ジャイアンツには田中将大を攻略しての日本一を目指して欲しい!
今年の日本シリーズ第1戦はゴールデンイーグルスがレギュラーシーズン24勝0敗の絶対的エース田中将大を温存して、パ・リーグの新人王当確と思える則本昂大を先発に立てて臨んだが、ジャイアンツが内海哲也からスコット・マシソン、山口鉄也、西村健太朗のリレーで2対0で逃げ切った。
クライマックスシリーズのファイナルステージのカープ戦に続き、ジャイアンツファン以外のすべての野球ファンが敵に回る戦いが、敵地からスタートするのは非情に不安だったが「逆転の楽天」を鉄板の“スコット鉄太朗”が凌駕した形になった。
第2戦にはいよいよ田中将大が先発する。ジャイアンツは菅野智之で対抗する。マー君をKOしろとは言わない。第1戦のように小さな穴をこじ開けて何とか得点し、その少ない得点を守りきろう。ジャイアンツファンの中には“マー君に負けても他の試合で四勝すればいい”と考える人が多いと思うが、田中を乗り越えて、出来れば四連勝で日本一を獲得して欲しい!
(写真:第1戦先発と思いきや、第2戦の先発に回ったゴールデンイーグルスの田中将大。今季3登板で23イニング無失点と好相性の東京ドームでの登板は見られない!? 2013年4月撮影。※以下、本エントリー掲載の写真はすべて過去に撮影したものです。)
敗戦処理。のジャイアンツ四連勝構想は第1戦で則本昂大から勝った様に田中将大から奪った最少得点を内海哲也以下、“スコット鉄太朗”で守りきり、勢いをかって第2戦も飾り、東京ドームに帰って地の利で一気に決めるというものだった。田中に登板機会を与えれば与えるほどジャイアンツが不利になると考え、原辰徳監督が初めて監督として日本シリーズに臨んだ2002年のライオンズ相手の日本シリーズで、第1戦で松坂大輔攻略に成功したのをきっかけに怒濤の四連勝を実現した再現を期待しているのだ。
ファンの中には、田中は第1戦と第5戦に先発してジャイアンツ打線を封じ、第6戦はリリーフ待機。第7戦までもつれたら三度目の先発でマー君と心中などと考えている人や、田中が第1戦、第4戦、第7戦と中三日サイクルで三度先発すると考えている人もいるようだ。確かに星野仙一監督はそういった“昭和の日本シリーズ野球”をやりそうな雰囲気だ。
だがドラゴンズ監督時代に二度、タイガースの監督として一度、日本シリーズで涙を飲み、やはり短期決戦である北京五輪でもメダル獲得を逃した経験則で、いかに田中と言えども特定の選手に過度に期待するのは得策でないと悟ったのか(他の理由かもしれないが)、田中を第1戦に先発させず、第2戦に温存した。
確かに最も勝てる確率の高い田中を第2戦に残すことで、ゴールデンイーグルスナインのほとんどが初の大舞台となる日本シリーズ第1戦に本来の力を発揮できずに敗れたとしても、第2戦で勝てれば本拠地で2連敗するという最悪のシナリオを回避することが出来る。パ・リーグのクライマックスシリーズのファイナルステージで、翌日の先発ローテーションより、この試合で何が何でも日本シリーズ進出を決めるとばかりに則本、田中をリリーフにつぎ込んだ超ポジティブ采配をした監督が短期間に方針転回をするとは予想出来なかった。
逆にジャイアンツはこの第1戦を落とせないプレッシャーがかかるかと案じたが、何とか2対0で逃げ切れた。
スコット鉄太朗は三人とも走者を得点圏に背負う綱渡りの投球だったが、これは三人の調子が今一つだったと言うよりゴールデンイーグルス打線の反撃力であろう。この三人が投げたところで、1イニングを三人で片付けられるなんて楽観しない方が良いということだ。むしろ早い時点で接戦でマウンドに上がる機会を得られてよかったと思う。
“昭和の日本シリーズ野球”と書いたが、短期決戦ならではの、総動員野球はこれまで日本シリーズでは頻繁に行われてきた。稲尾和久さんや杉浦忠さんの時代にさかのぼらずとも、近代野球の範疇に入るであろう森祇晶監督率いる黄金時代のライオンズでもここぞと思えば森監督は工藤公康や渡辺久信をリリーフにつぎ込んでいた。平成の世になっても長嶋茂雄監督は桑田真澄をリリーフにつぎ込んでいた。それが近年では投手の分業化がより進み、“勝利の方程式”を確立するチームこそが頂点に立つようになり、日本シリーズでも先発にリリーフにフル回転等という投手は見られなくなった。
