ジャイアンツの辻内崇伸がついに戦力外通告を受ける。【再掲】辻内崇伸、七年前のデビュー戦観戦記。
今日1日、NPBでは第一次の戦力外通告が各球団から為された。ジャイアンツでは、拙blogでもしばし取り上げられた2006年入団の辻内崇伸が戦力外通告を受けた。前年の2005年の高校生ドラフトでジャイアンツに1位指名された辻内だったが、度重なる故障に悩まされ、大阪桐蔭高校時代に甲子園を沸かせた剛球をジャイアンツの一軍で披露することはついに出来なかった。
辻内がジャイアンツに入団した2006年は拙blogスタートの年。敗戦処理。は辻内が初めて教育リーグに登板した試合と公式戦初登板の試合を生観戦し、拙blogでエントリーを立てていた。ここにそのエントリーを再掲して、幻の逸材、辻内が未完の大器のままジャイアンツのユニフォームを脱ぐことを惜しむ次第である。
(写真:ルーキーイヤーの2006年、教育リーグのデビュー戦で投じたプロ第一球。この時は背番号が15だった…。 2006年3月撮影)
【再掲】2006年3月12日付辻内デビュー戦で致命的弱点露呈?
今日はジャイアンツ期待の高校卒ルーキー、辻内崇伸が教育リーグで先発するというので辻内の登板中限定でジャイアンツ球場で生観戦してきました。
マリーンズ相手に先発した辻内は立ち上がりからストレートはほとんど高めに行き、カーブは曲がりが大きいのですがワンバウンドになるのが多いなど制球難。大物ルーキーとはいえ、初めての他チームとの対戦で緊張していたのか、はっきりいって乱調でした。
一回表、先頭の細谷に対してプロ第一球を投じる辻内
辻内は最初から3イニングを予定していたようで、一回表と二回表はそれでも力に任せてマリーンズ打線を封じ込めていた感じでした。マリーンズ打線は芯で捕らえることが出来ず、打球は外野まで飛びません。
しかしジャイアンツが2対0とリードして迎えた三回表、ついにマリーンズ打線につかまります。というか、乱調で抑えが利かなくなりました。
九番代田から始まるこの回、いきなり四球。回の先頭で俊足の選手に四球を与えるという、決してやってはならないことをいきなりやってしまいました。
しかも次打者細谷の時に代田が盗塁、しかもまだ辻内が球を持っているうちにスタートを切りました。左投手でセットポジションの時は一塁走者と正対している辻内ですが、走者を気にする余裕がなかったのか、代田が走ってから慌てて一塁に送球し、一塁から二塁に転送しましたが代田の方が早く二塁盗塁という形になってしまいました。
実はこれと同じような場面は二回表にもあり、一塁走者田中雅が辻内がセットポジションで球を持っている間にスタートを切り、この時も辻内は一塁に投げたのですが一塁の大須賀は二塁に送球すら出来ませんでした。よほど緊張していたのか、それともフォームに致命的な欠陥があるのか?
この後、内野安打と四球で無死満塁となり、マリーンズのクリーンアップを迎えます。この試合のマリーンズのクリーンアップは三番・青野毅、四番・林孝哉、五番大松尚逸です。
辻内はここで開き直ったのか、ストレートをぐいぐい投げ込み、まず青野を捕邪飛に打ち取り、ついで林も一邪飛に打ち取り二死までこぎつけます。ここまで打球を外野まで飛ばせていません。観た感じは球質が重い感じですね。
大松との対決は見ものでした。大松は入団二年目とはいえ、昨年は日本シリーズ後のアジアシリーズ対中国選抜戦ではスタメンに起用されたバレンタイン監督期待の選手です。同期の竹原直隆とともにやがて一軍でクリーンアップを打つであろう大松を辻内が抑えられるのか、注目しました。
結果は11球粘られた末、押し出しの四球となってしまいました。大松のファウルの打球はほとんどが球に押されており、辻内の球質の重さを感じさせましたが最後はコントロールが乱れました。
