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2012年11月25日 (日)

明日26日の大谷翔平との入団交渉で栗山英樹監督が直接交渉するそうだが…

Cdsc_0284ファイターズはドラフト1位で指名した、大リーグ入りの希望を表明している花巻東の大谷翔平投手との次回26日の入団交渉についに栗山英樹監督を投入する。

21日に行われた入団交渉の際、大谷本人から「監督の話を聞きたい」との申し出があったという。

他の球団ではドラフト1位指名選手との交渉に監督が出馬するのもアリなのだろうけど、どうなんだろう…?


(写真:明日26日、大谷翔平との入団交渉に臨む栗山英樹監督。 201210月撮影)



「大谷君の夢をかなえるために一緒にいい方法を考えるし、説明させてもらう」

栗山英樹監督は26日の対面交渉を前にこう語ったという。栗山監督はドラフト会議の前に球団が大谷翔平投手を1位指名することを公表した際には「申し訳ない」と、まるでチームの方針を否定するかの様なコメントを発した。栗山監督は評論家時代に大谷を直接取材して対談したことがあるらしいが、まさかだからといって球団の方針に反して大谷の希望を通してやりたいのが本音なのではないかとこの時敗戦処理。は感じた。

もちろんこの時のコメントの真意がどうあれ、26日にはファイターズの現場の顔として大谷を入団させるために交渉に出向くのだろうが、他の球団で見られる様な、事実上入団の意思を明確に表している指名選手に対し、最初の対面の際に監督を同行させるか、あるいはいざ契約締結という際に監督を同行させるという構図とは異なるのは明白だ。先に挙げた記事の通りであれば、栗山監督の登場を要望したのは大谷。球団としては渡りに船だろう。


「日本ハムでは、あらゆる面で監督に決定権がないからね。コーチ人事も、選手の獲得も、ドラフトも、一軍と二軍の入れ替えもフロント主導で行いますから。栗山監督は、そこまでを事前に理解した上で監督を引き受けてくれる人物だった、ということでしょう」
(藤井純一前ファイターズ球団社長。週刊現代113日号-“「日本ハムモデル」勝てる組織はこう作る”より)

他の球団なら認められるであろうこれだけの決定権を監督から奪っておいて、ドラフト1位指名選手との交渉相手と難航したら監督を引っ張り出すのは如何なものかと言いたいところだが、大谷の希望であれば球団として大義名分が立つ。

しかし、そうだとしても前述した栗山監督のコメントに引っかかる点がある。

大谷君の夢をかなえるために一緒にいい方法を考えるし、説明させてもらう」

ここでいう“大谷君の夢”が大リーグでプレーすることを指しているのは明白だ。ではファイターズ、というかNPBの球団に入団した選手が大リーグでプレーする方法は?というとざっと考えて三通り。海外FA権を取得してFA権行使による移籍。FA権取得前に球団にお願いしてポスティングシステムで大リーグに挑戦。自由契約になって大リーグの球団と交渉。


大谷に一度ファイターズに入団した方が良いと勧めるスポーツメディアやライターが散見されるが、それらに共通されるのはファイターズが育成に定評のある球団と言うことと、大黒柱のダルビッシュ有でさえ入団から七年でポスティングシステム挑戦を認めたという点に集約されるものが多い。確かに第三者がそういう方法を勧めるのは勝手だし、ファイターズファンである敗戦処理。もファイターズをそういう球団と見ている面がある。しかし、栗山監督であろうと誰であろうとファイターズ側の交渉人がそういうスタンスを示すのは如何なものか?海外FA権取得後は本人の自由だから問題ないだろうが、ポスティング云々をちらつかせての交渉となると…

新人選手選択会議規約
 
第14条(契約制限)
球団と選手契約を締結した新人選手に対しては、その選手の支配下選手公示の日から同公示のあとに行なわれる年度連盟選手権試合シーズン開始前日まで、他の球団が契約譲渡又はウエイバーにより、その選手契約を取得することはできない。前記の期間中その選手が自由契約選手となったときといえども同じとする。また、選択会議において、選手契約の交渉権を取得した球団は、その選手に対し、方法のいかんを問わず、他の球団に契約を譲渡することを条件として選手契約を締結することはできない。


かつては野球協約の第142条に組み込まれていたこの規約。特に後半の“選択会議において、選手契約の交渉権を取得した球団は、その選手に対し、方法のいかんを問わず、他の球団に契約を譲渡することを条件として選手契約を締結することはできない。は将来のポスティングシステム容認を条件とした入団交渉を認めないことも意味しているのではないか?

