32勝70敗5引き分け、勝率.314。
ファイターズは23日、今季のイースタン・リーグの鎌ヶ谷での最後の公式戦を行った。既に2010年にライオンズが記録したイースタン・リーグの年間最多敗戦記録の67敗を塗り替え、最下位を独走するファイターズだが、今日は打線が序盤に爆発するダイナマイト攻撃でゴールデンイーグルスを圧倒して11対1で圧勝した。
まだ今週末にビジターのベイスターズ戦を三試合残しているが、ホームは最終戦。今日の勝利で今季の成績は32勝70敗5引き分け、勝率.314となった。
また、「鎌スタ☆北海道まつり2013」と銘打ったこの試合には4.347人が入場。今季の観客動員数は敗戦処理。の集計に誤りがなければ鎌ヶ谷での公式戦52試合で73,625人となり、「プロ野球イースタン・リーグ観戦ガイド2013」(一般社団法人日本野球機構イースタン・リーグ刊)に資料のある2007年以降では、ファームの本拠地球場での年間入場者数のイースタン最多記録である。
4月には48年ぶりのリーグタイ記録となる14連敗を喫し、リーグの最多敗戦記録をも更新した悲惨なシーズンであったが、今までにない多くのファンが球場に詰めかけたことになる…。
(写真:鎌ヶ谷最終戦を終え、監督、コーチ、選手をしたがえて今季を総括してファンに挨拶する大社啓二オーナー代行)
上述のようにチーム成績は惨憺たるものだったが、異常なまでに多くのファンを今年の鎌ヶ谷は集めた。
ダルビッシュ有のポスティングシステムで得た資金を元に作られたと言われる立派すぎるスコアボード、日本球界初と言われる常設プールの設置、全国区人気のタイガースを招いたファーム交流戦の実施、これでもかこれでもかとぶつけてくるイベント、AKB48のメンバーをゲストに呼んだ「鎌ヶ谷デー」、そしてとどめの「鎌スタ☆北海道まつり2013」には巨乳グラビアアイドルをゲストに。その甲斐あってか、敗戦処理。の集計に誤りがなければ鎌ヶ谷開催のイースタン・リーグ公式戦52試合で合計73,625人が入場した。これは上述した通り、「プロ野球イースタン・リーグ観戦ガイド2013」(一般社団法人日本野球機構イースタン・リーグ刊)及び手元にある同バックナンバーに資料のあるファイターズスタジアム設立二年目の1998年以降では、ファームの本拠地球場での年間入場者数のイースタン最多記録である(ただし、今季他のイースタン六球団が更新していれば話は別)。しかし一試合の平均を出すと1,416人となり、48試合で70,062人を集めて一試合平均が1,472人となった2009年よりは低い。
拙blog6月15日付エントリー、土曜日なのに764人…これが今の鎌ヶ谷 では今季の観客減少を危惧したが、何のことはない。ナンバーワンだ。
今日は鎌ヶ谷最終戦とあって、冒頭の写真の様に大社啓二オーナー代行と、その後に西俊児ファーム監督がファンに挨拶したが、ともに反省の弁、お詫びの言葉に終始した。特に大社オーナー代行は一軍の件も合わせて頭を下げていた。西ファーム監督は何度も言葉に詰まっていた。いわゆる“噛む”という奴だ。
敗戦処理。もかれこれ十年ちょっとファイターズのファームの試合に足を運び続けているが、正直、こんなに弱いチームは見たこともない。もちろんファームは勝敗が全てではないという見方がある。一軍に戦力となる選手を育成して送り込んでナンボなのだが、中島卓也や今浪隆博は昨シーズンでファームを卒業した感はあるが、今季、一軍のニューフェースは新外国人と移籍組を除くと、大谷翔平、鍵谷陽平、河野秀数というルーキーが目立つ程度であとはせいぜい矢貫俊之くらい。他にはなかなか一軍に定着出来ない選手が一軍と二軍を行ったり来たりしているだけ。
