パ・リーグのクライマックスシリーズの日程はこれでいいのか!?
セ・リーグのクライマックスシリーズ、ファイナルステージはジャイアンツが三連勝と、最短で日本シリーズ進出を決めた。一方のパ・リーグはファーストステージとファイナルステージの間隔がセ・リーグより一日長いこともあって、まだ今日(19日)の第三戦を終えたところだがこちらもレギュラーシーズンで優勝したゴールデンイーグルスが日本シリーズ進出に王手をかけた。
明日は日曜日。一般論として最も多くのファンがリアルタイムで試合に注目できる曜日であろう。ゴールデンイーグルスがそのファンの前で日本シリーズ進出を決めれば、ファンにとってはこの上ない至福の瞬間となる。
昨年のパ・リーグのファイナルステージが今年のセ・リーグのようにアドバンテージを持つファイターズの三連勝で金曜日に終了し、試合が行われていれば大入りが期待できた土日に試合が行われなかったからなのか、今年は少なくとも土曜日には試合が行われる日程を組んだ。
でも、パ・リーグのクライマックスシリーズの日程はこれでいいのか!?
(写真:早々と日本シリーズ進出を決めたジャイアンツの本拠地、東京ドーム。興行収入は見込みが狂ったかもしれないが、「めざせ日本一」の幟がひしめき、日本シリーズへの準備は万端!?)
個人的にクライマックスシリーズはかつてのパ・リーグの前後期制のプレーオフとは異なり、“大がかりな敗者復活戦”だと思っているので、基本的には長丁場の公式戦で頂点を極めたチームに配慮しつつ、一攫千金的に逆転の可能性もあるのが良いと思う。
本音を言えば、1位と2位のチームだけ、簡単に言えばファイナルステージだけでも良いと思っている。そうすれば今年のカープや過去にも何例かあった勝率五割未満のチームに日本一の可能性が出るという後ろめたさがほぼなくなると思うからだ。だが、ファーストステージの存在そのものが、レギュラーシーズン優勝チームにとってのアドバンテージになっている側面もあるから難しい。
ファイナルステージのみ出場するレギュラーシーズン優勝チームは、基本的に自由に先発ローテーションを組める。だがファーストステージから出場するチームはファーストステージ終了後にすぐ行われるファイナルステージであらためてローテーションを組み直す事が出来ず、ファーストステージの続きでファイナルステージのローテーションを組まなければならない。
はずだった…。
今年もセ・リーグのクライマックスシリーズはそうした日程を組んでいる。
ファーストステージから出場したカープは絶対的エースの前田健太をファーストステージの第1戦に立てて勝利をもぎ取ったが、次なる登板は中四日と間隔を詰めてもファイナルステージの第2戦。そしてこの試合を落としてジャイアンツに日本シリーズ進出への王手をかけられたカープは、日本シリーズに進出するためには残り四試合を四連勝しなければならないが、前田健をもう一回先発させるとして、最も間隔を空けても中三日で最終戦である。
あるいはファイナルステージの六連戦の第1戦と第6戦に先発させようとしたら、ファーストステージの第1戦とファイナルステージの第1戦に中三日で先発しなければならない。昨年のセ・リーグのファイナルステージではジャイアンツが第1戦から三連敗して後がなくなったために、第1戦の先発の内海哲也と第2戦先発のデニス・ホールトンがそれぞれ中三日で第5戦、第6戦に先発せざるを得なくなったが、中四日ですら公式戦ではほとんど無いことを考えると、基本的には極力避けたい。
これがレギュラーシーズン優勝チームへのアドバンテージなのだ。ところが今年のパ・リーグのクライマックスシリーズの日程はファーストステージとファイナルステージの間隔がセ・リーグより一日長い。
もしもカープがパ・リーグの日程でジャイアンツに挑んでいたら、前田健を同じ中四日でファイナルステージの第1戦に先発させることが出来るそして再び中四日で最終戦=第6戦に先発刺せることが出来てしまうのだ。
ではここで、クライマックスシリーズが現在の方式になった2008年からの、両リーグのクライマックスシリーズの日程を見てみよう。
2008年
パ(1st)土日月 (2nd)金土日 火水木
セ (1st)土日月(2nd)水木金土日月
2009年
