男村田はベイスターズに残ってこそ男村田ではないのか?
FA権を行使したベイスターズの主砲・村田修一が早速3日、ジャイアンツと入団交渉を行った。前日の2日はその前日に実行委員会とオーナー会議で承認された横浜DeNAベイスターズの春田真オーナー、池田純球団社長から慰留を受けたが、「3年でCS進出、5年以内に優勝を」と語る新オーナーに対し、村田は来年すぐに優勝争いを狙える球団への移籍を目指している模様。
村田にとってジャイアンツからのオファーは渡りに舟。今月中旬にもジャイアンツの村田が誕生しそうだが、ジャイアンツファンである敗戦処理。も素直には喜べない…。
(写真:FAでのジャイアンツ移籍が確実視されるベイスターズの村田修一。今季最終戦でジャイアンツの澤村拓一から二打席連続本塁打を放ち、直後の守備でファンの声援に応える。2011年10月撮影)
村田修一は優勝争いを出来る環境でプレイしたく、現状のベイスターズでは困難と考えてFAでの移籍を果たしたいという事の様だ。特に今季、目の前でドラゴンズのセ・リーグ優勝を決められたのが強いインパクトになっているという。村田は昨年もFA権を行使できる環境にあったが、権利を行使せず球団に残った。同じく権利を有していたチームメートの内川聖一が移籍を選び、自らも打ちまくりホークスのリーグ優勝、日本シリーズ制覇に大きく貢献し、パ・リーグの最優秀選手にまで選ばれたのも刺激になった様だ。
フリーエージェントの権利は選手のプレイの積み重ねによって得られる権利だから、それを行使するもしないも本人の自由だが、昨年来はっきりしなかった球団の身売り騒動にようやく決着が見られ、DeNAの元、再スタートを切ろうとしている時に主砲である村田がチームを出ようとしているのが個人的には残念なのだ。
FA制が導入されて以来、資金力の弱い球団から資金力の豊富な球団へ、弱い球団から強い球団への選手の移籍志向ははっきりと図式化し、村田だけを非難するのは筋違いだという批判が来そうだが、それを承知で今回は書いていきたい。男村田は男村田である以上、ベイスターズに残って欲しいのだ。
昨オフにFA権を行使してホークスに移籍した内川は、ホークスの環境がよほど水が合ったのか、好成績を残すだけでなく、ホークスとベイスターズの違いにまで言及してしまった。そりゃ、三年連続90敗以上という記録を残す球団にはそれ相応の病巣があるだろう。しかし自らもその一員だったわけで、FA権を取得するくらい長期間にわたってベイスターズに在籍していたわけだから、その原因の一端は内川にもあったはずである。
内川が言及した古巣批判は主に劣勢の試合に漂う諦めムード、ベンチが一丸になっていない雰囲気といった当たりの様だが、球団の中にいては気付かないものなのか、ホークスという球団に来て初めて異常であることに気付いたのだろうか?実際昨オフの契約更改では生え抜きでない移籍組の選手の何人かから、ベイスターズ球団の特異性が指摘されたそうだ。村田(や昨年までの内川)ら生え抜き選手はいわば井の中の蛙で、気がつかないとでもいうのだろうか。本質的には内川にしろ村田にしろ、連続最下位に沈む球団の病巣を除去すべく努力する立場であるという自覚に乏しい様な気がする。
既に移籍してしまった内川には告発、暴露以外に出来ることはないが、村田はただ打ったり走ったりする以外にこの球団のために出来ることはないのか…。
村田に関しては全力疾走を怠るというイメージが敗戦処理。にはあった。相手投手の投球をミスショットしたという自覚がある時なのだろうか、フェアゾーンにフライを打ち上げても第一歩が遅いというシーンを何度も目にしている。特に強く印象に残っているのは2008年に東京ドームで生観戦した試合。試合中盤のチャンスでライトフライに倒れた村田だったが、打ち損なって「しまった!」とでも思ったのか、なかなか一塁に走り出さなかったのだ。ライトを守っている高橋由伸が捕球体制に入って、ようやくトボトボと一塁方向に走り出した。この試合を生観戦するとともにテレビ中継を録画していた敗戦処理。は中継を確認したが、村田が打った直後にカメラワークはライトの高橋由に切り替わっていたので村田のチンタラプレイはお茶の間のファンには知れ渡らなかった様だ。それ以来ベイスターズの試合を観戦する時には村田の走塁をも注目していたが、特に改善は見られなかった。
ただ今季、ファイターズでFA宣言をした森本稀哲がベイスターズに移籍してきた。
