ユニフォームを復刻しない球団
拙blog8日付 バファローズが阪急に続き今度は近鉄を復刻 ではバファローズ球団が1970年代の近鉄バファローズを復刻させたことに関して異議を唱えたが、実は球団の歴史の1ページを飾る懐かしいユニフォームをいまだ復刻しない球団が(2005年に新規参入したばかりのゴールデンイーグルスは別として)ある。
それは敗戦処理。が愛して止まない北海道日本ハムファイターズである。
前身の東映や日拓ホームの時代はおろか、後楽園球場や東京ドームを本拠地にしていた頃のユニフォームすら復刻していない。もちろん前述のエントリーで述べたように何でも復刻すればよいとは思っていないが、多くの球団で、球団の歴史を振り返る試みがなされている中で、一球団だけしないのは何か理由があるのだろうか?
(写真:昨年1月の「プロ野球OBオールスターアスリートカップ セ・パ対抗戦」にファイターズ在籍時代には着用していない北海道移転後のユニフォームで参加した高代延博=左端。ちなみに中央はライオンズ石毛宏典、右端は元ブレーブス松永浩美)
何年か前に、試合前の練習でズボンだけ東京時代のものを着用して練習するというよくわからない復刻のようなことがあったと記憶しているが、それ以外ファイターズ球団はユニフォームの復刻をしていない。昨年セ・リーグは三試合同時に復刻ユニフォーム同士で対戦するという企画が行われたが、パ・リーグでは行われなかった。まあゴールデンイーグルスが歴史が浅いからと言ってしまえばそれまでだが、もしもパ・リーグでその種の企画が計画されたらファイターズはどんなスタンスを取るのか?
今回のバファローズ球団が70年代を復刻する趣旨ながら猛牛マークのユニフォームを復刻しないのは権利関係がクリアされていないからだと専ら言われているが、ファイターズの旧東京ユニフォームなどにも複雑な権利関係が絡んでいるのだろうか?
好意に考えれば、北海道に移転してからまだ歳月が浅いので過去を振り返るにはまだ早いという球団の方針で、例えば移転十周年あたりのアニヴァーサルイベントまで暖めているとか…。
悪意に考えれば、かつてのライオンズ球団がそうだったと言われるように、過去を無かったものにしたい。もう生まれ変わったのだから過去を振り返る必要は無いという考え方。
後者を連想させるのは、球団単位で復刻企画をしないと言うだけでなく、ファイターズの東京時代に所属していたOB達がOBとして出場するイベントなどでも北海道移転後のユニフォームを着ているからだ。
映像がないのだが、2006年のオフだったか、ファイターズのOBとジャイアンツのOBがOB戦を行ったときでも東映フライヤーズ時代のOBを含め、北海道移転後のユニフォームで統一していたし、大沢啓二監督の下、1981年の優勝メンバーの一人である村上雅則が札幌ドームで始球式をしていたときも北海道移転後のユニフォームだったし、昨年の正月、1月2日に東京ドームで行われたプロ野球OBクラブ主催のOB戦でも、やはり大沢監督の下でプレイしていた高代延博が違和感ありまくりの北海道ユニを着用していた(冒頭の写真)。
そしてその大沢親分自体もOBクラブが力を入れていた毎年5月5日のこどもの日の野球教室では北海道ユニで指導しているのだ。
(2010年10月10日のTBS系「サンデーモーニング」より)ちなみにファイターズが東京ドームを本拠地にしていた頃の2003年の5月5日には監督時代のこの格好。
冒頭の「プロ野球OBオールスターアスリートカップ セパ対抗戦」では東映フライヤーズOBの尾崎行雄は東映時代のユニフォームを着ていた。
前出の村上雅則に至ってはサンフランシスコ・ジャイアンツのユニフォームで登場し、日本人大リーガー第1号の貫禄を見せていた。
が、試合の最後を締めくくった岩本勉と大宮龍男のファイターズOBコンビのバッテリーは北海道移転後にはぱっとせず、東京時代の主力選手という印象が強い岩本だけでなく、後楽園時代の大宮も北海道ユニだった。
冒頭の写真には高代とともにライオンズOBの石毛宏典と旧ブレーブスOBの松永浩美が写っているが、当然ながら現役時代のユニフォームだ。
