巨人→近鉄→楽天の吉岡雄二はBs OBか!?- @Orix_Buffaloes さんのツイートに思う。
ツイッターでの人気アカウント、オリックス・バファローズの広報担当者の何気ないツイートがファンの間にちょっとした論争を起こしたようだ。
2日、テレビ朝日の「開局55周年記念番組とんねるずのスポーツ王は俺だ!!5時間SP」に出演した元ゴールデンイーグルス他の吉岡雄二の事を、オリックス・バファローズの広報担当者、@Orix_Buffaloes さんが「BsOBの吉岡雄二氏が出場されてますね。」とツイートした。
吉岡は合併当時、旧大阪近鉄バファローズに所属していたが、合併に際する分配ドラフトで新規参入球団、東北楽天ゴールデンイーグルスに所属する事が決まった選手でオリックス・ブルーウェーブ~オリックス・バファローズと推移した球団には所属していない。
@Orix_Buffaloes さんはその事に関して指摘を受けると、「BsのBはバファローズ、ブレーブス、ブルーウェーブのB。Bが3つあるから複数系なのでBsなんですよ。」「Bu、B、BWの後継がBsなんですよ(>_<)」「たしかに在籍していませんが、このケースはBsOBなんです。」と、吸収合併した旧バファローズの選手は合併後のバファローズに所属していなくともOBだとの見解を示した。
(写真:BsOB!?の吉岡雄二。ゴールデンイーグルス時代の2006年5月撮影)
オリックス・バファローズは旧オリックス・ブルーウェーブが旧大阪近鉄バファローズを吸収合併して新しくなった球団だから、旧近鉄バファローズの歴史と伝統を継承し、ファンに語り継ぐ義務はあろう。シーズン中に前身の旧阪急ブレーブスを回顧するイベントだけでなく、旧近鉄バファローズを回顧するイベントも近年行っている。だから合併後のオリックス・バファローズに所属していない選手であっても、旧近鉄バファローズに所属していた選手をOBと呼んだのだろう。
@Orix_Buffaloes さんの関連ツイートは下記から飛んでください。
「BsOBの吉岡雄二氏が出場されてますね。」
「BsのBはバファローズ、ブレーブス、ブルーウェーブのB。Bが3つあるから複数系なのでBsなんですよ。」
「Bu、B、BWの後継がBsなんですよ(>_<)」
「たしかに在籍していませんが、このケースはBsOBなんです。」
(twitterアカウントをお持ちでない方は参照できないかもしれません。)
無論、1月2日の夜のツイートという事はいかにオリックス・バファローズの広報担当者といえど、プライベートのオフタイムでの私的なツイートだろう。しかし@Orix_Buffaloesのアカウントでツイートする以上、フォロワーは広報担当者としての見解、即ち球団の見解と認識するであろう。ましてや問い合わせを受けての回答もしている。
ツイートでは今季から入団する古久保健二バッテリーコーチもBsOBとしている。古久保コーチは1983年に旧バファローズに入団し、旧バファローズ一筋で2002年限りで現役を引退するとそのまま2003年から旧バファローズのコーチに就任し、球団が吸収されると2005年からはドラゴンズのコーチを務め、2008年まで所属すると翌2009年から昨年まではスワローズでコーチを務めていた。オリックス球団のユニフォームを着るのは今回が初めてだ。ちなみに@Orix_Buffaloesさんは岡田彰布前監督もそうだったと述べているが、岡田前監督はタイガースの選手というイメージが強いが、現役時代の晩年、1994年から二年間、旧ブルーウェーブでプレーしている。1996年から二年間は二軍助監督兼打撃コーチを務めていた。特に断る必要なくBsOBであろう。個人的には岡田前監督の経歴を誤認しているのか、失念しているとしたらそのこと自体が問題だと思うが、それはともかく旧近鉄バファローズに在籍していた選手はBsOBという認識なのだろう。
この場合、いわゆるOB会組織がどうなっているか?という問題もあるが、広報担当者としてツイッターでファンと接点を持つ立場としては(仮に正月休みでプライベート感覚でツイートしているとしても)ファンの感情というものへの配慮も必要ではないか。
旧近鉄バファローズ、大阪近鉄バファローズのファンの中にはあの球界再編騒動の顛末を快く思っていないファンが少なからず存在する事は確かだろう。当時のパ・リーグで唯一親会社の身売りを経験していなかった球団がついに親会社から見放されざるを得なくなったとき、他企業への売却ではなく、よりによってライバル球団に吸収されるという道を選んだ。紆余曲折を経て合併し、新規参入球団ゴールデンイーグルスが誕生したためにファンが最悪のシナリオと想定した球団数削減から始まる縮小均衡、1リーグ化などは避けられたが、その後のゴールデンイーグルスへの著しく公平性を欠く分配ドラフトの実施を含め、ファンの心証を悪くしたことは確かだ。
