ライオンズ牧田和久がCSフル回転覚悟「6連投でも」
まだクライマックスシリーズのファーストステージが始まる前の10月26日、日刊スポーツのサイトにタイトルの記事が載った。揚げ足取りの好きな敗戦処理。は抑えの牧田和久が6連投するということは2試合は失敗するということかとツイッターで呟いたところ、「『ファーストステージ2連投、ファイナルステージ4連投でストレート勝ち』という意味ではないか?」という趣旨の反応が複数あった。確かにファーストステージから登場するライオンズがクライマックスシリーズを最短で突破するにはファイターズとのファーストステージを2連勝、ホークスとのファイナルステージを4連勝ということになり、そのすべてに牧田が抑えで登板すれば6連投で勝ち抜ける。
ところが記事での6連投とはファイナルステージの6連戦を指す。公式戦終盤には延長戦を含む3イニングのロングリリーフをこなし、その翌日も最終回にマウンドに上がるなど牧田はフル回転で、バファローズとの三位争い、クライマックスシリーズ進出権獲得争いを制しただけに、クライマックスシリーズでもフル回転するであろうとの趣旨の記事である。
だが、基本的に勝っている試合の最後に投げる牧田がファイナルステージで6連勝するということは、そのうちの2試合で失敗するという意味(3回失敗するとホークスが勝ち上がってしまう)だと思ったので半分皮肉を込めたツイートなのだ。
そして牧田はファーストステージでは2試合とも登板し、ライオンズは2連勝でファーストステージを突破した。今日から始まるファイナルステージでも牧田の連投が続くようであれば…
(写真:ファイナルステージでもフル回転が期待されるライオンズの抑え、牧田和久。2011年3月撮影)
本音を言えば、ファイターズが敗退してしまったので(セ・リーグではジャイアンツも敗退してしまったし)ホークスが勝とうがライオンズが勝とうがどちらでもいい。ネタとしてはライオンズが勝った方が面白いが、今年のホークスのレギュラーシーズンの半端じゃない強さを見せつけられた身としては、さすがに今年は今までとは違うだろうという感じがする。
で、本エントリーはファイナルステージの展望ではなく、敗戦処理。のツイートと、それに反応された方との「連投」の意味の取り違えについて…
普通に考えれば、牧田が6連投するということはファーストステージ2連投+ファイナルステージ4連投だろう。いずれの試合においてもライオンズがリードして終盤を迎えたら、渡辺久信監督は牧田をマウンドに送り、牧田がそれに応えたら、ライオンズが日本シリーズに進出を決める。そして現実にファーストステージはそうなっている。しかし記事はそうではなく、ファイナルステージでの6連投を想定しているのだ。ファーストステージでは3連投もあるとまで書いているのだ<笑>。
プロ野球の世界で「連投」というと、連続試合登板を意味する。試合のない日が間に入っても、行われた試合に続けて登板すれば「連投」なのである。これは定義だ。
しかし、敗戦処理。はどうもこの定義になじめない。
野手の「連続試合出場」が連続して試合に出場するという定義なのは当然だが、投手の「連投」は何試合連続ではなく、何日間連続で数えた方が、より投手の酷使度などを正確に測れると思うからだ。
例えば一週間を単位に考えてみる。火曜日からの3連戦があって、金曜日が休みで土日に2連戦という節があったとする。ある投手が火曜日から木曜日まで3連投し、土曜日と日曜日の試合にも登板すれば、金曜日に試合が無くて登板していなくても5連投と言われるのが普通だ。本件の牧田もパ・リーグのクライマックスシリーズではファーストステージとファイナルステージの間に、ファーストステージが二試合で終われば三日間の間隔が空くが、それでも牧田はファイナルステージの第一戦に登板すればファーストステージから3連投になる。牧田は中三日の休養をもらっての6連投の可能性があるのだ。
そして別の一週間。火曜日から木曜日までの3連戦があり、相手が変わって金曜日から日曜日までの3連戦がある。つまり節としては6連戦になるとする。ある投手が火曜日から置く曜日まで3連投し、金曜日の試合には登板が無く、土曜日と日曜日の試合にも登板すれば、登板数としては前の例と同じ数になるが、前者は5連投と言われるが、後者は3連投止まりと解釈される。ではどちらがハードか?
(前者)
火曜日 登板
水曜日 登板
木曜日 登板
金曜日 試合無し
土曜日 登板
日曜日 登板
(後者)
火曜日 登板
水曜日 登板
木曜日 登板
金曜日 試合はあるが登板無し
土曜日 登板
日曜日 登板
登板した試合でのイニングや投球数、試合展開は同じだとすると、その投手にとって本当にしんどいのはおそらくは5連投の前者でなく後者だ。なぜならば前者の場合、初めから金曜日には試合がないので、試合がないなりの調整が出来る。ところが後者における金曜日は実際には登板が無いのだけれども、試合は行われているわけで、ベンチから外れない限り一定の準備はしているわけで、それなりの疲労はしているはずだからだ。
敗戦処理。は当blogでは基本的に○試合連続登板、○日間連続登板と分けて書いている。プロ野球界の定義を知りながら、敢えてこだわりを持って書き分けているので参考にしていただければ幸いである。
ついでに蛇足ながら、もう一つ野球用語でなじめないことを書いて、本エントリーの結びとしたい。
投手の個人記録に「完投」と「完封勝利」というものがある。日本野球機構が毎年刊行するプロ野球公式記録集、オフィシャル・ベースボールガイドでも投手の個人記録欄に「完投」と「完封勝利」という項目がある。先発投手の能力、成績を表すのなら「完投」より「完投勝利」の記録を残した方が良いと思うし、完封しても勝利にならないのは味方打線の援護に恵まれない場合が主であろうから「完封勝利」でなく「完封」を記録すれば充分だと思うからだ。投手の分業制が確立された昨今「完投勝利」でなくても「完投」でも希少価値があるが、とにかく最後まで投げればよい「完投」より「完投勝利」を記録に残すべきだと思うし、その一方で「完封勝利」ではハードルが高いので「完封」で記録に残すのはどうだろう…
牧田の話に戻る。
投手出身ながら短期決戦では投手に登板間隔を詰めて投げさせる事を厭わない渡辺久信監督。ホークスに1勝のアドバンテージが設定されていることを考えると、ビハインドの試合でも牧田投入とかやりかねないイヤな予感もするのだが、同じ連投でもそういう形での連投だけは避けて欲しい。
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