ロッテ浦和球場が変わっていた!
いやはや、ファーム好きを公言していながらロッテ浦和球場に足を運んでいないのがばれてお恥ずかしい限りだ。「とっくに知っているよ!」という方々には百も承知の内容だが、試合に関してのリポートもあるのでお付き合いいただければ幸いである。まず、昨年までは開いていなかった三塁側レフト寄りに入口があるのに驚いたが、昨年までマリーンズ側で観戦するファンが入口にしていた部分が“関係者以外立入禁止”になっていた。
今日は天候が悪くグラウンドでの練習は最小限に絞られていたが、この旧入口を通って隣接するマリーンズの室内練習場に移動しようとする試合前のジョン・ボウカーに果敢にサインを頼んでいるファンもいたが、当然ながら断られていた…。
ジャイアンツ戦やファイターズ戦でビジターとなる一塁側を利用する敗戦処理。としては三塁側入口が離れてしまうと気になるのはトイレ。昨年までは一塁側の出口を出てホーム裏に回っていたのでそれが多少なりとも遠くなるのはショック。しかも移動の間、プレイを全く観ることが出来ない。ところが一塁側に簡易トイレが二台設置された。
ちなみにトイレは一塁側ベンチの隅っこの真裏にあるので、利用中にジャイアンツの選手達による雑談…いやもとい野球談義が聞こえてきた。二台のうち一台は女性も使用できるタイプなのだが、二台とも取っ手に“男性用”と書いてある。女性で利用している人もいたが、ちょっと不親切に感じた。
せっかくなので三塁側に回ってみた。この球場の最大の売りはマリーンズの投手の投球練習が間近に観られることだったはずだが、今回の改装でブルペンは完全に立入禁止区域の中に移設され、しかも投手側が覆われているので誰が投げているのかわからない。三塁側のスタンドに入ってみたが、どの位置でも、捕手が捕球するところは見えても、投手が投げる姿が確認出来ない。
プロの投手が真剣に集中して投球練習をするのを間近で観ることが出来る球場は限られている。スタンドからは見えないところにブルペンがある球場が多い。ロッテ浦和球場は最大の特徴をなくしてしまった。まさか、お行儀の悪いファンが多くなり、選手を守るための措置でなければ良いのだが…。
昨夜からの雨は一度止んだが、試合前は降ったり止んだり。グラウンドでの練習は最小限にし、マウンドとバッターボックスをシートで覆ってコンディションを整え、何とか試合開始に漕ぎつけた。マリーンズの先発はサウスポーの植松優友、ジャイアンツの先発は育成ドラフト2位指名のルーキー土田瑞起。土田はこれで三週連続で土曜日に先発。
試合は初回から荒れた。一回裏、マリーンズ打線が土田に襲いかかる。一死から伊志嶺翔大の左中間の大飛球にレフトの立岡宗一郎が追いつくかに見えたが頭上を越され二塁打。高濱卓也に死球、ジョシュ・ホワイトセルに四球で満塁となり、二死から金沢岳にセンターの大田泰示の頭上を超える二塁打を打たれ、2点を先制されると、続く翔太にもセンター前に運ばれてさらに2点を追加。早くも0対4とされた。
ジャイアンツも直後の二回表、ボウカーのセンターのフェンスの上の金網に当たる二塁打と山本和作のライト線いっぱいに落ちる二塁打で無死二、三塁とすると、立岡のショートゴロと河野元貴のセンターへの犠牲フライで2点を返した。土田は立ち直らない。二回裏に先頭の生山裕人に安打を打たれた後、工藤隆人をショートゴロ併殺打に打ち取ったものの伊志嶺に四球。高濱に左中間に二塁打を打たれ追加点。これも立岡の追い方が変だった。
2対5とされたジャイアンツだが、三回表、再び植松に襲いかかる。一死から、昨日に続き昼夜兼行の藤村大介が一、二塁間を破って出塁すると、大田が三遊間を破り、中井大介はセンター前に落として満塁に。ここでボウカーが一、二塁間にゴロを放ち、二塁手の角晃多が二塁ベースカバーの細谷圭に送球するが送球が乱れ、オールセーフ。続く山本がレフト線に運ぶ二塁打でジャイアンツは5対5の同点に追いついた。
