好調ジャイアンツの落とし穴。先発ローテーションの谷間には誰が投げる?
交流戦で堂々の首位を走る好調ジャイアンツだが、実は先発として計算できる投手が四人しかなく、ゆるゆる感のある交流戦期間はまだしも、セ・リーグ同士の対戦に戻ったら先発投手不足の問題が露呈する。四人で何とかなっている今のうちに、五人目以降の先発投手のめどを付けておきたいところだ。
その筆頭候補は一軍で実績のある東野峻とディッキー・ゴンザレスだろう。
東野は27日に行われたゴールデンイーグルス戦に先発し、6イニングで自責点1。ただこれまでの登板が良かったり悪かったりで安定感に欠ける。ゴンザレスは脇腹を痛めて戦線離脱してから31日に初の実戦マウンド。スワローズ戦に先発したものの三回途中で本塁打を含む3失点でKO。まだ様子見という感じだ。
そしてこの日のマリーンズ戦に先発する笠原将生。ゴールデンウイークの一軍九連戦の先発ローテーションの谷間の日に先発したが直後に二軍落ち。ただ前回26日には先発で6イニング2/3を投げて自責点1と好投して勝利投手となった。東野はおそらく3日に先発。笠原としても先に結果を残したいところ。
一回表にジャイアンツが先頭の丸茂謙一の安打を皮切りに一死三塁のチャンスを作りながら隠善智也、中井大介の三、四番がともに内野ゴロで先制のチャンスを逃して迎えた立ち上がり。
先頭の伊志嶺翔大に三塁線を破られる二塁打を打たれ、続く角晃多のバントを自ら捕球して、がら空きの三塁ベースに投げようとしてオールセーフにすると、荻野貴司にレフトへ高々と犠牲フライを打ち上げられ、あっという間に1点を先制された。
続く四番はジョシュ・ホワイトセル。一軍ではフルスイングしたフォロースルーで左手をバットから離してオーバースイングとなって捕手の頭を強打することたびたびで、打撃フォームの崩れが不振の一因だとファームでの調整を指示された。この第一打席でも相変わらず捕手の河野元貴に一触即発のフルスイング連発。しかも河野を震撼させただけでなく、ライトオーバーの3ランを放ち、マリーンズはこの回いきなり3点先制。
マリーンズの先発、阿部和成を打ちあぐんでいたジャイアンツ打線は三回表、一死から和田凌太、丸毛、橋本到が三連打で一死満塁。
ここで隠善のライトへの犠牲フライで1点を返すと、続く中井が右中間を真っ二つに破る。
一回の先制チャンスを潰した三、四番が走者を返し、ジャイアンツは早くも3対3の同点に追いついた。
これで調子を上げなければならない笠原だが、直後の三回裏に先頭の伊志嶺にセンター前に運ばれる。伊志嶺はすかさず二盗を試みるが、捕手の河野の好送球で伊志嶺を刺し、ピンチの芽を防いだ。笠原はそれでも立ち直れず二死から荻野貴に四球。しかしここでも二盗を試みた荻野貴を河野が見事な送球で刺す。ふらふらの笠原を河野が助けた形になったが、伊志嶺、荻野貴とマリーンズの一軍でも名高い快足コンビを刺したことは河野にも自信になった事だろう。
続く四回表にジャイアンツは死球で出た矢野謙次を二塁に置いて和田のレフトオーバーの二塁打で4対3と勝ち越したが、その裏、ふらふらしていた笠原がついにつかまる。
先頭のホワイトセルの詰まったレフトフライをレフトの丸毛が目測を誤ったかポテンヒットにすると、一死から青野毅が三塁線を破る二塁打で一死二、三塁。高濱卓也がライト前にライナーではじき返し、4対4の同点。ここで阿波野秀幸投手コーチがマウンドに上がりアドバイス(冒頭の写真)。気を取り直した笠原は続く小池翔太を併殺コースの二塁ゴロに仕留めるが、併殺を焦ったか、一塁走者に巧妙に妨害されたか和田の一塁送球は中途半端なワンバウンドとなり、勝ち越しの走者が生還するとともに打者走者の小池も二塁に進んだ。
マリーンズはたたみかける様に翔太がセンター前にはじき返し、センター大田泰示の懸命のバックホームも及ばず小池が還り、4対6。ここで笠原はKO。田原誠次がマウンドに上がった。
笠原も不甲斐なかったが、丸毛と和田が足を引っ張った形になった。丸毛も和田も育成選手ながらイースタンの出場機会が増えている。この日は「一番・左翼」でスタメン出場した背番号005の丸毛が4打数3安打1打点2得点。「九番・遊撃」でスタメン出場した背番号010の和田は4打数2安打1打点1得点と攻撃面では活躍したが、守備でミスが目立つ様だと次のステップに進めないだろう。育成選手制度の生みの親とも言える清武英利前球団代表は育成ドラフトで指名する選手には一芸型が多いといっていたが、入口は一芸でもそこから先はその一芸を磨くだけではダメで、苦手な分野も及第点を取れるレベルにしなければならないだろう。二人ともプロに入って最初の壁との闘いなのかもしれない。
リリーフの田原は宮國椋丞が右肩の違和感を訴えて登録抹消された際に入れ替わりで一軍に昇格したが、わずか四日間で先発要員のデニス・ホールトン登録に備えて二軍落ち。一軍での公式戦初登板はお預けとなった。
今年のジャイアンツのルーキーでは高木京介(國學院大)が開幕一軍入りを果たし、ついで一岡竜司(沖データコンピュータ教育学院)、田原(三菱自動車倉敷オーシャンズ)と一軍入りを果たし、江柄子裕樹(東芝)も一軍入りを果たして2日のバファローズ戦で公式戦初登板を果たした。7人の選手を指名した昨秋のドラフト会議で高校卒ルーキーの松本竜也(英明高)、今村信貴(太成学院大高)、高橋洸(日本文理高)を除く4人がすべて一軍を経験している。原辰徳監督の甥、菅野智之(東海大)の獲得失敗ばかりがクローズアップされる昨秋のドラフトだが、まだお試し一軍研修という感じはするものの皆それぞれ好スタートを切ったと言えよう。
余談だが2日にプロ入り初登板を果たした江柄子がマウンドに上がったのは20:50頃。試合開始から2時間50分程経過しており、これが本当の江柄子2:50!見事3奪三振の完璧デビューだった。
田原を観るのは実は初めてだ。勢いのあるサイドスローから切れの良い球をぐいぐい投げ込んでくる。これは楽しみだ。田原はこの回のピンチを切り抜けただけでなく、五回裏、六回裏と無失点で切り抜ける。荻野貴と高濱に安打を打たれたが走者を背負っても動ぜず何とか凌いでいた。
その間にジャイアンツは六回表にマリーンズの三番手、サウスポーの植松優友を攻めて二死から丸毛の右中間を破る三塁打と橋本の一、二塁間を破るタイムリーで5対6と一点差に迫った。
しかし七回以降、橋本健太郎、荻野忠寛、中郷大樹とつなぐマリーンズの継投に食い込めず、5対6のまま敗れてしまった。
2位のゴールデンイーグルスを4.5ゲーム、3位で勝率ちょうど5割のジャイアンツを8ゲーム離して快走する(6月1日現在)イースタン・リーグの首位マリーンズの強さをまざまざと見せつけられたゲームだった。
【2日・柏の葉公園野球場】
G 003 101 000 =5
M 300 300 00× =6
G)●笠原、田原、野間口、高木京-河野、加藤
M)阿部、○山本一、植松、橋本、荻野忠、S中郷-小池
本塁打)ホワイトセル3号2ラン(笠原・1回)この日は「第3回柏の葉シリーズ」と銘打たれた様だ。この球場は2010年4月にオープンしたばかり。その年の7月に同じカードのこけら落としが行われたが、昨年は5月に予定されたこのカードは東日本大震災の影響でロッテ浦和に振り替えられ、別途8月のファイターズ戦がロッテ浦和から柏の葉に振り返られたが、その試合は雨天中止。「第2回…」がいつだったのか定かではないが、マリーンズ柏市後援会の尽力などもあってかなり気合いが入っていた。東日本大震災被災地復興支援とも銘打っており、収益の一部を東日本大震災復興を支援する柏市民の会を通じて被災地へ送るとのことだ。
M☆Splash!!とともにマリーンズの四人のマスコットも来場。五回終了時のハーフタイムには「ひとつプロジェクト」として、入場時に無料配布したパンフレットの中央ページをかざして被災地でもある宮城県の気仙沼市に思いを届けようと観客に呼びかけた。
マリーンズは今日(2日)は一軍が本拠地QVCマリンフィールドで同じ午後1時試合開始でドラゴンズと対戦しているというのにこの柏の葉にM☆Splash!!だけでなく、マーくん、リーンちゃん、ズーちゃん、COOLと四人のマスコットが勢揃い。試合前に正面入口前でパフォーマンスをし、
試合開始直前のセレモニーにも参加、
五回終了時の「ひとつプロジェクト」はもちろんのこと、
七回にも登場。この間にも球場の外でファンのグリーティングを行っていたというが、もちろんQVCでのおつとめも通常通りにこなしていた。
ヒーローインタビューではマリーンズのヒーローをもり立てた(6月2日、テレビ東京系「ネオスポーツ」より)。敗戦処理。は千葉県の土地勘がないので柏の葉と幕張の移動所要時間がわからないが、マーくん達はカモメなので空を飛んで移動できる。その気になれば同時に柏の葉とQVCでパフォーマンスを出来るのだ。これはB☆B(熊)やジャビットファミリー(兎)には真似の出来ない芸当だ。
一軍の交流戦も2日から後半戦、ジャイアンツの先発ローテーションを予想してみよう。
2(土)Bs(京セラ)澤村
3(日)Bs(京セラ)ホールトン
4(月)
5(火)H(ヤフー)杉内
6(水)H(ヤフー)内海
7(木)
8(金)L(東京D)澤村
9(土)L(東京D)ホールトン
10(日)M(東京D)?
11(月)M(東京D)杉内
12(火)
13(水)F(札幌D)内海
14(木)F(札幌D)澤村
15(金)
16(土)モ(Kスタ)ホールトン
17(日)モ(Kスタ)杉内
先発投手を中五日ベースで回したら、交流戦期間に限定すればローテーションの谷間は一日だけ。東野、ゴンザレス、笠原…候補者達にとっては今週の登板がラストチャンス…先月27日に一軍で先発した小山雄輝に、今日初登板した江柄子もファームでは先発ローテーションで投げていた。大穴に小野淳平、金刃憲人もいる。誰がチャンスを得て、そして掴めるか…
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