天沼さん、長い間本当にありがとうございました。-ファイターズスタジアムの一番長い日
今日(15日)、約5年間にわたり鎌ヶ谷のファイターズスタジアムでマスコットのC☆Bのアテンドをしてファンを楽しませてくれた天沼ゆかりさんが退任された。
天沼さんは今日行われたファイターズ対ライオンズ戦で最後のアテンドを務め、いつものようにC☆Bとじゃれあっていた。五回終了時の恒例の“C☆Bのお水遊び”では積もり積もった鬱憤を晴らすかのようにC☆Bめがけて放水してファンの喝采を浴びていた。
そして試合後、別れを惜しむファンが天沼さんの周りに集まり、その輪はシャトルバスや路線バスの最終便が出発した後もいつまでも途切れなかった。
天沼さん、長い間本当にありがとうございました。
(写真:お水遊びタイムでC☆Bめがけて放水する天沼さん。この息のあった名コンビも今日でお別れ。)
昨日(14日)付けのエントリー 鎌ヶ谷ファイターズ 11失点、打つ方はあわやノーヒットノーランの貧打で6連敗。 で“絶対に負けられない戦いが、そこにはある。”と書いたのは天沼さんの件だ。チームは6連敗中だが、せめて今日くらいは勝って気持ちよく天沼さんを送り出したいという意味で書いた。
天沼さんが退任されるという話は先月あたりから噂としては流れていたが、ご本人の意向もあってか、あまり公にしたくなかったそうなので前日とはいえ一応ふせておいた。敗戦処理。自身、鎌ヶ谷での観戦でお世話になっている複数の知人から先月聞いた。一部フライング的に“公開”してしまった人がいたようだが、それもあってか、今日はお盆休みとはいえ平日であるにもかかわらず、多くの人が鎌ヶ谷に詰めかけた。球場内の売店の仁陣のオヤジさんが昨日の試合後に球場を後にするときに「明日来ない人は罰金だよ!」と言っていたが、融通して鎌ヶ谷に来た人も少なくなかった様だ。
天沼さんは試合前にいつものようにグラウンドに登場。自ら本日限りである旨を発表した後、後任のC☆Bのアテンドとなる平野さんを紹介していた。この時点でスタンドからは「お疲れさ~ん」、「辞めないで~」などの声が飛び交い、C☆Bも直談判し、それでも天沼さんの意思が固いことがわかると、泣いて懇願していた。
平野さんは既に9日の対ジャイアンツ戦、昨日の対ライオンズ戦では一人でC☆Bのアテンドをしていた。ちなみに天沼さんは試合前恒例のベースランニングに初参加し、「こんなに気持ちいいとは…」と感想を語っていた。
6連敗中のファイターズだったが、さすがに今日はみっともない試合は出来ないと奮起したのか、先発の糸数敬作も序盤から飛ばし、打線も序盤からライオンズ先発の平野将光に襲いかかった。
二回裏、久々スタメン出場の岩舘学が三遊間を破って出ると、続く石川慎吾が流し打ってライトオーバーの先制2ラン。この回さらに荒張裕司と村田和哉の安打で再びチャンスを作って二死一、三塁から加藤政義がセンター前にタイムリーを放ち、1点を加えた。
糸数が三回表に大島裕行のレフト前のポテンヒットで1点を失うと、その裏ファイターズもすかさず一死から岩舘がレフト線に二塁打で出て二死から暴投で三塁に進むと、荒張の投手強襲安打で1点を奪い返し、4対1とした。糸数は五回表にも斉藤彰吾と坂田遼の安打で一死一、二塁のピンチを招くが五番に入っている梅田尚通を二塁ゴロで併殺に仕留め、ピンチを切り抜けた。
五回裏、四回裏から投げている二番手の松永浩典に対し、先頭の今浪隆博が左対左を苦にしない豪快な一発をライトオーバーで放ち、1点を追加。ライオンズはここで右投げの桟原将司を投入するが、岩舘と荒張が安打。松本剛三振の間にダブルスチールが決まった形になり、二死二、三塁となって谷口雄也と村田が連続タイムリーでこの回3点、7対1と突き放した。