パ(1st)金土日 (2nd)水木金土日月
セ (1st)土日月(2nd)水木金土日月
2010年
パ(1st)土日月 (Fin)木金土日月火
セ (1st)土日月(Fin)水木金土日月
2011年
パ(1st)土日月 (Fin)木金土日月火
セ(1st)土日月(Fin)水木金土日月
2012年
パ(1st)土日月(Fin)水木金土日月
セ(1st)土日月(Fin)水木金土日月
2013年
パ(1st)土日月 (Fin)木金土日月火
セ(1st)土日月(Fin)水木金土日月
※ 実際に試合が行われたかではなく、発表された日程である。
そもそも両リーグの公式戦の開幕がずれていた時期もあったが、パ・リーグの日程に一貫性がないのが明らかだ。両リーグの日程がぴたりと一致したのは2012年だけである。
その2012年、つまり昨年、ファイターズとホークスが対戦したファイナルステージはファイターズの三連勝で金曜日に終わってしまった。水木金の三日間での三試合の合計入場者数は91,798人。一試合平均で30,599人。土日に開催されていたらさらなる入場者数が見込まれたろう。同じ三試合で終わってしまっても、木曜日からのスタートなら木金土となり、より多くの集客が見込める。ちなみに第6戦までもつれたセ・リーグは6試合で260,324人。金曜日までの三試合の合計だと123,918人で一試合平均41,306人だったが、土日に行われた第4戦と第5戦の一試合平均は46,028人と平日三日間の平均に比べて11.4%もアップしている。このデータを見ればパ・リーグが木曜日からの六連戦に変えたがるのもむべなるかなと思える。
だがファーストステージを土曜日から初めてファイナルステージを木曜日からの六連戦にすると、上述したようにレギュラーシーズン優勝チームへのアドバンテージが薄くなってしまうデメリットがある。百歩譲って、その方がファイナルステージが盛り上がるという見方があるが、ファイナルシリーズの第6戦に先発した投手が日本シリーズの第1戦に先発しようとすると中三日になってしまうのだ。セ・リーグ式の日程だと第6戦は月曜日で、日本シリーズ第1戦との間隔は中四日。無理をすれば投げられないこともない。クライマックスシリーズで雨天中止があれば日本シリーズとの間隔は詰まってしまうが、日本シリーズとの間隔がセより狭い時点でパは日本シリーズにハンディキャップを負う、逆に言えばセ・リーグにアドバンテージが生じると言っても過言でない。
セ・リーグで初めてファイナルステージが第6戦までもつれた昨年、ジャイアンツの内海哲也はファイナルステージの第1戦から中三日で第5戦に先発し、中五日で日本シリーズ第1戦に先発して、さらに中四日で日本シリーズ第5戦に先発した。
今年のパ・リーグのファイナルステージは第3戦を終えてゴールデンイーグルスが日本シリーズ進出に王手をかけているが、もしも第6戦までもつれたら田中将大が第1戦から中四日で先発ということも考えられる。
公式戦と合わせ、25勝0敗の田中の力で日本シリーズ進出を果たしたとしても、そこから中三日で日本シリーズ第1戦に先発させるのは難しいだろう。ゴールデンイーグルスのファンの中にはもうクライマックスシリーズはもらった!と思っているファンもいるかもしれないが、マリーンズは2010年に第3戦で王手をかけられながらそこから怒濤の三連勝で日本シリーズ進出を果たした、こと短期決戦に関しては何が起きるかわからないチームである。ゴールデンイーグルスとしては遅くとも第5戦まででクライマックスシリーズを終わらせたいところだろう。
クライマックスシリーズそのものの是非という問題もあるが、実施するという前提でもパ・リーグのような日程に一貫性がないのは如何なものかと思える。そして日本シリーズに支障があっては本末転倒だ。やるなら2012年のように両リーグ同条件で行うのがベストだと思うが…。もっとも昨年はすんなり日本シリーズ進出を決めたファイターズが日本シリーズではジャイアンツの軍門に下ったが…。
田中将大が次に先発マウンドに上がる時の相手はマリーンズか、それともジャイアンツか…。
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