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2012年10月16日 (火)

捕手中嶋聡はまだまだファイターズには必要だ。

Adsc_0228パ・リーグ優勝決定後の3日に突如出場選手登録をされ、ファンの間にも様々な憶測を呼んだファイターズの中嶋聡捕手兼一軍バッテリーコーチ、御年43歳。学年でいえば木田優夫と同学年でもちろんファイターズで最年長。結局3日のホークス戦では九回表に捕手として出場し、1イニングマスクをかぶった。そして翌4日に登録抹消された。

明日からのクライマックスシリーズファイナルステージでは再登録が可能だが、現在一軍には鶴岡慎也、大野奨太、近藤健介が登録されている。短期決戦(日本シリーズを含む)では超ベテランの力が必要になるシチュエーションになるかもしれない。そして何よりも、捕手中嶋は来年もファイターズには必要な戦力だと思う。



(写真:斎藤佑樹とバッテリーを組む中嶋聡。コーチとしての目だけでなく、まだまだ現役捕手として必要だ。
2011年4月撮影)


リーグ優勝が決まった直後に一軍登録されて本拠地での試合で最終回に出場してマスクをかぶる。何とも示唆的な登場の仕方だったが、その後特に身体に関する情報が流れてこない。まだクライマックスシリーズと日本シリーズを控えているからかもしれないが、ファイターズではこれまで松家卓弘しか戦力外通告を受けていない。ファイターズの戦いが終了した時点で何らかの動きがあるだろう。戦力外通告とは別の次元で現役引退を表明する選手が出ても不思議ではない。もっとも中嶋に関してはクライマックスシリーズに備えて一軍レギュラークラスも参加しているフェニックスリーグで
11日、12日とマスクをかぶっているので現在調整中と言ったところだろう。

クライマックスシリーズ、あるいはその先の日本シリーズで存在感を示してくれればそれに越したことはないが、その機会がなかったとしても、まだまだファイターズにはバッテリーコーチとしてだけでなく、捕手中嶋も必要な存在だと思う。

 

今季の公式戦では鶴岡慎也116試合、大野奨太67試合、近藤健介15試合、そして中嶋聡が3試合マスクをかぶった。一応一試合を任せられる捕手が二人いて、なおかつ三人目の捕手として将来有望なルーキー捕手が登録されていた。捕手二人制で戦っていた時期もあったが、バランスの取れた三人体制だと思う。ただ、捕手というポジションは他で代替が聞くポジションではないため、最後のベンチ入り捕手の出場機会は極力制限される。先日のクライマックスシリーズファーストステージのライオンズ対ホークス戦の初戦のように、ライオンズが二人しか捕手が登録されていないのに七回裏の時点でスタメン捕手に代打を送った結果、九回裏の一打逆転の場面で二番手捕手の上本達之に代打を送れないという事態が起こり得るから、通常は試合の終盤までベンチ入り最後の捕手を試合には出さないものだ。

近藤でいえば、公式戦の最終戦まで
83日間一軍登録されていた(試合のない日も含む)にもかかわらず15試合しか捕手としては出場していない。おおよそどの球団でも三人目の捕手などベンチ入り最後の捕手は出場試合数が少なくなりがちだ。
Dsc_0219もちろん高校卒ルーキーが一年目に15試合も一軍でマスクをかぶることは異例。それは近藤の非凡さを証明する。

 

敗戦処理。はそのような出場に制約がかかる捕手というポジションに高校卒ルーキー捕手、来年なら二年目の捕手を入れておくことが本人とチームにとって最適なことなのかいささか疑問視している。

一般に捕手というポジションは成熟するのに最も年月を要するポジションと言われる。経験を積むことが勉強になり、それが財産になる。それゆえに一度しっかりとポジションをつかむと、長くレギュラー捕手としてプレーを続けられるケースも目立つ。近藤に関していえば捕手としての素質が高ければ高いほど、今は一軍で限られた出番に備えるのではなく、二軍で実戦の機会を重ねた方がプラスになるのではないかと考えるからだ。そしてその際には一軍で第三の捕手として中嶋が必要だと考えるのだ。

近藤は開幕前のオープン戦の時期から一軍に同行していたが、シーズン開幕は二軍で迎えた。二軍にいる時は優先的に近藤がマスクをかぶっていた印象があるが、チーム最多の57試合にマスクをかぶっていた。近藤にとっては二軍といえども実戦でマスクをより多くかぶるほうが勉強になると思う。

