鎌ヶ谷ファイターズの夢、またもあと一歩届かず…
イースタン・リーグ優勝のファイターズとウエスタン・リーグ優勝のドラゴンズがファームの日本一を賭けて対戦したファーム日本選手権が8日、宮崎県のサンマリンスタジアム宮崎で開催され、ファイターズの日本一を願う敗戦処理。も現地観戦を果たした。ファイターズは0対4から終盤に反撃を開始し、1点差に迫ってなおも一打サヨナラの場面までいったがあと一歩届かず。ドラゴンズが2年ぶりにファーム日本一に輝いた。
中日ドラゴンズ、ファーム日本一達成おめでとう!
北海道日本ハムファイターズのファームの選手達、スタッフの皆さん、ギリギリの人数での闘いに耐え、よくここまで、最後まで全力で好ゲームを魅せてくれた。本当にありがとう!
(写真:ファーム日本選手権を制し、ナインから胴上げされるドラゴンズの井上一樹二軍監督)
毎年、地方球場で一試合勝負で行われるファーム日本選手権。今年は7年ぶりにサンマリンスタジアム宮崎での開催。ファイターズは前回この球場でファーム日本選手権が開催された2004年以来のイースタン・リーグ優勝で、相手は奇しくも7年前と同じドラゴンズ。
敗戦処理。もサンマリンスタジアム宮崎で試合を観戦するのはその時以来。まだファイターズのファームの胴上げシーンを観たことがないので、今日は7年前のリベンジを果たして五十嵐信一監督の胴上げを観たいところだ。
と、敗戦処理。が気合いを入れて宮崎に飛んだのだが、空港にはファーム日本選手権のポスターなどの告知物は見当たらず、10日からスタートする秋季教育リーグ、フェニックス・リーグの開催を告知するペナントが掲げられていたくらい。
そんな感じだから宮崎空港から球場までのシャトルバスの運行もなく、片道310円の路線バスでスタジアムまでたどり着いた。
7年前には開放されなかった外野席が開放され、普段鎌ヶ谷で応援活動をしているメンバーはライトスタンドから声を張り上げていた。
既に昨日(7日)の時点で発表されていたが、ファイターズの先発は吉川光夫でも、中村勝でもなく矢貫俊之。一軍で2日にブライアン・ウルフが負傷して先発ローテーション投手が不足するので吉川か中村のどちらかが一軍に呼ばれるだろうとは思ったが、矢貫の先発は意外に感じた。
一方のドラゴンズの先発は大野雄大。昨年、大石達也に6球団、斎藤佑樹に4球団の指名が集中したドラフト1位でドラゴンズが単独指名した佛教大学出身のサウスポー。大学時代の左肩痛でもともと今年一年は球団も計算に入れていなかったが、最近の報道ではスワローズと激しい優勝争いを繰り広げているドラゴンズの切り札的に一軍登録もあるとのことだったが、この大一番の先発を任された。
そして相変わらずファイターズは人がいない。
関口雄大と入れ替わって一軍から落ちてきた鵜久森淳志は今季はイースタンでの出場期間が短く、このファーム日本選手権の出場資格を満たせなかった。この宮崎で10日からフェニックス・リーグが行われるから一緒に宮崎に来ていたのであろう鵜久森は、試合前のアオダモ植樹セレモニーには参加していた。
スタメンはこれまた既に発表されたとおり。
ドラゴンズ
(二)岩崎恭平
(遊)谷哲也
(指)野本圭
(三)柳田殖生
(一)福田永将
(左)小池正晃
(右)藤井淳志
(捕)前田章宏
(中)中村一生
(投)大野雄大
ファイターズ
(指)西川遥輝
(右)村田和哉
(三)市川卓
(捕)渡部龍一
(中)松坂健太
(左)谷口雄也
(二)荒張裕司
(一)浅沼寿紀
(遊)中島卓也
(投)矢貫俊之
ファイターズは村田和哉が出場資格を満たしていたのがせめてもの救い…。なお試合前のセレモニーでベンチ入り選手が整列したので確認してみたら、野手の控え選手は大平成一と佐藤賢治の二人だけ。ドラゴンズ先発のサウスポーの大野に投げ続けられたら、ファイターズのベンチに右打ちの野手はいない。ジャイアンツとの天王山の試合前に熱心に打撃練習をしていたウィルフィン・オビスポや昨年代打に出てタイムリーを放った松家卓弘は投手としてもベンチ入りしていなかった。
また、捕手登録の二人がそろってスタメンに出ているため、攻撃中の投手の投球練習の相手を大平と佐藤が交代で務めていた。
ドラゴンズ打線は初回から矢貫に襲いかかる。