それでもフルカウントからストライクが続いたので、この後を抑えてくれるかと期待しましたが続く田中雅にはストレートの四球でした。どうやら大松との対決で 斬れて しまったようです。普通なら遅くてもここで交代ですが、首脳陣は3イニングを投げきらせる予定を変えず続投させます。しかし今度はストライクを取りに行く初球を狙われ、平下、青松に連打されてこの回6失点の憂き目にあいました。
辻内の対戦結果
イニング、打者、結果
(○は左打者)
一回表
細谷 二飛
○根元 三振
青野 四球
林 孝 二ゴロ
二回表
○大松 三振
田中雅 四球
○平下 遊飛
(田中雅二盗)
青松 三振
三回表
代田 四球
(代田二盗)
細谷 遊内安
○根元 四球
青野 捕邪飛
林 孝 一邪飛
○大松 四球(1点)
田中雅 四球(1点)
○平下 中前安(2点)
青松 左越二塁打(2点)
代田 投ゴロ
投球回 3 打者 19 投球数 79 被安打 3
奪三振 3 与四球6 自責点 6
初の実戦での緊張、マリンスタジアムも真っ青の強風(なにしろよみうりランド入口行きのゴンドラが運転を中止していたくらい!)という要素はあったにしても、辻内には惨々なデビュー登板になりました。
敗戦処理。的には押し出しの四球で 斬れて その後ボロボロになったのもいただけませんが、セットポジションの間に二度も盗塁されたことの方がショックです。本当に極度の緊張で、正対している一塁走者の動きすら視野に入らなかったというのであればまだ救いはありますが、フォームに欠陥があってマリーンズの走者にそこを突かれたというのであれば、これを矯正するまでは実戦登板は控えた方が良いくらいでしょう。
辻内にかかる球団、首脳陣、ファンの期待は並々ならぬものがあります。特にジャイアンツでは甲子園の人気スター選手としての入団という意味では松井秀喜以来かもしれません。四年前に高校卒でドラフト1位入団した真田裕貴が一年目から6勝を挙げましたし、昨年はファイターズのダルビッシュ有が高校卒一年目で5勝を挙げましたので辻内にも即戦力の期待が高まってしまうのでしょう。特にオフにいろいろな補強をしたとはいえ、投手陣に不安を抱えるチームです。そういう意味では今のうちに欠点が露呈し、一軍で活躍するための課題がはっきりした方が本人にもチームにとってもプラスかもしれません。
ちなみに今日はその真田が辻内の後に二番手として四回表からマウンドに上がりました。何か皮肉な感じですね<苦笑>。
くれぐれも先発投手が足りないからとか、中継の視聴率を上げたいとかの理由で早い時期での辻内昇格ということだけは勘弁して欲しいですね。
四年前に真田を一軍に引き上げてローテーションに入れた原辰徳監督が二匹目のドジョウを狙っても吉村禎章二軍監督、小谷正勝、香田勲男コーチらの目に時期尚早と映るようであればNo!といえるくらいであってほしいものです。
なお、敗戦処理。は都合により辻内降板を見届けてジャイアンツ球場を後にしましたので四回表以降の結果を確認していません。
【再掲】2006年4月9日付岡島、實松、古城が揃い踏み【4/8イースタン、ジャイアンツ対ファイターズ戦観戦記】
ジャイアンツとファイターズを応援している敗戦処理。にとって、今日のイースタン・リーグ公式戦、ジャイアンツ対ファイターズ戦観戦は特別な意味を持ちます。もちろんジャイアンツ期待の大物ルーキー、辻内崇伸のデビュー戦ということもありますが、それはたまたま今週の水曜日、5日の登板予定試合が雨で流れてこの日に回ったというだけのこと。パ・リーグ公式戦開幕の前日に発表された電撃トレードの三人、岡島秀樹、實松一成、古城茂幸が勢揃いする試合ということで敗戦処理。にとっては特別な試合なのです。
敗戦処理。がジャイアンツの辻内を生で観るのは二度目。本ブログでも触れた3月12日の教育リーグでのプロデビューの時以来です。
( http://mop-upguy.cocolog-nifty.com/baseball/2006/03/post_b8e6.html )
その時も制球が定まらず、まだまだ荒削りな印象でしたが今日はその印象を強めてしまいました<苦笑>。
