群馬ダイヤモンドペガサス
正直に言って敗戦処理。はNPBにばかり注目していて独立リーグには疎い。群馬ダイヤモンドペガサスといっても、監督がオリオンズ、マリーンズ、ブルーウェーブで活躍し、全打順本塁打や全ポジション出場といった珍しい記録の持ち主として有名な五十嵐章人であるということと、バファローズに所属したフランシスコ・カラバイヨやアメリカの独立リーグに挑戦した井野口祐介がいるくらいしか知らない。
調べると昨年は、球団創設(2008年)以来監督を務めていた秦真司が読売ジャイアンツのコーチに就任することとなって二代目監督に就任した五十嵐新監督の下、BCリーグの上信越地区で前後期とも三球団中3位だった。秦監督時代の2008年後期から2011年前期まで優勝を続けていただけに今期の巻き返しが期待される。千葉ロッテマリーンズの元監督、八木沢荘六コーチが退団し、阪神タイガースでノーヒットノーランを記録した川尻哲郎が新たに投手コーチに就任した。
また育成総合コーチは大洋ホエールズで一番打者として活躍した中塚政幸。今月に入ってカラバイヨと井野口の復帰が発表された。
この日の鎌ヶ谷スタジアムは静かだった。思えば敗戦処理。が今年になってから鎌ヶ谷に足を運んだ日には自主トレの時期を含めて常にそこに大谷翔平がいた。“二刀流”という希有な挑戦をしている大谷を観てみたいというファンが大挙していた。が、しかし大谷がいなくてしかも練習試合だとこの通り。
しかもC☆Bもパ・リーグのオフィシャルスポンサーの会見に顔を出していて不在。鎌ヶ谷のファンを誰よりも大事にしてきたC☆Bも“接待”という大人の事情で動かされるようになったか…。
なお敗戦処理。のように群馬ダイヤモンドペガサスに疎いファンのためにスタンドのコンコースにはメンバー表が置かれていた。これはありがたい。
試合はファイターズの先発が二年目の上沢直之でダイヤモンドペガサスは清水信寿。格上のNPB二軍チームとの対戦だけにエースをぶつけてきたのかと思ったが、昨年はリーグ2位の12セーブを挙げているのでクローザーのようだ。
一回裏、ファイターズは一死から二番の松本剛が四球で出ると、次打者加藤政義の時に投球を受けた捕手が右手に握り替えようとして握り損ねたのかボールを逸らしてしまい松本が二塁へ。そして左打者の加藤が打席にもかかわらず松本が果敢に三盗を試みると捕手の悪送球で一気に生還。
四球で出てからたった二球の間でホームイン。初めてダイヤモンドペガサスを観るファンには第一印象が悪くなる凡プレーで主にファイターズファンの三塁側スタンドから失笑が漏れた。
しかし直後の二回表、先頭の四番、大松陽平が上沢の初球をフルスイング。レフトのフェンスオーバーですぐに同点に追いついた。
さすがは昨年リーグ2位の6本塁打を放った大砲。余談だが昨年のBCリーグの本塁打王は一昨年までファイターズでプレーしていた大平成一で9本。大松はチェンジになって守備に付くときにはファイターズ応援団から大松コールを受けて帽子を取って返礼していた。
初回に味方のミスでいきなり失点した清水もその後は丁寧にファイターズ打線を抑え、1対1のまま試合が進む。
なお二回裏一死から打席に立ち、一塁ゴロを放った大嶋匠が三回表の守備から交代。
報道によるとスイングの際に右手首を痛め、有鉤骨骨折と判明した。27日に手術を受ける予定で、練習再開まで三週間程度の見込みらしい。
試合が動いたのは五回裏。クローザーだからスタミナ不足なのかファイターズ打線に慣れられたのか清水が集中打を浴びた。
先頭の宇佐美塁大が四球、大嶋に代わって出場の尾崎匡哉がレフト前安打、森本龍弥が送って二、三塁。二死から谷口雄也がレフト前にはじき返して三塁から宇佐美が還ってファイターズが勝ち越し。
谷口はユニフォームを忘れたそうで大塚豊の背番号14のユニを借用して出場していた。21日の大谷“二刀流”の試合後に二軍落ちを通告されたものの、ユニフォームだけは札幌に送ってしまったのか…。この後、松本と加藤にも連続タイムリーが出てダイヤモンドペガサスの中継にもミスが出てこの回ファイターズは一気に4点を勝ち越した。
ダイヤモンドペガサスも直後の六回表にファイターズの二番手、榊原諒から三本の二塁打を浴びせて2点を返す。大松はこの時点で三安打(冒頭の写真)。本塁打、内野安打、左中間二塁打と、三塁打が出ればサイクルヒットという荒稼ぎだったが、最後の第四打席は三振に倒れた。
大松と連続二塁打となったフランシスコ・カラバイヨは打球は豪快だったが動きはスローモー。レフト線に運んだので余裕のスタンディングダブルかと思ったがスライディングしてセーフ。試合としては面白くなってきたが、榊原が心配だ。
