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2012年1月 1日 (日)

日本プロ野球2012年問題

05 今年のプロ野球界に関して、大きな分岐点の年になると思う。来年、2013年に予定されているWBCに日本として参加するか否か、どう参加するかは今後のNPBの野球国際化のスタンスを問うものとなり、重要な問題であろう。

NPBは参加する方針だが、選手会は難色を示している…。

(写真:2006年に行われた第1回のWBCのアジアラウンドより。)

2006年、2009年と過去2回のWBCを制したディフェンディングチャンピオンたる日本代表は普通に考えれば第3回の2013年にも参加するはずだ。それを選手会が難色を示して慎重な姿勢を崩さないのは、選手会に言わせれば、WBCの収益配分構造のせい。

WBCは基本的にMLBとMLBの選手会が共同で設立した会社(WBCI)が運営を管理し、例えば日本代表を支援しようとする企業のスポンサー費用が、そのまま日本代表の懐に入るのではなく、まずはそのWBCIに入り、そこが一定額をプールした上で日本代表に回されるという。これはサッカーW杯を始めとする国際的スポーツイベントでは他に例を見ない。そのようないびつな構造に選手会が「待った」をかけたのだ。当初はNPBも同等の方針だったが、NPB=機構側としては妥協したのか原則参加の方針を昨年打ち出した。

これには自前の収入源が乏しいNPBが日本代表チームを常設化することでサッカーの様に国際試合を主催して収入源としようという発想がある。既に今年の3月には東日本震災からの復興支援の一環としての日本代表の試合が予定されており、昨年の日本シリーズ優勝監督が監督になると決まっている様でホークスの秋山幸二監督が代表監督に就任する。

この試合に限定すれば、あるいは過去2回の大会の様に3月に予選から本選まで開催されるのであれば、NPBの現役監督が日本代表の監督に就任するのもやってやれないことはないだろう。しかし常設チームとなると、現役監督に兼任させることが出来るのかという問題がある。

ただし、それなら常設される日本代表チームの監督(選手も同様だが)はどれだけ拘束されるのかというと、五輪での野球が行われなくなった事を考えると、四年に1回のWBCだけである。その程度なら掛け持ちできそうな気もするが<苦笑>、逆にその程度の常設チームでNPBが期待する様な財源になるのかという問題がある。

おそらくは大勢に影響のない程度の分配の見直しがなされ、渋々選手会が同意して日本は2013年のWBCに参加することになる様な気がする。それも時間切れで選択の余地無しという感じで。野球界にサッカー界でいうところのFIFAに相当する組織がない以上、本来は当事者であるMLBが主導する大会に権威付けされても為す術がないのだ。そしてそれは日本が、使用球をわざわざ変更してまで取り組んでいる国際標準の実態なのだ。

NPBの有力選手が次々とMLBに流れていく。MLBの日々の公式戦が実質的に野球界のワールドカップと化している。だから最終頂上決戦をアメリカ・シリーズと呼ばずにワールド・シリーズと呼んでいる。MLBとしては新規の市場を開拓するためにWBCを開催している様なもので、日本はMLB主導の大会の招待選手の様なもの…。NPBが考える国際大会の意義と、MLBが考えるWBCの位置づけとがそもそも一致しないのだ。

それでも、興行としてサッカー界を競争相手と考えた場合に、野球界の最大のウイークポイントは国際化だ。たしかにMLBという最高峰のステージは存在するが、選手がそこを目指していくだけで、そこを含めた世界一決定戦が厳密な意味での世界一決定戦でないとしても、そこに眼を向ける姿勢を見せ、代表チームの常設化などを断行しなければならないという焦りもあるのだろう。

そんな中、NPBに追い風になる状況も出てきた。野球界にFIFAに相当する組織がないと書いたが、強いて言えば近いIBAF(国際野球連盟)が動いた。近年では二年に一度行われている野球のワールドカップ(IBAFワールドカップ)がプロ選手の出場が解禁になってもNPB、MLBがトッププロを送り込まない状況で続けられていたが、昨年の2011年の大会を最後に廃止。WBCを国別対抗の世界一決定戦として公認する動きを見せたのだ。そしてそれだけでなく、IBAFが主導で2015年を第1回とする、国別対抗の世界一決定戦を別途立ち上げる事も発表したのだ。詳細はまだ明らかにされていないが、これが実現して定着すれば、四年間というサイクルで考えて、夏季五輪のある年(2012年、2016年…)とサッカーW杯が開催される年(2014年、2018年…)を避けてWBC(2013年、2017年…)、新大会(2015年、2019年…)が棲み分けられるのだ。

理想を言えば夏季五輪での種目復活がなされることも重要だが、これで少なくとも定期的な国際大会が二つ出来、日本代表チームの常設化の大義名分が立つのである。そして様相を異にするが、アジアシリーズを安定継続させ、ワールドシリーズのチャンピオンチームとの対戦に持ち込めればベストだ。

2015年から始まる新大会を視野に入れて国際化を図るのは意義深いことだと思う。WBCの二の舞いにならぬよう、IBAFに働きかけてNPBとしての協力を惜しまないことも必要だろう。なし崩し的に来年のWBCに参加したはよいものの、三度MLBとMLB選手会にオイシイところを持って行かれては意味が無い。

3回のWBCが開催されるのは来年2013年だが、NPBにとっては今年が国際化対応への試金石になる一年だと思う。

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コメント

チェンジアップ様、再びのコメントをありがとうございました。

> 常設化も反対ですしね。IBAFはMLBより弱いから、期待出来ないです。

> 国連とアメリカの関係みたいなもんですし。否定的な意見ばかりで申し訳ないが、率直な意見です。

現実としてはまさにその通りだと思います。

代表チームの常設化はエントリーでも触れましたが資金源になるからでしょう。来月の台湾との試合も震災からの復興支援という大義名分があるのであまり反対意見を大上段に構える人も少ないですが、チャリティーという要素を除いたら、公式戦開幕三週間前に各チームが中心選手を派遣したかも疑問です。来年のWBCへの参加もまだ正式には決まっていない訳ですから。

昨年のオールスターゲームの一試合増も結果的に仙台での開催と言うことで復興支援の一助となり意義のあるものとなったと思いますが、元はと言えばNPBの収入増のためにキャパシティーの大きい東京ドームでプラス1試合をやる予定のものでした。

それらも合わせ、国際化への立ち位置をどうするか、何年か後になって「あの時、2012年にスタンスをしっかり決めておけば…」となるような一年になるかもしれないとの懸念も考えて2012年問題とのタイトルにしました。

投稿: 敗戦処理。 | 2012年2月22日 (水) 23時11分

こんにちは。拝見しました。私は去年の4月からWBCを糾弾してるんですけどね、MIXIで。
 9月に週刊ベースボールなどで、お金が問題になってますが、私はお金以前の問題と捉えてますし。
 
 常設化も反対ですしね。IBAFはMLBより弱いから、期待出来ないです。

 国連とアメリカの関係みたいなもんですし。否定的な意見ばかりで申し訳ないが、率直な意見です。

投稿: チェンジアップ | 2012年2月22日 (水) 09時19分

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