ここまで頑なにファイターズ球団が東京時代のユニフォームを否定しているのは不自然だし、ある意味東京時代のファンに対して不誠実である。
ファイターズタウンが千葉県の鎌ヶ谷市に定着し、年に8試合、東京ドームでホームゲームを行うことで辛うじてこの球団が長く東京を拠点に活動していた名残を示しているが、敗戦処理。が上記別エントリーで書いたような、オリックス・バファローズ球団への疑念に近い不信感をいささかとはいえ持たざるを得ないのである。
オリックス・バファローズが、球団合併の際に旧バファローズ球団を吸収する立場であるが故に鈴木啓示の永久欠番廃止を含む球団の尊厳を蔑ろにしていたにもかかわらず、何の反省のそぶりも見せずにユニフォームを復刻などと言っていることに敗戦処理。は異議を唱えているが、振り返って自分の贔屓球団を見ても決して胸を張れる状況ではない。
ネガティブな面があったから身売りをしたり移転をしたりするのだろうが、だからといってその事実を否定することがまかり通ってはならないのである。ブームに乗って復刻してグッズで商売するのも如何なものかと思うが、その復刻すら頑なに拒むのも明らかに違和感がある。ライオンズのように早くその過ちに気付いて方針を改めて欲しいものだ。
8月27日追記
当エントリーを読んでくださったファンタスティックピッチングマシーン中島勇二さんがツイッターで補足してくださいましたが、「試合前の練習でズボンだけ東京時代のものを着用して練習するというよくわからない復刻のようなこと」は2005年の札幌円山球場での対スワローズ交流戦の練習で、ズボンではなく旧東京ユニフォームの上着だけ着用したとのこと。ご指摘感謝。
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コメント
いしはら@帯広様、お久しぶりです。コメントをありがとうございました。
> ファイターズは元の本拠地である東京ドームで試合を行っているではありませんか。
昔のユニフォームで試合してくれるより元の本拠地で試合をしてくれるほうがよっぽど誠実だと思いますよ。
ライオンズもホークスも移転後も平和台でも大阪球場でも主催試合は行っていないはずです。それに比べれば天と地の差があると思います。
なるほど。確かにその点ではライオンズやホークスのファンよりは恵まれているかもしれませんね。
ライオンズの移転後の平和台での試合はビジターでしたね。オリオンズなどは年間の対ライオンズ主催試合の半数近くを平和台に持って行った年があったように記憶しています(半期だったかな…)。
ただライオンズやホークスの場合は明確に親会社が変わりましたからね。
ファイターズが日拓や東映以前の球団はまだしも日本ハムになってからの東京ユニを復刻しないのは不自然だと思っていたのですが、エントリーで触れたOBの試合でも他球団のOBは大半が現役時代のユニフォームで出場しているのに大宮、高代あたりが北海道ユニで出場する姿に恣意的な感じを受けざるを得ませんでした。それゆえに「不誠実」という表現を用いたといったところです。
> (その分北海道の試合が減るのでこちらの野球ファンとしては複雑なんですけどね)
在京ファンとしては何とか現状の8試合を維持したいですね。平日オンリーになったのは諦めますが<苦笑>。
投稿: 敗戦処理。 | 2011年8月30日 (火) 01時27分
こんばんは、ブログの更新を楽しみにしています。
今回ユニフォームの復刻をしないことは東京のファイターズのファンに不誠実とのことですが、私はそうは思いません。
昨今の復刻ユニフォームはただグッズ収入目当てな気がするからです。(すみません根拠はありません)
ファイターズは元の本拠地である東京ドームで試合を行っているではありませんか。
昔のユニフォームで試合してくれるより元の本拠地で試合をしてくれるほうがよっぽど誠実だと思いますよ。
ライオンズもホークスも移転後も平和台でも大阪球場でも主催試合は行っていないはずです。それに比べれば天と地の差があると思います。
(その分北海道の試合が減るのでこちらの野球ファンとしては複雑なんですけどね)
投稿: いしはら@帯広 | 2011年8月29日 (月) 22時51分