は覆らなかった。おそらくは五十嵐監督の抗議は、ボールが挟まった時点でボールデッドであり、エンタイトルツーベース的扱いになるから一塁走者の生還と打者走者の三塁進塁は認められないという抗議だろうと推測するが、認められなかった。そして例によって、この判定や抗議に関する放送による説明は一切なし。
(写真:フェンスと金網の間に挟まった打球をもぎ取って返球するライトの関口。抜き取った後なのが残念な一枚<苦笑>)たしかに打球はフェンスと金網の間で挟まってその場所にとどまった。これがエンタイトルツーベースになるのであれば、ライトの関口がすぐに抜き取ったことによって単なる打球静止と判断されたのか?野球は審判の判定に基づいて進行する競技であるから、審判がボールデッドの判定を下さない限りライトの関口が抜き取った行為は責められまい。放っておけば打者走者の吉村まで生還しかねない。
マウンドの木田が手持ちぶさたにしているようにも見えたほどだった。荒張はまだ入団二年目で22歳の捕手だが、ファイターズ入団前には四国九州アイランドリーグの徳島で2009年にはチームの全80試合に正捕手としてマスクをかぶったということなので実戦慣れしているのかと思っていたが、少なくとも敗戦処理。が観た試合に関してはまだ司令塔と呼ぶにはほど遠い感じがする。
投手で二年、野手三年目のまだ23歳。球団もじっくり適性を見極めようというところなのだろうか?
サインをしていたのは運天ジョン・クレイトンと植村祐介の両投手。以前に撮影した写真にサインを書いてもらった。非常にありがたい。
昨日の時点でイースタン・リーグでは2位のスワローズに5ゲーム差をつける首位のファイターズ。今日はたまたま悪かったのだろう。しかし敗戦処理。にとっては鎌ヶ谷での生観戦はゴールデンウイークから三連敗となった。トホホ…。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント