金田正一VS吉田義男、江夏豊VS王貞治、江川卓VS掛布雅之、藪恵壹VS清原和博…伝統の一戦を彩った名勝負再現!-阪神タイガースOB会創立40周年記念阪神×巨人OB戦
まさかとは思ったが、チケット前売り初日にコンビニで購入しておいて正解だった。その時点でもいくつかの席種は既に売り切れていたが、何とか三塁側内野指定席を購入できた。結局直前まで残ったのはレフト(巨人)側の自由席の一部だけだったそうで、実際、甲子園球場のスタンドは試合が始まる頃にはほぼ満員に膨れあがった。
この試合は冒頭にもふれたようにタイガースのOB会が創立40周年を迎えたのを記念しての試合だが、同時によみうりテレビの開局55周年記念の事業の一環でもあったので、番組のタイアップか、週末のスポーツニュース“Going!Sports&News”とのタイアップで亀梨和也が現れた。
亀梨は試合前のマウンドに上がり、今季限りで現役を引退した金本知憲と一打席対決。途中3ボール1ストライクとピッチャー・イン・ザ・ホールにしてしまうが、そこからファウルと空振りで金本から三振を奪った。
亀梨&田淵幸一という二度と見ることが出来ないかもしれないバッテリーが試合前に実現した。
そして試合に、まず豪華な両チームのスターティングメンバーを紹介しよう。
ジャイアンツOB
(中)松本匡史<58>
(遊)黒江透修<73>
(二)篠塚和典<55>
(三)原辰徳<54>
(右)末次利光<70>
(左)吉村禎章<49>
(一)駒田徳広<50>
(捕)吉田孝司<66>
(投)金田正一<79>
タイガースOB
(遊)吉田義男<79>
(二)中村勝広<63>
(一)藤田平<65>
(捕)田淵幸一<66>
(右)真弓明信<59>
(三)三宅秀史<78>
(左)八木裕<47>
(中)亀山努<43>
(投)小山正明<78>
<>内は年齢。当日配布されたパンフレットによる。
先攻のジャイアンツのスタメンが発表され、金田正一の先発が告げられると、それだけで大歓声。そしてメンバー紹介の大トリは監督を務めるジャイアンツOB会の会長、王貞治。ジャビットファミリーを代表して来場したジャバもさすがに最敬礼で迎える。
タイガースの先発は78歳の小山正明で、ともに今日のメンバーの中で最年長の投手が先発。小山は打者二人に対して投げて降板した。
一方の金田は一回裏に同じ79歳の吉田義男と対戦。
吉田を二塁ゴロに打ち取ると、自らマウンドを降りた。国鉄スワローズ時代は投げるのも降りるのも監督、コーチでなく自分で決めていたとの逸話が残っているが、この日も予定通り、ライバル吉田を打ち取ってご満悦での降板。
二番手は堀内恒夫。中村勝広を三塁ゴロに打ち取るが原辰徳のワンバウンドの送球を一塁手駒田徳広が後逸し、一死二塁となると、ここから二死一、二塁のピンチに拡がり、五番の真弓明信が懐かしい♪真弓~真弓~ホームラン~真弓~真弓~ホームラン~のヒッティングマーチに乗せられたかのようにセンターオーバーの2点タイムリーを放った。ただ残念ながらライトスタンドでは左右に走るファンはいなかった。この後、三宅秀史にもタイムリーが飛び出してタイガースが3点を先制。
タイガースは二回裏にも三番手の新浦寿夫を攻めて二死満塁として四番の田淵幸一が平凡なショートフライを打ち上げるがショートが落球。落球と言えばジャイアンツのショートは河埜和正かと思いきや73歳のV9戦士黒江透修だった。三回表、タイガースがマウンドに江夏豊を上げると、ジャイアンツもそれに合わせて代打に監督の王貞治が自ら登場。オールドファンにはたまらない江夏VS王の対戦が実現。しかもタイガースは江夏と田淵の黄金のバッテリーだ。
タイガースは現役時代と同じ王シフトをしいた。こういう細かい演出は素晴らしい。王ももう上がらなくなった右足を精一杯上げて一本足打法を再現しようとしてくれる。
