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2012年5月27日 (日)

開幕から22試合連続無失点-山口鉄也の使い方

Dsc_0243敗戦処理。注目のGF決戦第一ラウンドはジャイアンツが宮國椋丞の離脱で急遽代役に立てた先発・小山雄輝からの継投が見事にはまり、ファイターズを21で下した。ジャイアンツの交流戦成績は81敗と堂々の単独トップ。八回表の頭から投げた山口鉄也は九回表の二死まで投げて今日(27)も無失点。開幕からの連続登板無失点を22に伸ばし、1998年に佐々木主浩が打ち立てた開幕から24試合連続無失点記録に迫ってきた。

もはや、新クローザーの西村健太朗をもしのぐ抜群の信頼感。これほど際立つセットアッパーはなかなかいない。


(写真:八回表からマウンドに上がった山口鉄也と、山口を迎える内野陣と川口和久投手総合コーチ)

 
敗戦処理。にとって一年で最も憂鬱な対戦が今年もやってきた。ジャイアンツとファイターズの交流戦での直接対決だ。幸いどちらも成績がまずまずなので、どちらか一方が二連敗に終わっても、そんなには痛手でない。イースタン・リーグでこのカードを観ると一度に二試合分観た感覚で得した気分になるし、日本シリーズでの対戦も、日本シリーズに出場すること自体が素晴らしいことなのでゆとりを持って楽しめたが、公式戦はちと感覚が違うのだ。当然のことながらどちらか一方が勝てばもう一方が負けるからだ。塩谷瞬の気持ちを想像して欲しい。

ただ今日に限ってはレフトスタンドのファイターズ応援団らがヒッティングマーチに「讀賣倒せ!」を付けるのがうざかった。
Dsc_0130昨年のドラフト後の一件があるからというのもわからなくはないが、徹頭徹尾続けるほどのものでは無いだろう。せめて一回の攻撃だけでやめてほしかった。


Dsc_0101それはともかく、事前の予想では今日(27)の試合は老獪な投球をするファイターズの武田勝と、右肩の違和感を訴えていたものの思いのほか軽傷だったようで復帰登板となる二年目の宮國椋丞の投げ合いを見込んでいたが、宮國に関して焦らず時間をかけて治すという方針の様で、宮國ではなく同期ながら大府高校から天理大学を経ているので四歳年上の小山雄輝が抜擢され、今日登録された。

Dsc_0117小山は昨年、新人ながら交流戦前の時期に三度先発したが、勝利投手の権利を得る目前の五回二死で降板させられたのが一度、同点の五回二死にピンチを招くと降板させられたのが一度、同点で迎えた五回表の打席で代打を送られて降板したのが一度。三度とも先発投手本来の役割を果たす前に降板を余儀なくされると、その後登録抹消され、再び一軍に返り咲くことはなかった。つまり今日の登板を含め、一軍での登板はすべて先発。余談だがジャイアンツファンの中にも、たまに小野淳平と勘違いする人がいる<苦笑>

雑誌「野球小僧」(白夜書房刊)の2011年の新人特集で小山が将来どんな投手になるかを予想する未来予想図に「倉田誠」とあった。倉田はジャイアンツのV9後期の先発三本柱の一人で、敗戦処理。はリアルタイムに目撃しているが投手としての特徴までは覚えていない。若いジャイアンツファンには、ジャイアンツがタイガースと優勝争いをすると日本テレビが必ず中継で取り上げる1973年のジャイアンツとタイガースのデッドヒートで、タイガースの主砲、田淵幸一が後楽園球場でレフトスタンドギリギリに逆転満塁本塁打を打ち、興奮してグラウンドになだれ込んだファンと一緒にホームインするシーンがよく使われるが、田淵に打たれた背番号17の投手が倉田である。

敗戦処理。は今日の試合前に東京ドームの21番ゲートの横に入口がある野球体育博物館を訪ねたが、偶然にも1973年のジャイアンツとホークスの日本シリーズのダイジェスト映像を流していた。
Dsc_1214ジャイアンツV9の最後の年で日本一を決める試合で力投する倉田の姿があった。



そんな小山だから原辰徳監督も最初から長いイニングを期待していなかったのだろう。そもそも小山は四日前のイースタン・リーグ、対ベイスターズ戦に先発し、2イニングを投げている。首脳陣が宮國復帰を模索していたためか、この日に照準を合わせていたのではない。

そう考えれば、一回表に田中賢介のセンターオーバーの二塁打で1点を失ったものの三回を投げて1失点。阿部慎之助のソロ本塁打があって1対1の同点でマウンドを降りるのなら合格点なのだろう。ただ一回表の二死二塁と三回表の二死一、三塁でともにフライアウトに倒れた稲葉篤紀が後悔するような仕草をしていたからいずれも紙一重のミスショットだったのだろう。3イニング1失点がぎりぎりだったかもしれない。

