大田泰示、ついに「背番号55」を剥奪される!
今朝(25日)のスポーツ報知と日刊スポーツの1面によると、ジャイアンツの大田泰示が入団以来背負っていた「背番号55」を剥奪されることになったようだ。来季は「背番号44」となる模様。
言わずもがな、松井秀喜の退団以来空き番になっていた「背番号55」を2009年の入団から大田が付けており、松井のようなスケールの大きな長距離砲に育って欲しいという期待を受けたのだが、入団から五年間、いまだ一軍定着すらなしえていない。
日刊スポーツもスポーツ報知も“背番号を変えて心機一転”と前向きに書いてはいるが、新しい背番号が44と数字が小さくなるとはいえ実質的には降格なのは明らか。
重みのある背番号を背負っていたから打てなかったのか、単なる未熟さなのか…。
(写真:打席で観客から執拗に「背番号が泣いてるぞ!」とヤジられ、観客に逆ギレして「うるせぇ、オラァ!」と怒鳴り返した大田泰示。 2011年7月撮影)
個人的には「背番号55」で打てない男が背番号を変えたら打てるようになるとは思えない。逆にもう言い訳が利かなくなり、不退転で結果を出さなければならないことで来季の大田泰示は本当に正念場を迎えるとも言えよう。
大田は2008年に行われたドラフト1位でホークスとの競合の末、ジャイアンツが交渉権を獲得した。東海大相模時代に甲子園に出場していないので、高校野球のファン以外にはその凄さが伝わらなかったが、ドラフト候補として紹介される時に引用される横浜スタジアムの外野席の最上段に叩き込んだ一発のVTRにその片鱗がうかがえる他は、“松井退団以後は空き番になっていた「背番号55」を受け継いだ男”というフレーズで大方のファンは「そんなに凄いのか!」と期待したのではないか。
だが実態は二軍ではそれなりの数字を残して存在感を示すが、一軍では期待に応えられない。昨年はプロ入り初本塁打を含む2本の本塁打を一軍で放ったがクライマックスシリーズ、日本シリーズのメンバーには残れなかった。今季は開幕一軍入りを果たしたが思いのほか出場機会を得られず、5月3日に“右太股裏違和感”で登録抹消。
「背番号55」の先輩、松井秀喜の国民栄誉賞受賞セレモニーの試合を一軍メンバーとして迎えることが出来なかった。
今年は一軍に返り咲くことは出来ず、五年間で一軍公式戦成績は59試合127打数25安打、2本塁打12打点、打率.197。ちなみに、比較するのはナンセンスかもしれないが、今季“二刀流”で話題の大谷翔平は既に試合数、安打数、本塁打数、打点で大田を超えた。
ところで大田が今一つブレーク出来ないのは、「背番号55」の重圧のせいなのだろうか?
確かに一度だけ、ジャイアンツ球場でのイースタン・リーグの試合で打席に入っている時にスタンドのファンから執拗に「背番号が泣いているぞ」と何度もヤジられ、三振した後にとどめのヤジが飛んだら「うるせぇ、オラァ!」と言い返したのを見たことがある。一番触れて欲しくない部分なのかもしれない。
「背番号55」→松井秀喜の後継者→長距離砲…という側面ばかりが強調されて無理して一発を意識した打ち方をしているから伸び悩んでいるという指摘もある。実際は中距離打者で確実性を狙った方が良い結果が残るのではという見方をするファンもいる。実際に足が速く、イースタン・リーグの盗塁王を争った年もある。あるファンに言わせれば“大田は足の速さだけならパ・リーグの盗塁王片岡より早い。でもセンスが全然違う”だそうだ。片岡易之がFA移籍してきたらぜひ弟子入りして欲しいものだ<笑>。
一目見て惚れるいい身体つき。当たれば飛びそうな鋭いスイング。あれを見たら、松井並みかどうかはともかく、長距離砲の卵と多くの人は思うだろう。
イースタンでも原則三番か四番での出場が多い。中心打者としての帝王学を学ばせようとしているのだろう。そしてファームではそれなりの数字を残すが、一軍に上がると…。
確かに取りあえず「背番号55」から解放しようと首脳陣が考えるのも理解出来る。松井秀喜の国民栄誉賞受賞決定当時に取り沙汰された“永久欠番”の話はその後トーンダウンしたが、来春のキャンプで松井を臨時コーチに招くプランがあり、臨時コーチとはいえ「背番号55」のユニフォームを着てもらえばファンやマスコミが喜ぶというのもあろう。スポーツ報知に書いてあったように渡邉恒雄会長構想で松井に将来的にコーチ就任、監督就任という構想を練っているのであれば、再び「背番号55」を空き番にするというのも一つの誠意かもしれないが、おそらくは話の順序として大田から「背番号55」を剥奪するのが先なのだろう。そう考えると、セレモニー二日前の“右太股裏違和感”による登録抹消が本当に悔やまれる。当時は“仮病”、“強制送還”等の憶測まで飛んだ。大先輩に合わせる顔がないという意味で邪推されたのだろう。
守備も三塁守備、遊撃守備とも不安定だったが、本人が自信を喪失したこともあって外野に転向。ようやく様になってきたが、やはり打撃でアピールしたいところ。ジャイアンツとファイターズを応援している敗戦処理。としてはどうしても一年先に入団した中田翔と比較してしまうが、年々差が開く一方だ。
以前たまたま見かけたジャイアンツファンのブログで、“大田は中田と比較されるが、中田のように四番に固定して辛抱をするような野球は巨人では出来ない”と書いているのを見かけたが、現状の大田はとてもそんなレベルではない。どこのチームでもスタメンすら約束されないだろう。