結果は王の打球は内野の頭を越え、センターの前に転がるレフト前安打。
王に代走、大道典嘉が送られて三塁側ベンチに戻ってくると、続々と王にハイタッチを求める面々が。
ジャイアンツのOB達も我々ファン同様、王の打席を見ることが出来て嬉しいのだろう。
王自身、ジャイアンツのOB会長という立場もあってか、今日は球団会長職を務めるホークスのファン感謝の集いを欠席してまでこの対戦を盛り上げてくれているのだから頭が下がる。ホークスのファン、関係者には申し訳ないが、こういう姿を見るとやっぱり王貞治は「巨人軍の王」だ。
続いては代打に清原和博。現役時代には入れ違いで実現しなかった江夏VS清原がここに実現。かつて雑誌の対談で江夏から「若い頃に大リーグに行ける環境があったら大リーグに挑戦していたか?」と聞かれた清原は「全然考えたこと無かったです。もし願いが叶うなら、江夏さんとか先に引退された大投手とガチで対戦してみたかったです」と言っていたが、清原は江夏から見事にセンター前にクリーンヒット。
この回ジャイアンツは江夏と、代わった池田親興から3点を奪い返し、3対4と一点差に迫った。
タイガースはこの裏、無死一、三塁から亀山努がショートゴロ、三塁走者は生還したものの6-4-3のダブルプレーに。もちろん亀山は一塁にお約束のヘッドスライディングを見せてスタンドのファンを沸かせた。
四回表の守備からタイガースはガラッとメンバーを代えた。現役を引退したばかりの金本知憲がレフトを守り、ランディ・バース、岡田彰布、佐野仙好がいない他は1985年日本一のメンバーがずらりと並んだ。
四回裏、ジャイアンツのマウンドには鹿取義隆が上がった。角三男、鹿取とつなぐリレーは王監督時代の鉄板リレー。王監督にとっては時に「王(ワン)パターン」と揶揄されるほど使い続けた「ピッチャー鹿取」のコール、24年ぶりか。
そして三人目の掛布雅之を迎えたところで三塁側スタンドの「江川コール」に促されるように江川卓が登板。江川VS掛布の名勝負が再現された。江川は今日は中国鍼を打ってこなかったようでへろへろの球を掛布にライト前に運ばれた。
この後、法政大学の先輩にあたる田淵を打ち取って金本を迎えるところで降板しようとしたが認められず、勝負した結果はライトの、この試合のために設けられたラッキーゾーンに飛び込むスリーランホームラン。
敗戦処理。も四半世紀ぶりくらいに、本塁打を浴びて首を捻る江川卓の姿を見た。
今季限りで現役を引退した金本はOBとしてではなく、現役選手として出場した。他に現役選手で参加したのは能見篤史、久保田智之、桧山進次郎、関本賢太郎、ジャイアンツでは内海哲也、山口鉄也、小笠原道大。それぞれ順次代打で出た。現役投手は登板せず代打で登場したほか、久保田は最終回には二塁の守備についた。
この後、ジャイアンツにも原に二本目のタイムリーが出るなど2点を返し、ハーフタイムショーでは再び“Going!Sports&News”とのタイアップ企画で江川卓VS上田晋也の一打席対決。江川はお笑いタレントにまで安打を打たれる始末だった。
六回表、タイガースのマウンドに藪恵壹が上がると、ジャイアンツは一度退いた清原が代打で登場。捕手も矢野輝弘に代わった。そこで初球、冒頭の写真の様にエア乱闘寸止め。最後に井出らっきょならぬ松村邦洋が上半身裸で姿を現すオチまで付いた。
ちなみに藪は140km台のストレートをバンバン投げ込んでいた。
終盤には川藤幸三監督も代打で登場。ファウルを二本打ったものの見逃し三振に倒れてしまった。
そんなこんなで役者がそろった懐かしくて面白くもある伝統の一戦、最終回はジェフ・ウイリアムスがジャイアンツの上位打線を抑え、10対7でタイガースOBが勝利した。
【18日・阪神甲子園球場】
G 003 021 010 =7