一回表と二回表。ファイターズ打線との対決はすべて三振か四球。敗戦処理。は辻内登板中はネット裏のど真ん中、前から四列目で観戦していたのですがボールが手から放たれた瞬間にボール球とわかるものが何球もありました。
三回表に入ってもその傾向は続き、一番川島慶三、二番工藤隆人が連続三振。ここまで打者11人、8人が三振、3人が四球と見事に両極端な結果です。しかしファイターズもここからはクリーンアップが二巡目、辻内を捕らえます。
三番・陽仲壽がレフト線に二塁打。四番・鵜久森淳志はセンターオーバーの三塁打。そして五番・森章剛が左中間に本塁打とあれよあれよという間に辻内は3点を失います。
教育リーグ登板の際にはマリーンズにセットポジションのクセを見破られていたようですが、この日はそれ以前にストライクとボールがはっきりし過ぎ。なまじ球を揃えようとすると相手のクリーンアップには集中打を浴びるということで辻内にはまたまた勉強になったことでしょう。
それでも辻内はこの後、四回表、五回表と四球の走者を許しながらも追加点を与えません。このあたりはさすが大物ルーキーですな。
敗戦処理。的メインディッシュはむしろこの大物ルーキー降板後でした。
先発して5回2失点(自責点は1)のファイターズ橋本義隆に代わり、ファイターズは六回裏から二番手に岡島をマウンドに送りました。この日最大の拍手と歓声が両軍のファンから岡島に贈られます。ジャイアンツとファイターズ双方を応援している敗戦処理。にとってこのトレードは贔屓チームから贔屓チームへの移籍という形ではありますが、胸にNIPPONHAMと書かれたファイターズのビジユニを着た岡島の姿を初めて実際に生で観ると複雑な気持ちですね。 岡島が対戦する最初の打者は「五番・ショート」でスタメン出場している古城。ジャイアンツ時代と変わらぬ、打者から目をそらすフォームで古城から見逃しの三振を奪った岡島はたんたんとジャイアンツ打線を打ち取ります。そして七回表、今度はジャイアンツベンチから實松の姿が。スタメンマスクの加藤に代わり、この回からマスクを被ります。これで三人が勢揃いしました。
辻内と同じ高校卒ルーキーの加登脇卓真を無難にリードしてファイターズ打線を三者凡退に抑えると、その裏實松は二人目の打者として岡島と対戦。トレード対決第二幕は岡島が實松をショートフライに仕留め、これまた岡島の勝ちです。
結局岡島は3イニングを投げて打者9人相手にパーフェクトの投球。お決まりの四球がありませんでした。
敗戦処理。はジャイアンツ時代の岡島の調子のバロメーターとしてカーブでストライクが取れるかどうかを意識してみていましたが、今日はストレートもカーブも効果的でした。
【8日・ジャイアンツ球場】
F 003 000 000 =3
G 010 100 000 =2
F)○橋本、岡島、S伊藤-小山
G)●辻内、三木、加登脇、東野-加藤、實松
本塁打)森1号2ラン(辻内・3回)
明日のスポーツ新聞などではおそらく辻内のデビュー戦という扱い方をされることでしょう。個人的には鵜久森と辻内の甲子園スター対決も見どころと思いましたが、マスコミは移り気なので鵜久森には触れず、辻内が11個も三振を奪ったことをクローズアップすることでしょう。
しかし、敗戦処理。的には岡島、實松、古城が揃い踏み-これがこの日のハイライトです。今日はジャイアンツ球場に鎌ヶ谷の常連さんの姿を何人も見かけました。彼らは鎌ヶ谷の時と同じように實松に「サネ~」とヤジや声援を送ります。大型捕手と期待され、一度は一軍で正捕手の座を射止めながらその後何度も何度も鎌ヶ谷に帰ってきてしまうサネ。敗戦処理。も秘かにファンでした<笑>。
ジャイアンツのユニフォーム姿が初々しい古城<写真左>と 實松<同右>。練習中のジャイアンツナインのキャッチボールではこの二人がコンビを組んでいた。まだジャイアンツナインとはなじんでいないのか<苦笑>?