Dsc_0169二番手の星野真澄が四回からマウンドに上がると、ファイターズはサウスポーの星野登板に合わせて七番スタメンの加藤政義に代打を送ったが、これが歯車の狂い始めだったかもしれない。まだ四回表なのに代打。それも安直に同じポジションの飯山裕志を送って三振。飯山は次の打席を1点ビハインドの七回表に迎えたが相手が右投手の福田聡志に代わっていたため、代打マイカ・ホフパワーを送られた。飯山は守りのスペシャリスト。出来ればリードした終盤に使いたい選手だ。ここはそのまま加藤に打たせるか、岩舘学でもよかっただろう。そしてホフパワーの後に中島卓也がショートに入ったが、九回表の攻撃時、中島卓の打席にはターメル・スレッジが出る予定だった。
Dsc_0207_2星野に3イニングを抑えられて、この間に坂本勇人の決勝打が出た事を考えれば加藤に代打は正解だったと言えるが、人選がおかしかっただろう。


小山、星野で六回まで来たので、後はスコット・マシソン、山口鉄也、西村健太朗が1イニングずつ抑えればジャイアンツは逃げ切る事が出来る。しかし七回のマウンドに上がったのはマシソンではなく福田だった。福田は先発投手が試合序盤にマウンドを降りる状況での“緊急登板”ではチームを救う投球を見せるが、中盤以降に起用した先のベイスターズ戦では失敗が相次いだが、それでもホークス戦で澤村の後に投げるなど、首脳陣の期待は大きい様だ。

1対2とリードされているファイターズとしては山口、西村が出てくる前に少なくとも同点にしたいところだったが、七回表二死走者無しで八番の大野奨太が打席に入ると、ネクストバッターズサークルにスレッジでも準備するのかと思ったら加藤政義の姿があった。
Dsc_0222投手が打席に立つセ・リーグではネクストバッターが投手の場合に、代打を出す予定でなくても別の選手をダミーに立たせ、投手を休ませることが出来る。試合のスピードアップのためにネクストバッターズサークルには常に誰かを待機させなければならないが必ずしも本人である必要は無いからだ。ただ、別の選手をネクストに待機させ、ベンチ前で投球練習をするのはさすがに認められない。

しかし既に退いている選手がネクストに立つというのは意味が無い。すぐに武田勝と入れ替わったが、ルール上は禁止されていないとしても、どう考えてもおかしいだろう。

結局大野が三振で武田勝に打順が回らず、武田勝は七回裏もマウンドに立ったが、いかにも消極的な采配に敗戦処理。には写った。何故なら八回表にマウンドに立つ山口は開幕から21試合連続無失点と絶好調だからだ。

Dsc_0256山口はいつも通り八回表に登板、先頭の武田勝の代打、二岡智宏にセンター前に運ばれ、その後一死二塁と一打同点のピンチを迎えるが小谷野栄一と田中を打ち取って今日も無失点。

と思ったら九回表のマウンドにも上がった。先頭の中田翔は右打者だが絶不調。ジャイアンツベンチは次の稲葉を恐れ、左対左の山口をイニングまたぎになっても稲葉まで引っ張ったのだろう。中田、稲葉と打ち取って九回二死無走者ながら、最後は西村を投入して陽岱鋼を打ち取ってジャイアンツが21で逃げ切った。

山口の今季開幕からの連続無失点記録は22試合となり、519日付け日刊スポーツによるとこの記録保持者である佐々木主浩の開幕から24試合連続無失点にあと2試合と迫った。


27日・東京ドーム】
F 100 000 000 =1
G 010 001 00× =2
F)●武田勝、植村、宮西-大野
G)小山、○星野、福田、山口、S西村-阿部
本塁打)阿部6号ソロ(武田勝・2回)

勝利投手の星野はプロ入り初勝利。星野はBCリーグの信濃グランセローズの出身だが、BCリーグからNPB入りした投手として初めての一軍公式戦勝利投手だ。ヒーローインタビューでは「育成選手からスタートして…」ばかり強調されていたが、星野は育成選手達に勇気を与えただけでなく、BCリーグ、さらにいえば他の独立リーグの選手にも勇気を与えたのだ。そこに気付いて欲しかった。

山口鉄也に話を戻そう。


山口の好投は見事というしかないが、「明日もファイターズ戦があるのにイニングまたぎをさせて大丈夫なのか?」とか「九回は頭から西村にしないとクローザーとしてのモチベーションが下がるのではないか?」という疑問はあるだろう。最近の傾向ではクローザーを固定し、原則リードした最終回には相手打者の右左とか細かい事は無関係に、クローザーがマウンドに上がるものである。だが原監督の野球は昨年まで四年連続60試合以上登板の安定感抜群のセットアッパー山口を、他の球団で監督がクローザーに寄せる信頼関係と同じ様に“初めに山口ありき”で起算しているのではないか。

