ついにジャイアンツから戦力外通告-小笠原道大はどうなるか!?
覚悟はしていたが、ジャイアンツは小笠原道大に戦力外通告をした模様だ。4日のスポーツ紙が報じている。今季は6月5日の対ファイターズ戦でサヨナラ本塁打を放って健在ぶりを見せたものの22試合の出場にとどまり36打数9安打、本塁打はその1本だけで8打点に終わった。
6月29日に出場選手登録を抹消されてからは、ファームで実戦に出場しながら調整を続けていたが、以後一軍に復帰することはなかった。一部報道によると、クライマックスシリーズに際して招集を見送られたのは“故障”が理由だそうだが、日本シリーズの40人枠にも加われなかった。
スポーツニッポンによるとドラゴンズなどが獲得に興味を示しているそうだが…
(写真:ジャイアンツ球場でのイースタン・リーグ公式戦に臨む小笠原道大。今のところこの試合が最後の目撃。 2013年8月31日撮影)
※ このエントリーは11月4日付のスポーツニッポンに掲載された記事に基づいて11月4日に作成しました。結局期限までにジャイアンツから戦力外通告を受けることはありませんでした。なお小笠原道大内野手は10日、FA権を行使する表明をしました。
昨年のシーズン終了の時点で戦力外通告を受けていても不思議ではなかったが、小笠原道大は推定年俸4億3000万円から7000万円への大幅な減額を飲んで今季もジャイアンツでプレーすることになった。おそらくは本人も不退転の決意で望んだシーズンだったろうが、活躍できた期間は短かった。
春季キャンプ中のケガで出遅れたというのもあって一軍入りを果たしたのが5月18日と遅かったが、6月5日の古巣ファイターズとの東京ドームでの対戦では増井浩俊から代打でサヨナラ本塁打を放って健在ぶりを発揮した。
敗戦処理。は現地で生観戦していたが、周囲には泣いている女性ファンもいた。皆、小笠原の復活を祈っているのだなと痛感させられた。だがこれが今季の最大のハイライトだった…。6月29日には成績不振で二軍降格となった。
ファームに落ちてからも小笠原の人気は別格だった。ジャイアンツ球場はもちろんのこと、驚いたのはナゴヤ球場で生観戦した時だ。スタメンを外れた小笠原が代打の出番に備え、ネクストバッターズサークルに姿を見せただけで、スタンドの最前列が黒山の人だかりになっていた。
勝ち越しのタイムリーを放つと、「次はナゴヤドームで待ってるぞ」の声があっちこっちから飛んでいた。公式戦最終戦の試合後のセレモニーで、オーロラビジョンに今季のハイライトシーンが順に流された時、小笠原の6月5日のファイターズ戦での代打サヨナラ本塁打のシーンでひときわ大きな大拍手が起きた。もうファンの期待に応えられないシーズンが三年続いているのに、ジャイアンツファンがこれほどに小笠原を支持してくれるのは、ファイターズに入団した頃から応援している身には本当にありがたい限りだ。
だが、ファンの思いとは別に現実は厳しい。9月28日、ジャイアンツのファームの今季最終戦が行われたジャイアンツ球場に小笠原の姿は無かった。同じく戦力外通告を受けた谷佳知が「七番・DH」でスタメン出場して最後のアピールをしていたのとは好対照だった。その後ジャイアンツがセ・リーグ優勝を決めた翌日の報道で、小笠原と谷は来季も現役続行を目指しているとの報道に接した。その谷がクライマックスシリーズに合わせて一軍入りを果たした時の報道で、敗戦処理。は小笠原が故障を理由にメンバーに選ばれなかったことを知った。その後もいくつかの報道で、小笠原が故障していることはうかがえたが、どこをどの程度故障しているかは判明しなかった。