それどころか、敗戦処理。が日本シリーズを見始めた頃には先発投手三本柱を中三日ずつで回せば第7戦まで戦えるという発想だったのが、四本柱を中四日で回すようになり、中には第1戦で投げたエースを中六日で第6戦に回すチームまで現れた。
田中を第2戦に回す決断をした星野監督は、先発投手を四人で回すローテーションだと、第2戦に先発した投手は唯一、中五日で次の登板を迎えることになる。過去の日本シリーズを見ても、四人で先発を回すチームは四人の中で比較的安定感に欠ける投手は一度しか投げさせない第4戦にし、登板間隔を要する投手を第2戦と第6戦に投げさせるという傾向が見られた。第1戦に先発した投手は中四日で第5戦に、第3戦の先発が中四日で第7戦に先発する。則本、田中の順で先発させるとなると、この二人よりは安定感に欠けると思われる第3戦の先発投手に第7戦の先発も託さなければならなくなる。ゴールデンイーグルスとしては三勝二敗で第6戦を迎えたいところだろう。そのためには第2戦以降、四勝一敗でいかなければならない。あと一つ負けられるとしても、第2戦の田中での勝利は必須なのだ。
だからこそ、ジャイアンツには1対0でも2対1でも何とか田中相手の第2戦を制して欲しいのである。クライマックスシリーズで前田健太相手に投げ勝った菅野智之にその再現を期待したい。
以前にも書いたが、日本シリーズ出場はいわば“ご褒美”。仮にジャイアンツがゴールデンイーグルスに敗れても批難するつもりはない。その時には素直にゴールデンイーグルスを誉めるだけだ。ただ、この考えは負けてもいいと言っているのではない。やる以上は勝って欲しい。ジャイアンツにはV9時代以来の、四十年ぶりとなる二年連続日本一を達成して欲しいし、それには2013年のプロ野球を象徴する存在である田中将大に土を付けて日本一になって欲しいのだ。
統一球問題に揺さぶられた2013年だったが、ウラディミール・バレンティンの年間最多本塁打と田中将大の無敗シーズンと言うことで間違いなく、2013年という年は後世に刻まれる一年になる。その年の最後に笑うのが、日本シリーズで四連勝するジャイアンツであったら、ジャイアンツファンとして痛快ではないか。そしてそれに箔を付けるのが田中に唯一の土を付けることだ。一回表の長野久義のバットがその鍵を握ると見ているが…。
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コメント
チェンジアップ様、コメントをありがとうございます。
> こんにちは。私はシリーズ前に「自分が星野だったら、田中は2,6戦目の先発」とブログとかに書いたりしましたし、まさか星野が本当にそうするとは思わなかったんですけどね。
彼の性格だと初戦にエースで、勝ってその勢いで~というやり方ですが。
私もその星野監督の性格から、第1戦の田中先発は動かさないかと思ってました。
> 分業制が確立されてるのだから、先発をスクランブルで、リリーフ起用するのは、あまり感心しないなあと私は思ってます。
胴上げ試合にしても、最後、田中投入の楽天よりは、西村、マシソンなどのリレーで締めた原采配に好感がもてたりしましたね。
そういうことを平気でやる最後の監督が星野監督なのではないかと思いました。
> 田中が二勝して初めて五分という印象ですけどね。
実際にはCSにしても田中と則本以外で二勝を挙げている訳で、ジャイアンツも楽観は出来ませんが、そのためにも今日は田中から勝って、連勝で東京ドームに戻って欲しいです。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年10月27日 (日) 16時45分
野田一丁目様、コメントをありがとうございます。
> そういう呼称があるのですね。全然、知りませんでした。この三人なら組み易しと楽天サイドは思ったのでは?終盤もつれる試合が多くなりそうですね。
日刊スポーツの記者が名付けて、私を含む一部のファンが喜んで使い回ししていますが、全国的な知名度は今一のようです。
