ベイスターズのスタジアムDJ、ケチャップ氏が卒業を表明。
横浜スタジアムのベイスターズ戦のスタジアムDJを務めるケチャップ氏が30日、自らのblog「ケチャップ茶屋」で「ご報告」と題してベイスターズのスタジアムDJを卒業すると表明した。文面から判断する限りでは組織内での異動ではなく、横浜DeNAベイスターズを退団する模様だ。
敗戦処理。的にはベイスターズの…というより、ファームのシーレックスの横須賀スタジアム等でのスタジアムDJとしてマスコットのレックともどもシーレックスとイースタン・リーグを盛り上げた存在という印象が強い。
親会社が変わると往々にしてありがちなことだが、昨年のシーレックス消滅とともに、寂しい限りである。
(写真:マスコットのレックとともにシーレックス戦を盛り上げるスタジアムDJのケチャップ氏 2010年8月撮影)
何があったのだろう? 前日の29日には新しいユニフォームもようやくお披露目し、中畑清新監督を筆頭にいよいよキャンプインで戦闘の準備が本格的になるぞと言うムード満載だったのに…。 ケチャップ氏のフィールドは幅広い。横浜スタジアムのベイスターズ主催試合のDJをFMヨコハマのDJ栗原治久氏とともに行い、ファームの横須賀スタジアムでもさわやかな声でファンを和ませる。特にイースタンの試合でのマスコットのレックとの掛け合いは絶妙で、湘南シーレックスとして一軍とは別に独自色を出すファームのシンボル的存在だった。時に一軍と掛け持ちで、試合途中に横須賀スタジアムを離脱してしまうのが玉に瑕だったが、あまりに品のないヤジを飛ばす客に対して「今日は子供さんも多いですから…」と嫌みなくたしなめる巧みさも持ち合わせていた。 マルハ時代にベイスターズがファーム組織を自立させる試みとして湘南シーレックスとして一軍とは異なるユニフォームでファームの選手にプレーさせ、本拠地横須賀スタジアムを中心に神奈川県各地で試合を行い、独立採算を目指して戦っていく中、ケチャップ氏は2003年から横須賀スタジアムで活躍していた。 初期には前述の様な正義感からなのか、例えば一部のジャイアンツファンの行為を他のカードで引き合いに出してファンに啓蒙するという、「おいおい、それはちょっと違うんじゃないの…」という面もままあったが、ホームのファン、ビジターのファン関係なく取り込んでいくパフォーマンスはいつしかすがすがしく感じられる様になった。 敗戦処理。がシーレックスの試合を生観戦するのはジャイアンツ戦かファイターズ戦だが、随所にビジターチームのファンへの感謝を織り交ぜるようになり、パフォーマンスの幅が拡がる様になったと思う。 ファイターズもファーム独自のマスコット、C☆Bが登場し、C☆Bとともにスタジアムに出没する専任のアテンドの女性が付いてファンに浸透しているが、ファーム独自のサービスの全般に当てはまることだが、シーレックスの背中を追いかけてきた面があるだろう。 それが2010年限りで「湘南シーレックス」という形態が消え、ついにはケチャップ氏まで卒業、それもどうやら退団らしいとなると、いくら親会社が変わって新しいベイスターズに生まれ変わろうとしているとは言え、何かチームがぎくしゃくしているのではないかと危惧してしまう。 それでなくても、先日の一部報道によると一軍マスコットのホッシー、ホッシーナ、ホッシーゾの三人も卒業するらしい。 昨年、ベイスターズとなったファームの横須賀スタジアムの試合を敗戦処理。は一試合しか観戦しなかった。6月25日のベイスターズ対ジャイアンツ戦だ。 敗戦処理。は「シーレックス!」と叫ぶのも試合前ならではの定番のお遊びなのかと思ったが、ケチャップ氏のブログに寄せられたファンのコメントによるとこの時一回だけだったらしい。偶然とは言え、いい日に観戦出来たものだ。 ひょっとしたら、こうしたパフォーマンスが煙たがられた一面もあるのかもしれない。