さらにここで続く立岡が豪快にレフトオーバーの勝ち越し3ランを放ち、ジャイアンツは8対5と一気に逆転した。
逆転したジャイアンツはその裏から二番手に朝井秀樹を投入するが朝井も土田同様にぴりっとしない。代わった三回裏こそ先頭の細谷に三遊間を破られた後を抑えて無失点に切り抜けたものの、四回裏にも先頭の生山に二遊間を破られる。雨が再び強くなる中、工藤が振り切った打球はライトオーバーの本塁打。バッターボックスがぬかるんでいるのかフルスイングした工藤がバランスを崩して転けそうになるが、本塁打なのでスピードを緩めてベース一周。これで8対7。
*ファイターズ時代から工藤を観ているが、生で本塁打を観るのはおそらく初めて。工藤が四番に抜擢された試合を観たこともあるが…。
この前の表の攻撃で大田も打ち終わってバランスを崩していたし、その前の角もこけそうになった。試合成立も覚束なくなってきたが、続く伊志嶺にもセンター前に運ばれると、ジャイアンツベンチは朝井に代えて辻内崇伸をマウンドへ。辻内は高濱をショートゴロ併殺に仕留めて流れを断ったかに思えたが、続くホワイトセルに右中間を破られて二死二塁となると、細谷、金沢に連続四球で二死満塁。ジャイアンツはここで辻内を諦めて林羿豪を送る。
だが林羿豪も翔太に四球で押しだし。マリーンズは8対8の同点に追いついた。この後、角が三振に倒れ、8対8で四回裏を終えると、雨が強くなったため中断。そして程なくノーゲームが宣告された。
五回を終えていないので試合としては不成立だが、スコア的には既に一試合以上並みの動きがあった。
【7日・ロッテ浦和】 (四回裏終了、降雨ノーゲーム) M)植松、橋本-金沢 本塁打)立岡3ラン(植松・3回)、工藤2ラン(朝井・3回)
G 026 0 =8
M 410 3 =8
G)土田、朝井、辻内、林羿豪-河野
鎮西高校からドラフト2位でホークスに入団。いきなり背番号7をもらい、選手名鑑では“秋山二世”と評されていた。一軍では二年目の2010年に代走として公式戦に一試合出場しただけで、打席にも立たず守備にもついていない。ファームでは一年目には適性を見極めるためか、三塁手として40試合に出場したほかに遊撃手として12試合、二塁手として5試合に出場している。108打数24安打2本塁打15打点で打率.222を記録。高校卒一年目としてはまずまずの成績に思えるが、今季の移籍前までの三年半、出場試合数、安打数、本塁打、打点で一年目が最高である。二年目の2010年には二塁手として21試合に出場し、三塁手としては15試合のみ。外野に挑戦するようになったのは昨年2011年からで、三塁手として8試合、二塁手として4試合に出場したほかに外野手として2試合出場。今年はホークスのファームではウエスタン・リーグで外野手として14試合に出場。三塁手としての13試合、二塁手としての4試合、一塁手としての9試合をポジション別で上回っている。外野の守備は(今日初めて観たが)その割には…という印象を受けた。
今日のパンチ力を目の当たりに見せつけられると、たまたまだったのかもしれないがどんどん試合で使って欲しくなる。ただ外野の守備は横あるいは後方に飛ぶ打球への追い方を徹底的に鍛えない限り一軍では守れないだろう。なお三回裏の守備からセンターを守っていた大田とライトを守っていた松本哲也を入れ替えたが、敗戦処理。にはより守備範囲の広い松本哲でないと立岡をフォローできないための措置と映った…。
長所を伸ばし、かつ短所を矯正する指導が出来れば最高なのだが…。かつて同じようにシーズン途中にトレードで獲得した長距離砲の呼び声が高かった吉川元浩を大成できなかったのがダブってくるが、ジャイアンツで“秋山二世”として開花して欲しい。