一死から谷哲也が三遊間に内野安打で出ると、続く野本圭がレフト前に。ダイレクトキャッチを試みて諦めたレフトの谷口雄也がワンバウンドで後逸する間に谷が一気にホームインでドラゴンズが先制。さらに一死三塁で、柳田殖生が二塁ゴロ。二塁を守るのは捕手が本職の荒張なので極端な前進守備を取れず、三塁走者はホームへ。仕方ないなと思ったらこの打球を荒張がはじき、しかも一塁送球が大きく逸れる。早くも2点を先制された。普段イースタン・リーグなど観ない宮崎のファンは「これが本当にイースタン・リーグで優勝したチームなのか?」と思ったことだろう。
その裏、ファイターズは先頭の西川遥輝がレフト前に運んで無死一塁とするが、続く村田和哉が自分も生きようとするバントをして捕邪飛に倒れると、後続も倒れ無得点。これで大野は波に乗る。
矢貫は二回、三回とドラゴンズ打線を三人で片付け、自分のペースを取り戻したかと思ったが、ファイターズベンチは四回から土屋健二にスイッチ。
土屋は先頭の福田永将に三遊間を破られ、続く小池正晃にレフトの頭上を越える二塁打を打たれて無死二、三塁とされると一死から前田章宏に高々とセンターに犠牲フライを打たれて3点目。
大野に打線が抑えられている事を考えると、かなり苦しい展開だ。
土屋は2イニング目の五回表、二死から連打で一、三塁とされたところで植村祐介に交代。ここは植村が福田を三振に仕留めてピンチを切り抜けるが、植村が2イニング目の六回表に前田にソロ本塁打を打たれ、0対4とされた。正直、これがとどめの一発と思ったファンは少なくなかったのだろう。
大野を打てなかったファイターズ打線。だが大野は五回無失点で降板。
ファームの試合では好投していた先発投手が降板した途端に試合が動き出すというのはありがちなので風向きを変えられればと思ったが、六回裏のマウンドに上がったのは高橋聡文!
中継ぎ、セットアッパーとしての積年の披露の積み重ねなのか、今季は一軍には一度も上がっていない。ウエスタン・リーグ公式戦でも2試合しか登板していないようだ。岩瀬仁紀、浅尾拓也とともにドラゴンズの勝利の方程式を担ってきたサウスポーがここで出てきた。ファイターズは一番からの上位打線で臨んだが、2三振を含む三者凡退。
この後、ファイターズが榎下陽大、林昌範とつないでドラゴンズに追加点を許さず、打線の反撃を待つという形になる。特に林の登板時には、この球場がジャイアンツの春季キャンプに使われているという縁もあってか、他のファイターズのリリーフ登板時とは較べものにならない大きな拍手を受けていた。
八回裏、下位打線のファイターズは代打攻勢。
といっても控えの野手が二人しかいないし、後の守備位置を考えると使い時が限られていたのだろうが、まず荒張の代打の大平がライト前に運ぶと、続いて浅沼の代打、佐藤も左中間に運び、無死一、三塁とこの試合初めてのチャンスらしいチャンス。
ライトスタンドだけでなく、一塁側からも♪連打~連打~が流れ、反撃ムードが高まる中、一死から西川がレフト前にはじき返し、ようやくファイターズは1点を返す。
ここでドラゴンズもこの回から登板の四番手の武藤祐太から小熊凌祐にスイッチ。しかしファイターズは小熊を攻め、村田、市川卓の連打で1点を返し、さらに一死満塁。今度は井上一樹監督自らマウンドに上がり、小熊に気合いを入れる。
これで小熊が本調子を取り戻したか、渡部龍一にはフルカウントまで持ち込まれるも最後は見逃しの三振。
それでも2対4とし、最終回に望みをつないだファイターズはクローザーの菊地和正を九回表のマウンドに上げ、村田をライトから二塁に回すなりふり構わぬビッグバン内野陣。菊地がドラゴンズ打線を三人でさくっと片付け、九回裏に望みを託す。
だが、ファイターズ打線の前にこの回から登板の金剛弘樹が立ちはだかる。ウエスタン・リーグではこの金剛と、七回裏に登板した矢地健人がともに14セーブを挙げている。ファイターズ打線は金剛の前にあっさり二死。佐藤もフォークボールで空振りの三振。
と思ったら捕手の前田がこのボールをはじいた。それでも落ち着いて処理すれば一塁で刺せるタイミングだったが焦って体勢を崩して尻餅。振り逃げ成立。佐藤のバットが空を切った瞬間、三塁側のドラゴンズベンチからは飛び出しかけた選手もいたが、まだ試合は終わらない。
