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2013年2月11日 (月)

タイガースがウエスタン・リーグの主催試合でDH制を採用

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日の日刊スポーツによると、タイガースは今季からウエスタン・リーグの主催試合で指名打者制を採用する。既に124日に行われたウエスタン・リーグ幹事会で承認されたという。

ファームリーグではイースタン・リーグ、ウエスタン・リーグともにセントラル・リーグ所属の球団とパシフィック・リーグ所属の球団が混在しているため、パ・リーグ所属球団の主催試合のみでDH制が採用されているがイースタン・リーグでは2009年から全試合でDH制が採用される様になった。

タイガースはドラフト2位入団の北條史也を始めとする若手有望選手の出場機会を増やすのが狙いと見られている。


(写真:DH制なしでのタイガースのウエスタン・リーグ主催試合の打順。20048月撮影)



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紙面で掲載している日刊スポーツのサイトでは見当たらないが、タイガース情報に詳しいデイリースポーツのサイトにも“虎2軍今季からDH制…主催試合で採用 ”とある。


ウエスタン・リーグではパ・リーグに所属するホークス、バファローズの主催試合ではこれまでもDH制を採用していたが、セ・リーグに所属するタイガース、ドラゴンズ、カープの主催試合では採用していない。一軍の交流戦や日本シリーズでのDH制の扱いをイメージしていただければ理解いただけるだろう。今回、タイガースは主催試合でのDH制採用をウエスタン・リーグに働きかけ、理事会にて承認されたそうだ。敗戦処理。は個人的には現状のパとセのようにDH制を採用するリーグと採用しないリーグが併存することに異論はない。だが“育成”に主眼を置くファームのリーグでは選択の幅が拡がった方が良いのではという意見なのでウエスタン・リーグの決定を英断と思う。

そもそも日本のプロ野球にDH制が採用されたのは1975(昭和50)から。アメリカ大リーグのアメリカン・リーグで1973年に採用されて好評だったので追従したのだが、大リーグで両リーグのうち、ア・リーグだけが採用したのと同様に、日本でもパ・リーグだけの導入となった。

一般には人気、観客動員面でセ・リーグに水を開けられていたパ・リーグが、打線から投手が抜けて、その代わりに強打者が打線に加わるDH制を採用して活発な打撃戦を増やし、セ・リーグと差別化して人気増、観客動員増を目指したと言われている。

だが当時
(1973)の朝日新聞によると大リーグの動きに合わせてDH制に最初に興味を示したのはセ・リーグの監督会議。これを受けたパ・リーグの岡野祐会長は「セにそんなことを一方的に決められても」と難色を示していたそうだ。一説には長嶋茂雄王貞治の両雄、“ON砲”が円熟期からベテランにさしかかろうとしているジャイアンツがDH制の導入を目論んでいたとも言われた。その年、日本でも大リーグで採用される1973年にオープン戦でテスト運用された。32日に行われた太平洋クラブライオンズ対広島東洋カープのオープン戦で、ライオンズの稲尾和久監督とカープの別当薫監督が合意して審判団に申し出、審判団が渋ったものの岡野会長の許可を取ってテスト的に採用された。だがまだ手探り状態だったのか、実際に採用されたDH制のルールとは微妙に異なるのが面白い。新聞記者の勘違いかもしれないが、スターティングメンバーには投手が名を連ね、打順が回る度にDHが起用されたかのように見える。また、野球漫画「アストロ球団」(原作・遠崎史郎、作画・中島徳博。週刊少年ジャンプ、集英社)ではこの時代の設定でアストロ球団が金田正一監督率いるロッテオリオンズと対戦する試合でDH制が採用されているが、これまたルールが周知されていなかったからか、今読むと笑える。

それはさておき、セ・リーグの思惑とは裏腹にパ・リーグは1975年からの採用を決定。この時期のパ・リーグは1972年のシーズンを最後に西鉄ライオンズと東映フライヤーズが球団身売りとなってなかなか後継企業がなかなか見つからないなど苦悩の時代で、1973年には前・後期制の二シーズン制を採用するなど新しい制度を採り入れて活路を見出そうという精神がはっきりしていたので決断が早かったのだろう。

そして採用を見送ったセ・リーグはDH制を採用しない理由を明示した。採用を検討していたはずなのに、まるでDH制が悪かのような理由を9箇条に挙げて説明した。現在のセ・リーグのホームページでも“DH制の導入から四半世紀が過ぎましたが、セ・リーグでは現在も大筋で考えは変わっておらず、DH制を導入する予定はありません。”と謳っており、今でも“1 世紀半になろうとする野球の伝統を、あまりにも根本的にくつがえしすぎる”他の理由でDH制を拒否している。

繰り返しになるが、敗戦処理。は個人的にはDH制を採用するリーグと採用しないリーグがある現状を特に否定する気持ちはない。違いがなければリーグを二つに分ける意味もない。ルールが異なるのは如何なものかという意見があるのは承知しているが、DH制の採用の有無は個性であり許容の範囲であると考える。

それはともかく、パ・リーグがDH制を採用してもセ・リーグとの対戦ではDH制が採用されないという時代があったが、日本シリーズ、オールスターゲーム、オープン戦などで順次(条件付きながら)採用されるようになった。2005年からスタートした交流戦では最初からパ・リーグ球団の主催試合ではDH制が採用された。