T 311 310 01× =10
G)金田、●堀内、新浦、角、鹿取、江川、水野、槙原、宮本、斎藤-吉田、村田真、村田善
T)小山、○上田二、江本、江夏、池田、福間、中田、中西、藪、湯舟、野田、Sウイリアムス-田淵、木戸、矢野
本塁打)金本3ラン(江川・4回)
MVPは先制タイムリーなどの真弓。真弓前監督はいまだに女性ファンの人気は絶大。監督さえしなければ…以下自粛。敢闘賞には4打点と奮闘した原が選ばれた。
先述したようにバースや岡田の姿がなくて1985年のベストオーダーが再現できなかったのがいささか残念だった。今季までバファローズの監督だった岡田はやはり無理だったのか…。参加しなかったOBでは新庄剛志、桑田真澄らがスコアボードの大型ビジョンにビデオで参加した。特に新庄は何処で撮影したんだ?と言う様な荒野で、何を言っているのかよく聴き取れなかったが、メッセージを残すとど派手なバイクで走り去るという相変わらずなパフォーマンスだった。
一方のジャイアンツでは清原や仁志敏久など、決して円満な形でジャイアンツのユニフォームを脱いだとは言えないOBが参加したのは嬉しかった。ジャイアンツの若手OBのほとんどは今も何らかの形でジャイアンツに籍を置く身内が多かっただけに清原、仁志の登場が嬉しかった。仁志の試合への出場が原の代走というのも何とも…。
試合後、せっかく甲子園球場まで来たので甲子園歴史館に入館した。約二年ぶりだ。目玉の“ありがとうアニキ 金本知憲選手引退特別展”は大人気で見物するにしても時間がかかりすぎそうなのでパスした。来年2月までの開催なので興味のある方はぜひ!
その金本コーナーの一角に同じく今季限りで現役を引退した城島健司に関する展示がある。そしてもう一つの目玉として“虎のリリーフエース列伝”も目を引いた。
第一次吉田内閣のリリーフエースの安仁屋宗八、山本和行からJFKまでの変遷。タイガースの抑えというよりマリーンズでの活躍が印象深い成本年秀や、マーク・バルガスまで網羅しているとは…。そして二年前に入館したときには実施していなかったバックスクリーンビューを堪能した。
バックスクリーン後方の、スコアボードの真下のスペースに入れるのだ。これは絶景だ。
本当に楽しいひとときだった。出場した選手で現役時代を知らないのが金田、小山、吉田、三宅の四人しかいないなんて、自分もずいぶん年を取ったものだと少々恥ずかしい思いもしたが、初めて野球に興味を持った昭和48年(1973年)が最後はこの両球団のデッドヒートだったこともあり、個人的にはタイガースという球団にもジャイアンツとファイターズの次に思い入れがある。近年ではジャイアンツのライバルはドラゴンズというイメージがあるが、タイガースもこの何年かは残念な成績が続いてはいるが、あの長期低迷を脱出してからは安定した成績を挙げてきた。なにより和田豊現監督は現役時代の晩年に「巨人戦よりヤクルト戦の方が気合いが入る」と公言した若手選手を一喝して説教したという猛虎魂の生き証人だ。まずはジャイアンツが来年も優勝争いに絡んでくれることが希望だが、そこにタイガースが絡んでこそ個人的にはより熱が入るというものだ。なお、この試合の模様は12月29日によみうりテレビで放送されるそうだ。
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コメント
チェンジアップ様、コメントをありがとうございます。
> こんばんは。先ほど、G+のHPを調べたら、
懐かしの名選手が勢ぞろい
阪神×巨人OB戦 1月1日(火) 22:00~24:00
1月3日(木) 16:00~18:00
ほう!これはG+と契約しているファンには朗報ですね。
2時間あれば、編成次第でしょうが一試合をほぼ網羅できると思います。