村田と同学年のお祭り男は「村田に全力疾走をさせる」と息巻いていたが、確かに今季の村田は開幕当初は全力疾走を心がけている様に思えた。ベイスターズがシーズン途中に中村紀洋を獲得した時には「全力疾走が出来る様にしてから来て欲しい」と言ってのけ、ちょっとやり始めた分際で何を偉そうにと失笑したが、喉元を過ぎれば…ではないが、シーズンが深まるとともに、例年通りの村田に戻った様な印象を受けた。村田を啓蒙した森本が故障で戦列を離れたのも響いたか…。それでも村田は「スピードアップ賞」を受賞したから、敗戦処理。が目撃したチンタラプレイの再開はたまたまだったのであろう<苦笑>。
たぶん、全力疾走云々は病巣の氷山の一角で、一朝一夕にこのチームの体質が変わるとは思えない。だから新オーナーも「5年以内に優勝…」と長期戦を覚悟したのだろう。これに対して村田は「僕は三年、五年たったらベテラン。主力から外れて優勝争いするのを目標にしていない。現役でやってるかもしれませんけど、来年、再来年、早いチャンスの段階で優勝争いをしたい」と言っていたが、五年後には36歳のシーズン。今年の日本シリーズ、そしてクライマックスシリーズに出場した球団のクリーンアップ級の選手には30歳代後半のアラフォーのベテランが多数いる。日本一のホークスでは小久保裕紀、アレックス・カブレラ、松中信彦。ホークスに敗れたドラゴンズでは和田一浩、谷繁元信。ライオンズにはホセ・フェルナンデス。スワローズには宮本慎也。ファイターズには稲葉篤紀。ジャイアンツには小笠原道大、アレックス・ラミレス。強いチームには年齢的には下降期にさしかかってもたくましいベテラン選手が必要なのだ。もちろん五年後にいきなり強くなるのでもあるまい。一つ一つ階段を上っていく中で主砲である村田の存在意義は充分にあるはずだ。
村田は自由獲得枠でベイスターズに入団した選手だ。この球団に育てられ、この球団のファンとともに戦ってきた男だ。自ら選んだ球団が最大の分岐点を迎えている時に、「優勝争いできる球団で…」というと聞こえがいいかもしれないが「寄らば大樹の陰」とも思える移籍をするのが男村田として、最適な選択なのか、もう一度よく考えてみた方が良いと思う。
村田が移籍を決意した背景には横浜スタジアムでドラゴンズのリーグ優勝、落合博満監督(当時)の胴上げを見せつけられたからというのがある様だが、冒頭の写真は今季のベイスターズの最終戦の一コマだ。村田は通算250号本塁打を含む2打席連続本塁打を放ったが、1点リードで迎えた九回裏に登板した守護神の山口俊がワンアウトも奪えずに長野久義に代打満塁逆転サヨナラ本塁打を打たれて悪夢のサヨナラ負けを喫した試合だ。まさに村田ひとりの力ではこのチームを勝たせられない典型的な試合となってしまったが、親会社が変わり、球団の正式名称も「横浜DeNAベイスターズ」と改称されるのだから「横浜ベイスターズ」として、そして慣れ親しんだユニフォームでの最後の試合となった。最後を締めくくるには救いようのない負け方だったと思うが、これが最後の試合ということで、村田はいいのか?
ここまで書くと、じゃあジャイアンツは村田を獲得しなくてもいいのか?という声が出てきそうだが、それは近々、別エントリーで。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
うめ様、コメントをありがとうございました。
> こういうニュースのたびに、来年になったら元々所属していたチームが移籍したチームより順位が上になるという痛快な出来事が起こればいいのにと妄想をしてしまいます。
広沢とハウエルがジャイアンツに行った時のスワローズがそうなりましたね。
> 今年は親会社と監督が代わるから巨人ファンの敗戦処理。さんには悪いけどチャンスがあるかも…と儚い期待をしていたりします(笑)。
横浜DeNAベイスターズ、どうなるのでしょうか?
工藤は監督就任要請を断ったみたいですね。現役続行志望なら、今日のトライアウトを受けて欲しかったですね。
エントリーでも書きましたとおり、男村田には引き続きベイスターズでプレイして欲しいのですがね。
投稿: 敗戦処理。 | 2011年12月 5日 (月) 23時35分
HARA88様、コメントをありがとうございました。
> 今年のジャイアンツ戦を生観戦して思ったのですが明らかに阿部や坂本が全力疾走を怠ってました。村田が加入して本当にジャイアンツは変わるのかという疑問はあります。
全く仰る通りだと思いますが、ジャイアンツ自体に全力疾走を義務づける意識が希薄だと思います。伊原ヘッドの就任直後こそ、一つでも先の類を狙おうという意識が垣間見られましたが、怖い人がいなくなったら元の木阿弥なのでしょうか?