山口の開幕からの連続無失点記録が佐々木に迫っていると書いたが、佐々木が開幕から24試合連続無失点をマークした1998年は、所属する横浜ベイスターズが日本一になった年であり、チームにおけるクローザー(当時は主にストッパーと言われた)の位置づけを変えた年であったと敗戦処理。は見ている。

この年の佐々木に関して、監督だった権藤博「リードしている試合の最終回に佐々木を出せば勝てる確率は100%に近い。だから勝っている試合の最終回には佐々木を行かせる。」と言った。今なら不思議でない起用法だが、それまでのクローザー、いやストッパーと呼ばれる投手は先発投手や、その後に投げている投手が最後まで投げきれない時にマウンドに上がるといった感じだった。ところが権藤監督は最初から最終回には佐々木を出すという前提で、それまでの8イニングを組み立てた。先発投手が八回まで投げきれないことを想定して“中継ぎ投手のローテーション化”まで試みた。ポイントは佐々木に如何にして繋ぐか。一方それまでのストッパーは例えばあの有名な「江夏の21球」1979年日本シリーズ第7戦にしても、カープの投手陣が最終回の江夏豊までつないだのでなく、最終戦ということもあって江夏は七回二死の時点でマウンドに立っていた。

今ではどこの球団でも原則、クローザーは最後の1イニング。そしてその前を確実に繋ぐ“勝利の方程式”を確立できたチームの勝率が高くなる。それはもちろんジャイアンツでも同じなのだが、特に今季のジャイアンツではセットアッパーの山口がかつての佐々木ほどに起算点となっていると思える。つまりクローザーはあくまで西村なのだが、試合展開に応じて一番ホットな場面でつぎ込むのが山口なのである。

いい例が23日の対ライオンズ戦。九回表を終えて20という状況で、普通の慎重な監督なら九回裏の頭から杉内俊哉に代えて西村を投入するだろう。しかし原監督は杉内を続投させて、その上で二者連続四球で無死一、二塁となると西村でなく山口をつぎ込んだ。山口はピンチを無死満塁と拡げてしまうが、三振と併殺でこのピンチをねじ伏せた。今日の試合でもそうだが、最終回だから西村なのでなく、最もホットな場面だから山口なのである。

原監督は四年連続で60試合以上に登板し、幾多の修羅場をくぐり抜けてきた山口をどの場面で使うかということに継投の最も重きを置いているのだと思う。これは従来にない継投方法だ。将来、「日本プロ野球のセットアッパーは山口の存在がターニングポイントになった」と言われ、山口が佐々木の様な評価をされているかもしれない。

ただここで見逃してはならないのが、クローザーは当初予定していたマシソンでは心許ないとして西村を抜擢した点。西村がクローザー初体験なので、初めからこの趣旨を説明して納得させやすいということも好都合なのではないか。過去に在籍した豊田清小林雅英だったらへそを曲げていたかもしれないが…。


ただ、久保裕也の離脱、越智大祐の絶不調という状況を考えると、いつ山口が同じようになるとも限らない。今日の様なイニングまたぎは明日も試合があるという状況では多発しないで欲しい。今日も九回表の頭から西村で良かったと思う。久保や越智の様に山口がならないと誰も言い切れないだろうから。

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コメント

HARA88様、コメントをありがとうございました。

> 私も昨日、初戦を生観戦して思いましたがファイターズファンの「かっとばせ〜○○」の後の「讀賣倒せ〜おっ!」が余計でしたね。
ただファイターズ応援団がそれを容認してるかどうかまではわかりません。

「讀賣倒せ」が入る分、次の演奏に入る間を取っていましたから、応援団主導ではないかと推測します。

まあ菅野の件がありますから、一言いいたいのはわからないでもないですが、一試合徹してやることはないだろと<苦笑>

長野へのブーイングは無かった様ですが。

ちなみに今日(28日)はどんな感じでした?

今日は「プロ野球ナイト」な人達と都内某所で飲みながらテレビ観戦しましたが、映像だけで音声が無かったもので…。

> そんなコールをする位なら自軍の選手にもっと声援を送ってもらいたいですね。

それはその通りなのですが、西武やホークスに対してもやらないことを、何故讀賣だけにやるのかということです。

「足を踏んでいる人は足を踏まれている人の痛さに気付かない」ものなのです。

まあ何はともあれ、一勝一敗でよかったと個人的には思っています。

投稿: 敗戦処理。 | 2012年5月29日 (火) 00時30分

私も昨日、初戦を生観戦して思いましたがファイターズファンの「かっとばせ〜○○」の後の「讀賣倒せ〜おっ!」が余計でしたね。
ただファイターズ応援団がそれを容認してるかどうかまではわかりません。


そんなコールをする位なら自軍の選手にもっと声援を送ってもらいたいですね。

もちろん、ファイターズファン全員がそうだとは思いません。たぶん、一部じゃないかと…

投稿: HARA88 | 2012年5月28日 (月) 22時18分

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