敗戦処理。は月曜から金曜まではマジメなサラリーマンをしているのでイースタン観戦は土日限定。次にこのカードの観戦を見込めるのは6月17、18日の鎌ヶ谷。その時、この三選手の内、何人が再会することになるのだろうか。
~再掲はここまで~
焦って一軍に上げるべきではない等と書いていたが、ついに一軍入りは昨年の一度だけ。それも、登板機会を得られずに二軍落ち。あの時点ではまさかこんな事態になるとは…。ダルビッシュとも比較していたくらいだから…。
辻内は今年はイースタン・リーグ公式戦に登板しなかった。
敗戦処理。が最後に辻内の登板を生で観たのは昨年9月17日の鎌ヶ谷でのファイターズ戦。一死満塁の場面で東野峻をリリーフした辻内は浅沼寿紀の代打の尾崎匡哉にストレートの四球で押し出しの1点を献上すると、続く谷口雄也にも1球ストライクを入れただけの四球で連続押し出し。一死も奪えず、わずか9球で降板の憂き目にあった。
時期が時期だけにネット裏から物騒な野次が飛んだ。
「辻内、次お前を見るのはTBSの『バースデー』か?」
敗戦処理。は9月28日のジャイアンツ球場の試合後のイベントでグラウンドで辻内とハイタッチできたので良かったが、それがなければ今年、本当に年末の「バースデー」まで辻内の姿を見ることが出来なかったかもしれない。
もちろん現時点で今年もTBSテレビが「バースデー」でプロ野球戦力外通告を受けた男達を企画するかどうか定かではないが…。
もしも企画すれば、甲子園で大活躍したジャイアンツのドラフト1位は格好の材料であろう。辻内が取り上げられることになると、近年の同番組には欠かせなかった古木克明がこの番組から戦力外通告を受けるなんて事になりかねない<苦笑>。
閑話休題。
辻内以降、ジャイアンツはドラフト会議が高校生、大学生、社会人一括となった事もあって、特に投手に関しては完成された即戦力狙いに走る傾向が強くなった気がする。澤村拓一しかり菅野智之しかり。これは辻内を育てきれないトラウマがなせる行為なのか…。
今年は高校卒ルーキーの藤浪晋太郎や大谷翔平が一年目から一軍のマウンドで投げて結果を起こしている。その年に辻内が“苦節八年…”的にデビューすればジャイアンツらしからぬ雑草的なデビューでジャイアンツベンチに異彩を放つことが出来たのだが…。
◆巨人・辻内 今後は「家族と話し合って決めます」
(サンケイスポーツ 10月1日(火)19時49分配信)
巨人・辻内が1日、戦力外通告が受けた。大阪桐蔭高から2006年に高校生ドラフト1巡目で入団。将来を期待されたが、左肘や左肩の度重なるけがに泣かされ、8年間で1軍登板はなかった。トライアウトも含め現役続行については「今後のことは、家族と話し合って決めます」と話した。
残念ではありますが、ひとまずお疲れ様でした。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
シュボ様、コメントをありがとうございます。
> 昨日の段階ではわからなかったですが、今日引退の記事が出てましたね。怪我が多かったですが、復帰は厳しい状況だったようですね。
今朝の報知が1面で“辻内引退”でしたからね。
ドラフトの抽選で、外れたのに当たったと勘違いするバファローズの中村勝広GM、大学・社会人ドラフト(希望枠)入団の福田と共に中心にいた入団会見(一番はしっこに山口…)。なかなか感慨深い写真が並んでいました。
> ちょっと話題がそれますが今年もバースデー特番があるとしたら、榊原が目玉でしょうかね。トライアウト受けるのであればですが。後は、同じくファイターズの糸数、巨人の岸敬祐あたりでしょうか。
> 辻内は任意引退であれば、トライアウトも受けませんし、バースデーのカメラがなかったのも納得です。
野球ファンだけでなく、一般の視聴者を引きつけるとなると、インパクトが…
辻内、何年か分の密着取材のテープが既にあるんじゃないですか<笑>。
> 敗戦処理さんが数日前に見られた松富倫も戦力外との事でこの世界、やはり一寸先はわからないですね。
松冨に関しては「支配下目指して頑張って下さい」と言って激励して三日後にクビですからね。支配下どころかイースタンの公式戦にも一度も出場できず。
本人の努力の問題なのだとしても、獲得する方も問題だと思います。
> そして、古城も引退となりましたね。
自分で引退表明できる選手になったんだなと…。トレードの時には、まさかバットでジャイアンツに貢献する選手になるとは思いませんでした。
奇しくも辻内と同じ2006年ジャイアンツ入団でしたね。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年10月 2日 (水) 23時05分
こんばんわ
昨日の段階ではわからなかったですが、今日引退の記事が出てましたね。怪我が多かったですが、復帰は厳しい状況だったようですね。
ちょっと話題がそれますが今年もバースデー特番があるとしたら、榊原が目玉でしょうかね。トライアウト受けるのであればですが。後は、同じくファイターズの糸数、巨人の岸敬祐あたりでしょうか。
辻内は任意引退であれば、トライアウトも受けませんし、バースデーのカメラがなかったのも納得です。
敗戦処理さんが数日前に見られた松富倫も戦力外との事でこの世界、やはり一寸先はわからないですね。辻内は自分自身の中で引退は思っていたのでしょうが。
>>しかし、敗戦処理。的には岡島、實松、古城が揃い踏み-これがこの日のハイライトです。
そして、古城も引退となりましたね。
投稿: シュボ | 2013年10月 2日 (水) 20時13分