余談だが、まだ日本シリーズなどでDH制が採用されていなかった時代、シーズン終了後に行われる日米野球で大リーグのチームにはDHを含めた打線を認め、日本側のチームはDHなしで挑む試合があった。これは将棋に当てはめれば、“格上と格下の対戦で格上の方が飛車角抜きにするのでなく、格下の方が飛車角抜きで対局に挑むようなものでは無いか”との声が寄せられ、さすがに国内リーグ間のあつれきを大リーグとの試合に持ち込むのは如何なものかという風潮が起こり、それもあって日本シリーズなどでの導入が検討され始めたという。野球界のために真剣に仕事をした稀少なコミッショナー、下田武三コミッショナーの存在も大きかった。

日本シリーズでの隔年DH制(二年に一度、全試合でDH制採用)が導入されたのがパ・リーグが採用してから十年後の1985年。ただこの二年後の1987年から、現状のパ・リーグ球団主催試合のみ採用となったため、日本シリーズで全試合にDH制が採用されたのは1985年の一度だけ。

お祭り色が濃いオールスターゲームでは第40回の1990年に、パ・リーグが作用してから十五年後に初めてパ・リーグの本拠地球場で開催の試合で採用され、1993年からは全試合で採用されている。

閑話休題。

DH制が採用されている試合において、DHを使うかどうかはその試合の球団の自由である。ただルール上、試合中にDHを解消して投手を打順に入れることは可能だが、一度それを行うと再びその試合でDHを入れることは出来ない。そして当然ながらスターティングメンバーでDHを入れなかった試合では試合途中からDHを入れることは出来ない。

イースタン・リーグでは
2009年から全試合でDH制が採用されているが、例えばセ・リーグに所属する球団で一軍レベルの投手が先発する場合に敢えて九番を打たせるケースも稀にある。
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昨年、敗戦処理。が生観戦した試合では一軍復帰を目指すジャイアンツの東野峻が先発した試合で九番に入り、二死から安打を放ち、続く大田泰示の本塁打の呼び水となった。


今回ウエスタン・リーグで承認されたため、タイガースが採用し、タイガース主催のウエスタン・リーグ公式戦52試合はDH制となる。バファローズやホークスは自らの主催試合と同様の選手起用、采配が可能になるから大歓迎であろうが、カープとドラゴンズの対応が注目される。

ファームは育成の場という観点で考えれば、一軍に上がったら打席に立つことになる投手に敢えて打席に立たせることは必要だろう。しかしイースタン・リーグでセ・リーグ所属の球団が投手を打席に立たせるのは上述のような例はあるものの極めて稀少。昨年のイースタン・リーグ公式戦で投手が打席に立ったのは上述の東野が4打席立ったほかにはスワローズの赤川克紀、石川雅規、館山昌平、増渕竜義、オーランド・ロマンがあるだけ。該当試合を見ていないが、顔ぶれを見ると東野と同じ理由であろう。

タイガースは、やがて一軍に上がるであろう投手の打席を犠牲にしてでもDHを採用した方が“育成”面でのメリットが大きいと読んだのだろう。そもそも、投手に打席に立つ機会を与えたいなら、パ・リーグ所属球団が主催する試合でもDHを採用しない自由は保障されているのであるから、現状でもその選択は可能なのにタイガースに限らずドラゴンズもカープもDH制が採用されている試合ではDHを使用しているようだ。

そして、いくら“育成”重視のファームと言えども、一軍が優勝を目的としている以上、勝つことを目指して試合をしなければならず、その中で“育成”を兼ねなければなるまい。そうなると、一方の相手がDHを採用していれば我がチームだけ投手を打順に入れて…というのはレアケースになろう。推測だが、早晩ウエスタン・リーグも全試合DH制採用となるだろう。

かつて、パ・セ両リーグがそれぞれに事務局を持って運営していた時代にはパ・リーグの会長がウエスタン・リーグの会長を兼務し、セ・リーグの会長がイースタン・リーグの会長を兼務していた、その意味ではセ・リーグ色が濃いイースタン・リーグが先に全試合DH制になったのは意外な感じがしたものだ。

そうなるとNPBでDH制を採用しないのはセ・リーグのみとなり、パ・リーガーと称する人達を始め、セ・リーグの姿勢に疑問を呈する声が大きくなるかもしれない。しかし、繰り返しになるが個人的にはDH制を採用するリーグと採用しないリーグが併存すると言うことは各リーグの個性でもあるし、現状問題ないと思う。敗戦処理。が応援するファイターズは日本シリーズでセ・リーグ球団のホームゲームでDHなしで臨む試合にからっきし弱いが、それはファイターズ個別の問題で、ルールをどうしろと言う問題ではないと考える。ただ、“育成”を重視するファームリーグではチーム戦力の選択肢の幅を拡げる意味でもDH制に関して柔軟に対応して欲しいと言う意見の持ち主である敗戦処理。としてはタイガースの提案を認めたウエスタン・リーグ理事会の決定を英断だと評価したい。

なかなかウエスタン・リーグの試合を見る機会は少ないが、一軍を目指す選手達の競争が激しくなることを期待したい。投手が打順に入らず、DH制の打線と対戦する方が投手にもいい訓練になるだろう。

そしてセ・リーグにはDH制を採用せよとは言わないが、DH制を否定する上述の9箇条を取り下げてもらいたいものだ。セ・リーグの球団もDH制が採用されている試合ではDH制を使用しているのだ。明らかに現状と矛盾している。

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