かつて旧近鉄バファローズがドラフト1位指名して交渉権を得た当時PL学園の福留孝介との入団交渉が難航したときに、ウチに入団してもらって三年間で一定の成績をクリアしたら希望球団との交換トレードを考えると言う方策を立てていたことが発覚して機構からすぐにNGを出された例がある。もちろん野球協約時代に遡れば、ポスティングシステム確立以前からこの条文は存在していたので、今回の様なケースを想定しているとは思えない。

この時はスカウトだか球団幹部だかが会見でわざわざこの手を明かしてしまったのですぐに問題視されたが、球団と大谷、そしてせいぜい家族と学校関係者しか入らぬ密室であれば“上手くやる”ことくらいは可能だろう。だが、“ルールに触れずに上手くやれば何でもアリ”ではあの球団と同じだ。ファイターズにはそんなことをして欲しくない。


前述した藤井純一前球団社長のコメントなどで構成された特集を組んだ「週刊現代」(講談社刊)は近年、ファイターズのシステムがお気に入りなのか組織論として度々特集を組んでいる。この特集から二週後の1117日号では“日本のプロ野球を考える大論争 大谷翔平クン 君は日ハムに行くべきだよ”との特集を組んだ。内容は過去に日本のプロ野球を経ずにアメリカのメジャーリーグに挑戦した若者がどれほど苦労したかを例示して、育成に定評のあるファイターズ球団で腕を磨いてからのメジャー挑戦を勧めるものである。もしも私が大谷の様な、日本のプロ野球を経ずにメジャー挑戦を夢見ていてそれが挑戦可能な若者であったならこの記事を読んで「誰も成功したことがないのなら、俺が第一号になってやる」と火を付けかねないくらい、メジャーへの直挑戦をネガティブに否定している。

個人的には大谷が本当にメジャーへ一直線を望んでいるのなら、ドジャースでもどこでも契約してその道に進めばいいと思う。成功する選手はどんなルートを経ても成功するだろうし、成功しない選手はどんなルートでも成功しないと思う。大谷はドラフト会議が行われる前にアメリカの野球に直接進みたい旨を表明しており、それでも便宜上NPBのドラフト指名の前提になる“プロ志望届”を提出せざるを得ないから提出しただけの話だ。日本の十二球団なんてはなから眼中になかったのだ。もちろん普通に日本のプロ野球でプレーを夢見てプロ志望届を提出した選手でも指名された球団に必ずしも入団しなければならない義務はないのだから、大谷もファイターズの指名を断るのも自由だ。そしてファイターズはそれらを承知の上で「獲れる選手ではなく欲しい選手を指名をする」 と大見得を切って指名したのだから入団拒否のリスクを負っての指名であることも間違いない。大谷がメジャー直行を希望するのも自由なら、ファイターズがそれを承知の上で指名するのも自由。もちろんそれを受けて入団するか、入団を拒否するかも大谷の自由。

昨年のドラフト会議でファイターズがドラフト1位で東海大学の菅野智之を指名して交渉権を獲得した際に、敗戦処理。は拙blogドラフト会議の醍醐味 というエントリーを立ててファイターズが(というかジャイアンツ以外の球団が)菅野を指名してジャイアンツの単独指名にさせなかったことを讃えたところ、ジャイアンツファンからかなりえぐい抗議のコメントが来た。ツイッターでも過激なリプが来た。それらは想定内であったがそのほとんどがお粗末な感情論であった。そしてファイターズと菅野の交渉期限が過ぎ、入団にいたらず菅野が今年のドラフトを待つという形になったとき、今度はファイターズファンがネットなどで騒ぎ始めた。はっきり言ってどっちもどっちの次元で両チームのファンとしては情けなくなった。それが頭にあったので今年の日本シリーズ第5戦で加藤健の“演技”の次の打席での札幌ドームからの大ブーイングに対して「情けない…」とすぐにツイートしたのだが<笑>、大谷がファイターズ入団を拒否した場合、ファイターズファンの間に大谷バッシングが起きることだけは避けたいところだ。

ファイターズファンとしてはその場合むしろ、二年連続してドラフト1位を入団に漕ぎつけられなかったことを批判すべきではないか。これは多かれ少なかれ近未来のファイターズに必ず影響を及ぼすだろうからだ。

「プロ野球チームとしてあるべき指名をします」「獲れる選手ではなく欲しい選手を指名をする」もけっこうだが、それはドラフト制度への一石という面で評価すべきものであろう。だがそれ以外に、それでも獲得に漕ぎつけられる自信があっての大見得なのか、ドラフト1位を逃したくらい何でもないよと言う自信なのか…後者であれば、「育成重視の球団」としては致命的だと思うが…。

大谷がファイターズに必要な投手であることは間違いないだろうが、一時凌ぎの口説き文句などは使わないで欲しい。ポスティングシステムはイチロー、松坂大輔、そしてまだ一年だがダルビッシュ有クラスでないと成功したとは言えていない。必ずしも得策とは思えないというのもあるが、それ以前としてかつては野球協約の項目であった新人選手選択会議規約に反するとの解釈も出来る行動を取って欲しくないからである。そしてもちろん、大谷がファイターズへの入団を拒否したとしても、大谷批判は筋違いで、説得しきれないスカウトがヘボなのか、そもそも説得しきれない選手を指名しているだけなのであるから。