だが、人は集まる。もちろん上述した新規の設備がリピーターを産んだかもしれない。全国区人気のタイガースとの交流戦や人気アイドルのゲスト起用は初めて鎌ヶ谷に足を運ぶ人を増やしたかもしれない。だが全体の八割が固定客といわれるファイターズスタジアムを支える固定客が負けても負けても負けても負けても、たまには勝つだろうと信じ、またお目当ての選手の成長を期待して足を運び続けたのだろう。もはや習慣というか、自然に鎌スタに足が向かうとしか思えない人達もいる。
さて、そんな諸々のファンを4,374人も集めた今日の最終戦はまるで罪滅ぼしのように序盤から圧倒する試合だった。
試合前にはファイターズ鎌ヶ谷の会による年間MVPの制定、表彰式が行われた。スタンドからは「該当者無し!」、「バンザーイ、なしよ」等との野次が飛んだが、投手ではチーム最多と言っても4勝止まりながら、チームでただ一人100イニングを超える投球回数を記録した上沢直之が、野手部門では上沢と同じ入団二年目で安打数、本塁打数、打点で現在リーグ2位に付けている石川慎吾が選ばれた。(記録、順位は9月22日現在)
石川の受賞は文句なしだろう。14本塁打の長打力は文句なし。追い込まれても何とか食らいついて結果を出そうという打撃は一年目の昨年に時に見られた淡泊さとは別人のようだ。中田翔の離脱直後に初の一軍入りを経験し、すぐに打席にも立てたが残念ながら結果を残せなかったが、鎌ヶ谷の生命線、育てて伸びていく期待が持てる。
投手部門の上沢は言葉は悪いが消去法か。一年目の昨年から先発ローテーションで投げるようになっていたが、イニング数や投球数を制限されていた感じがあった。今年は内容によって降板している感じだが、調子が良くても打線の援護が無かったり、また自身の調子が悪く早い回から打ち込まれたり、今一つ調子と結果が噛み合わなかった印象がある。二人ともまだまだ一軍には壁があると思うが、来年はもっと結果を出して欲しい。
そして、始球式はゲストのグラビアアイドル、筧美和子が務めた。プロフィールを調べると、フジテレビの「テラスハウス」という番組に出演していて、これから注目を集めそうなグラビアアイドルとのこと。
先月の「鎌ヶ谷デー」のAKB48の藤江れいな同様に五回終了後にはラジオ体操に興じたり、イニング間のインフォメーションを告知したりしたが、藤江れいなのようにスタンドの応援席に乱入することはなかった<笑>。ただ試合後のふれあいイベントまで球場に残っていて、プールでの選手とファンの大騒ぎが気になっていたようだ。
ファイターズの先発は中村勝。
一軍でもファームでも課題は同じ。立ち上がりの不安定さを克服すること。
しかし一回表に先頭の鉄平にセンター前に運ばれると、続く三好匠には四球でいきなり無死一、二塁。
しかしここで中島俊哉の送りバントを中村が自ら処理して三塁に送球して二塁走者を封殺。一死一、二塁となって続く四番の小斉祐輔を二塁ゴロ併殺打に仕留め、課題の立ち上がりを何とか無失点にまとめた。
ファイターズ打線もゴールデンイーグルス先発の菊池保則の立ち上がりを攻める。一死から村田和哉がセンター前に運ぶと盗塁と暴投で三塁に進み、鵜久森淳志が歩いた二死一、三塁から「五番・DH」でスタメン出場の二岡智宏が綺麗にゴロでセンター前に運んで1点先制。
登場曲が「SKY HIGH」でなかったのが残念だったが二岡は今日は一打席の予定だったのか、すぐに北篤が代走に送られた。
二回裏には谷口雄也の右前安打と大嶋匠の死球で無死一、二塁とすると、森本龍弥が送りバント。これが小フライになるが、ダイビングキャッチを試みた一塁手の小斉は惜しくもショートバウンドで捕球。すぐに三塁に送球したがセーフとなり犠打野選。たぶん谷口はワンバウンド捕球を確認する前にスタートしたのではないか?森本のバントは決して合格点とは言えないが、結果的に無死満塁とチャンスがひろがった。
ここからは怒濤の攻撃。
まずは松本剛が三遊間を破り、1点。続く村田は死球で押し出し。ここでゴールデンイーグルスは菊池を諦めて武藤好貴を投入。しかし石川はセンター前に運んで二者生還(安打数トップ?)。