ここで冒頭の写真の“C☆Bのお水遊び”。C☆Bは集まったファンに一通り放水した後、隙を見て天沼さんに集中放水した。そしてその後逆に天沼さんがC☆Bに放水し返したのが冒頭の写真だ。中盤で6点リードで多少余裕が出るはずの糸数だったが、飛ばしすぎたのか六回表にも二安打と四球で二死満塁となると、左打者の斉藤を迎えたところで交代を告げられた。二番手は昨日のこのカードで一死も奪えずに降板した宮本賢。
宮本は昨日の雪辱に燃えていたのか、天沼さんに惚れているのか、二球で斉藤を詰まった二塁ライナーに打ち取ってピンチを切り抜けた。
この裏、ファイターズはこの回から登板のライオンズの四番手、木村文紀から先頭の鵜久森淳志が四球を選ぶと、今浪の打席で暴投で一気に三塁まで進んだ。この時ライオンズベンチから行沢久隆監督が出てきて死球だったのではないかと抗議したが判定は覆らず。今浪に行沢監督が直接確認した感じでスタンドから笑いが起きていた。この後、無死三塁から今浪がセンター前にはじき返して8対1とした。
七回表は体調回復して4試合目の登板となる石井裕也がきちんと三人で抑えた。これで4試合連続して1イニングを自責点0に抑えている(失点は1)。現在一軍のサウスポーのリリーバーは宮西尚生と根本朋久。最終回に登板した乾真大を含め、高いレベルでの競争になりそうだ。この後も八回表は大塚豊が、九回表は乾が抑え、ファイターズは昨日までと同じチームとは思えないほどの快勝で連敗を6で止めると同時に天沼さんに勝利をプレゼントした。
ライオンズでは八回裏に大石達也が登板。両軍ファンから歓声が上がった。先頭の鵜久森に左翼線二塁打を打たれ、今浪に四球で無死一、二塁のピンチを迎えるも、後続を絶って1イニングを無失点に抑えた。
【15日・ファイターズスタジアム】
L 001 000 000 =1
F 031 031 00× =8
L)●平野、松永、桟原、木村、大石-中田、岳野、藤澤
F)○糸数、宮本、石井、大塚、乾-荒張
本塁打)石川3号2ラン(平野・2回)
選手達が勝利をプレゼントした後は、ファンの番だとばかり、試合後、仕事を終えた天沼さんをファンが取り囲んだ。イベントなどの際に路線バスの乗降に使われるスペースに移動し、常連さんを中心にした有志から、天沼さんの思い出の写真にメッセージを添えたアルバムをプレゼントした。三塁側スタンドで応援のリードをとっているOさんらが中心に本人に内緒で入念に準備されていたようで、天沼さんは既に眼がうるうるしていた。
選手でもなく、マスコットでもない天沼さんがいかにファンに愛されていたかということだ。たぶん今日集まった人、あるいは今日は来ることが出来ないので昨日天沼さんにお別れの挨拶をしていた人達は今回の退任を知るまで、天沼さんのいない鎌ヶ谷など想像していなかったかもしれない。ファイターズスタジアムにイースタン・リーグの本拠地球場で最も多くのファンが集まるのは選手達のがんばりに加え、マスコットのC☆Bの活躍が大きいのは明らかだが、いつもそのC☆Bの隣にいて、優しい関西弁でC☆Bをあやつったり、明るくファンとコミュニケーションを取っていた天沼さんの存在もなくてはならないものであり、いなくなることなど想像できなかったのではないか。
この後、ファンとのグリーティングを終えたC☆Bと新アテンドの平野さんも加わり、全員で記念写真を撮ろうということになった。この時、シャトルバスは既に終了していて、西船橋駅行きの最後の路線バス(この日は休日ダイヤ=17:19発)が入構してきたがそんなことはお構いなし。平野さんと、ファイターズ鎌ヶ谷の会のHさんと、自称ピュアなファイターズファン、もといピュアなベイスターズファンのKさんがカメラマンとなった。形の上では一応これで散会という感じだったのだが、既に路線バスにも見放されて時間を気にすることの無くなったファンが引き続き天沼さんと話し続けた。念のため書いておくが、これは球団が用意したお別れの会ではない。天沼さんへの感謝を形にしたい常連さんを中心にしたファンが自発的に行ったのだ。それゆえ段取りなど無い。ファンは思い思いに天沼さんとのお別れを惜しみ、記念写真を撮ったりしていた。
