WBCの監督は誰?サンケイスポーツと東京中日スポーツが同日に1面で…
既に交流戦のジャイアンツの優勝が決まり、後は未消化の試合を消化するだけ。公式戦再開は22日から。昨年までならこんな時のスポーツ紙は“ダル、今オフポスティングでメジャー挑戦”だったが今年はそれがないので、何で来るかと思ったら今日(20日)はサンケイスポーツと東京中日スポーツが1面に来年3月に行われる第3回WBCの監督人事を持ってきた。明日の1面は原辰徳監督で決まりなので、WBC関連も一日で埋没しそうだが…。
トーチュウは今春の東日本大震災復興支援試合で侍ジャパンを率いた昨年の日本一、ホークスの秋山幸二監督が第一候補とぶちあげ、サンスポは加藤良三コミッショナーの考えで落合博満前ドラゴンズ監督が浮上とぶち上げた。
(写真:WBC監督人事を予想する20日付けサンケイスポーツ<写真右>と東京中日スポーツ<写真左>1面)
野球のWBCの一年後に行われるサッカーのW杯と比べるのはナンセンスにしても、まだ監督が決まっていないどころか、選手会は不参加表明したまま。選手会が不参加を表明する理由は、当初は機構側も問題視して抗戦していたWBC主催者サイドのスポンサー収入の分配方法への不満だが、代表チームの顔と言える監督の人選もままならないようではそもそものスポンサー探しもままならないだろう。加藤良三コミッショナーを頂点とする機構は、選手会が出ると表明していない大会の監督探しを余儀なくされている。そして同じ日にトーチュウが秋山幸二ホークス監督の名前を出し、サンスポは落合博満前ドラゴンズ監督の名前を出した。トーチュウは“第一候補”、サンスポは“浮上”と言い回しが異なるのも乙である(さすがにトーチュウは「監督に落合」とは書きたくないだろう…)。
過去二回の代表監督決定の経緯をさかのぼると、2006年の第1回の時には、とにかく初めての大会で、賛否両論ある中で誰もが納得する人選となると球界の最高峰とも言える王貞治に依頼するのがもっとも筋が通るというか、角が立たないということで、ホークスの現役監督である王に落ち着いた側面があったようだ。第2回も人選で難航したが、アジアラウンドを主催する読売新聞社が、お膝元のジャイアンツが日本一になった事で原辰徳ジャイアンツ監督を推薦する障壁がなくなり、原監督に落ち着いたと言う側面があったようだ。
その流れからすると、今年のプロ野球日本一に輝いた監督にお願いするのがもっとも無難な人選になりそうだが、自前の収入源を確保したい機構が日本代表チームをWBC大会だけのものでなく常設しよう等と考えたために3月のオープン戦の時に国際試合を組んで旗揚げし、前年の日本一と言うことで秋山監督に白羽の矢が立った。秋山監督が(今季の成績が振るわなかったとしても)有力候補であることは確かだろう。
落合の名前も、ドラゴンズを常勝軍団に仕立てた名将が退団してフリーになったのだから当然どこかから“浮上”するとは思っていた。落合を推したサンスポは前回のWBCでドラゴンズ監督だった落合が運営上の不備を理由にドラゴンズの選手を派遣しなかった過去の経緯などで“球界内に批判的な声も少なくない”としている。当然そういう敵もいるであろう。だがむしろ、敗戦処理。の想像のレベルでは前回のWBCで自軍の選手の派遣を拒んだ(表向きは選手個々の意向)落合が、今のはっきりしないWBCの監督の座を受けるとは思えないのだ。落合のWBC監督就任に際してはドラゴンズ時代並みの全権監督を認めないと本人が首を縦に振らないという見方をしている仁がいたが、敗戦処理。の想像では落合は自分に与えられる権限の領域云々もあるだろうが、そもそもNPB(機構+選手会)が一本化されていない矛盾などをクリアにしない限り落合は「私はやりません」の一言で済ませてしまうと思う。そして個人的にはそれが“正しい答”なのだと思う。
もう今回で三回目だ。MLBとMLBの選手会がタッグを組んで運営している以上、彼らに都合のよい運営方法が取られるのは自明の理。それを改善するには大会そのものを乗っ取らない限り無理だと思う。そうであれば選手会ともどもどこかで落としどころを見つけてそこを目指して参加するか否かを決めるべきであろう。選手がいなければ参加したくても出来ない。
それが今の時点ではっきりしていないのはNPB(機構+選手会)に構造上の欠陥があるからに他ならず、おそらくは7月20日に行われるという選手会の臨時大会で参加決定となるのであろうが、落合に足許を見られるであろう。いや、それはオレ流と言われる落合だから一波乱あるというのではなく、逆にそのことに何の疑問も持たずに監督就任を引き受ける人物がいたら、監督をやりたくてやりたくて仕方ない売名行為とも思われかねない人物か、よほど断れない事情があるかのどちらかだと思う。秋山監督の場合、後者になるケースも考えられる。外堀から固められるからだ。王、原という過去の監督もこれに近かったと思う。
いわゆる水面下の交渉は随時行っているだろう。機構側は選手会を説得しつつ、もう一方で監督候補の人選を進めているだろう。だがおそらくは選手会の参加表明を得るまでは監督人事は水面下のままであろう。万一の場合に監督候補者に恥をかかせるからである。
以上はもちろん敗戦処理。の邪推だが、それらを考えると、偶然にも<!?>二紙が重なった監督人事の予想記事は、ネタに困った両紙の苦肉の策という域を脱していないと思う。敗戦処理。も今はむしろ、早く週刊文春を読みたいというのが本音である。
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コメント
長緯様、コメントをありがとうございます。
> 賢明な落合氏や、現役監督としてプロ球団を率いている秋山監督が引き受けるというのはなんとなくあり得ない気もします。原監督の連投はまず今回の醜態で消えました。
でも過去二回、現役監督なのですよね…。
王監督の場合は日本球界の至宝だから「この人しかいない…」という感じで、原監督の時も、前年日本一の渡辺監督が辞退したのでしたか…
> 私が個人的に考えるに、WBCの監督にふさわしい条件の人は、
・プロ球団の監督経験がある
・国際試合で日本選抜チームを率いた経験
・そこである程度の成績を残した実績
・負けても済まされるあとくされの無い印象
この条件に合致する人は、あの人しか居ないと思うのですが・・・熱いぜ!