ファンの中には自身の割り切り方として、2004年限りでバファローズ球団は終了、2005年からオリックスと東北楽天が選手を引き継いだと頭の中で整理しているファンも少なくないようだ。だから、大阪近鉄バファローズとして最後の試合に臨む選手達に当時の梨田昌孝監督が「お前たちが付けている背番号は、全て近鉄バファローズの永久欠番だ」と語ったとされる話が支持されるのだろう。
永久欠番と言えば、合併前の旧バファローズでは鈴木啓示がつけていた「背番号1」が当時のパ・リーグでは唯一、選手出身の永久欠番と制定されていた。だが、合併時にブルーウェーブで「背番号1」をつけていた後藤光尊が合併後にそのまま「背番号1」を付けた事も旧バファローズファンの神経を逆なでする事になった。
当時の経緯に関しては諸説あったが、鈴木本人が次のように語っている。
オリックスになって、球団から「鈴木さんの1番、どないさしてもらいましょう?鈴木さんの思うようにしますので」と連絡があったんや。私は「その言葉だけで十分です。私は近鉄の球団で、近鉄に永久欠番にしてもろたんやから、オリックスではどうぞ使うてください」と言うた。
(「近鉄バファローズ球団史1950-2004」ベースボール・マガジン社より)
梨田元監督や鈴木の感覚は旧バファローズのファンの自分が応援した球団への寂しさを紛らす、いわば溜飲を下げるものだろう。オリックス球団は旧バファローズが本拠地としていた大阪ドームを本拠地にし、旧ブルーウェーブの本拠地、ほっともっとフィールド神戸も準本拠地的に使用しているが、そのほっともっとフィールド神戸の外壁に阪急ブレーブス時代から連なる偉大なOBの写真だけではなく、旧近鉄バファローズの鈴木の写真も掲出してリスペクトをしている。前述したように近年は過去の両球団を回顧するイベントも実施している。二つの球団の歴史を継承するという自負は持っているのだろう。
ただ、オリックスは阪急から球団を買収した際に「ブレーブスという名称を残す」としておきながら二年間のみでブルーウェーブと改称してファンの反感を買ったし、そもそもの身売り発表があのパ・リーグが最も熱くなったといわれる「10・19」の試合中だった事で野球ファンの怒りを買った(後日、情報漏れがあって発表を遅らせると特定の投資家だけが得をする事を避けるために発表を早めざるを得なかったと弁明)。合併騒動の最中には小泉隆司球団社長兼代表がバファローズの事を「バッファローズ」と言っていた。身売り、合併など、企業としての論理、存続のための苦肉の策とはいえ、ファンの感情というものも一定量配慮してもらいたいものだ。
オリックス・バファローズに所属していなくても近鉄バファローズのOBならBsOBとする@Orix_Buffaloesさんの見解も理解出来るが、吉岡のような選手の場合、選手名鑑では“近鉄→楽天”と記載されるからBsOBと一括りにするには無理があるだろう。Bsの歴代通算最多勝利投手は317勝を挙げた鈴木なのだろうか?否、阪急ブレーブス在籍中に338勝を挙げた米田哲也だろう。
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コメント
bigdaddy45_1969様、コメントをありがとうございます。
> 「Bs」は過去の歴史を継承する意味を込めたもの、というのは素晴らしいですが、合併(統合)相手のあらゆるものを自らの手にしたのではないということをオリックス球団には肝に銘じてほしいですね。
これに尽きると思いますよ。
残念ながら、先日のツイッターでのOrix_Buffaloesさんのツイートにはいささかこの点で配慮に欠けていたのではないかと思います。
一方わがファイターズも東京時代には「Fs」との略称を用いていましたが、北海道移転後には「F」に統一されているようです。
由来がオリックスと同じかどうかすらわかりませんが、東映フライヤーズや日拓ホームフライヤーズが“なかったこと”にされないよう祈るばかりです。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年1月20日 (日) 16時26分
昨日野球体育博物館に行ってきました。
オリックスのメディアガイド、確かに仰る通りに記録を別々に掲載していますね。
近鉄の方が若干ボリューム少なめでしたが。
ただ掲載自体は大変良いことだと思いました。
あと球団の歴史も戦前から書かれてますし、近鉄も年ごとにカバーしていますね。なぜこれらをWebに反映しないのか?と思いました。
「Bs」は過去の歴史を継承する意味を込めたもの、というのは素晴らしいですが、合併(統合)相手のあらゆるものを自らの手にしたのではないということをオリックス球団には肝に銘じてほしいですね。
投稿: bigdaddy45_1969 | 2013年1月20日 (日) 00時53分
bigdaddy45_1969様、コメントをありがとうございます。
