「生」観戦した野球場(59)-開成山野球場
いろいろな野球場で日本のプロ野球を観てきました。だからどうしたと言われればそれまでですが。
毎月2日、この「生」観戦した野球場と「敗戦処理。生観戦録- my only one game of
each year」のいずれか一方を掲載していますが、今月は8月5日に観戦した福島県郡山市の開成山野球場を題材にこちらのコーナーでいきます。「敗戦処理。生観戦録- my only one game of each year 第32回 2005年(平成17年)編」は来月以降に回します。
1974年3月に初めて後楽園球場でプロ野球を生観戦して以来、いろいろな野球場でプロ野球を観てきました。チケット代よりもはるかにかかる交通費をかけて北へ南へ…。社会人になって多少経済的に余裕が出てからは「十二球団の本拠地をすべて回ろう」と考え、それを2000年に達成してからは地方球場、ファームの試合を行う球場を積極的に回りました。そうしてついに50を超えました。
なおバックナンバーは左欄のカテゴリー別から敗戦処理。が「生」観戦した野球場を選び、ダブルクリックして下さい。
第59回 開成山野球場 観戦球場ファイル-59-
NPBでは8月4日、5日の二日間、東日本大震災復興支援の一環として「NPBベースボールフェスタin福島」が福島県郡山市の開成山野球場で行われた。初日がNPBのOB達と地元の小中学生を主体にしたチームとの軟式野球で二日目がNPB十二球団選抜と県内の大学生と社会人の選抜チーム、オール福島との対戦。敗戦処理。は二日目(5日)に行われたNPB十二球団選抜対オール福島を観るために郡山を訪れた。
東京から新幹線で一時間強で行けるJR郡山駅で降りて、駅前のバスターミナルからバスで開成山野球場に向かう。いくつかのルートがあるようだが、敗戦処理。は総合体育館で降りた。約10分、片道220円だ。
バスターミナルを含め、各所に2013年のオールスターゲームを誘致しようというノボリが見られる。
昨年3月11日の東日本大震災を受けて、NPBでは昨年は日本製紙クリネックススタジアム宮城で、今年は岩手県営野球場でオールスターゲームを開催した。来年も被災地での開催があるとすれば、NPB公式戦開催実績豊富な開成山野球場も有力な候補となろう。
ただそうはいっても、開成山野球場は郡山市の運営。同じ福島県には規模的には遜色ないと思われる、30,000人収容の福島県営あづま球場やいわきグリーンスタジアム(開成山は18,200人)がある。だが営業力が強いのか政治力が強いのか、一般には福島県の野球場というと開成山野球場の印象が強いようだ。
開成山野球場は郡山市の開成山公園の敷地内にある。他に陸上競技のグラウンドや、プールに弓道場がある。
グラウンドは外野は天然芝で内野は土。
フェンスの表示を見ると、ライトが101.0m、レフトが100.7m。センター方向には表示がないが、資料によると122mあるそうだ。2010年の改修の際に、センターが約5m伸びたそうだ。ただし下田武三コミッショナー時代に新しく野球場を造る際には国際規格の広さをと求める以前からこの規模の広さを誇っていたのは熊本県の藤崎台県営野球場とこの球場くらいだったらしい。
そして敗戦処理。の目を引いたのがスコアボードの電光ビジョン。十二球団の本拠地以外でこんな立派なものがあるのは珍しいのではないか?