本人が現役続行を希望しても、契約してくれる球団がなければ無所属だ。小宮山悟、中村紀洋のように無所属状態から契約が決まった例もあるが、現在40歳の小笠原には厳しいオフになると思っていた。スポーツニッポンの報道の通り“中日など”が興味を持っているのなら、小笠原が高望みしなければ来季も現役を続けられることになりそうだが…。
何度か拙blogでは触れているが、個人的には小笠原にはジャイアンツで現役生活を全うして欲しいと考えている。小笠原が通算2000本安打を達成した時の日刊スポーツでの清原和博のコメントが印象深い。
「2000本打った後は、最後まで巨人のユニホームを着るという、オレにも落合さんにも張本さんにもできなかったことを成し遂げ、FA選手の光になってほしい」
(2011年5月6日付日刊スポーツより)
あれだけFA補強に戦力を依存していながら、FA補強で獲得した選手の大半がジャイアンツで現役生活を終えていないという事実は何を意味しているのだろうか?特に野手は落合博満、広沢克己、清原和博、江藤智と最後は戦力外に近い扱いを受けた。小笠原にこそは、ジャイアンツで現役生活を全うして欲しかった。
移籍一年目にリーグ優勝に貢献してセ・リーグの最優秀選手に輝き、四年連続で打率3割、30本塁打以上を記録してジャイアンツの手法として君臨。守備でも絶妙なタイミングで投手に声をかけてピンチを未然に防いでいた。2011年から成績が急降下したが、その2011年に通算2000本安打を達成し、記録的節目も超えた。後は本人が納得の出来る形で引退するまでだとも勝手に思っていた。
ファイターズ時代には.320あった小笠原の通算打率は、今季終了時点で.311まで下がった。実は2011年からの不振だけでなく、ジャイアンツ移籍後は上述した四年連続打率3割以上とはいえ、.320以下の打率にとどまり、通算打率を下げ始めていた。その分ジャイアンツ移籍後には本塁打数を伸ばしており、この時点ではホーム球場に合わせた打撃改造かとも思えた。
本人が現役続行を希望し、契約してくれる球団があれば来季も小笠原はどこかの球団で現役を続けられる。敗戦処理。にとっては初めて小笠原を敵に回すことになる可能性が高いが、小笠原が決めた道ならそれは仕方あるまい。球界の常識にとらわれないドラゴンズの落合博満GMが小笠原の実績に敬意を表して戦力外通告選手との交渉解禁を待って獲得に動くのでなく、交換トレードという形でドラゴンズに迎え入れてくれるのではないかという気がするが、甘いかな!?
一方、小笠原獲得に名乗りを挙げる球団がなければ、小笠原は現役引退という選択を余儀なくされる。そうなった場合、あれほどの実績を挙げた選手がファンの前で最後のプレーを見せる機会が無いままのフェードアウトになりかねない。それもまた小笠原の選択だから尊重するしかないのだが、シーズン終盤の故障というのが何だったのかと悔やまれる。
敗戦処理。自身、冒頭の写真を撮影した8月31日のジャイアンツ球場でのベイスターズ戦で小笠原の姿を見たのが最後。
第2打席でうまく低めの投球を拾う安打を放った(写真)直後、代走と交代した。
近年、ほぼ毎年ジャイアンツの東京ドーム最終戦を敗戦処理。は見に行っているが、今年は小笠原の最後の勇姿を見ることになるかもしれないと思い、先行予約で三塁側S席を申し込んだ。だが現実は…。
敗戦処理。の望む形が、どこも買い手が無くて結果的にそうなったというのでは寂しい。ここが潮時かなという思いはあるが、現役続行希望の道が開けることを今は祈るしかあるまい。
P.S.