そして近藤が一軍に上がり、シーズン途中に今成亮太がタイガースにトレードされるとファイターズの二軍では三年目の荒張裕司とソフトボール出身の新人、大嶋匠が交代でマスクをかぶるようになった。荒張は47試合、大嶋はDHでの出場が多く17試合にマスクをかぶるにとどまった。内野と掛け持ちの尾崎匡哉は捕手としての出場は6試合にとどまった。この結果に関し、五十嵐信一二軍監督は「鎌スタFANS第21号」の連載“監督の部屋サードシーズンVOL.3”

「キャッチャーが不足してしまったということです。キャッチャーはチームの要になるので、全体に影響を及ぼすことが多い。ピッチャーも育てないといけない。そしてキャッチャーも育てないといけないというのが難しいところではありました。経験のあるキャッチャーがいると、だいぶ違うのかなぁ、というところはありましたね。」

と今季を振り返っている。ファイターズは今季、イースタン・リーグで昨年の優勝から一転して7球団中6位と低迷。チーム防御率、チーム打率ともに6位だったがチーム防御率低下は吉川光夫、中村勝の一軍入りだけでなく昨年まで主にマスクをかぶっていた今成と渡部龍一の抜けた穴が埋まらなかった面もあろう。

そう考えると、荒張と大嶋の育成も急務だが、近藤もとりあえずイースタンでの場数を踏ませ、一軍は鶴岡と大野をメインにし、中嶋が有事に備えるという形がベターではないのか。

Dsc_0205ファイターズが今季のベイスターズのように有望な新人捕手、高城俊人に高い授業料を払って、なおかつ黒羽根利規鶴岡一成に出場機会を与えずして使い続けるというなら別だが、そういうことはないだろう。


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中嶋は現役を続け、近藤も勉強になる。もちろんチームにもプラスになる。ドラフトやトレードで捕手を獲得する可能性もあり、今の時点で来季の構想を語るのは早計だ。まずは明日からのクライマックスシリーズに全力を尽くして欲しいところだが、ポストシーズンでも中嶋の存在感を期待したい。前回2009年も中嶋はコーチ兼任だったがジャイアンツとの日本シリーズに捕手として出場していた。
 
Cdsc_20090236阪急ブレーブス最後の勇者でもある中嶋の勇姿を大舞台で見たい!

もちろん、中嶋だけでなく木田にも現役を続行してもらい、史上最高齢バッテリーを公式戦で観たい!
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コメント

西 清治様、コメントをありがとうございます。

> 東京野球ブックフェアではお世話になりました。

いえいえこちらこそ、お世話になりました。楽しかったです。

> ただ、今年の中嶋の出場試合が少なすぎるのが気になるところです。WBCの監督問題でも言われましたが、「実戦経験による勝負勘」というものが、キャッチャーにおいても重要ではないかと、素人ながら思ってしまいます。

仰る通り、その不安はありますね。

シーズン中の最初の一軍入りの時でしたか、週刊ベースボールの石田雄太氏の連載で取り上げられ、強肩とスローイングの正確さに変わりがないと書かれていたので、ここ一番でまだまだ必要かなと。

あまり中嶋の出番が多いのも問題ですが、近藤を中途半端な状態で一軍で入れておくよりも中嶋の方がいいような気がします。

日本シリーズは四十人枠に入ればベンチ入りの25人に入れますので、日本シリーズに進出して出番を観たいです。

ちなみに2009年の日本シリーズの出場は鶴岡と大野に代打を出した後のマスクでした。

投稿: 敗戦処理。 | 2012年10月17日 (水) 01時15分

敗戦処理。様

東京野球ブックフェアではお世話になりました。

確かに、鶴岡・大野と他のキャッチャーの実力差を考えると、中嶋の力がどこかで必要な感じがします。ただ、今年の中嶋の出場試合が少なすぎるのが気になるところです。WBCの監督問題でも言われましたが、「実戦経験による勝負勘」というものが、キャッチャーにおいても重要ではないかと、素人ながら思ってしまいます。

もちろん単純に、中島が出場しているところも見たいんですが…

投稿: 西 清治 | 2012年10月17日 (水) 00時21分

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