引退表明金本知憲の背番号6は永久欠番になるのか?
今年は7月に元西鉄ライオンズの稲尾和久さんの現役時代の“背番号24”が埼玉西武ライオンズによって永久欠番に制定された。
この件は拙blogでも4月28日付埼玉西武ライオンズが故稲尾和久さんの背番号24を永久欠番に! 、5月12日付稲尾和久さんは西鉄ライオンズ時代に永久欠番になっていたのか? 、7月1日付稲尾和久さんの背番号24が永久欠番に と三回にわたり取り上げたが、ライオンズ球団が稲尾さんの“背番号24”を永久欠番にしたことは多くのファンに評価されたが、稲尾さんが故人となっていることや、当時どうして…との不満の声もあった。であるならば、連続試合フルイニング出場世界最高記録、連続試合出場記録日本歴代二位などの華々しい実績を残した金本知憲の栄誉を讃える一環として、現役引退と同時に永久欠番の栄誉を与えて欲しい。
稲尾さんの例を挙げたが、パ・リーグの選手で永久欠番になったのは稲尾さんが二人目。一人目は元近鉄バファローズの鈴木啓示投手だ。他はジャイアンツのONを始め、セ・リーグの選手だ。セ・リーグでも永久欠番が制定されているのはジャイアンツ、タイガース、ドラゴンズの老舗三球団と、旧来からの地元密着型球団のカープで、これら球団は資本体系に変更がない球団だ。鈴木のバファローズもオリックスに合併するまでは創立以来、近畿日本鉄道が経営を続けていた当時のパ・リーグで最古の球団であった。だからこそ歴史や伝統の重み、深さを認識し、功績の大きい選手を永久欠番にしているのだろう。金本が所属するタイガースでは藤村富美男さん、村山実さん、吉田義男元監督が永久欠番になっている。ジャイアンツのV9の後塵を拝していた時期から“恒例のお家騒動”などと蔑まれる主力選手とのトラブルが多発し、幾多の名選手がタイガースのユニフォームのまま現役引退となっていない例があるが、前述の三選手を永久欠番にした球団だけに何とか前向きに検討してもらいたい。金本が生え抜きでないことに難色を示す向きがあるかもしれないが、金田正一は移籍先のジャイアンツで永久欠番になっている。理想を言えばカープの背番号10と同時に永久欠番になって欲しいくらいだが、移籍の経緯がFA移籍だっただけに難しいのだろうか?ともかくもタイガースには永久欠番制定の英断を望む。
ところで、今季のNPBでは既に小久保裕紀、石井琢朗が今季限りでの現役引退を表明している。元NPBでは田口壮、高津臣吾が現役引退を表明している。田口の場合は採用してくれるオファーが無かったための引退表明とされているが、他に列記した選手は自らの覚悟での現役引退表明だ。プロ野球選手のほとんどは引退というより、球団から戦力外を通告されて、どこも拾う球団が無くなって辞めていくのだ。自らの意思で現役引退を表明できるほんの一握りの選手は野球においてはエリートだったと思える。ただもちろん水面下では何があったかわからない。所属球団から肩たたきに合い、武士の情けとして自ら発表したという形にしているケースもひょっとしたらあるのかもしれない。この時期、球団によっては来季の体制への移行を考え、水面下でいろいろな調整がなされている球団もあることだろう。この後も大物選手の現役引退表明があっても不思議ではない。
金本が所属するタイガースにおいては球団史上初となるゼネラル・マネージャー(GM)制を採用する事を決め、元監督の中村勝広の就任が既に発表されている。中村は金本が引退を表明した当日、解説者として金本の打席を見ていたのは何とも示唆的だが、金本が本当に自分の意思だけで現役引退という判断を下したのならば、一番胸をなで下ろしているのは他ならぬ中村GMかもしれない。自ら手を下さなければならないかもしれなかった、球団改革のための最も厄介な仕事をしないで済んだからである。もちろん憶測ではあるが、GMとしての戦力分析で何らかの形で引退勧告をしたという可能性もなきにしもあらずだが、もしもそうであったなら世間的なタイガースファンが揶揄する“負広”という見方を改めなければなるまい…。
ホークスの小久保裕紀の引退は、偶然かもしれないがチームの7連勝という結果と結実した(“偶然かもしれない”と書いたのは例えば王貞治監督がユニフォームを脱ぐと表明した後に最下位に転落し、そのままシーズンを終えた例があり、必ずしも一致団結の効果が出るものでは無いだろうと思うから)。一方、タイガースは今日(12日)の対スワローズ戦で敗れ、今季の負け越しが決まった。代打で出た金本はあわや同点打という打球を放ったがスワローズの外野手、比屋根渉の超ファインプレーに阻まれた。もちろんまだクライマックスシリーズ進出の可能性は残されており、日本一になって金本を送り出すという可能性は残っているが…。
金本は今日の記者会見の中で「肩身が狭い」という表現を用いた。敢えて皮肉をいわせてもらえば、肩の故障を抱えた身がたたって、狭い範囲にしかスローイングが出来ない現役引退の原因を表す慣用句としてはピッタリだ。晩年はバッシングの対象ともなった面があったが、金本の入団と共にタイガース球団が変わったことは明らかだ。球団の救世主だったことは間違いあるまい。
今日の会見では1002打席連続併殺打無しという自身の記録を誇りに思っていると語っていたが、想像して欲しい。比較的併殺になりにくい左打者とはいえ、打つと同時に、あるいは打つが早いか走り出すタイプではない。基本的にフルスイングして、振り切ってから走るにもかかわらず併殺打を打たなかったということは、そういう打球を打たないというテクニックも一品だがフルスイングしてからのスタートが早かったかということだ。近年の金本からは想像しがたいが十二年前には3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーも達成している。
タイガースがあの1985年の日本一の後、絶えて久しく優勝から見放されていたのを近づけたのは野村克也、星野仙一といった外部の大もの監督の招聘に寄与するところが大であった。だが今回、球団は敢えて自前のOB、中村勝広にフロントとして再建を託した。その流れからすれば、生え抜きではないもののチームの大功労者、球界の大功労者である金本に永久欠番を与えるくらいの決断はたやすいものだろう。
タイガースと同じセ・リーグの老舗球団、ジャイアンツとドラゴンズも永久欠番という形で功績を讃える伝統を持っているが、残念ながら現役選手で引退後の永久欠番が確実視される選手はいない。ドラゴンズでは立浪和義ですら永久欠番にはなり得なかった。もしも金本が見送られる様なら…
金本の“背番号6”を永久欠番にして欲しい!タイガースファンでない敗戦処理。がいうと無責任に聞こえるかもしれないが、それこそがタイガース再建の第一歩だと思う。
9月16日追記
参考エントリー 審判(とタイガースファン)に負けたのではない。金本知憲に負けたのだ。 拙blog2008年5月8日付
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