小笠原道大、ドラゴンズ落合博満GMに拾われる。
谷繁元信兼任監督が捕手をしている写真だったらよかったのだが<笑>、東京ドームはともかくナゴヤドームで小笠原道大が出た試合を二試合しか観ていないので捕手が小山桂司の時の打席しかなかった…。
それはともかく、正直、2011年からの不振で、昨年チームの日本一を花道にとも想像していたが、日本シリーズでもチームに貢献出来ずに不完全燃焼だったのか大減俸を飲んでジャイアンツで再起を賭けた。
ところがキャンプ中の指の骨折が祟り、一軍入りが遅れて5月18日にようやく一軍入り。
敗戦処理。も生観戦した6月5日の東京ドームでの古巣ファイターズ戦で増井浩俊から代打サヨナラ本塁打で復活ののろしを挙げたかに思えたが、本塁打はその1本だけ。22試合に出場して36打数9安打、8打点で打率.250という成績で6月29日に出場選手登録を抹消されると、その後はファームで実戦に出ながら一軍復帰を目指したが二度と一軍に上がる事はなかった。
クライマックスシリーズ、日本シリーズが迫る時期には報道によると故障をしていたようだ。実際イースタン最終戦の9月28日には試合開始前の早い時間帯からジャイアンツ球場を観察したが、試合後の大サイン会を含め、小笠原の姿を目にすることはなかった。
2011年に通算2000本安打を達成し、特に個人記録で節目の数字が迫っているという感じでは無い。潮時というにはもう過ぎている気すらする。逆にかつて.319あった通算打率は下がりに下がって.311迄落ちた。 それでも充分な通算打率であるが、“晩節を汚す”という表現が当てはまるかのようなここ一、二年の成績である。敗戦処理。的にはやり尽くしたところで現役を引退、ジャイアンツのコーチに就任という青写真を勝手に描いていた。何度も引用しているが、ジャイアンツにFAで移籍してきた強打者達が誰もなしえていないジャイアンツで現役引退という図式を小笠原こそが実現するかと思ったが…。
推測だが広沢克己、清原和博、江藤智のような晩年ではなく、球団もコーチの椅子くらいは考えていたかもしれない。成績的には放っておいたら戦力外通告を受けても不思議でない成績なのに期限を迎えてもその手の発表、報道がなかったのは水面下で引退勧告→コーチ就任打診→本人が拒否…という動きがあったか、戦力外通告→自由契約という流れを避けたかったジャイアンツ球団がトレードで受け入れる球団を探していたかのどちらかかと思った。水面下の動きは敗戦処理。の様な一介のファンにはわからないが、小笠原はFA権を行使することを表明した。
皮肉なことに大幅な減俸となったために小笠原は移籍球団に補償を求められないCタイプとなり、また幸か不幸かFA移籍選手への新年俸提示に下限がない。球団間のトレードだと通常は年俸据え置きということを考えると、小笠原にとってFA移籍は制度上の好都合だった。小笠原は今季のジャイアンツでの推定年俸7000万円からさらに50%以上減額の推定3000万円で契約するそうだ。
小笠原にとっては額の多少はこの際二の次だったのだろう。落合博満GMからの「必要だから来てくれ」の一言に二つ返事で応じたという。
落合監督自身、現役時代にジャイアンツが三年契約満了のタイミングで清原獲得を表明し、宙に浮くことが確実の落合は球団に自由契約を申し入れた。長嶋茂雄監督は清原を獲得してなお落合をいざというときのために残しておきたかったそうだが、落合は残留を潔しとせず自由契約を申し入れた。落合の退団会見には長嶋監督が同席していた。一選手の自分から申し入れた退団会見(引退会見ではない)に監督を引っ張り出したのだ。落合もどや顔をしたい気分だったろう。その落合を欲したのがジャイアンツ何するものぞの野村克也監督率いるスワローズと、歴史的失速でV逸した直後の上田利治監督率いるファイターズ。落合はファイターズを選んだが、そのタイミングで小笠原がドラフト3位でファイターズ入り。今となっては縁を感じる。
しかも故障で新人合同自主トレのメニューをこなせなかった小笠原はキャンプで別メニューを余儀なくされたがそこでコンビを組んだのが超ベテランでスロー調整を任された落合だったという。ルーキー小笠原は、寡黙ながら時折金言を述べる落合の一言一句を聞き逃すまいとしたという。
落合は小笠原がファイターズからFA宣言した際にも声をかけたが、ジャイアンツの攻勢に「そっちの方がいいだろ」と身を引いたという話もある。
ドラゴンズは今季、25本塁打、70打点を放った左打ちの一塁手マット・クラークを解雇したばかりだが、エクトル・ルナが三塁に固定されれば森野将彦が一塁に回ることも予想され、ジャイアンツで不振続きだった小笠原にとって一塁のポジション獲得も容易ではない。
さらなる茨の道が待ち受けているかもしれないが、必要説いてくれたチームで精一杯の結果を出すしかない。
敗戦処理。的に小笠原を敵に回すのは初めて。ドラゴンズのユニフォームを着てジャイアンツ投手陣の前に立ちはだかる姿は今はまだ想像出来ないが、(あまり大きな声では言えないが、どうせなら)派手に恩返しをして欲しい。
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