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2013年12月 4日 (水)

井端弘和、大竹寛、そして片岡易之も「巨人入り」。…十年連続日本一に向けて着々と大補強!?

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リーグ優勝の余韻に浸る間もなく
<!?>補強にひた走るこのオフのジャイアンツ。FA権を行使したカープの大竹寛とライオンズの片岡易之の獲得に成功し、二桁勝利を見込める先発ローテーション投手と、なかなか固定出来なかった二塁のポジションの有力選手の両獲りとなった。さらにドラゴンズから大幅な減俸を提示されて自由契約の道を選んだ井端弘和も獲得。長嶋茂雄監督時代に逆戻りしたかのようだ。1日に行われたOB総会に参加した白石興二郎オーナーは十年連続日本一を目指すと息まいたそうだ。

だが、そううまくいくだろうか…


(写真:ジャイアンツ入りが決まったライオンズからFA宣言した片岡易之。懸案だった二塁手のレギュラーが固定出来る!? 200811月撮影)


「うまい選手より、強い選手が必要」と言ったのは原辰徳監督だ。原監督の言う““強い選手”というのは一言で言えば故障をしない選手、故障に強い選手を指す。一昨年にFAで加入した村田修一も昨年は試合の序盤でベンチに下げられて「今日はもう帰っていいよ」とまで言われたり、今季もDH制のある交流戦で九番を打たされるなどプライドを傷つけられそうな仕打ちを受けたが、大きなケガが無く常に試合に出続けることが出来、阿部慎之助に代わって四番を務めるまでになった。


そういう意味では「これで内野の四つのポジションが固まった」と言われる片岡易之の補強は額面通りには受け取れない可能性もある。片岡はライオンズでの直近三年間、年間の規定打席に達していない。

2013年、左膝裏痛で93日間登録抹消、2012年、右手首痛で714日からCSファーストステージ敗退まで94日間抹消、2011年、右肩亜脱臼で56日間抹消、左肩痛で105日からCSファイナルステージ敗退のまで32日間抹消と故障に泣かされ続きである。
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衰えが顕著で落合博満GMから大幅な減俸を申し渡された井端弘和は今季
38歳になったが、それでも93試合で遊撃手として出場していた。片岡が、原監督が求めるタイプの選手とは考えにくい。

もちろん2010年以前の姿に復活してくれれば、例えば一番片岡、二番松本哲也という打順にすれば今までのジャイアンツにない新機軸の機動力野球の期待が高まるし、長野久義(ないし坂本勇人)の後の二番に据えても面白いかもしれない。もっとも友人のライオンズファンは「なぜ“一番片岡、二番栗山”であって“一番栗山、二番片岡”でなかったか」と言っており、長打力のある栗山巧の方が片岡より二番打者としての適性があった。言い換えれば片岡には二番打者としてのつなぎの適性がないと言っているが…。

それにしてもCSでは前田健太から、日本シリーズでは田中将大から本塁打を放ち、ファンの間から皮肉を込めて「寺内じゃなくて寺打たない」と揶揄されていた寺内崇幸が課題の打撃に開眼の兆候が出たところに敢えて実績のある選手を補強するとは、どん欲というような月並みな言葉では表現しがたいほどだ。


かつてライオンズで黄金時代を築き上げた森祇晶監督時代、外野陣の一角、レフトだけはなかなか固定出来なかった。当時のライオンズの編成は根本陸夫さんが仕切っていたが森監督の意向も踏まえた上で敢えて補強をしなかったという。他のポジションが円熟期のレギュラーでがちがちに固定されていたので、一つくらい競争の余地のあるポジションを設けておくことで控え選手や二軍の選手のモチベーションを下げないようにしたという。今のジャイアンツも井端と片岡を獲得しようが外野陣に眼を向ければ長野以外は固定されていない。ここに激しい競争を期待したい。正直、応援している人には申し訳ないが高橋由伸が追いやられるくらい若手に急増してもらいたい。大田泰示にもまだチャンスはあるのだ。



そしてデニス・ホールトンと契約を更新しなかったということは大竹寛を補強してもなお、まだ外国人投手を獲得する可能性があるということだ。ジョン・ボウカーマニー・アコスタも解雇したから外国人枠は一軍四人のうち、スコット・マシソンホセ・ロペスしか埋まっていない。マシソン、ロペスと珍しく自前で獲得した(日本の他球団経由でない)外国人助っ人が成功しているのだから、ジェイソン・スタンリッジブライアン・ウルフに安直に飛びつくのではなく、自前で探してきて欲しい。

特に今年のロペスが自前の外国人選手としてはシェーン・マック以来17年ぶりの規定打席到達、ウオーレン・クロマティ以来24年ぶりの打率三割、来日一年目では初の打率三割を記録しただけに、次はバルビーノ・ガルベス以来途絶えている規定投球回数に到達するほどの先発投手を開拓して欲しい。

敗戦処理。は強くて安定したチームを作るには補強と育成のバランスが肝要だと思っているから、足りないポジションを補って強くする文字通りの“補強”自体には文句を言うつもりはない。言うとしたらその人選やポジションの偏りなどだ。


最後に、白石興二郎オーナーの“十年連続日本一”宣言とやらに一言。OB総会での挨拶という以外、発言のシチュエーションや具体的な内容が伝わってきていないが、今年10月になかうなられた川上哲治さんが監督時代に成し遂げたV9を超えようという高い志を持つのは良いことかもしれないが、川上監督を筆頭に当時のコーチ、選手、スタッフらが不断の努力を団結させた金字塔の偉大さを実感しているのなら、まだV1(日本一)すら達成していない段階で安易に口に出せる数字ではないと思うのだが…。白石オーナーが読売新聞内部で、V9の時代にどんな仕事をしていたか調べていないが、単なるアドバルーン的にV9超えをぶち上げたのだとしたら、川上監督を始めとするV9の体現者達に対して失礼だし、この球団が最も大切にしている「伝統」というものを冒瀆しているのではないかとすら思える。

ジャイアンツはV9時代以後、この四十年間にわたってV9どころか、二年連続日本一すら達成していない。達成出来ないのには理由があるはずだ。当然ながら単年の日本一だけでも難しい上に、二年続けて日本シリーズに出ることも容易ではない。そして既に一部のファン、マスコミが指摘しているように、目先の補強ばかりに目がいき、長期的視野に立っているように思えないからだ。

組織の業績達成に目標を明確にすることは必要だ。敢えて手の届かない目標を設定することもあるだろう。でも、川上監督がなくなられた年であるからこそ、白石オーナーが掲げた目標が単なるアドバルーンで、先人への敬意に満ちたものには見えないのだがうがちすぎだろうか…。

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