鵜久森もライト前に弾き返し、村田が生還しこの回5点目。一死後、尾崎匡哉の四球で再び満塁とし、谷口が三塁線を破ってこの回2本目の安打となってさらに2点を追加。二回で8対0と一方的にリードした。
だがこれだけで勝利を確信出来ないのが今年のファイターズだが、中村がその後立ち直り、五回に三好にソロ本塁打を打たれたのみで5イニング1失点の好投だった。
中村はちょうど一週間前には一軍のホークス戦に先発。同じく五回を投げて、味方が先取した2点を吐き出す2失点で翌日には二軍落ち。今日がそれ以来の登板だ。20日のマリーンズ戦で三回途中で9失点した斎藤祐樹に一軍復帰の報道が出ているが、中村が先だろうというアピールになったか…。
二回裏のファイターズの7得点以後は淡々と試合が進む感じだったが、八回裏にファイターズ打線が再び火を噴く。
この回から登板のゴールデンイーグルス五番手の井上雄介から三つの四球で一死満塁とすると、北、代打の浅沼寿紀、谷口の三連続タイムリーで3点を追加して11対1とリードを拡げた。
ファイターズは中村のあと、六回には運天ジョン・クレイトン、七回には榊原諒、八回と九回を屋宜照悟と、大量点に守られて余裕の継投という感じだった。
【23日・ファイターズスタジアム】
モ 000 010 000 =1
F 170 000 03× =11
モ)●菊池、武藤、大塚、橋本、井上-小山桂、山本
F)○中村、運天、榊原、屋宜-大嶋
本塁打)三好3号ソロ(中村・5回)
「終わりよければすべて良し」という諺があるが、さすがに“すべて”とは言えまい。「終わりよければ少しは良し」といったところか…。
八回の追加点がなければ、(それでも8対1で終わっていたかもしれないが)「手を抜くな!」とか野次が飛びそうだったが、良いタイミングで追加点が取れた。今日は「今年最後だから…」という理由で足を運んだ人も多かっただろう。いつもは外野芝生席を開放してもパラパラという感じだったが、レフト側のみの開放とはいえ、ほぼぎっしり埋まり、ビジターの一塁側スタンドも、ゴールデンイーグルスのファンと、三塁側に入りきれなかったファイターズファンでぎっしりだった。
4,347人という入場者数はゴールデンウイークの4月29日の4,354人に次ぐ今季二番目の大入り。皆それぞれ、今年のファイターズには言いたいことがあるだろう。だがそれでもファイターズを見放さず、最終戦まで着いてきてくれた人達だ。いついかなるときでも明るく選手を応援する人達。見たまんまに思ったことを口にして選手を叱咤激励する人達。皆ファンは思い思いの気持ちを選手達に向ける。中にはちょっとはみ出る人もいる。しかし、そうした人達が集まっての鎌ヶ谷だ。ファームは勝敗ばかりじゃない。探せば見どころはいくらでもある。
ただ、だからといって、球団は73,625人という数字に甘えないで欲しい。球団には球団の事情はあろう。目の前の一勝より、選手の将来を優先するとか、球団の中の人にしかわからない台所事情もあろう。でも、今年の惨憺たる成績に反比例するかのようなこの観客動員数は、これまで面々と築かれていった球団とファンの信頼関係の上に成り立ったいわば“貯金”のようなものであり、決してファンは今年のチーム成績を容認している訳ではないだろう。厳しいファンの声を“聞くに堪えないヤジ”と一蹴するのは簡単だが、ファンは“見るに堪えない試合”を見せられることも多々あった一年だ。だから、「終わりよければすべて良し」なのではない。「終わりよければ少しは良し」なのだ。
勝敗、選手育成、ファンサービス。どれにおいても、今年「これで良し」と言うものはなかったと思うくらいで、来年、より良いファイターズを見せて欲しい。
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