ただ、早いもので今年はもう六年目である。松井や中田と比較はともかくとして、そろそろ結果を出して欲しいところだ。ジャイアンツでの一年先輩というと中井大介がいる。中井は今季、ようやくブレークしかけた。好事魔多しの典型で故障に泣かされたが、それまでは打線のキーマンとしてフィットした時期があった。
その中井が上述の5月5日のセレモニーのあった試合の守備練習でレフトの守備位置でノックを受けていたのを敗戦処理。は目撃した。正直ショックだった。
その少し前にジャイアンツ球場のイースタンの試合で中井が外野守備にチャレンジしたのを目撃したが、まだまだ打球の追い方が下手だった。中井は大田が登録を抹消されるより前に一軍入りをしていたが、まさかあのレベルの守備で一軍でも外野でシートノックを受けるとは思わなかったからだ。
大田は今季、イースタン公式戦に出場した67試合の内、60試合に四番打者としてスタメン出場していた。257打数70安打、打率.272は物足りなかったが、13本塁打はイ・リーグ3位で自慢の長打力は垣間見せた。だが、ジャイアンツのファームにおいてはルーキーの坂口真規にその座を脅かされつつある。
坂口は大田と学年が同じ1990年生まれ。智弁和歌山高校から東海大学を経たぶんジャイアンツでは四年後輩だが、大田を上回る93安打、打率.289、大田に遜色ない11本塁打、42打点(大田は43打点)を記録した。来季大田が奮起するとしたら、背番号の重圧云々ではなく、同じ年齢の後輩、坂口の存在で自分の尻に火が付いたと自覚することからではないか?
大田の同期、同学年の橋本到が日本シリーズでスタメン出場と大抜擢されたが橋本は打者としては大田とはタイプが異なる。ライバル視をしているかもしれないが、大きなショックにはならないのではないか。その点坂口は体格的にも大田に類する威圧感がある。
とりあえず谷佳知の退団が確定的で、右打ちの外野手枠は一つ空いた。矢野謙次の存在感には遠く及ばないが、大田にも打撃次第で来季、一軍でブレークするチャンスはあるはず。あとはフェニックスシリーズを棒に振った自転車事故を起こすような間の悪さの払拭も必要だろう。
とにかく来季こそ、来季こそ大田にはブレークして欲しい。
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コメント
チェンジアップ様、コメントをありがとうございます。
> しかし、背番号を変えたということは。片岡&大竹のソレではプロテクトするってことですよね?
必ずしもそうとは限らないと思いますよ。
逆に背番号を変更することとプロテクトの相関関係がわかりかねます。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年12月 1日 (日) 20時23分
こんばんは。しかし、背番号を変えたということは。片岡&大竹のソレではプロテクトするってことですよね?
かつて工藤をプロテクトしなかったという過去がありますし・・・。
投稿: チェンジアップ | 2013年12月 1日 (日) 19時48分
チェンジアップ様、コメントをありがとうございます。
> ま、人間万事塞翁が馬と言いますし、これが良い意味で転機になれば、結果的にはいいんですけど。
松井の呪縛からは解き離れたわけで。
これで逆に“松井の呪縛”のせいには出来なくなりました。
谷が抜け、野手の補強も今のところ聞こえてくるのは内野手ばかり。
来年こそラストチャンスですね。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年11月29日 (金) 00時16分
こんばんは。以前、背番号を変えた方がいいのでは?と申し上げたのですが、今回のようあ事情での変更には、複雑ですね。
ま、人間万事塞翁が馬と言いますし、これが良い意味で転機になれば、結果的にはいいんですけど。
松井の呪縛からは解き離れたわけで。
って、松井はホントに巨人のユニフォームを再び着るんですかね?
投稿: チェンジアップ | 2013年11月28日 (木) 21時08分
シュボ様、コメントをありがとうございます。
> 当初は松井タイプではないとしても、秋山幸二タイプかなと期待はしてましたがいまのところは残念です。
ああなるほど。私は秋山のような器用さを大田が持ち合わせていないと勝手に思っていたので、まあ確率は低くても長打力で相手をびびらせるだしゃになってくれればと思っていました。
> FAの補償で持っていかれるという噂も聞こえてきますが、なんだかんだで毎年大田には期待しているのでドラ1ですし、プロテクトかけてくれるように思っております。
カープも、(片岡を獲得した場合の)ライオンズも外野陣はどちらかといえば左打者が多いですから、大田、加治前あたりを狙ってくることは考えられると思います。
どうなりますやら…。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年11月27日 (水) 22時23分
こんばんわ
>>現状の大田はとてもそんなレベルではない。どこのチームでもスタメンすら約束されないだろう。
イースタンでの成績も残念ながら下降して来てますからね。
当初は松井タイプではないとしても、秋山幸二タイプかなと期待はしてましたがいまのところは残念です。
>>とにかく来季こそ、来季こそ大田にはブレークして欲しい。
FAの補償で持っていかれるという噂も聞こえてきますが、なんだかんだで毎年大田には期待しているのでドラ1ですし、プロテクトかけてくれるように思っております。
投稿: シュボ | 2013年11月27日 (水) 00時04分