投稿: 敗戦処理。 | 2012年12月22日 (土) 00時55分
こんばんは。先ほど、G+のHPを調べたら、
懐かしの名選手が勢ぞろい
阪神×巨人OB戦 1月1日(火) 22:00~24:00
1月3日(木) 16:00~18:00
あるんですよ。観れます。
投稿: チェンジアップ | 2012年12月21日 (金) 19時41分
チェンジアップ様、コメントをありがとうございます。
> こんにちは。同じ札幌ドームで行われた日本ハムファン感謝デーが3万7千人ぐらいだそうです。
ほう。満員で立錐の余地もないみたいな感じの現地からのツイートを見かけましたが、それほどではなかったのですね。
話は逸れますが、昨日は多くの球団でファン感をやっていましたが、いくつかの球団のファンが「ウチのファン感がサイコー」みたいなことを呟いていました。
比較したのか<笑>!? あなたが行ったファン感が素晴らしかったのは確かでしょうが他とどうやって比較したのかと<笑>
ファイターズファンにも「菅野も大谷もこんな素晴らしい球団に入らないなんて絶対オカシイ!」なんて人が<笑>
大谷はともかく、ジャイアンツのファン感もジャイアンツファンには楽しいと思いますが…<笑>
> 日本対キューバ@札幌ドームについて関係者は「前売りで2万ははけてた。雪さえなければ」と言ってましたが、11月の中旬なんだから、札幌で雪は想定しとけよって思う。
初雪だったんじゃないですか?昨日の夜、試合の中継を録画したものを見ましたが、稲葉が放送席にいるようじゃいかんですね<苦笑>。阿部みたいにユニフォームを着てベンチに入って欲しいです。
主催者側やマスコミが前哨戦だ何だと煽っても、ファンにとっては親善試合にしか映らなかったのでしょう…。
投稿: 敗戦処理。 | 2012年11月24日 (土) 17時40分
こんにちは。同じ札幌ドームで行われた日本ハムファン感謝デーが3万7千人ぐらいだそうです。
日本対キューバ@札幌ドームについて関係者は「前売りで2万ははけてた。雪さえなければ」と言ってましたが、11月の中旬なんだから、札幌で雪は想定しとけよって思う。
投稿: チェンジアップ | 2012年11月24日 (土) 15時11分
チェンジアップ様、コメントをありがとうございます。
> こんばんは。GOINGでダイジェストを観ました。29日によみうりTVってことは関西のみですね。
関西方面だけの放送のようです。
> 観客が4万4千だったようですね、発表によると。
> で、日本対キューバ戦が、1万7千と2万1千だから、足しても・・・・。
そうなんですよ、二試合分足しても昨日のOB戦の観客動員数に及ばないのですよ。
もちろんOB戦も有料試合です。NPBはこの事実を受け止めて欲しいです。
あれだけ幅広い世代のOBを集めれば、あらゆる年代のファンを取り込めますからね。
私もわざわざ甲子園まで行った甲斐があったというものです。本当に楽しかったです。
現役時代を見た事がない金田さんと吉田さんの対戦…
王貞治が打席で右足を上げたときには涙が出そうになりましたよ。エントリーでも触れましたが、ちゃんと「王シフト」をしいたタイガースは素晴らしい。
> 私も阪神対巨人のOB戦の方が食指が動きますよ。
仮にキューバ戦が東京ドームで行われていたとしても、私はOB戦を選んだと思います。
投稿: 敗戦処理。 | 2012年11月19日 (月) 22時24分
こんばんは。GOINGでダイジェストを観ました。29日によみうりTVってことは関西のみですね。
観客が4万4千だったようですね、発表によると。
で、日本対キューバ戦が、1万7千と2万1千だから、足しても・・・・。
私も阪神対巨人のOB戦の方が食指が動きますよ。
投稿: チェンジアップ | 2012年11月19日 (月) 19時56分