ロングリリーフでチームの窮地を何度も救って新人王に輝いた2010年と勝利の方程式の一角を担って1イニングを任せられた2011年に比べ、昨年は精彩を欠いて大半をファームで過ごした。一時の登板過多のしわ寄せだという声もあるが、逆に今年は昨年の勝利の方程式を担ったリリーフ陣にその反動が来ても不思議ではないわけで、その時こそ榊原の出番と思うのだがまだ本調子には…。
この後、六回裏にはファイターズが2イニング連続となる打者一巡の攻撃で6点を奪い、七回裏には尾崎が、八回裏には石川慎吾が本塁打を放って追加点し、ファイターズが13対3と圧勝した。
【23日・ファイターズスタジアム】
DP 010 002 000 =3
F 100 046 11× =13
DP)●清水、北井、東風平、糸川-宇佐美、土屋
F)○上沢、榊原、齊藤、榎下、若竹-大嶋、尾崎
本塁打)大松ソロ(上沢・2回)、尾崎ソロ(東風平・7回)、石川ソロ(糸川・8回)
試合が始まってから観客が増えてきたが、試合の終盤に発表された入場者数は300人。
それでもスタンドからは「本当に300人もいるのか?」と笑い声が起きていた。
五回を境に試合への興味が薄れた感じはあった。一試合観ただけで偉そうなことは書けないが、投手がしっかり投げているうちは試合になるが投手が捕まったり、投手のレベルが落ちると収拾が付かなくなる感じだ。ただ、五回までに1得点ながら7安打を放ったり、トータルで11安打を放つなど打線も活発だ。しかし例えばジャイアンツの昨年までの第二の二軍はアマチュアと対戦しても平気で負けるし、NPBとの実力差は今日の試合ほどではないと思う。特にファイターズ(あるいは他のNPB球団でも)ならファウルと判別した時点で追わなくなる三塁線のゴロの打球にギリギリまで捕ろうとしたり、走者無しでのワンバウンドする投球でもしっかり捕ろうとする捕手の姿勢などファイターズのファームの選手達にもプロ(NPB)になって忘れてしまった原点のようなものを思い出させてくれたのではないか…。
独立リーグの試合は近郊で行われていないのでなかなか縁が無いが、これからもこういう機会を見つけて観戦したいものだ。
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コメント
長緯様、コメントをありがとうございます。
> 昨年から新潟在住なので、BCリーグの新潟アルビレックスBCの試合を何試合か見に行っています。
投打に、時々これはいい、というレベルの高い選手を感じるのですが、NPBのドラフトにかかる選手が少ないことを見ると、スカウトなどプロの目から見るとまだ選手個人個人のレベルには物足りないものがあるのでしょうか。
不勉強ながら初めて観ました。群馬県などちょっと足を伸ばせば見に行けそうなものですが…
> 人気面では、やはりNPBという頂点のリーグがある以上、大きく発展するのは難しい気がします。NPBは毎日のように試合をやっていますので、それらのチームのファンが試合時間がダブるBCリーグの試合を見に行く機会も少ないと思います。
主にNPB球団のホームタウンでないエリアを拠点として地元に密着した路線を進むのが妥当かと思いますが、選手にかかる人件費、待遇面などどれだけバックアップ出来るかでしょうね。
プロ野球(NPB)の二軍レベルでも「金返せ!」と言いたくなるようなプレーが頻出することを考えると、ファンの鑑賞に堪える一定のレベルが必要ですからね。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年4月 1日 (月) 22時59分
こんにちは。
昨年から新潟在住なので、BCリーグの新潟アルビレックスBCの試合を何試合か見に行っています。
投打に、時々これはいい、というレベルの高い選手を感じるのですが、NPBのドラフトにかかる選手が少ないことを見ると、スカウトなどプロの目から見るとまだ選手個人個人のレベルには物足りないものがあるのでしょうか。
あとは選手が少ないのでおっしゃるようにクローザーが試合により先発したり、逆に抑えに回ったりでなかなか選手の適性がわからない点が多い感じです。相手打者のレベルもまちまちですし。
人気面では、やはりNPBという頂点のリーグがある以上、大きく発展するのは難しい気がします。NPBは毎日のように試合をやっていますので、それらのチームのファンが試合時間がダブるBCリーグの試合を見に行く機会も少ないと思います。
投稿: 長緯 | 2013年4月 1日 (月) 17時49分