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2011年12月12日 (月)

ファイターズはダルビッシュ有が抜けたらどうなってしまうのか…?

Dsc_0059 ファイターズはエースのダルビッシュ有がポスティングシステムの利用を表明し、球団も承認した。入札の結果によってはファイターズ残留の可能性も無くはない様だが、来季、ファイターズのユニフォームを着ない可能性が極めて大だろう。ダルビッシュはよく「日本球界のエース」と評価されるが、その前に「北海道日本ハムファイターズのエース」だ。ダルビッシュが抜ければファイターズの戦力が甚だしくダウンすることは間違いない。大エースの抜ける穴をどうするのか?

最近は選手や監督のみならず、球団フロントに着目した書物などが増えているが、それらでは大抵ファイターズのフロントは絶賛されている。

だが、本当にそうなのだろうか?抜けた後のことを考えているのか?菅野智之の指名で芯の通ったところを見せたまでは良かったが、これから、この球団がどういう方向に向かうのかが見えてこない。

大丈夫かファイターズ?

(写真:ファイターズの編成の最高責任者・島田利正球団代表。20081月撮影)

ポスティングを認めてしまうのは、他球団の多くも認めていることだから百歩譲って認めるにしても、昨オフに三年契約を結んだ田中賢介が海外FA取得に若干の日数が足りないとあらば特例措置の申請をする(三年契約を結びながら海外移籍が認められる契約らしい…)など、単なるお人好しフロントなのか?

「日本ハムに学ぶ 勝てる組織づくりの教科書」(岡田友輔著・講談社プラスアルファ新書)はその名の通り、ファイターズ球団の戦略を評価している書物だが、例えば以前から大リーグ移籍願望が強いと噂されたダルビッシュに関し、ファイターズは初めに投手ありきでそれを支えるために内外野の守備力を高めているのではなく、内野と外野を固めて、そのバックを前提に投げて計算の出来る投手を投げさせているから、ダルビッシュに移籍の意思が堅いと見るや、守備のキーマンの田中賢介には三年契約でがっちり拘束するというような事が書かれている。だが今オフ、スポーツニッポンに書かれた様に田中賢介と球団の間で交わされた三年契約には海外FAを取得したら海外FAを行使できる事になっている様だ。田中賢介は故障もあって今季、海外FA権取得には至らなかったのだが、球団は特例措置を機構側に申請して海外FAを取得できた(田中賢介は昨年までで登録日数が873日で国内FA権を取得。今季は70日間で端数を合計しても一年分の145日に満たなかった)。

この事例を見ると、残念ながら同書の分析は当たっていないことになる。ダルビッシュと田中賢介が同時に抜けても戦力的に平気だと考える人はよほどの楽観論者だと思う。田中賢介がFA権を行使しなかったのが結果論であるなら、あくまで結果オーライで球団フロントは誉められたものでは無い。

また、ダルビッシュのポスティング表明より前にターメル・スレッジの三年ぶり復帰が発表された。

Dsc_0085 ファンはおおむね歓迎している様だが、これで外国人選手が四人になり、これからダルビッシュの穴を埋めるべく新外国人の投手を獲得しようにも、今いる誰かが二軍生活になる。

ポスティングシステムは球団に拒否権のある制度だ。ダルビッシュに抜けられたら困るのなら、本人が希望しても拒否すれば良いだけだ。しかし、これまで幾度となくダルビッシュのポスティングによる大リーグ移籍の噂がスポーツ紙などを賑わしたが、そのたびに必ず「球団は容認する姿勢」と併せて報じられていた。球団として受け入れるのであれば、はなからウィルフィン・オビスポボビー・スケールズに代わる四人目の外国人選手は投手という選択肢になるだろう。いかな外国人助っ人でもダルビッシュの穴を埋める程の活躍は無理だろう。しかし、今季のボビー・ケッペルブライアン・ウルフの様にシーズンを通して先発ローテーションを守り、白星が先行する投手を探すのなら、それはそれで難しいだろうが、何とかなるかもしれない。

そもそもマイカ・ホフパワーを残留させてスレッジを獲得してどういう打線を考えているのか?怪我人が出ることを考えて層を厚くする事も大事だが、二人ともスタメンに並ぶとしたら、一塁手とDH。この二つのポジションをふさぐと、来季2000本安打を目指す稲葉篤紀がはじかれる。そんな選択はしないだろう。かといって外国人助っ人をベンチスタートさせるのはコストパフォーマンスが良くない。球団の意図が見えない。もっともダルビッシュのポスティング移籍が成立すれば、破格のトレードマネーがファイターズに入ってくるだろうから、外国人枠を超えてでも新たな外国人投手の獲得に当たれば良いのだが…。

ファイターズのフロントを誉める書物などはたいがい、育成能力の高さを挙げる。しかし育成だけでは限界があることは、補強をほとんどせず育成にばかり力を入れていてBクラスが続いているチームの存在が証明している。ジャイアンツの様なこれでもかという補強を必ずしも是とはしないにしえよ、育成と補強はバランスが大事だと思う。ファイターズは北海道移転後、8年間でリーグ優勝3回を含むAクラス6回と安定しているが、SHINJO稲葉篤紀の補強無くして、これだけの安定した成績が継続できたとは思えない。つまり長く上位を維持し、時に優勝も狙えるというチームにするには何年かに一度補強に大金を投じるのも必要だろう。

