マリーンズの角晃多、結局支配下選手登録されず
NPBは昨日の7月31日をもって、各球団の今季のトレード、新外国人選手獲得、育成選手からの支配下選手登録を締め切った。十二球団すべてが開幕以降に何らかの補強をするなど動きが活発だったが、十二球団合計で8人の育成選手が支配下選手登録される中で、早くから注目されていたマリーンズの角晃多は残念ながら支配下選手登録が見送られた。元ジャイアンツ、ファイターズ、スワローズの角三男(盈男)の息子として注目され、今季は一時イースタン・リーグで打率1位を争い、先日のフレッシュオールスターでも2安打1打点と活躍してアピールしたが…。
(写真:ビジターのファイターズスタジアムのネット裏で息子の角晃多のプレイを見守る父・角盈男 2011年5月撮影)
マリーンズで育成選手から支配下選手登録されて活躍といえば、目下売り出し中の岡田幸文。昨年の春先に育成選手から支配下選手登録されると、その俊足を活かした広い守備範囲でマリーンズファンを魅了し、相手チームのファンに地団駄を踏ませる岡田。昨年の日本シリーズでは同僚の清田育宏とともに西村徳文監督が推し進める野球の申し子のように暴れまくり全国の野球ファンに印象づけた。マリーンズファン、特にロッテ浦和球場を始めとするファームの試合に注目するファンは角に、岡田に続けと期待していることだろう。
マリーンズは4月の開幕前に投手のカルロス・ロサを獲得したり、サブローを放出してジャイアンツから工藤隆人を獲得したり、昨年ベイスターズでプレイしていたホセ・カスティーヨを獲得するなど積極的な補強を見せたが、角晃多の支配下選手登録は見送られた。竹原直隆を見返り交換相手なしでトレードに出し、シーズン前に獲得した新外国人のボブ・マクローリーが故障するや自由契約にするなど、支配下選手の人数が上限の70人を超えないよう調整していたので、時期を見て角を支配下選手登録するものとばかり思っていたが、結局支配下選手登録69人のまま締切を過ぎた…。
なお育成選手三年目の角は規定により今シーズン終了後自由契約選手扱いになる。
三年経過で自由契約にするというのはいわゆる飼い殺しを防ぐ意味もある。ジャイアンツの育成選手のように契約を更新して四年目を迎えている選手もいる。角が今シーズン後に戦力外になる可能性は低いと思う。仮にそうなったとしても声をかける他球団がでてくるだろう。まだ高校を出て三年の選手だ。二塁の守備にまだ危なっかしい面があるものの、食らいついていく打撃はなかなか見どころがあると思う。
その打撃も一時はイースタン・リーグでファイターズの杉谷拳士らと打率1位を争う位置にいたが、「いよいよ支配下選手登録か」という声がチラホラしだした6月頃から角の打撃が急降下。イースタン・リーグ開幕から約2ヶ月半が経過した5月31日時点で.311あった打率が7月31日時点で.281にまで下降した。6、7月の二ヶ月間の打率は.250に過ぎない。これではファームを預かる高橋慶彦監督も二の足を踏むだろう。
ただ、ジャイアンツ、ホークスとともに育成選手制度を有効に活用している感のあるマリーンズなので、角を筆頭に育成選手が続々と支配下選手登録されるようであれば、マリーンズの選手間での競争が激しくなり、当然一軍にもその効果は現れ、二強四弱がはっきりしているパ・リーグを活気づける契機にもなりかねないと敗戦処理。は妄想していただけに角の登録見送りや、その原因と推測される伸び悩みは残念でならない。
余談だがマリーンズには角以外にも、元ホークスの定岡智秋の息子、定岡卓摩もいる。定岡智秋の息子ということは元ジャイアンツの定岡正二の甥でもある。最初に入団したホークスからわずか二年で戦力外通告を受けた際には選手としての将来性以外に素行によるものが取り沙汰され、球団フロントで野球教室などに携わっていた父の智秋も同時に退団して波紋を呼んだ。定岡正二の甥と角三男の息子がプレイしているチームに西本聖がコーチで所属しているのだから面白い。ちなみに宮本裕司という捕手兼外野手がいるが、元ジャイアンツの宮本和知と血縁関係はないそうだ。残念。
(写真:相手投手の投球練習を見て待機する定岡<左>と角<右>) 他にも大嶺祐太と弟、翔太が兄弟で在籍し、ジャイアンツの上野貴久の弟の上野大樹、バファローズの香月良太の弟の香月良仁と、○○の弟が多いチームだ。かくなるうえはOBの倉持明の娘にも触手を伸ばして欲しいものだ。過去には陸上競技の選手、東大出身の選手、元力士を獲得した球団だけにNPB初の女性のプロ野球選手獲得はマリーンズに達成して欲しいところだ。
ところで冒頭の写真はマリーンズの本拠地ではなく、マリーンズにとってはビジターになるファイターズスタジアムで撮影したものだ。角の父が座っていた席はファイターズスタジアムの年間予約席で30席弱しかない席。年間で50,000円の席だ。撮影した試合以外でも目撃例はあるが、マリーンズ戦以外での目撃例がないことと、途中で席を移動したりしていたところをみると、角の父がその席を契約しているのではなく、「契約者が来なかったら…」と球団(マリーンズでなくファイターズ)が配慮したのではと推測している。ファイターズOBでもあるし…
今回、支配下選手登録が見送られた背景はもう一つ考えられる。
角が守る二塁のポジションには不動のレギュラー井口資仁がどっしりと構え、ファイターズから移籍の高口隆行や、根元俊一、渡辺正人がいる。現状の支配下選手で今季をやり繰りできると判断されたのだろう。だが前述したように、角の今季が終わったわけではない。岡田のように来シーズンの春先に支配下選手登録を勝ち取って暴れ回れるよう、今季の残りのシーズンをしっかりと鍛錬の場として欲しい。まずは春先の打棒を取り戻したいところだろう。
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