まあしかし、三人が三人、いい味を出して防御率も良いですから、ゴールデンイーグルス側もマークはしていると思います。
> 全然、話題にならなかったけど岩瀬の日本人最多セーブ記録と言うのもありましたよ。(笑)来季は400セーブに達成するでしょうし、谷繁兼任監督の3017試合越えもあるし、山本昌の最年長記録(勝利、セーブ、打点、安打、得点、盗塁、本塁打などなど)と楽しみがいっぱいです。
岩瀬は誰もが一目置く存在ですよ。
ごく一部、何でもネタにしないと気が済まない連中がとやかく言いますけどね。
でも正直、今年はもっと明らかに下り坂になるのではと危惧しましたが、あまり大きな声では言えませんが、チーム成績が悪くなって岩瀬の出る幕が減ったことで、オーバーワークにならなかったのが幸いした面もあるのではないかと。
まあこれは武田久にも当てはまる話ですが…。
谷繁にはノムさんの記録を超えて欲しいですが、あの人のことだから「私は兼任監督だけでなく、四番も務めていましたから」とか負け惜しみ言いそうですね<笑>。
まあでも谷繁の出番が減った時に新しいドラゴンズの黄金時代が来るのかもしれませんが…。
> さて、今日は田中将大くんの登板が楽しみです。地上波で野球が観られる機会も少なくなりましたからね。個人的には地元なので嶋捕手を応援してます。なんで中日獲らなかったのかなあ?谷繁の後継者に最適だったのに。
嶋がドラフトにかかった時、当時のゴールデンイーグルスは大学生・社会人ドラフトの3巡目で指名していますが、ドラゴンズはウエーバーではそれより後だったので先に嶋を指名するチャンスは希望枠で獲得するしかなかったようですね。
この時に希望枠で獲得したのが東洋大の田中大輔捕手でしたから、捕手がほしいと言うニーズは感じていたのでしょうが…。
ちなみにドラゴンズはゴールデンイーグルスより後の同じ3巡目で浅尾を指名しています。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年10月27日 (日) 16時38分
こんにちは。私はシリーズ前に「自分が星野だったら、田中は2,6戦目の先発」とブログとかに書いたりしましたし、まさか星野が本当にそうするとは思わなかったんですけどね。
彼の性格だと初戦にエースで、勝ってその勢いで~というやり方ですが。
分業制が確立されてるのだから、先発をスクランブルで、リリーフ起用するのは、あまり感心しないなあと私は思ってます。
胴上げ試合にしても、最後、田中投入の楽天よりは、西村、マシソンなどのリレーで締めた原采配に好感がもてたりしましたね。
田中が二勝して初めて五分という印象ですけどね。
その田中ですが、最優秀防御率ですが、大抵、登板毎に点を獲られてますから、菅野次第でしょうね、今日は。
投稿: チェンジアップ | 2013年10月27日 (日) 12時17分
敗戦処理さん、おはようございます。
いい試合でしたね。楽天ナインは日本シリーズでガチガチに緊張しているのかな?と思ったら全然、普段通りの野球でした。
〉スコット鉄太朗
そういう呼称があるのですね。全然、知りませんでした。この三人なら組み易しと楽天サイドは思ったのでは?終盤もつれる試合が多くなりそうですね。
〉統一球問題に揺さぶられた2013年
しっくりしない一年でしたね。加藤コミッショナーの対応が残念でした。
〉ウラディミール・バレンティンの年間最多本塁打と田中将大の無敗シーズン
全然、話題にならなかったけど岩瀬の日本人最多セーブ記録と言うのもありましたよ。(笑)来季は400セーブに達成するでしょうし、谷繁兼任監督の3017試合越えもあるし、山本昌の最年長記録(勝利、セーブ、打点、安打、得点、盗塁、本塁打などなど)と楽しみがいっぱいです。
さて、今日は田中将大くんの登板が楽しみです。地上波で野球が観られる機会も少なくなりましたからね。個人的には地元なので嶋捕手を応援してます。なんで中日獲らなかったのかなあ?谷繁の後継者に最適だったのに。
では。
投稿: 野田一丁目。 | 2013年10月27日 (日) 06時29分