小笠原と同じく戦力外通告を受けた谷佳知も他球団での現役続行を希望しているという。
谷は小笠原とは異なり、まだ通算2000本安打を達成していない。今季まで1921安打で2000本安打達成まで残り79本。これを目標としているという。目標に設定するのは本人の自由だが、かなり厳しい数字だと言わざるを得ない。
打率3割のペースで打ちまくっても79安打を打つには260打数を要する。一試合4打数としたら、65試合を要する。一年の半分弱にスタメンフル出場して好調をキープして達成出来る数字だ。主に対左投手対策で時にスタメン起用もされた2012年でも安打数は59本にとどまったことを考えると、今の谷では二年間はかかると思われる。谷の記録達成支援というだけの理由で谷と二年契約を結んでくれる球団があるだろうか…。だとしたら、谷は来季契約を結んでくれた球団で最低でも2012年並みの89試合、229打数59安打3本塁打22打点、打率.258くらいの成績を残し、さらに一年の契約延長を勝ち取るしかないだろう。
もちろんベテランと言われる選手が一番怖いのは、ケガと所属チームの若返り方針転換と、自身のモチベーションの低下。達しにくいくらいの目標を持つのがかえって良いのかもしれないが…。
※ 11月5日追記
白山GK様からのコメントにもあるように、11月5日時点でジャイアンツ球団から小笠原道大内野手に戦力外通告をしたという発表はありません。11月4日付、スポーツニッポン紙面に基づいてエントリーを起こしました。
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コメント
白山GK様、コメントをありがとうございます。
> 小笠原選手、FAしちゃうようですね。
管理人さんの見方が正しかったようです。
いやいや、見方正しくありません。
私はひょっとしたらですが、ジャイアンツが戦力外通告をしないのはジャイアンツに対して小笠原の譲渡、もしくはトレードを持ちかけている球団があるからではないか?と邪推していました。
小笠原の実績とプライドを考慮して“戦力外通告(→自由契約)→獲得”という形を取らずに移籍交渉してやる気を出させる。そしてそんなことをやるとしたら、落合博満GMしかいないかと。
> しかし、2000本安打も打ったし、巨人の功労者ですから、巨人でユニフォームを脱いでもらいたかった。
そして、コーチとして次代の巨人を担うスラッガーを育ててほしかった。
私もそれが希望でした。
> 今更何を言ってもしょうがありませんが、とにかく、今後の彼の活躍を祈るばかりです。
そうですね、本人が納得する道を進むのが一番ですね。尊重しましょう。
まだ、FA残留の可能性も無いとは言えないですし…。
野手のFA戦士で、ジャイアンツで選手生命を終えるのは村田に託しましょう。選手会長に指名されたそうですね。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年11月10日 (日) 19時27分
カミオー様、コメントをありがとうございます。
> 日本シリーズ終了から5日間が過ぎ戦力外通告期間が終了したので小笠原選手の残留は確定ですね。
ただ、トレードの可能性も残ってるので巨人に残留できるかどうか判りませんが。
私もそう思い、ある意味ホッとしていたのですが、11月10日、まさかのFA宣言。
正直、この展開は予想していませんでした。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年11月10日 (日) 18時48分
小笠原選手、FAしちゃうようですね。
管理人さんの見方が正しかったようです。
しかし、2000本安打も打ったし、巨人の功労者ですから、巨人でユニフォームを脱いでもらいたかった。
そして、コーチとして次代の巨人を担うスラッガーを育ててほしかった。
今更何を言ってもしょうがありませんが、とにかく、今後の彼の活躍を祈るばかりです。
投稿: 白山GK | 2013年11月10日 (日) 17時59分
日本シリーズ終了から5日間が過ぎ戦力外通告期間が終了したので小笠原選手の残留は確定ですね。
ただ、トレードの可能性も残ってるので巨人に残留できるかどうか判りませんが。
投稿: カミオー | 2013年11月 9日 (土) 23時53分
白山GK様、コメントをありがとうございます。
> 報知は残留と言っているが?いかが?
そのようですね。スポーツニッポンの記事を元にエントリーを起こしましたが、このままジャイアンツに残る事になれば、もちろんそれが一番です。
ご指摘ありがとうございました。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年11月 5日 (火) 23時11分
報知は残留と言っているが?いかが?