今季は坂本が時折試合途中で懲罰的に引っ込められたりしましたが、それもチャンスに不甲斐ない打撃をしたとか、守備で緩慢なミスをしてしまったシーンだった様に記憶しています。
* ひょっとしたら全力疾走しなくても大きな顔が出来るから村田はジャイアンツを選んでいるのかも…
> まあ、ジャイアンツに来るかベイスターズに残るかは村田の自由ですからね。ただ、“ハマの村田の応援歌”が聴けなくなるとちょっと寂しいです。
パクっちゃえ…<小声>
投稿: 敗戦処理。 | 2011年12月 5日 (月) 23時24分
名無しさん、コメントをありがとうございました。
他の方と見分けづらいので次回からハンドルネームを入れていただく様お願いいたします。
> 巨人はイチローにオファー出してるから村田はいりません。
マリナーズが複数年契約に応じなければ巨人へ移籍する(残り契約1年間の年俸は巨人持ち)ようですから。
マリナーズが複数年契約に応じないなら単年契約と言うことになるのでしょうから、なぜ残りの年数の年俸が発生してそれを巨人が負担しなければならないのか、大リーグ事情に疎いので敗戦処理。にはわかりません。
しかしイチロー獲得とは夢のある話ですね。
今イチローを獲得できれば、川崎も自動的に付いてきます。一挙両得、一石二鳥とはまさにこの事です。
問題はお金のことより、伝統ある巨人軍がニックネーム的な登録名を認めないことでしょう。
来年、東京ドームのオーロラビジョンに「イチロー」と表示されるのか「鈴木一」と表示されるのでしょうか!?
投稿: 敗戦処理。 | 2011年12月 5日 (月) 23時17分
イマジン様、初めまして。コメントをありがとうございました。
> 村田としては出来るだけ早く優勝を味わいたいのでしょうね。
5年後には優勝と言っているものの、優勝がいつになるかわからない。だったら勝てそうなチームに行って優勝したい。
個人的な気持ちを優先させた結果なんでしょう。
なるほど。でもそれなら高木監督に頭を下げた方が良いかもしれませんね<笑>。
村田の思惑はそうだと思いますが、今のジャイアンツは、退団したラミレスを含め、小笠原や高橋由伸といった世代から次の世代にリーダーをバトンタッチ死体時期だと思います。
そういう意味ではジャイアンツが必要としているのは助っ人ではなく、カリスマでしょう。
ジャイアンツの立場で考えたエントリーを別途起こしたのですが、村田は私からすれば助っ人タイプで、今本当に必要なのはかつての工藤に落合、小笠原タイプの選手でしょう。
でも現実にはFAを始め、補強でそういう選手を獲得できそうもないですから、ジャイアンツは村田を獲得すると思います。
ベイスターズファンには怒られるかもしれませんが「沈み行く船から…」という感じがして、今このタイミングで出て行く村田という選手に今のところ共鳴できません。
投稿: 敗戦処理。 | 2011年12月 5日 (月) 23時11分
こんばんは。
こういうニュースのたびに、来年になったら元々所属していたチームが移籍したチームより順位が上になるという痛快な出来事が起こればいいのにと妄想をしてしまいます。
今年は親会社と監督が代わるから巨人ファンの敗戦処理。さんには悪いけどチャンスがあるかも…と儚い期待をしていたりします(笑)。
投稿: うめ | 2011年12月 5日 (月) 22時58分
今年のジャイアンツ戦を生観戦して思ったのですが明らかに阿部や坂本が全力疾走を怠ってました。村田が加入して本当にジャイアンツは変わるのかという疑問はあります。
まあ、ジャイアンツに来るかベイスターズに残るかは村田の自由ですからね。ただ、“ハマの村田の応援歌”が聴けなくなるとちょっと寂しいです。
投稿: HARA88 | 2011年12月 5日 (月) 19時38分
巨人はイチローにオファー出してるから村田はいりません。
マリナーズが複数年契約に応じなければ巨人へ移籍する(残り契約1年間の年俸は巨人持ち)ようですから。
移籍が成功する確率は20%くらいだけどね。
投稿: | 2011年12月 5日 (月) 18時36分
はじめまして
村田としては出来るだけ早く優勝を味わいたいのでしょうね。
5年後には優勝と言っているものの、優勝がいつになるかわからない。だったら勝てそうなチームに行って優勝したい。
個人的な気持ちを優先させた結果なんでしょう。
ただ同じ三塁手で同じく優勝したいからと言って移籍した新井の例をみていると、他球団に移るのが必ずしも優勝できる近道だと村田は思わないことが必要ですね。
投稿: イマジン | 2011年12月 5日 (月) 01時54分