ファイターズも新人選手の育成一本槍ではなく、補強に関してはトレードに活路を見出している。ただMICHEAL工藤隆人を出して二岡智宏林昌範を獲得したり、押本健彦らを出して藤井秀悟らを獲得した頃は精力的に思えたが、その後は一軍半同士の選手のトレードで、どちらも「環境(所属球団)が変われば少しは良くなるか…」という選手のトレードにとどまっている。高橋信二をジャイアンツに金銭トレードしていくらの金額が入金されるのか知らないが、ジャイアンツから選手をもらうわけにいかなかったのか?拙blog11月23日付け ファイターズの選手を獲ってはいけない…!? ではファイターズから移籍した選手があまり働いていないと指摘したが、代わりにファイターズに入ってきた選手も推して知るべしだ。今オフはさしずめ菊地和正、林昌範あたりでまた似たり寄ったりのトレードをするのかなと漠然と妄想していたら、二人には野球協約の上限を超える年俸減額を提示して、球団残留か自由契約かの二者択一を迫ったという。そしてその菊地と林を横浜DeNAベイスターズが獲得するという。自由契約になったから獲得したのかもしれないが、ベイスターズに限らずトレードで交換できたのではないか?

既に戦力外通告も終わり、今季はこれといったトレードも無さそうだ。ジャイアンツを戦力外になった紺田敏正を獲得した。

Dsc_0128 報道ではMICHEAL獲得の可能性まで示唆された。ファンはファイターズから他球団に移った選手にも愛着を持つことが多い。その選手が移籍先で戦力外通告を受けたりすれば、ファイターズの選手が戦力外通告を受けたのと同様に悲しむ。そしてそれら選手が現役続行を望んでいたら再びユニフォームを着る場所が見つかれば素直に喜ぶ。紺田とスレッジの獲得はそういう面ではファンの受けはよい。MICHEALもそう。しかしそれが本当にファイターズの来季の戦力としてプラスになるかというと、現時点では必ずしもそうとは思えない。スレッジは先述の通りだが、紺田にしても、村田和哉の台頭などで一年前にオビスポとのトレードという決断を下した選手だ。正直、紺田は例えば内野を守れる練習をするとか、右打席を勉強してスイッチヒッターにでもなるとかしないと、ファイターズでは働き場が限られると思う。ジャイアンツでプレイした今季は故障に泣かされるアンラッキーな面もあったにせよ、一年間プレイしていた村田はさらに腕を上げている。杉谷拳士が外野一本で勝負となれば、紺田はかなり不利だと思う。

ファイターズの来季は、現状ではダルビッシュが抜けたら相当苦しくなるのは間違いないと思う。拒否権のあるポスティングシステムをほいほいと承認するのなら、当然その後の事を考えるべきだ。ダルビッシュはまだ25歳だが、ファイターズでダルビッシュより下の世代で一本立ちしたのは中田翔くらい。その手前と言えるのも斎藤佑樹くらいで、ダルビッシュより下の世代は一軍と二軍を行ったり来たりの選手ばかりだ。

選手の供給源となるべき鎌ヶ谷ファーム勢も、育成選手を採用しない方針もあり、選手の絶対数が少ない。一軍二軍を問わずちょっと故障者が出ると、野手の控えがいない状態での試合を余儀なくされる。今季は特に内野手が不足し、捕手や外野手をその場凌ぎで内野を守らせていた。こんな状態でよくイースタン・リーグ優勝を飾れたと思うが、ファーム日本一を賭けたファーム日本選手権では直接の敗因ではないにせよ急造内野手に打球が飛んで痛い目にあった。育成選手制度にそっぽを向くなら向くで構わないが、もうちょっと投手と野手の比率を見直すとかすればいいのにと思う。

ダルビッシュが抜けるこのオフ、本当の意味でフロントの力が問われる。島田球団代表の下、二代目GMの山田正雄GMの真価も問われよう。卓越した野球理論の持ち主、栗山英樹新監督がその卓越した野球理論をいかんなく発揮できる材料を提供できてこそ、来季以降のファイターズが明るくなるのだ。「梨田さん、いいタイミングで辞めたな…」なんて声が札幌ドームのスタンドの方々で囁かれる様にならないよう、腕を発揮して欲しい。

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コメント

西清治様、コメントをありがとうございました。

> わたしもファイターズの未来をちょっと心配しています。今後を担う若手が育っているようで育っていない気がします

三十年以上このチームのファンをしていますが、だいたいにおいて、評判が良すぎる時は危ないです。最近では昨年の開幕前の下馬評の高さにニンマリとする半面、イヤな予感がしたらまさにその通り。

> 須永はトレードされたし、八木・吉川も伸び悩んでるし、ダースも戦力外通告されましたし。

投手では新人の年に一軍に抜擢されるケースが多い割にはその後の伸びが見られない選手が多いですね。須永がその最たる例だと思いますが、吉川が来年一本立ちしないようだとちょっと怖い気がします。

エントリーでも触れましたが人件費が限られているなら投手と野手の比率を変えて野手を増やし、競争原理を高めないと、はなから素質がある選手以外は一本立ちするにしても時間がかかると思います。ケガさえしていなければ試合に出られるというのが本当にいいことなのか…。

投稿: 敗戦処理。 | 2011年12月17日 (土) 00時10分

敗戦処理さん、おはようございます。

わたしもファイターズの未来をちょっと心配しています。今後を担う若手が育っているようで育っていない気がします、特にピッチャーが。須永はトレードされたし、八木・吉川も伸び悩んでるし、ダースも戦力外通告されましたし。

クライマックスシリーズには進めても日本一になれないなんてチームにはしてもらいたくないですね。

投稿: 西清治 | 2011年12月15日 (木) 06時15分

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