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2014年1月 7日 (火)

正捕手を放出する覚悟~鶴岡一成をなぜプロテクトしなかったのか…

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タイガースは
6
日、投手の久保康友がFA権を行使してベイスターズに移籍したことに伴う人的補償の選手としてベイスターズから捕手の鶴岡一成を獲得したと発表した。タイガースファンである人もない人も含め、「また阪神が他球団の捕手を獲得した」と揶揄する声が挙がっているようだ。だが、同一リーグの球団の正捕手がプロテクトされていなかったら、手が出るのは不思議ではないと敗戦処理。は思う。むしろチームのグラウンドでの司令塔であり、球団の機密情報を握っている正捕手を人的補償のプロテクト28人から外して流出のリスクに晒す方がおかしいのではないか…。

考えれば考えるほど不思議な移籍だ。


(写真:ピンチにマウンドに集まるベイスターズナイン。背番号10が今回人的補償での移籍が決まった鶴岡慎也。 20135月撮影)



blogをお読みいただく野球好きの方には釈迦に説法だと思うが、FA移籍に伴う人的補償に関してざっと説明しておこう。

FA権行使による国内移籍が行われた場合、その選手の元の所属球団は、選手のその年度の年俸額の順位によって移籍先の球団に対し、補償を求めることが出来る。


外国人選手を除き、球団内での年俸が多い順で1位~3位の選手が移籍した場合(Aランク)

の選手の年俸の80%の金額をもらう(金銭補償)か、50%の金額プラス支配下選手1
人(人的補償)。


外国人選手を除き、球団内での年俸が多い順で4位~10
位の選手が移籍した場合(Bランク)

その選手の年俸の60%の金額をもらう(金銭補償)か、40%の金額プラス支配下選手1
人(人的補償)。


外国人選手を除き、球団内での年俸が多い順で11
位以下の選手が移籍した場合(Cランク)は金銭補償も人的補償も受けられない。


人的補償では移籍先の球団が指定した28
人の選手(プロテクト)と外国人選手とそのオフにドラフトで指名して入団が決まっている選手を除いた選手の中から一人、移籍された元の所属球団が指名を出来る。


28人というと、シーズン中、一軍に登録されている人数の上限が28人だから、常時一軍に定着しているような選手はプロテクトされるだろう。まして外国人選手は対象外なのだから、28人プラス外国人枠4人の32番以内に入っている選手はプロテクトされると思いがちだが、これまでにもあっと驚くような選手が人的補償で指名されて移籍したケースはあった。

プロテクト選手を決める基準は球団によって異なるようだが、その前の年にドラフトで指名した新人選手や、それ以前の年であってもドラフトで上位指名した選手はプロテクトせざるを得ない事情もあるようだ。もちろん高校卒で入った二、三年目の選手であれば今は一軍未出場であっても将来性を見込んで獲得したのだから手放したくないというのもあるだろうし、それ以外に、その選手本人はともかく、選手の母校などに対する道義的理由でプロテクトせざるを得ない事情もあるようだ。ドラフト指名の時には所属高校、大学、社会人の監督や関係者に対してスカウトや、場合によってはGM、監督あたりまでが「ぜひ我がチームに預けて下さい」と頭を下げておいて、二、三年後にはプロテクト漏れでトレードなんて話になったら、次にその学校等から有力選手が出た場合にスカウトはどうやって説明すればいいのかという話になる。

例えばジャイアンツはこれまでにFA移籍に伴う人的補償で、過去にFAで獲得した選手が移籍するというケースを三回も経験している。工藤公康、江藤智、藤井秀悟。これも以後のFA交渉に支障を来すのではないかという気もするが、基本的にFA移籍の交渉相手は選手本人(とせいぜいその家族)であるのに対し、ドラフトでの指名に関しては所属先の監督など指導者にまでいい顔をしなければならないのだろう。だから入団して年数の浅い選手をプロテクトした結果、成績の落ち始めた元FA組がプロテクト漏れするのだろう。その代わりという訳ではないだろうが、広沢克己清原和博のようにほとんど戦力にならなくなっても、ジャイアンツは契約期間中は契約し続けるのだろう。

プロテクトのリストというのは相手球団から求められて初めて提出するものだという。ということはその相手球団が求めてきそうなポジションを手厚くプロテクトしておくという読みを立てた上で28人を選べるのだ。ある報道ではベイスターズは、タイガースが先発ローテーション投手の久保康友を失ったのだから投手の補償を求めると読んで投手を手厚くプロテクトした結果、鶴岡が漏れたのではないかとあった。事前の報道ではアーロム・バルディリスの獲得が決まったので同じ三塁が本職の中村紀洋が漏れるのではという予測もあった。中村も鶴岡一成も契約更改の事前交渉で、「これ以上は上げないからこれで不服なら自由契約にしても良い」と球団から指し値を示されたというから、外から観ているファンにはわからない、球団の低評価というのがあるかもしれない。それでも繰り返しになるが、中村の場合は年齢と同じポジションに外国人選手が入ってきたから宙に浮いたというのがあるかもしれないが、鶴岡は昨年107試合にマスクをかぶった正捕手であり、少なくとも現時点では高城俊人黒羽根利規に直ちにポジションを取って代わられるレベルだとは思えない。