敗戦処理。もどさくさに紛れ、基本的にサインは書かないという天沼さんに頭を下げて、C☆Bと一緒の写真に一筆添えていただいた。
ところで敗戦処理。が天沼さん本人から今日の件を聞いたのは4日のフューチャーズ戦の時だった。この日、基本的には天沼さんがC☆Bのアテンドをしていたが、試合中や試合終了後のグリーティングでC☆Bと別行動し、一人でファンと話しているケースが目立った。前出したフライングはこの日に天沼さんの意思を確認した人が早まって某所で公開してしまった様だ。そして9日の対ジャイアンツ戦から平野さんがC☆Bのアテンドを担当していたようだが、敗戦処理。が生観戦した昨日14日は完全に天沼さんは別行動で常連のファンに挨拶回りをしていたようだ。試合終了後のグリーティングにしても、敢えてC☆Bと平野さんと時間をずらしてファンの前に姿を現し、グリーティングの動きとは別の流れで常連さんの群がりに足を運んでいた。天沼さんがC☆Bと一緒に行動すると、平野さんの邪魔になると配慮したのだろう。最後まで鎌ヶ谷のことを考えていたのだ。
ちなみに天沼さんはファイターズの球団職員だと思われがちだが、とあるプロダクションに所属するタレントさんだ。所属プロダクションのHPを見ると、天沼さん同様しゃべることを専門にしているタレントさんが多数所属している。幼稚園の教諭(第二種免許)と保育士の資格をお持ちのようで、C☆Bの操縦とちびっ子ファンへの対応のすばらしさもむべなるかなという感じだ。プロフィール欄にはファイターズでの活躍が主体で書かれている。それとなく今後の予定を聞いたが、次のステップでのご活躍を心から応援したい。後を引き継ぐ平野さんは今日の様子を見て余計にプレッシャーを感じているかもしれないが、あまり難しく考えずに自分なりにやればいいと思う。
天沼さん、本当にありがとうございました。
P.S.
今日のおまけ最後のツーショット
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コメント
肉うどん様、コメントをありがとうございます。
> 小生、鎌ヶ谷には一度も足を運んだことがないという緩いファンですが、今回の記事を拝見し、ますます行ってみたくなりました。
おお、そうですか。ぜひ、機会があれば一度足を運んでみて下さい。
単に二軍の試合が行われている、というだけでなく、いろいろとハマるかもしれません。
選手でもなく、マスコットでもない、一人のスタッフさんの“卒業”にこれほど多くの人が動くとは私も思いませんでした。
投稿: 敗戦処理。 | 2012年8月23日 (木) 22時15分
敗戦処理。さん、良い記事をありがとうございました。
小生、鎌ヶ谷には一度も足を運んだことがないという緩いファンですが、今回の記事を拝見し、ますます行ってみたくなりました。
投稿: 肉うどん | 2012年8月23日 (木) 13時13分
ブタゴリラ様、コメントをありがとうございます。
「天沼 マスコット」で検索したらすぐ出るかも…
投稿: 敗戦処理。 | 2012年8月16日 (木) 10時07分
天沼ゆかりと検索してもプロフィールが出て来ませんでしたが、何処の芸能事務所に所属しているのか教えて下さいm(__)m
投稿: ブタゴリラ | 2012年8月16日 (木) 09時32分