シーレックスの統合はコスト削減目的だったことは明らかだったから、昨年一年間は何かとやりづらい部分があったのかもしれない。そんななか、遅かれ早かれ訪れる覚悟は出来ていただろうが親会社が変わった。体制が変わることで同じポジションでも立ち位置を変えなければならなくなったとしたら、立場は球団職員でありながら、ファンに顔や姿を晒している存在。サラリーマンであってサラリーマンでない様な立場。いろいろと葛藤があったのかもしれない。 かつてファイターズでC☆Bとツーカーの関係だった球団職員の伊藤剛嗣氏もサービスに対する球団との考え方の軋轢により退職を余儀なくされたが、外からでは計り知れない何かがあったのだろう。先ほど横浜DeNAベイスターズの公式サイトをざっと見たが、特に触れられていない様だ。 ところで、今日(30日)、本年度のイースタン・リーグ公式戦が発表された。 双方のファンともに「伝統の一戦」、「宿命の対決」などと位置づけるファイターズとベイスターズの18試合を見ると、ベイスターズ主催の9試合はすべて平日ナイトゲーム。ファイターズ主催の9試合も8試合までが平日だ。偶然の賜かもしれないが、これは拍子抜けだ。唯一の祝日開催が、7月16日、海の日のファイターズ対ベイスターズ戦。ファイターズスタジアムが年間で最も盛り上がる、C☆Bの誕生日に行われる「鎌スタ☆祭」をおそらく行うであろう日なのが救いと言えば救いだろうが…。 ケチャップ氏卒業の報を受けた後にこの日程を見ると、さすがに引く。ファーム観戦に関心があるファンは一軍両リーグのオープン戦と公式戦の日程が発表され、イースタン教育リーグの日程が発表され、そしていよいよイースタン公式戦の日程が発表されて観戦日程を煮詰めるのだろうが、ファイターズとベイスターズに関しては…。 地域に密着し、様々なイベントを仕掛け、多くのお客さんを集め、そのお客さんの厳しい目に晒されながら、未熟な選手が育てられていく。それがファームの理想的なあり方ではないか。ケチャップ氏の不在が単にエンターテイメント面でのマイナスにとどまらないかもしれないということをベイスターズの関係者は認識して欲しい。ましてや、これでもしもレックまで退陣なんて事になったら…。 そしてそれはファイターズファンにとっても明日は我が身なのかもしれない。ファーム独自の運営というのはそれほどに難しいものなのかもしれない。 ベイスターズの先行きはともかく、今はケチャップ氏に感謝と労いの言葉を贈るしかあるまい。 ケチャップさん、本当にありがとう、お疲れ様でした。 バファローズの様に新しいマスコットが登場するのだろうが、何でも新しくすればいいというものでもないだろう。今は中畑新監督が広告塔と化し、メディアへの露出が例年になく多い様だが、根本的なサービスの形作りを間違えると、監督のキャラ頼りでは長続きしないと思う。特にシーレックス時代に培ったファームのサービスの土壌があるにもかかわらず、それらをリセットするのは内情を知らないファンとしての立場で言わせてもらうと、暴挙とも思える。
その試合、試合前のルーチンとして、ケチャップ氏はレックとともにグラウンドに登場。定番の応援スタイルである、「しあわせなら手を叩こう」のリズムに合わせて、手拍子を打ちながら「ベイスターズ!」と叫ぶ予行練習をしたが、どうも観客のノリが悪い。するとケチャップ氏は「今日は特別にやっちゃいましょうか?」と言って「ベイスターズ!」と叫ぶ代わりに「シーレックス!」でやってみましょうと言うと、スタンドが声を揃えて「シーレックス!」と叫んだ。明らかに「ベイスターズ!」より声が大きく、かつ揃っていた。「昨年までのシーレックスをファンの皆さんは本当に愛して下さっていたんですね」とケチャップ氏も嬉しそうに語っていた。
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