敗戦処理。が観戦した試合は復興支援のための試合だったから、出場しなかった選手、OBも含め、福島県や東北地方に縁のある選手、OBのメッセージが流されて花を添えていたが、ちょっともったいないような…
もちろん被災地の球場だけあって、不測の事態への対応も抜かりないようだ。この他、ファウルボールが客席に飛んでいく時の注意喚起の表示もあったが、打球だけでなく、バットの行方にも注意を促していたのが特徴的だった。
敗戦処理。が生観戦した「NPBベースボールフェスタ in 福島」の二日目、NPB十二球団選抜対オール福島に関しては拙blog8月5日付エントリー 東日本大震災復興支援「 NPBベースボールフェスタ in 福島」 を参照されたい。
同エントリーでも触れたがこの二日間の開催試合は入場無料。これは明らかに地元の人達に金銭の負担なく野球観戦を楽しんでもらおうという意図であろう。その意図からすれば、敗戦処理。のような者がしゃしゃり出るのは如何なものかというのは正直あった。ただNPBのサイトの当該イベント欄に、
“野球界でプロ、アマ一体となった試合などを開催することにより、全国へ情報を発信し、福島県の現状を正しく理解していただくと共に、風評被害の払しょく、他の都道府県からの来客により、微力ながら福島県内での経済効果を生むよう努力したいと思っています。”
とあるのを好意的に解釈し、観戦させてもらった。
ちなみに東日本大震災直後には近隣に位置する郡山市役所が被害を受けたのに伴い、球場のスタンドを災害対策本部として利用。他施設を含め、避難所としてフル回転した。このため、5月10日に予定されていたパ・リーグ公式戦、ゴールデンイーグルス対ファイターズ戦は開催場所の変更を余儀なくされた(ゴールデンイーグルスの本拠地、クリネックススタジアム宮城で代替開催)が、6月28日のセ・リーグ公式戦、ジャイアンツ対スワローズ戦は予定通り回された。ジャイアンツ戦に関しては翌29日に開催を予定していた栃木県の宇都宮清原球場での開催が無理と判断されたため、ジャイアンツからの要望もあって開成山野球場での二連戦に変更された。
今季もジャイアンツは8月30日に開成山野球場で対ドラゴンズ戦を開催。セ・リーグの首位攻防戦に13,811人のファンが酔いしれたことだろう。山口鉄也が史上初の5年連続60試合出場を記録した。
この試合では全来場者にあの橙魂ユニが配布され、もちろん選手、監督、コーチも着用して試合に臨んだ。
こういう経緯を辿った球場でオールスターゲームを開催することの意義は大きいと思う。NPBには前向きに検討して欲しいし、どうせなら今年のような火曜日(第三戦)ではなく、土曜日(第二戦)の開催にして欲しいものだが…。
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コメント
長緯様、コメントをありがとうございます。
来年のオールスターゲームは同じ福島県のいわきグリーンスタジアムでの開催が決まったようですね。
> 開成山球場は昨年訪れましたが、改装されてゆったり観戦できるのと、2階席に広いテラスがあったりで素晴らしい球場と思いました。
最近“美人過ぎる○○”というのがよくありますが、さしずめ“立派すぎる地方球場”といった感じですかね。
> 球場の観客席のキャパシティは少ないですが、そういう点は問題にしないでほしいと思います。設備も良いうえ位置的に東北地方の南端で首都圏からの窓口でもありますし、オールスターゲームを開いてほしいと思います。郡山駅からもなんとか30分弱で歩ける距離ですので、立地条件も良いと思います。
今回いわきグリーンスタジアムに決まったことで開成山でオールスターゲームが開催されるにしてもかなり先になるかもしれませんが、かつてホームチームがいない札幌円山球場や平和台球場でこぞって各球団が公式戦を開催したように、ゴールデンイーグルスとの兼ね合いもあるでしょうが東北地方でもどんどん試合を行って欲しいですね。
投稿: 敗戦処理。 | 2012年9月 5日 (水) 16時45分
開成山球場は昨年訪れましたが、改装されてゆったり観戦できるのと、2階席に広いテラスがあったりで素晴らしい球場と思いました。
球場の観客席のキャパシティは少ないですが、そういう点は問題にしないでほしいと思います。設備も良いうえ位置的に東北地方の南端で首都圏からの窓口でもありますし、オールスターゲームを開いてほしいと思います。郡山駅からもなんとか30分弱で歩ける距離ですので、立地条件も良いと思います。
投稿: 長緯 | 2012年9月 4日 (火) 22時46分