なるほど、たしかに“負けても済まされるあとくされの無い印象”…。
上の条件を満たしていませんが、監督:古田敦也、ヘッドコーチ:高木豊なんてどうですか?
投稿: 敗戦処理。 | 2012年6月24日 (日) 09時09分
3連覇のかかるWBCの監督となれば、そのプレッシャーはたいへんでしょう。火中の栗を拾うようなものですから。
賢明な落合氏や、現役監督としてプロ球団を率いている秋山監督が引き受けるというのはなんとなくあり得ない気もします。原監督の連投はまず今回の醜態で消えました。
国際試合は何か起こるか分からない、と国際試合の経験も豊富なスワローズの宮本選手が以前述べていましたが、そういう経験を積んだ人でないと務まらない気もします。落合、秋山両氏はアジアシリーズの経験はありますが、選抜チームの経験はないはずです(違ったらすいません)
私が個人的に考えるに、WBCの監督にふさわしい条件の人は、
・プロ球団の監督経験がある
・国際試合で日本選抜チームを率いた経験
・そこである程度の成績を残した実績
・負けても済まされるあとくされの無い印象
この条件に合致する人は、あの人しか居ないと思うのですが・・・熱いぜ!
投稿: 長緯 | 2012年6月24日 (日) 00時48分
チェンジアップ様、コメントをありがとうございます。
> 敗戦処理さんに限らず、中日が、落合が選手を派遣しなかった、という方がいるのですが・・・何で、そう思うのか?が理解出来ない。
私の場合、その根拠の最大の拠り所は白井オーナーの当時の「讀賣さんの大会でしょ」と言うコメント。
> 当時の落合のコメ及び落合著の「采配」の記述を読むと、私は5人とも出たくなかったんだな、としか解釈出来ないですけどね。
落合性善説の方が読み取ればそうなるでしょう。解釈は人それぞれ。そうとしか言えません。
投稿: 敗戦処理。 | 2012年6月23日 (土) 00時25分
こんばんは。この問題には人一倍うるさい、チェンジアップです(笑)。
スポニチには秋山監督が、「WBCの監督はやらない」とありましたね。
王さんも「現役監督をきついよ」と秋山をフォロー。
ちなみに私、コレ、昨日か、一昨日にMIXIに書きましたが。
>の想像のレベルでは前回のWBCで自軍の選手の派遣を拒んだ(表向きは選手個々の意向)落合が
敗戦処理さんに限らず、中日が、落合が選手を派遣しなかった、という方がいるのですが・・・何で、そう思うのか?が理解出来ない。
5人も選ばれて、誰一人出たい人間が居ないのは、有り得ない、という先入観があるとしか思えないですけどね、失礼ながら。
当時の落合のコメ及び落合著の「采配」の記述を読むと、私は5人とも出たくなかったんだな、としか解釈出来ないですけどね。
統一契約書に強制権はない、ということ。これはNPBはもちろん、球団や監督にも選手に「出ろ」とも「出るな」とも言えないのですよ。
契約書のその記述を持ち出して、選手を強制的に出させないというような初歩的な矛盾を落合が犯すとは思えないんですけどね。
私なんか、出たくない人間の気持ちはよく理解出来ます。
逆にイチローが、何であんなに張り切るのかが理解出来ないくらい。
その7月の選手会の結論が楽しみですね。私は3月に選手会のHPのご意見箱に「WBCに出るな」と投書しました。
ちなみに一回目のWBCってオリックスからは誰も出てないんですよね。
もっとも選ばれなかったのか?もしくは選んだけど、辞退されたか?は私には分かりません。王さんは原監督みたいに暴露してないので。
逆に一回目は中日は谷繁と福留は出てますし。
更に、各球団から1人は出さないといけないという決まりもないですし。
むしろ、各球団から最低1人出すことで、12球団が一丸という印象をつけようとするなら、それは愚でしょう。
アテネの反省で、北京は球団枠を取っ払ったわけですし。北京五輪だとオリックスと広島の選手がゼロです。
勝ちたいなら、そうするでしょう。90年ごろかな?オールスターでセで阪神の選手が監督推薦で誰も選ばれなかったけど、その時の監督(思い出せない藤田元司氏かも)が「勝ちたいので」と理由を説明した。
ファン投票で真弓だけでしたね、その時の阪神。
投稿: チェンジアップ | 2012年6月22日 (金) 23時25分