巨人軍新人テストを見物した。
谷内田敦士が合格したとき以来だから、ジャイアンツの新人テストを見るのは四年ぶりになると思う。
だいたいの流れを追ってみよう。
8月1日に球団公式HPにて入団テストの概要が発表された。応募資格は例年同じだと思う。18歳から22歳の男子で、各所属連盟との退部手続きが済んだ者ということになっている。女子プロ野球リーグが出来ている時代に、応募資格を男子に限定しているのは男女雇用機会均等法に抵触するのではないか<!?>というのはさておき、書類審査がないので、資格を満たしていれば誰でも挑戦できるということになる。それを考えれば68人という数字は少ない様な気がする。また以前は関西地区でも別途実施していたように思うが、このHPでの告知においては触れていない。
5人1組で走る最初の50m走(冒頭の写真)と、2人1組で交互に投げる遠投テストは全員が受けられる。50m走は一発勝負、遠投は1人2投。
50m走ではかなりフライングっぽいスタートを切る受験者が散見されたが、失格になったり再スタートと言うことはなかった。ゴール地点に球団職員が複数いて、それぞれ担当を決めてストップウオッチで計測。6.3秒以内が合格だそうだ。遠投は95m以上。
四年前とその前年に観た時には、冷やかしとまでは言わないが、思い出作りのために応募しているような受験者が見受けられた。5人1組の50m走で一目瞭然になるのだが、今年は気付かなかった。それでも68人いた受験者がこの2種目を経て投手17人、野手10人に激減する。またジャイアンツ球場のスタンドを開放。受験者の身内が大半と思われるが、中には敗戦処理。のような野次馬も混ざり、100人弱が見物していた。
なお新人テストは球団のスカウト部が中心に行っている。東京ドームで14時開始のデーゲームを行う一軍首脳陣や、横須賀スタジアムで13時開始のデーゲームを行うファームのコーチ陣は当然いない。サブグラウンドに吉原孝介育成チーフコーチや上田和明育成コーチの姿を見かけたからいわゆる「第二の二軍」は試合を行っていないようだが、育成担当コーチらが入団テストに関わることはなかったようだ。
練習中スタンドを通った上野貴久は「お前もテスト受けるか?」、「楽勝ですよ!」、「容赦なく落とすぞ」などとグラウンドのスカウト達と話していた。
懐かしい人を見つけた。
長嶋茂雄監督のそばにいつも付き添っていた小俣進元監督専属広報だ。長嶋監督がユニフォームを脱いで終身名誉監督となって大病を患った後も付き添っていたが、スカウトに異動になっていたのだ。
スカウト部主体だから、井上真二と大森剛のツーショットなどというある種のお宝シーンも観ることが出来る!
ここから先は投手はライトの奥のブルペンに入り、投球のテスト。
チェックする側は外からスピードガンなどでチェック。しかし残念ながら、17人残っていた投手の中から合格者は出なかったようだ。
野手は各ポジションに散らばりノックを受けた。内訳は捕手2人、一塁手1人、二塁手1人、三塁手1人、遊撃手2人、外野手3人。ノッカーは自ら「三年ぶりかな」と言っていた井上真二スカウト。
藤田元司監督時代に緒方耕一とともに「熊本工コンビ」として話題を呼んだ右の大砲。いよいよレギュラーかなという矢先にタイガース戦でマット・キーオから頭部に死球を受け、以後精彩を欠いたのは有名。
内野手の受験者は各ポジションについてノックを受ける他、元投手の織田淳也スカウトが二塁ベースにはいって併殺プレイを想定したノックも受けていた。
外野手は打球に関する追い方の他、二塁、三塁、ホームへの送球もチェックされていた。捕球はともかく、送球が逸れるケースが散見されたのは残念だった。
捕手は主にスローイングがチェックされたようだ。
井上スカウトでは高いキャッチャーフライを打ち上げられないのかもしれない…
この後は打撃テスト。投手役は打撃投手が務めるのかと思ったが、Tシャツのタグから判断するに、昨年まで現役だったブルペン捕手の小田嶋正邦。
1人5スイングでテストされる。野手の10人が一通り打ち終わった後、半数の5人が再テスト。最初の5スイングはすべてストレートだったのだが、選ばれた5人はストレート3、カーブ2で再度5スイングテストされるのだ。
小田嶋大丈夫か?というか投げているのは本当に小田嶋なのか<笑>!?
これで全メニューが終了。
審査が行われている間、選手達はレフトで待機。そして合格発表。
捕手をしていた1人が合格したようだ。スローイングも俊敏だったし、打撃ではパンチ力を発揮していた。
なお受験者の中には関西独立リーグ、紀州レンジャーズの太田智之内野手と思われる姿があった。
「野球小僧世界野球選手名鑑2011」(白夜書房刊)の関西独立リーグの項目で取り上げられている6選手の中の一人。年齢が応募資格を超えているが、それほどの逸材だけに特別枠か?
子供の頃から野球に目覚め、プロ野球に、そしてジャイアンツのユニフォームに憧れてその夢が叶うかもしれない新人テストのそれも最終最終チェックで、ノックをするのも専門外なら投手役も元捕手。これは最終段階まで残った受験者達には残念ではないか?正確なテストになるのかと言う疑問も残る。どこよりも多い打撃投手を抱えるチームなのだし、上田和明育成コーチは実際にサブグラウンドでノックをしていた。
進行役の説明が、四年前の命令口調から丁寧語主体に変わっていたのには好感を持ったが、正確なテスト、最後まで残った受験者への配慮という意味でも本職によるテストを実施して欲しかった。
四年前にテストに合格した谷内田が育成選手からいまだに脱却できないのを見ても解るように、狭き門である上にそれでも育成選手契約が精一杯。今日の59番がジャイアンツの一員になったら注目していきたい。
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コメント
ヨシ様、初めまして。コメントをありがとうございました。
> 59番の選手が合格したようですが、指名されるといいですね。
巨人の捕手は数が多いのですが、将来生重視ということで高校生だったのかなあ。
59番の人のプロフィールなどはわかりませんが、捕手だからと言うより、今日の受験者の中でジャイアンツの求めるレベルに達していたから合格したのだと自分は思います。
もちろんジャイアンツの捕手は、正捕手阿部はもちろんのこと、一軍でマスクをかぶる阿部以外の捕手もことごとく三十歳代。唯一市川が二十歳代で、期待の星孝典はシーズン中ながらトレードされました。
その市川が、この入団テストが行われた日には二軍の横須賀メンバーにも選ばれず、育成選手達に混ざってジャイアンツ球場のサブグラウンドで練習していたのも象徴的な気が…。
谷内田の例もあり、ドラフトで指名されても育成選手契約スタートかもしれませんが、ジャイアンツの一員になったら注目していきたいですね。
ありがとうございました。またいつでも遊びにいらして下さい。
投稿: 敗戦処理。 | 2011年9月13日 (火) 13時01分
巨人の入団テストの様子、なかなか興味深かったです。
59番の選手が合格したようですが、指名されるといいですね。
巨人の捕手は数が多いのですが、将来生重視ということで高校生だったのかなあ。
投稿: ヨシ | 2011年9月13日 (火) 00時51分