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コメント

肉うどん様、コメントをありがとうございます。

重複分は削除させていただきました。

> もともと不人気球団ですから、欲しい選手を指名すると言うも、弱者の戦術としては、ありではないでしょうか。

入団拒否を恐れて指名を回避しているようではパ・リーグの球団は成り立たない。そんな時代を戦っていたチームですからね。

> また、ダルビッシュで味をしめた移籍金目当てのポスティングも球団としては魅力的でしょう。

柳の下に二匹ドジョウはいないと言いますよ<笑>。

> 一位指名逃しを穴埋めする意味でも、その特別利益を少しは補強で還元していただきたいですね。

そうですね。

昨年の菅野指名は、結果的にはドラフト1位指名選手を棒に振ってしまった訳ですが、特定球団、というかジャイアンツの囲い込みを既成事実として正当化するかの様な風潮に一石を投じるという意味合いもあったかもしれませんが、今回の大谷に関しては獲得出来るか出来ないか、それだけです。

* 有力選手の海外流出への問題提起には当たらないと思います。

仮に二年続けてドラフト1位を取り逃すとなったら、数年後に必ずしわ寄せが来ます。育成重視で結果が出ている球団だからこそ、入団してもらわなければ始まらない訳です。個人的には育成と補強はバランス良くという考えに変わりはありません。

それにしても大谷、今日も栗山監督や山田GMらと交渉の席についたそうですが、個人的にもファイターズでエースになって欲しいと言う気持ちと、大リーグにいきなり挑戦して成功する希有な例になって欲しいと思う気持ちが並行しています。

投稿: 敗戦処理。 | 2012年12月 3日 (月) 22時14分

敗戦処理。さん、こんにちは。

もともと不人気球団ですから、欲しい選手を指名すると言うも、弱者の戦術としては、ありではないでしょうか。また、ダルビッシュで味をしめた移籍金目当てのポスティングも球団としては魅力的でしょう。ただ、一位指名逃しを穴埋めする意味でも、その特別利益を少しは補強で還元していただきたいですね。

投稿: 肉うどん | 2012年12月 3日 (月) 14時05分

toma様、初めまして。コメントをありがとうございます。

> お言葉ですが、だまされてはいけないとか言う前になぜ大谷さんを選んだのか、中田さんや増井さんを使い続けたのかそれは栗山さんやファイターズのスタッフさんにしかわからないことです。それに大谷さんが渡米を決意したのかも彼にしかわかりません。私達は彼らが答えを出す時を待つ、知る以外はできません。

それはまあ、私は球団関係者ではありませんし、大谷投手の関係者でもないですからわからないです。それは確かです(たぶん真夏の雨さんも…)。

> それ以外の真実は今はないことも事実と思います。

申し訳ありませんが何をおっしゃりたいのかわかりません。よかったらもう一度お書き下さい。

投稿: 敗戦処理。 | 2012年11月26日 (月) 23時40分

こんばんは。はじめまして。
お言葉ですが、だまされてはいけないとか言う前になぜ大谷さんを選んだのか、中田さんや増井さんを使い続けたのかそれは栗山さんやファイターズのスタッフさんにしかわからないことです。それに大谷さんが渡米を決意したのかも彼にしかわかりません。私達は彼らが答えを出す時を待つ、知る以外はできません。こちらでの話題と全く違ってしまいました上に、生意気で大変申し訳なく思っております。ですが、それ以外の真実は今はないことも事実と思います。

投稿: toma | 2012年11月26日 (月) 21時42分

真夏の雨様、コメントをありがとうございます。

twitterでお世話になっている方ですよね。

> 栗山の「申し訳ない」は彼の口癖みたいなものであってその一点で「すわ、栗山は本音では球団の意思に反して大谷を直接メジャーに行かせてやりたいと思っているのか!」と解釈なさるのは余りに穿ちすぎと思いますが。

確かにしょっちゅう口にしていますからね。でもあの時の第一印象はそんな感じでした。

> 個人的には栗山はあのソフトな物腰、そして時には熱血漢のそれに騙されてはいけない人物と思っています。

それはわかっているつもりです。

今年の中田翔や増井の起用法など、なかなかしたたかな頑固者だと思いました。

投稿: 敗戦処理。 | 2012年11月25日 (日) 20時03分

栗山の「申し訳ない」は彼の口癖みたいなものであってその一点で「すわ、栗山は本音では球団の意思に反して大谷を直接メジャーに行かせてやりたいと思っているのか!」と解釈なさるのは余りに穿ちすぎと思いますが。

個人的には栗山はあのソフトな物腰、そして時には熱血漢のそれに騙されてはいけない人物と思っています。関根翁が何かで語ったというように彼の腹の中は読めないですよ。面白いからそういう人物は好きですね。

投稿: 真夏の雨 | 2012年11月25日 (日) 18時30分

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