また、ベイスターズのファンにとっては鶴岡は自分をトレードに出した球団にFAで戻ってきてくれた選手である。そういう選手を人的補償という形で放出してしまうのを忍びないと感じる向きもあろう。


ベイスターズのこうした人事を決めるのは高田繁GMである。ジャイアンツのV9戦士であり、ファイターズでは監督、GMを務めた人物である。基本的に敗戦処理。は好きなイメージで観てきたが、さすがに首を捻らざるを得ない。

はベイスターズのGMに着任後、藤田一也内村賢介の交換トレードを敢行した際にも、内野の万能型の藤田を手放して、内野手の中で最も難しいと思われるショートのポジションをこなせない内村を獲得したことにいささかの疑問を感じていたのだが、それに次ぐ大疑問だ。トレード時点での評価だと、藤田も内村もどちらもレギュラーポジションを獲るには至らぬが常時出場出来る選手であり、スイッチヒッターである分だけ内村の方をお買い得と見る向きもあったようだが、少なくとも敗戦処理。の見方は異なる。石井琢朗の後を継いでショートのポジションを担う石川雄洋一人に任せきれるのならまだしも、石川はムラっ気があるのかその後も今一つ一本立ちとは言い切れない。ショートの守備にも難があるままなので梶谷隆幸がショートを守ることが多くなったが、その梶谷が長距離砲としての覚醒が近いと見るや打撃優先で今季は外野にコンバートするという。ここに藤田がいればショートを任せられるが少なくとも内村には任せられない。

中村勝広GMはタイガースファンからでさえも“負広”と揶揄される人物。そうした向きのファンには「高田GMの仕組んだ罠がある」と根拠もなく茶化している人もいるようだが、ベイスターズファンでもタイガースファンでもない敗戦処理。が考えると、他にこれといった欲しい選手がいなければ、正捕手がプロテクト漏れしているのなら食指を動かすだろう。しかも鶴岡は既に契約更改を済ませており、少なくとも今季は4,000万円(推定)で雇えるのだ。一部に言われるように若手捕手に場数を踏ませる機会損失だという面はあるだろうが、それなら日高剛を外して清水誉小宮山慎二を一軍に入れて藤井彰人や鶴岡から吸収させればよい。


高田GMはファイターズがコンスタントに優勝出来るチームに伸びていった過程に手腕を発揮したGMと言われ、かつて広岡達朗がマリーンズで日本プロ野球界初のGM職に就きながら成功とは言えなかった事例もあって日本にはGM制度はなじまないとも言われる中、希有な成功例とも言われている。その後監督として招かれたスワローズでも、それまでFA補強の実績の無かった球団を説得して相川亮二の獲得の背中を押すなど、むしろ監督としてよりもGM的な編成面で貢献したとの見方もある様だ。だが敗戦処理。と同年代、もしくはそれ以上の年代のファイターズファンの中にはファイターズ監督時代の高田を、津野浩田中幸雄といった当時の若手選手を辛抱強く育成した手腕を認める一方で、世代交代というものの大沢啓二監督時代にリーグ優勝に貢献したV戦士を次々と斬っていった側面を重く見ている人もいる。


昨年のベイスターズでは鶴岡が107試合に捕手として出場していた。これに次ぐのが高城の50試合、黒羽根利規29試合、西森将司2試合だ。
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仮に高城を授業料を払いながら正捕手にしていく構想があるにしても、脇を支える第二捕手の存在は重要であろう。それが経験豊富な鶴岡のポジションであろう。それは黒羽根を正捕手にしても同じだ。

ームの司令塔であり機密を知っている捕手の同一リーグへの流出に関しては拙blog昨年1115日付鶴岡慎也よお前もか!~何故みんなファイターズから出て行きたがるのか!? で言及したが戦力の流出だけでなく情報の流出を危惧しなければならないと思うからだ。


情報の流出という意味では、タイガースの元スコアラー三宅博氏の虎のスコアラーが教える「プロ」の野球観戦術(祥伝社黄金文庫)によると、情報の流出という面で球界ではスコアラーの引き抜きはタブーと言われているが、ドラゴンズが落合博満監督を解任した際に落合監督付の田中彰スコアラーがベイスターズに移籍、しかもベンチ入りしていたと言う。移籍初年度の2012年こそベイスターズはドラゴンズに対し、714敗3引き分けと効果は見られなかったが、昨年は1311敗と勝ち越した(昨年はトニ・ブランコら外国人選手の移籍の方が大きいだろうが)。情報戦の重要さを川上哲治監督時代のV9戦士である高田GMが軽視しているとは思えないのだが…。

 

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