> Twitterのほうでその様子をツイートされていましたが、当日はドームでプロレスがあったので、かなり多くの客がいたのではないでしょうか。
そうですね。私が言った時間帯は開場前だったので、野球体育博物館の入口がある21番ゲート前を含め、外周にかなりの人がいましたね。
もちろん、正月休みですから博物館も熱気を帯びていて親子連れが多かったですね。twitterでも触れましたがWBC展開催中で、出場選手のインタビューが挿入される決勝戦のダイジェスト上映に黒山の人だかりでした。
* 私は杉浦忠投手が四連投した昭和34年の日本シリーズのハイライト映像に目が行きましたが…。
> オリックスのメディアガイドには旧近鉄の成績も掲載しているのは素晴らしいですが、系譜については区別してほしいところです。
私の書き方も紛らわしかったかもしれませんが、要は1冊に二球団分載っているという感じですね。阪急~オリックス(合併後も含む)の歴代記録などが一式記載された後ろのページに近鉄時代の歴代記録などが別途記載されているという感じです。
もちろん、近鉄関連の記録は今後毎年同じ内容が記載されるのでしょうが、オリックス・バファローズのメディアガイドとして毎年世に出ると言うことは素直に喜ばしいと感じます。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年1月 7日 (月) 23時28分
野球体育博物館に行かれましたか。
Twitterのほうでその様子をツイートされていましたが、当日はドームでプロレスがあったので、かなり多くの客がいたのではないでしょうか。
オリックスのメディアガイドには旧近鉄の成績も掲載しているのは素晴らしいですが、系譜については区別してほしいところです。
投稿: bigdaddy45_1969 | 2013年1月 6日 (日) 22時36分
bigdaddy45_1969様、再コメントありがとうございます。
ところで、
> オリックスのメディアガイドが野球体育博物館の図書室にあるので、
どう扱っているか、機会があったら観てみたいと思います。
今日、野球体育博物館に行ったので図書室でのぞいてきました。
オリックス・バファローズのメディアガイドには球団創立からの在籍、公式戦出場全選手の通算成績一覧が出ていますが、阪急~オリックスの歴代全選手と、近鉄の歴代全選手を完全に分けて掲載してありますね。
これは吸収合併した相手の記録を残す配慮でしょう。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年1月 4日 (金) 21時00分
球団の系譜はオフィシャルベースボールガイドに掲載されてましたね。
ここ最近購入していなかったので気が付きませんでした。
投稿: bigdaddy45_1969 | 2013年1月 3日 (木) 21時38分
bigdaddy45_1969様、コメントをありがとうございます。
twitter同様、こちらでもよろしくお願いいたします。
> 「阪急、近鉄、BWの歴史を継承する」と宣言した姿勢は評価できますが、
やはりあの発言は言い過ぎですね。
いささか軽率な感じがします。
> ただ、球団の系譜というのが何を以て正しいのか良く分かりませんね。
野球の歴史を扱う書籍やWebサイトに掲載されているものも公式なもの
とはいえませんし。
日本野球機構が編集して共同通信社が発行するオフィシャルベースボールガイドが最も権威があると思いますが、「OFFICIAL BASEBALL GUIDE 2012」の“各球団の変遷”ではオリックス・バファローズの項目に阪急と近鉄それぞれの創立からの変遷が書かれており、両球団が統合した形になっていますね。
別途、[球団消滅]という項目がありますが、近鉄は吸収されたので載っておらず、東京セネターズ等が記載されています。
> なお投手の通算勝利数ですが、近鉄を含めても米田がトップです
(近鉄で2勝しているので計340勝)。
米田投手は阪急の後、阪神、近鉄と移籍して近鉄でも勝ち星を挙げていたのは知っていますが、話をややこしくしてしまうおそれがありますので阪急での勝ち星に絞りました<笑>。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年1月 3日 (木) 21時25分
「阪急、近鉄、BWの歴史を継承する」と宣言した姿勢は評価できますが、
やはりあの発言は言い過ぎですね。
ただ、球団の系譜というのが何を以て正しいのか良く分かりませんね。
野球の歴史を扱う書籍やWebサイトに掲載されているものも公式なもの
とはいえませんし。
なお投手の通算勝利数ですが、近鉄を含めても米田がトップです
(近鉄で2勝しているので計340勝)。
オリックスのメディアガイドが野球体育博物館の図書室にあるので、
どう扱っているか、機会があったら観てみたいと思います。
投稿: bigdaddy45_1969 | 2013年1月 3日 (木) 20時39分