巨人・小笠原道大内野手が、来シーズンの打棒復活へ向けて、5日から再始動する。G球場での2軍練習に参加する予定で、「やることは変わらないよ。一日一日しっかりやっていきたい」と、先を見据えた。今季はプロ入りワーストとなる、わずか22試合の出場にとどまった。ここ3年間、不本意なシーズンが続いており、来季は名誉挽回へと臨む。
投稿: 白山GK | 2013年11月 5日 (火) 21時45分
まーく様、コメントをありがとうございます。
> 谷佳知は2000本目指すなら長野が新人で活躍した後のオフにFAすべきでしたね。
今後出場機会が減るのは明らかだったのに・・・・・
確かに2000本安打を目標にするならそのタイミングだったかもしれませんね。
> FA選手の晩年の扱いは他球団でもあまり変わらないのではないですかねえ、注目選手を集めている巨人が目立つだけで。
FAした時点でそれは覚悟の上かと思います。
言われてみれば他球団との比較はしていません。
ジャイアンツはFA補強の人数が突出しているので多く感じるというのはあるかもしれません。
しかし調べていませんが、タイガースやホークスにFAで移籍した選手はそれぞれのチームで現役を終えているのではないでしょうか?
そもそもキャリアから考えると、FA移籍先が最後の球団になるケースが多い様に思えます。
* 生え抜き選手でないので、衰えた時に球団がコーチなどのポストを用意しないというのはあるかもしれませんね。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年11月 5日 (火) 00時57分
長緯様、コメントをありがとうございます。
> どの球団のファンの人に聞いても、贔屓チームに対しては「若い選手を使え」「ベテランに頼るな」といいます。
これから伸びていくはずの若い選手に対する期待や、ベテラン選手の高額な年棒に対する疑問からそういう声が上がるのだと思いますが、チームの中核となって活躍してくれた選手に対する功績というものをファンもフロントももう少し考えてくれてもいいのではと思います。
そうなのですか?そうとは限らないと思いますが。
> そういった意味では、例えば足と肩が衰えてきても金本を起用し、最後は円満に引退させたタイガースは偉いな、と多少思う気持ちがあります。
うーん、金本に関してはどうなのでしょうか?晩年は腫れ物に触るような関係だったような気も…。
> 内情は分かりませんが、頭を下げて来てくれた小笠原に対して、「今まで本当に良くやってくれた、ここで円満に引退してほしい」という話を持ちかけながら、しかし本人は「現役にこだわりたいので戦力外扱いにして他球団でプレーさせてくれ」といったやりとりだったらいたしかたないと思いますが、球団から一方的に戦力外といった通告を持ちかけたのだとしたら、やはりさびしいものを感じます。
そりゃぁ、水面下ではいろいろあって、それで表面化するのだと思います。
潮時のような気もしますが、本人が続けたいという以上、他球団の動向を見守るしかないなと思っています。
投稿: 敗戦処理。 | 2013年11月 5日 (火) 00時51分
谷佳知は2000本目指すなら長野が新人で活躍した後のオフにFAすべきでしたね。
今後出場機会が減るのは明らかだったのに・・・・・
FA選手の晩年の扱いは他球団でもあまり変わらないのではないですかねえ、注目選手を集めている巨人が目立つだけで。
FAした時点でそれは覚悟の上かと思います。
投稿: まーく | 2013年11月 4日 (月) 22時26分
どの球団のファンの人に聞いても、贔屓チームに対しては「若い選手を使え」「ベテランに頼るな」といいます。
これから伸びていくはずの若い選手に対する期待や、ベテラン選手の高額な年棒に対する疑問からそういう声が上がるのだと思いますが、チームの中核となって活躍してくれた選手に対する功績というものをファンもフロントももう少し考えてくれてもいいのではと思います。
そういった意味では、例えば足と肩が衰えてきても金本を起用し、最後は円満に引退させたタイガースは偉いな、と多少思う気持ちがあります。
内情は分かりませんが、頭を下げて来てくれた小笠原に対して、「今まで本当に良くやってくれた、ここで円満に引退してほしい」という話を持ちかけながら、しかし本人は「現役にこだわりたいので戦力外扱いにして他球団でプレーさせてくれ」といったやりとりだったらいたしかたないと思いますが、球団から一方的に戦力外といった通告を持ちかけたのだとしたら、やはりさびしいものを感じます。
投稿: 長緯 | 2013年11月 4日 (月) 20時50分