試合後、グラウンドから室内練習場に向かうマリーンズの選手にファンが群がり、サインをしていた。ブルペンを間近に観られなくなったのは残念だが、TPOをわきまえて選手に接するファンに選手が気さくに応じるシーンは相変わらずだった。
果たしてあのまま試合が行われていたらどんな展開になっていたのか?四回で8対8なんて試合はざらにない。最後まで見届けたかったが…
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コメント
長緯様、コメントをありがとうございます。
> 雨の中、おつかれさまでした。
ノーゲームは残念ですが、そんな試合でもさすがに見所を抑えていらしゃるとおもいました。
四回終了でのノーゲームなので公式記録には残りませんが、一試合以上分の濃密な得点シーンを堪能しましたので、自分としては損をした気はしないです。
長椅子から個別の椅子に代わって、観戦しやすくなったのですね。町の中にあるグランドで明日のスターや再起を期す選手が懸命にプレーする姿を静かに観戦できるロッテ浦和は年に一度は行ってみたい球場です。
ゆったりした半面、元から少ないキャパシティがどうなったのかが気になります。昨日は元々天候が悪かったのでファンが押しかけなかったですが、それでも試合が始まる頃には一塁側に立ち見が出ました。
ちなみに三塁側は四列です。
> 立岡は良く知らないのですが、長打力が評価されてドラフトにかかり入団したようですので、長打力のある打者が伸び悩んでいるジャイアンツで開花することを期待しています。
ドラフト2位で、一年目から一桁の背番号をもらい、監督の現役時代並みの活躍を期待された選手を三年半で放出してしまうホークスという球団も凄いですね。
まだ22歳ですから、大化けしてくれるといいのですが…。
> またマリーンズの工藤も2年間ジャイアンツに居てくれてありがとうと言いたい選手です。一軍でバリバリやってほしいです。ジャイアンツに居ましたがどうしてもファイターズの印象がまだ強いですが。
工藤はファイターズで鎌ヶ谷の頃から注目している選手ですが、本塁打のシーンを生で観るのは初めてだと思います。それが記録上は“幻の本塁打”になってしまったのは本当に残念です。
ただ角中の大ブレークと荻野貴司の本格復帰で、一軍の外野陣に割り込むのは相当厳しいと思います。伊志嶺ですら二軍なのですから。プレーはいつもスピード感にあふれていますがいわゆる“松坂世代”であることを考えると相当がんばらないと厳しいでしょうね。
投稿: 敗戦処理。 | 2012年7月 8日 (日) 16時36分
雨の中、おつかれさまでした。
ノーゲームは残念ですが、そんな試合でもさすがに見所を抑えていらしゃるとおもいました。
首都圏から離れてしまったので観戦の機会が無く、改装されたのは自分も知りませんでした。長椅子から個別の椅子に代わって、観戦しやすくなったのですね。町の中にあるグランドで明日のスターや再起を期す選手が懸命にプレーする姿を静かに観戦できるロッテ浦和は年に一度は行ってみたい球場です。
立岡は良く知らないのですが、長打力が評価されてドラフトにかかり入団したようですので、長打力のある打者が伸び悩んでいるジャイアンツで開花することを期待しています。写真を拝見しますとコンパクトに振っているような印象があるので、ミートが上手そうですね。
またマリーンズの工藤も2年間ジャイアンツに居てくれてありがとうと言いたい選手です。一軍でバリバリやってほしいです。ジャイアンツに居ましたがどうしてもファイターズの印象がまだ強いですが。
投稿: 長緯 | 2012年7月 7日 (土) 23時41分