しかも続く中島卓也が初球を鮮やかにライト前に運び、一、二塁となって既に二安打を放っている西川に回す。
ここで西川は見事にセンター前にはじき返し、1点差に。同点の走者となる中島の三塁進塁はクロスプレイとなったがセーフ。
この間に西川も二塁に進み、3対4として二死二、三塁。ファイターズは一打逆転サヨナラのチャンスをつかみ、打席には村田。この試合最大のクライマックスとなったが村田は初球を打って三飛。ファイターズはあと一歩及ばなかった。
【8日・サンマリンスタジアム宮崎】
D 200 101 000 =4
F 000 000 021 =3
D)○大野、高橋、矢地、武藤、小熊、S金剛-前田
F)●矢貫、土屋、植村、榎下、林、菊地-渡部
本塁打)前田1号ソロ(植村・6回)
最後は壮絶な展開となったが、ドラゴンズに逃げ切られた。
常に少人数での闘いを余儀なくされていたファイターズナインは春先からの貯金で食いつなぎ、土壇場での主砲、尾崎匡哉の負傷や岩舘学の離脱に見舞われながら、捕手の今成亮太や荒張に二塁を守らせたりしながらぎりぎりの試合を続け、逆転優勝を狙ったジャイアンツを辛くも振り切ったという形だった。イースタン・リーグの優勝の瞬間も、勝って自力で決めたのでなくライバルのジャイアンツが力尽きて敗れて決まったのだった。最終成績は厘差でファイターズが上回ったが、貯金の数はジャイアンツの方が多く、ゲーム差は逆転していた。
ジャイアンツの様に二軍の下に第二の二軍を擁し、一軍を狙う二軍に位置することの競争から始まるくらいの熾烈な競争意識に身を置いて育てた方が選手のために、そしてチームのためになるのか、ファイターズの様に選手数を絞って、選手ごとにテーマを課して試合で実績を積ませながら育成した方が選手のために、そしてチームのためになるのかははっきり言ってわからない。普通に考えれば前者の方が選手が育つように思えるが、両球団の一軍への選手供給実績を考えると、必ずしもそうとは言えないのだ。
また、ウエスタン・リーグでも三軍という名称で二軍よりさらに下層の組織を持つホークスが結局はドラゴンズの独走を許したように、今季の事例を観る限りでは勝負という意味でも大所帯のジャイアンツとホークスが各リーグでトップに立てないという結果が出た。
育てながら勝つ、勝ちにこだわりながら育てる。そのプロセスに方程式は存在しないのだろう。
ところで今日冒頭の写真の様に宙を舞ったドラゴンズの井上一樹監督はドラゴンズが前回ウエスタン・リーグを制した2009年には現役選手として参加。既に現役引退を表明してこの選手権に臨んだが、ジャイアンツの久保裕也から見事な本塁打を放った。
このファーム日本選手権は例年、一軍のクライマックス・シリーズが始まる前の週に組まれることが多いが、今年はセ・パ両リーグの開幕が東日本大震災の影響で遅れたもののイースタンとウエスタンは予定通りに東日本大震災の翌週からスタートしたため、公式戦の佳境に入るタイミングでファーム日本選手権が組まれた。
ファイターズでこのファーム日本選手権に先発するのではと予想された中村は明日9日、一軍で先発する。吉川もおそらく一軍の連戦中に先発するため、今日のタイミングでの登板を回避したのではないか。一方のドラゴンズも今日先発で好投した大野に一軍のローテーションの谷間での先発候補との報道があった。明後日からのフェニックス・リーグも一軍で公式戦が残っている以上単なる鍛錬のための練習試合ではない。勝敗や個人タイトルを争う公式戦は終わっても、ファームの選手にはまだ闘いは続くのである。もちろんファイターズとドラゴンズ以外の十球団にも当てはまる。
ファンとして、一年間熱い戦いを見せてくれたファイターズナインに感謝の言葉をかけたいところだが、まだまだ彼らの戦いは終わらないから軽い言葉はかけられない。今日はいわば中締めか…。ファイターズのファームの選手達にとっては仮に今日の試合に勝っていても、それは目的ではなく手段に過ぎない。
でもやはり最後にこの言葉を贈りたい。
ファイターズナインよ、この一年間で本当にたくましくなった。まだ先は長いけど、一年間ありがとう、イースタン・リーグ優勝、本当におめでとう!
