清原和博の“夢のドリーム”

今日2日のスポーツ紙各紙に1月5日に東京ドームで行われた“のどごし　夢のドリーム　プロ野球”の様子が全面広告になっている。先月24日からテレビＣＭでも放送されている通り、現役プロ野球選手やＯＢの協力でファンの夢を叶えていくのだが、それをさらに拡張した形だ。

新聞広告の文面にもあるが、ファンの叶えたい夢での人気ナンバーワンは清原和博。亀梨和也との対戦を別にしても、ファンと3打席対決。そのすべてでフルスイングを見せていた。


現役を引退して六年目。ファンにとっては今でもＰＬ学園の清原和博であり、ライオンズの清原和博であり、ジャイアンツの清原和博であり、バファローズの清原和博である。肩書きとしては「野球評論家」だがテレビの番組改編期のスペシャルゲストとして重宝がられている印象の方が強いが、ファンの記憶が色褪せないうちに野球人清原和博としての次の一歩が見たいと思うファンも多いのではないか…。


(写真：1月5日に東京ドームで行われた“のどごし　夢のドリーム　プロ野球”の一回表の打席で三振する清原和博。この日は引き立て役に徹していた。　2014年1月5日撮影)

1月5日付拙blog新年早々満喫！“のどごし　夢のドリーム　プロ野球”生観戦 でも触れたが、清原和博には今以上に野球人としてファンの期待に応えて欲しい。


ＣＭは1月24日から放送されているが、さらに当日のシーンを長く収録したものが2日から公開された。当日現地観戦した身には懐かしいし、観戦しなかった方にはだいたいの雰囲気をつかんでもらう意味で目を通していただきたいものだ。

野球ファンのわがままな夢を可能な限り叶えていくのだが、「○○選手と対戦したい」バージョンでは清原の人気が圧倒的だったようだ。

清原はこの日の５日前の大晦日にはＴＢＳテレビのスペシャル番組で母親に本塁打を打つ姿を見せたいと言ってライオンズ時代のユニフォームで登場して村田兆治、北別府学、阿波野秀幸、西崎幸広といったかつての好敵手と対戦していたが、このイベントにはジャイアンツ時代のユニフォームで登場。

いきなり「高校時代からのバッテリーで、清原選手と真っ向勝負したい」というドリーマーと対戦。

フルカウントからフルスイングの上、三振に倒れた(冒頭の写真)。５イニングすべてに登場。


「清原選手の代打として、清原選手になりきりたい」というドリーマーの夢を叶えて交代した以外は四回打席に立ち、最終回の亀梨和也との対戦を含め、４打数０安打３三振と見事にエンターティナーぶりを発揮した。

清原ファン、野球ファンが望んでいるのは野球人としての清原であるということをあらためて再認識させてくれたのがこの日のイベントだった。

現役引退後、“番長”キャラばかりが強調され、野球評論家としてよりそのキャラクターの濃さでテレビ番組の改編期にスペシャルゲストとして出演する面で重宝がられているが、それが清原の、ファンが見たい姿では必ずしもないと思う。

同年代では桑田真澄も大リーグ移籍を経て現役を引退したあと、指導者としてユニフォームを着ていない他、今年野球殿堂入りを果たした佐々木主浩、野茂英雄も指導者としてユニフォームを着ていないが、清原もそろそろ現場復帰を果たしたいところではないのか？

清原の現役時代の売りはもちろんその類い稀な長打力にあるが、打者としての通算成績とは別の次元でライバル球団のエース級投手との名勝負が語りぐさになることが多い。桑田とのＫＫ対決はもちろんのこと、野茂や伊良部秀輝との力対力の対決など枚挙にいとまがない。投手と打者の一対一の対決が絵になるからオールスターゲームでも注目を浴びることが多い。清原の引退後、オールスターゲームが面白くなくなったという知人がいるが、わかるような気がする。

だが、打者としての豪傑ぶりが現役引退後の指導者としての需要と合致するとは限らない。専門誌でない週刊誌レベルでは時折次期監督候補として白羽の矢が立つが、残念ながら信憑性のある報道は少ない。

晩年を過ごしたバファローズで監督にという記事がたまに見られたが、最近はその種の報道でもバファローズの次期監督の有力候補の座をイチローに奪われている<苦笑>。

ＴＢＳの大晦日特番ではまだ野茂や佐々木と対戦していないから、あと二年は企画が持つ<笑>が、ファンの夢の対象であり続けるだけが清原の望みではないだろうし、ファンの本意でもないだろう。

プロ野球界には「名選手必ずしも名監督ならず」という言葉がある。だが名選手のゴールは名監督であって欲しいという願望もあろう。コーチとなって経験を積み、それが評価されて監督に就任し、清原野球を見たいと言うファンも少なくないだろう。そしてそうしたファンは必ずしも“番長キャラ”の延長線上の指導者清原を見たいと願っているのではないだろう。


松井秀喜がジャイアンツの宮崎キャンプで臨時コーチを務めて話題を呼んでいるが、清原自身はどうなのだろう？俺もという気にならないのだろうか？


ドリーマーから「監督になってチームを優勝に導く清原を見たい」という夢をぶつけられたら、どう応えるのだろうか。