P.S.
今日のオマケ
優秀選手に選ばれた西川。スポンサーから副賞として贈られたものは…
ちなみに表彰選手は、
優秀選手
大野雄大、小池正晃、野本圭、以上D。西川遥輝、以上F。
最優秀選手
前田章宏<D>
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コメント
ごくらくトンボ様、お久しぶりです。コメントをありがとうございました。
> 敗戦処理。様はどちらでご覧になってましたか?わたしは最初三塁側、途中から一塁側の内野A自由席で見ていたのですが、内野S指定席の一塁側に、鎌ヶ谷ファイターズのと思われる黄緑色のユニフォームを着て、カメラを構えていた方がいたので、もしかしてその方が敗戦処理。様かと思ったのですが、なにぶん面識がないので声をかける自信がありませんでした。
私はネット裏の指定席エリア(通路より前)でした。一塁側のあのブロックには鎌ヶ谷で面識のある方が若干名いたようですが…。私と思しき人物は私ではないです。
> ちなみにわたしは調子こいて、そのまま九州に残り、フェニックスリーグの初戦のファイターズ対斗山ベアーズの試合も見てしまいました。
三連休だったのでそれも考えましたが、予算その他の事情で日帰りでした<苦笑>。
> 明日(もう今日ですね)は京セラドームに行って、斎藤佑樹のピッチングを見てきます。
そうですか。佑ちゃんも開幕当初と違い、だいぶ力強い感じがしてきましたね。
初回の2点でどうなることかと思いましたが、結果的には金子千尋投手と堂々と渡り合ったのだから大したものです!
私は試合によって服装もまちまちなので見分けがつかないかもしれません。多摩虫さんには目星を付けられていたようで、初対面のはずのジャイアンツ球場で指摘されて驚きました<笑>。
投稿: 敗戦処理。 | 2011年10月13日 (木) 01時20分
敗戦処理。様 お久しぶりです。
実はこの試合、わたしも見に行ってました。スコアはつけてましたが、敗戦処理。様より深くは見ていなかったような…
敗戦処理。様はどちらでご覧になってましたか?わたしは最初三塁側、途中から一塁側の内野A自由席で見ていたのですが、内野S指定席の一塁側に、鎌ヶ谷ファイターズのと思われる黄緑色のユニフォームを着て、カメラを構えていた方がいたので、もしかしてその方が敗戦処理。様かと思ったのですが、なにぶん面識がないので声をかける自信がありませんでした。
ちなみにわたしは調子こいて、そのまま九州に残り、フェニックスリーグの初戦のファイターズ対斗山ベアーズの試合も見てしまいました。
明日(もう今日ですね)は京セラドームに行って、斎藤佑樹のピッチングを見てきます。
投稿: ごくらくトンボ | 2011年10月12日 (水) 01時14分
多摩虫様、コメントをありがとうございました。
> まあファイターズは左右のエース不在、野手11人という状況でよく戦ったと思いますよ。シーズン終盤も含めて、この厳しい戦いの経験は選手たちの将来にも生きることでしょう。今は両チームの健闘を讃えます。
そうですね。勝敗そのものより、この経験を今後につなげて欲しいですね。
西川は本当に頼もしく思えました。
> さて、これからは一軍がシーズン大詰め、二軍はフェニックスリーグ、そして戦力外通告の本格化を迎えます。秋ですねえ…
大半の球団が第一次の戦力外通告を行ったようですが、ファイターズはまだですね。
フェニックス・リーグの試合進行に支障を来すから先送りしているのでしょうか<苦笑>?
それより一軍はどうにかならないものでしょうか?
投稿: 敗戦処理。 | 2011年10月10日 (月) 19時20分
おはようございます。昨日は一日お疲れ様でした。
まあファイターズは左右のエース不在、野手11人という状況でよく戦ったと思いますよ。シーズン終盤も含めて、この厳しい戦いの経験は選手たちの将来にも生きることでしょう。今は両チームの健闘を讃えます。
さて、これからは一軍がシーズン大詰め、二軍はフェニックスリーグ、そして戦力外通告の本格化を迎えます。秋ですねえ…
投稿: 多摩虫 | 2011年10月 9日 (日) 09時01分